東海再処理施設における加湿器を用いた計測導圧管の詰まり予防対策
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カテゴリ: 第6回
1. 緒言
東海再処理施設における放射性溶液の液位、密度の 定には、エアパージ計測法を用いている。エアパー ジ計測法は、計測導圧管を液中に挿入するだけで、検端に可動部を持たず、検出器が放射性溶液に接触し さいため、メンテナンスが容易という利点がある。し いし、エアパージ計測法は、硝酸塩を含む放射性溶液 らの塩の析出、槽内の堆積物等により、計測導圧管 端に詰まりを生じることがある。この詰まりは、正 な計測を阻害し、液位、密度等の指示値を変動させ ら原因となり、安定した工場運転の継続に影響を与え 51塩が析出する要因の1つとして、エアパージ計 山に用いる圧縮空気が脱湿された乾燥空気であるこが考えられる。そこで、塩が析出する可能性のある 計測導圧管を対象に圧縮空気の加湿による詰まり予 う試験を実施し、その効果を確認した。
2. エアパージ計測法
2.1計測の概要 エアパージ計測の概要を図1に示す。 エアパージ計測法で貯槽内の液位を計測する場合、 守槽内の溶液に浸る高さまで計測導圧管を挿入し、別計測導圧管を貯槽の内圧を計測するため、槽の上部 空気層に挿入する。これら計測導圧管にパージメータ車絡先:安尾清志、〒319-1194 茨城県那珂郡東海村村松 1-33、東海研究開発センター 核燃料サイクル工学研究所 再 処理技術開発センター 施設管理部 施設保全第 2 課、電 話: 029-282-1111、e-mail:yasuo.kiyoshi@jaea.go.jp - 506で流量を一定に調整した圧縮空気を流すと、圧縮空気 は、先端から気泡となって放出される。このとき、液 二浸っている計測導圧管の圧力と、槽の上部に挿入し計測導圧管の圧力との差(差圧)は、溶液の高さと 密度の積に等しい圧力で平衡となる。差圧は、差圧伝 兵器で計測し、貯槽内の液位として指示計及び記録計 二指示、記録する「1,21。制御盤記?計指示計圧縮空気差圧伝送器 背圧の差を計測仕切弁一圧流 ジ縮益一 メ空を整 一気二 タの定計測導管背圧 槽の上層部 の内圧と平 衡する圧力背圧 / 液圧と平衡 立する圧力く措換 「内気貯槽セル図1 エアパージ計測の概要図2.2特長と問題点」エアパージ計測法は、計測導圧管を通じて貯槽内か ら上昇する放射性雰囲気を、圧縮空気を流すことによ り防止できるという特長を有しているため、原子力関 系施設では幅広く用いられている。しかし、計測導 王管先端に詰まりが不規則に発生する。詰まりが生じ ると管の内径が小さくなり、管内抵抗が増加し、液位、 密度等の指示値が変化するため、工程監視及び制御に 影響を与え、安定した工場運転に支障をきたすことと なる。図2に詰まりの発生概要を示す。硝酸塩の圧縮空気が流れる際に 析出物抵抗(圧力)が発生する。換気セル圧縮空気図2 詰まりの発生概要図3.試験方法3.1加湿器による詰まり予防法詰まりが発生する要因には、エアパージ計測に用い ている圧縮空気を脱湿していることが硝酸塩の析出を 助長させていると考えられる。しかし、再処理施設内 の圧縮空気は、エアパージ計測以外に圧縮空気を駆動 源とする計測計器、弁等にも供給しているため、脱湿 した清浄な状態で施設内に供給する必要がある。そこ で、エアパージによる計測系では、パージメータの後 段に加湿器を設置し、圧縮空気を加湿することで詰ま りを予防している。図3に加湿器を設置した計測系を 示す。圧縮空気差圧伝送器仕切弁加湿器加圧 湿縮 さ空れ気仕切弁計測導圧管パメジタ図3 加湿器を設置した計測系* 東海再処理工場で用いている加湿器は、圧縮空気を 底部に設置された気泡化ノズルから器内に満たされた 水へと放出することで、上部の空気溜りにて約90%の 加湿空気にすることができる。図4に加湿器の外観と 構造を示す。バージメータから圧縮空気入日、乾探した空気)計測抑圧管へ 圧縮空気出口 【加された空気)空気離気泡化ノズル図4 加湿器の外観と構造詰まりが発生すると、計測系統及び制御上の停止処 置を行い、圧縮空気の供給を一時的に停止した後、差 圧伝送器と計測導圧管の接続を切り離して詰まりの除 去作業を行う。作業中は、圧縮空気の供給を一時的に 停止するため、計測導圧管を通じて貯槽内から上昇す る放射性雰囲気による汚染拡大防止等の処置や放射線 管理が必要となる。3.2 高放射性廃液貯槽での詰まり予防試験加湿器による詰まりの予防試験は、高放射性廃液貯 槽の計測導圧管55本の内、過去に詰まりの発生数が 多い計測導圧管4本を対象として、平成8年4月から 平成20年3月にかけて、加湿器の取付け、取り外し を行い加湿の効果を確認した。図6に試験パターンの 概要を示す。4本の内、A、Bの2本の計測導圧管については、 平成9年9月に加湿器を取付けた。その後、Aの計測 導圧管は、平成11年12月に、Bの計測導圧管は、 平成12年10月に加湿器を取外して詰まりの有無を 確認した。Cの計測導圧管については、平成9年9月に加湿器 を取り付け、平成11年12月に加湿器を取外し、再 度、平成16年5月に加湿器を取付け、詰まりの有無 を確認した。Dの計測導圧管については、平成8年4月から平成 12年10月の間、加湿器設置前の詰まりの有無を確 認した後、平成12年11月に加湿器を取付け、平成50720年3月まで詰まりの有無を確認した。計測導管加湿器設置状態(設置30 非設置;-)詰まり件数確認期間 平成8年 平成9年平成11年 平成12年 平成16年 4月 8月. 1 12月10月、4月、3月図6 試験パターンの概要4.結果及び考察図7に計測導圧管 A~Dの詰まり件数の推移を示す。 計測導圧管Aは、加湿器を設置した平成9年9月か ら約2年4ヶ月間は、詰まりが発生しなかった。加湿 器を取外した平成12年1月から約5年3ヶ月間は、 年1~2件と、少ない件数であったが、平成17年4 月から3年間は、年平均7件の詰まりが発生した。 計測導圧管Bは、加湿器を設置する前の平成8年4件数加湿器設置前加湿器設置加湿器非設置12約1年5ヶ月約2年4ヶ月約8年3ヶ月1件0件27件.|.1.00||(K~H8年度H19年度H12年度H13年度H14年度H15年度H16年度H17年度H18年度H19年度」H9年度9月~)H11年度(~12月)H11年度1月~)計測導圧管A件数加湿器設置前加湿器設置加湿器非設置約1年5ヶ月約3年2ヶ月約7年5ヶ月3件3件26件H8年度H10年度H11年度H13年度H14年度H15年度H16年度H17年度H18年度H19年度19年度(~8月)10年09月~)H12年度(~10月)H12年度(11月~)計測導圧管B図7 計測導圧管 A~Dの詰まり件数の推移 注)年度は4月から次年3月まで。例えば、平成11年度(1月~)とは、平成12年1月を示す。- 508 -月から約1年5ヶ月間に年1~2件の詰まりが発生し ていた。加湿器を設置した平成9年9月から約3年2 ヶ月間の詰まりは、年平均1件であり、若干の改善が 見られた。加湿器を取外した平成12年10月から約 | 7年5ヶ月間の詰まりは、年平均3.5件に増加して いる。計測導圧管Cは、加湿器を設置する前の平成8年4 月から約1年5ヶ月間に年平均10件の詰まりが発生 し、最も件数が多かった。加湿器を設置した平成9年 9月から約2年4ヶ月間の詰まりは、年平均1件と大 幅に減少した。また、加湿器を取外した平成12年1 月から約4年4ヶ月間は、再度詰まり件数が上昇に転 じ、年平均11.5件の詰まりが発生した。再度加湿 器を設置した平成16年5月から約3年11ヶ月間の 詰まりは、平均1件と大幅な改善が見られている。計測導圧管Dは、加湿器を設置する前の平成8年4 月から約4年7ヶ月間に年平均7件の詰まりが発生し た。その後、加湿器を設置した平成12年11月から 約7年5ヶ月間の詰まりは、年0~1件であった。件数加湿器設置前加湿器設置加湿器非設置加湿器設置約1年5ヶ月約2年4ヶ月約4年4ヶ月約3年11ヶ月20件2件50件H8年度H10年度H12年度H13年度H14年度H15年度H17年度H18年度H19年度H9年度(~8月)H9年度 (9月~)H16年度(5月)(H11年度(~12月)H11年度1月~)計測導圧管C加湿器設置前加湿器設置件数約4年7ヶ月約7年5ヶ月31件H17年度入。H10年度平成9年度平成8年度H12年度(11月~)H11年度H13年度H14年度H15年度H16年度H18年度H19年度H12年度(~10月)計測導圧管D試験パターンに従い、加湿器の取り付け、取り外し 期間を変えながら各計測導圧管の詰まりの発生数を確 認した結果、詰まりの発生数が計測導圧管によって異 なるものの、どの計測導圧管においても、加湿器を設 置した期間は、詰まりの発生数が大幅に減少すること が確認できた。また、詰まりの発生数の変化が最も顕 著に現れた計測導圧管Cでは、加湿器設置前の約1年 5ヶ月間に20件の詰まりが発生していたのが、加湿 器を取り付けた後は、約2年4ヶ月間で2件であり、 10分の1に減少した。また、その後、継続した試験 でも加湿器の効果は、明確であった。これらの試験の結果、高放射性廃液貯槽の計測導圧 管に加湿器を設置することで、大きな詰まり防止効果 があることを確認できた。5.結言硝酸塩の析出が原因と考えられる計測導圧管の詰ま りに対し、加湿した圧縮空気を計測導圧管に流す試験 を約10年間継続して行った。その結果、加湿器を設 置することで、詰まりの発生数が大幅に減少すること が確認でき、加湿器による詰まり予防効果が確認でき た。また、加湿器を連続して設置した場合でも、詰ま りを予防する効果が持続することも確認できた。参考文献 [1] 福田一仁 他、“計装用導圧管詰まり予知・除去装置の開発”、動燃技報、No.96、資料番号 96-9(1995) [2] 綿引誠一 他、“東海再処理工場計装ループ自動点検システムの開発““、動燃技報、No.92、資料番号 92-12(1994)509“ “東海再処理施設における加湿器を用いた計測導圧管の詰まり予防対策“ “安尾 清志,Kiyoshi YASUO,瀬戸 信彦,Nobuhiko SETO,綿引 誠一,Seiichi WATAHIKI,岩﨑 省悟,Syogo IWASAKI,伊波 慎一,Shinichi INAMI
東海再処理施設における放射性溶液の液位、密度の 定には、エアパージ計測法を用いている。エアパー ジ計測法は、計測導圧管を液中に挿入するだけで、検端に可動部を持たず、検出器が放射性溶液に接触し さいため、メンテナンスが容易という利点がある。し いし、エアパージ計測法は、硝酸塩を含む放射性溶液 らの塩の析出、槽内の堆積物等により、計測導圧管 端に詰まりを生じることがある。この詰まりは、正 な計測を阻害し、液位、密度等の指示値を変動させ ら原因となり、安定した工場運転の継続に影響を与え 51塩が析出する要因の1つとして、エアパージ計 山に用いる圧縮空気が脱湿された乾燥空気であるこが考えられる。そこで、塩が析出する可能性のある 計測導圧管を対象に圧縮空気の加湿による詰まり予 う試験を実施し、その効果を確認した。
2. エアパージ計測法
2.1計測の概要 エアパージ計測の概要を図1に示す。 エアパージ計測法で貯槽内の液位を計測する場合、 守槽内の溶液に浸る高さまで計測導圧管を挿入し、別計測導圧管を貯槽の内圧を計測するため、槽の上部 空気層に挿入する。これら計測導圧管にパージメータ車絡先:安尾清志、〒319-1194 茨城県那珂郡東海村村松 1-33、東海研究開発センター 核燃料サイクル工学研究所 再 処理技術開発センター 施設管理部 施設保全第 2 課、電 話: 029-282-1111、e-mail:yasuo.kiyoshi@jaea.go.jp - 506で流量を一定に調整した圧縮空気を流すと、圧縮空気 は、先端から気泡となって放出される。このとき、液 二浸っている計測導圧管の圧力と、槽の上部に挿入し計測導圧管の圧力との差(差圧)は、溶液の高さと 密度の積に等しい圧力で平衡となる。差圧は、差圧伝 兵器で計測し、貯槽内の液位として指示計及び記録計 二指示、記録する「1,21。制御盤記?計指示計圧縮空気差圧伝送器 背圧の差を計測仕切弁一圧流 ジ縮益一 メ空を整 一気二 タの定計測導管背圧 槽の上層部 の内圧と平 衡する圧力背圧 / 液圧と平衡 立する圧力く措換 「内気貯槽セル図1 エアパージ計測の概要図2.2特長と問題点」エアパージ計測法は、計測導圧管を通じて貯槽内か ら上昇する放射性雰囲気を、圧縮空気を流すことによ り防止できるという特長を有しているため、原子力関 系施設では幅広く用いられている。しかし、計測導 王管先端に詰まりが不規則に発生する。詰まりが生じ ると管の内径が小さくなり、管内抵抗が増加し、液位、 密度等の指示値が変化するため、工程監視及び制御に 影響を与え、安定した工場運転に支障をきたすことと なる。図2に詰まりの発生概要を示す。硝酸塩の圧縮空気が流れる際に 析出物抵抗(圧力)が発生する。換気セル圧縮空気図2 詰まりの発生概要図3.試験方法3.1加湿器による詰まり予防法詰まりが発生する要因には、エアパージ計測に用い ている圧縮空気を脱湿していることが硝酸塩の析出を 助長させていると考えられる。しかし、再処理施設内 の圧縮空気は、エアパージ計測以外に圧縮空気を駆動 源とする計測計器、弁等にも供給しているため、脱湿 した清浄な状態で施設内に供給する必要がある。そこ で、エアパージによる計測系では、パージメータの後 段に加湿器を設置し、圧縮空気を加湿することで詰ま りを予防している。図3に加湿器を設置した計測系を 示す。圧縮空気差圧伝送器仕切弁加湿器加圧 湿縮 さ空れ気仕切弁計測導圧管パメジタ図3 加湿器を設置した計測系* 東海再処理工場で用いている加湿器は、圧縮空気を 底部に設置された気泡化ノズルから器内に満たされた 水へと放出することで、上部の空気溜りにて約90%の 加湿空気にすることができる。図4に加湿器の外観と 構造を示す。バージメータから圧縮空気入日、乾探した空気)計測抑圧管へ 圧縮空気出口 【加された空気)空気離気泡化ノズル図4 加湿器の外観と構造詰まりが発生すると、計測系統及び制御上の停止処 置を行い、圧縮空気の供給を一時的に停止した後、差 圧伝送器と計測導圧管の接続を切り離して詰まりの除 去作業を行う。作業中は、圧縮空気の供給を一時的に 停止するため、計測導圧管を通じて貯槽内から上昇す る放射性雰囲気による汚染拡大防止等の処置や放射線 管理が必要となる。3.2 高放射性廃液貯槽での詰まり予防試験加湿器による詰まりの予防試験は、高放射性廃液貯 槽の計測導圧管55本の内、過去に詰まりの発生数が 多い計測導圧管4本を対象として、平成8年4月から 平成20年3月にかけて、加湿器の取付け、取り外し を行い加湿の効果を確認した。図6に試験パターンの 概要を示す。4本の内、A、Bの2本の計測導圧管については、 平成9年9月に加湿器を取付けた。その後、Aの計測 導圧管は、平成11年12月に、Bの計測導圧管は、 平成12年10月に加湿器を取外して詰まりの有無を 確認した。Cの計測導圧管については、平成9年9月に加湿器 を取り付け、平成11年12月に加湿器を取外し、再 度、平成16年5月に加湿器を取付け、詰まりの有無 を確認した。Dの計測導圧管については、平成8年4月から平成 12年10月の間、加湿器設置前の詰まりの有無を確 認した後、平成12年11月に加湿器を取付け、平成50720年3月まで詰まりの有無を確認した。計測導管加湿器設置状態(設置30 非設置;-)詰まり件数確認期間 平成8年 平成9年平成11年 平成12年 平成16年 4月 8月. 1 12月10月、4月、3月図6 試験パターンの概要4.結果及び考察図7に計測導圧管 A~Dの詰まり件数の推移を示す。 計測導圧管Aは、加湿器を設置した平成9年9月か ら約2年4ヶ月間は、詰まりが発生しなかった。加湿 器を取外した平成12年1月から約5年3ヶ月間は、 年1~2件と、少ない件数であったが、平成17年4 月から3年間は、年平均7件の詰まりが発生した。 計測導圧管Bは、加湿器を設置する前の平成8年4件数加湿器設置前加湿器設置加湿器非設置12約1年5ヶ月約2年4ヶ月約8年3ヶ月1件0件27件.|.1.00||(K~H8年度H19年度H12年度H13年度H14年度H15年度H16年度H17年度H18年度H19年度」H9年度9月~)H11年度(~12月)H11年度1月~)計測導圧管A件数加湿器設置前加湿器設置加湿器非設置約1年5ヶ月約3年2ヶ月約7年5ヶ月3件3件26件H8年度H10年度H11年度H13年度H14年度H15年度H16年度H17年度H18年度H19年度19年度(~8月)10年09月~)H12年度(~10月)H12年度(11月~)計測導圧管B図7 計測導圧管 A~Dの詰まり件数の推移 注)年度は4月から次年3月まで。例えば、平成11年度(1月~)とは、平成12年1月を示す。- 508 -月から約1年5ヶ月間に年1~2件の詰まりが発生し ていた。加湿器を設置した平成9年9月から約3年2 ヶ月間の詰まりは、年平均1件であり、若干の改善が 見られた。加湿器を取外した平成12年10月から約 | 7年5ヶ月間の詰まりは、年平均3.5件に増加して いる。計測導圧管Cは、加湿器を設置する前の平成8年4 月から約1年5ヶ月間に年平均10件の詰まりが発生 し、最も件数が多かった。加湿器を設置した平成9年 9月から約2年4ヶ月間の詰まりは、年平均1件と大 幅に減少した。また、加湿器を取外した平成12年1 月から約4年4ヶ月間は、再度詰まり件数が上昇に転 じ、年平均11.5件の詰まりが発生した。再度加湿 器を設置した平成16年5月から約3年11ヶ月間の 詰まりは、平均1件と大幅な改善が見られている。計測導圧管Dは、加湿器を設置する前の平成8年4 月から約4年7ヶ月間に年平均7件の詰まりが発生し た。その後、加湿器を設置した平成12年11月から 約7年5ヶ月間の詰まりは、年0~1件であった。件数加湿器設置前加湿器設置加湿器非設置加湿器設置約1年5ヶ月約2年4ヶ月約4年4ヶ月約3年11ヶ月20件2件50件H8年度H10年度H12年度H13年度H14年度H15年度H17年度H18年度H19年度H9年度(~8月)H9年度 (9月~)H16年度(5月)(H11年度(~12月)H11年度1月~)計測導圧管C加湿器設置前加湿器設置件数約4年7ヶ月約7年5ヶ月31件H17年度入。H10年度平成9年度平成8年度H12年度(11月~)H11年度H13年度H14年度H15年度H16年度H18年度H19年度H12年度(~10月)計測導圧管D試験パターンに従い、加湿器の取り付け、取り外し 期間を変えながら各計測導圧管の詰まりの発生数を確 認した結果、詰まりの発生数が計測導圧管によって異 なるものの、どの計測導圧管においても、加湿器を設 置した期間は、詰まりの発生数が大幅に減少すること が確認できた。また、詰まりの発生数の変化が最も顕 著に現れた計測導圧管Cでは、加湿器設置前の約1年 5ヶ月間に20件の詰まりが発生していたのが、加湿 器を取り付けた後は、約2年4ヶ月間で2件であり、 10分の1に減少した。また、その後、継続した試験 でも加湿器の効果は、明確であった。これらの試験の結果、高放射性廃液貯槽の計測導圧 管に加湿器を設置することで、大きな詰まり防止効果 があることを確認できた。5.結言硝酸塩の析出が原因と考えられる計測導圧管の詰ま りに対し、加湿した圧縮空気を計測導圧管に流す試験 を約10年間継続して行った。その結果、加湿器を設 置することで、詰まりの発生数が大幅に減少すること が確認でき、加湿器による詰まり予防効果が確認でき た。また、加湿器を連続して設置した場合でも、詰ま りを予防する効果が持続することも確認できた。参考文献 [1] 福田一仁 他、“計装用導圧管詰まり予知・除去装置の開発”、動燃技報、No.96、資料番号 96-9(1995) [2] 綿引誠一 他、“東海再処理工場計装ループ自動点検システムの開発““、動燃技報、No.92、資料番号 92-12(1994)509“ “東海再処理施設における加湿器を用いた計測導圧管の詰まり予防対策“ “安尾 清志,Kiyoshi YASUO,瀬戸 信彦,Nobuhiko SETO,綿引 誠一,Seiichi WATAHIKI,岩﨑 省悟,Syogo IWASAKI,伊波 慎一,Shinichi INAMI