浜岡原子力発電所1、2号機廃止措置計画認可後の保全について
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カテゴリ: 第7回
1. 緒言
中部電力株浜岡原子力発電所1,2号機(以下、 「1,2号機」)は、平成 21年1月30日に運転を終 了し、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に 関する法律(「以下、炉規制法」)第 43 条の 3 の 2 第2項の定めに従い、平成 21年6月1日、経済産業 大臣に廃止措置計画の認可申請を行い、平成 21 年 11月 18 日に認可を受けた。また、同日、炉規制法 第 37 条第1項の定めに従い原子炉施設保安規定(以 下、「保安規定」)の認可も受け、3~5号機の保安 規定が第1編、1,2号機の保安規定が第2編とな った。現在、1,2号機の現場では、汚染状況調査のた めの系統除染や放射線管理区域外に設置された設備 の解体工事を実施する一方、今後も維持する設備の 機能を確保するための点検を実施している。本報告は、1,2号機廃止措置の全体工程、系統 除染と放射線管理区域外設備撤去工事の状況、廃止 措置計画認可前後における保全計画の見直しについ て述べたものである。 2. 廃止措置の全体工程 1,2号機の廃止措置の全体工程を Figl に、解体 2. 廃止措置の全体工程1,2号機の廃止措置の全体工程を Figl に、解体 順の概要をFig2 に示す。 現在は、廃止措置第1段階の解体工事準備期間に あり、1,2号機の建屋内からの使用済燃料等の搬 出、汚染状況調査のための系統除染、汚染状況の調 連絡先:湖口正裕,〒437-1695 静岡県御前崎市 佐倉 5561, 中部電力(株) 浜岡原子力発電所 環 境保全部施設管理課, 電話:0537-85-2393, E-mail: Koguchi.Masahiro@chuden.co.jp平成20年度~平成25年度~) 平成30年度~平成35年度~平成40年度~ 平成45年度~ 第1段階4 解体工事準備期間 原子炉領域周辺設備
等解体撤去 解体機会期間
◆運転終了(H21.1.30) ◆廃止措置計再認可申(H21.61) 廃止指計画変更認可中止 計画変更認可申請は、解体撤去の工程に合わせて段的に行う場合があります。 燃料の搬出・譲渡し修止措置工程放射能レベルの調査・ 検討、系統除染など原子炉領域周辺設備解体地去安全管解体放射性廃棄物理設備の設置 1原子炉領域解体撤去強等解体撤去解体放射性廃棄物の処理処分放射線管理区域外の設備・機器の 解体撤去Fig! Overall decommissioning plan for Hamaoka NPS Unit1 and 2第1集“管理駅蔵界管理区域内(原子がく) 第34:原子間第2段階)唯Fig2 Sequence of Dismantling Area3. 系統除染、解体工事の状況11系統除染 1,2号機では、今後の解体工事に向け、原子炉- 429 .格納容器(以下、「格納容器」)内部の汚染状況調査 を行う必要があり、この調査における被ばく量を低 減するため、格納容器内の比較的放射線量の高い配 管等に付着した放射性物質の除去を、化学除染工法 を採用して行った。化学除染は、他電力および浜岡 原子力発電所で実績のある工法である。 系統除染の概要を Fig3 に示す。除染した系統原子炉格納容器 原子炉圧力容器除染前後のデータ(2号機の例) |除染前 「除染後、前後比率 | (mSv/h) (mSv/h)|原子炉再循環系測定点a0.66 | 0.05 | 1/13 |b|0.320.07 | 1/5測定点b原子炉 冷却材浄化系測定点a余熱除去系Fig3 System Decontamination2)解体工事の状況昨年度は、放射線管理区域外に設置された「格納 容器窒素ガス供給装置」の解体を実施した。この装 置は、原子炉運転中に格納容器内の酸素濃度を制限 値以下に抑えるために設置されていたものである。 解体前後の様子をFig4 に示す。 | 1号機| 2号機 | 「解体前| 解体前」| 解体後| 解体後Fig4 Example of dismantled facilities今年度は、原子炉運転中、発電機に水素を供給し ていた装置、復水に酸素を供給していた装置等のボ ンベ庫の解体を計画している。解体予定のボンベ庫 の一部をFigs に示す。何れも放射線管理区域外に設 置された設備である。|水素ガスボンベ庫|酸素ガスボンベ庫、「炭酸ガスボンベ庫Figs Scheduled dismantlement this year (Gas cylinder warehouse)4. 廃止措置前後の保全計画10保全組織の変更廃止措置計画認可以前、1~5号機の設備の保全 は保修部(原子炉課、タービン課、電気課、計測課 等)で実施していたが、1,2号機の廃止措置移行 に伴い、平成21年7月に組織変更が行われ、3~5 号機の保全は保修部が行い、1,2号機の保全は新 組織である環境保全部 施設管理課が行うこととな り、廃止措置に向けた体制が整った。保修部は、機械設備(ポンプや弁など)である原 子炉設備とタービン設備をそれぞれ原子炉課、ター ビン課が、電気設備(モータ、変圧器等)は電気課、 計測設備(検出器、指示計等)は計測課が保全を行 っている。一方、施設管理課は、機械設備、電気設 備、計測設備を問わず、1,2号機の全ての設備に ついて保全を行っている。Fig6に組織変更前後の業 務分担を示す。 変更前1号機2号機13号機4号機(5号機」 原子炉設備保修部 原子炉課 タービン設備保修部 タービン課 電気設備保修部電気課 計測設備保修部 計測課 ?更後 |1号機2号機3号機4号機5号機 原子炉設備保修部 原子炉課 タービン設備、環境保全部 保修部 タービン課 電気設備 施設管理課 | 保修部電気課 計測設備保修部 計測課Fig6 Maintenance Sections at Hamaoka NPS2)組織変更前の保全計画 - 組織変更前は、保修部各課が所掌する設備に対し て、それぞれに保全計画を定めていた。具体的には、 原子炉課が所掌する設備は各号機毎に原子炉課の保 全計画として定め、同様に、タービン課、電気課、 計測課もそれぞれに保全計画を定めていた。当時の 保全計画の概要を Fig7に示す。430原子炉課、 保全計画タービン課 保全計画電気課 保全計画計測課 保全計画1号原子炉設備1号タービン設備1号電気設備1号計測設備2号原子炉設備2号タービン設備2号電気設備2号計測設備3号原子炉設備3号タービン設備3号電気設備3号計測設備4号原子炉設備4号タービン設備4号電気設備4号計測設備5号原子炉設備15号タービン設備5号電気設備5号計設備Fig7 Maintenance Responsibility before organizational change3)組織変更後の保全計画組織変更前まで保修部各課が担当していた設備の うち1,2号機の保全計画は、施設管理課が定める こととなった。組織変更後の保全計画の概要を Fig8 に示す。施設管理課 保全計画1号原子炉設備1号タービン設備1号電気設備1号計測設備2号原子炉設備2号タービン設備2号電気設備2号計測設備原子控謀 保全計画計課タービン課 保全計画電気 保全計画保是計画3号原子炉設備3号タービン設備3号電気設備3号計測設備4号原子炉設備|4号タービン設備4号電気設備4号計測設備5号原子炉設備| 5号タービン設備5号電気設備5号計調設Fig8 Maintenance Responsibility after organizational change・ 廃止措置計画および保安規定が認可され維持管理 すべき施設・設備が明確になったことで、維持管理 が不要な設備が明確になった。(Fig9参照)維持管理すべき施設・設備 維持管理不要な設備 燃料プール冷却浄化(FPC系)炉心スプレイ系(CS系) 余熱除去系(RHR系)高圧注入系(HPCI系) 非常用ディーゼル発電機 原子炉隔離時冷却系(RCIC系) 系各建屋空調設備ほう酸水注入系(SLC系) 原子炉圧力容器原子炉給水系 燃料交換機復水系 使用済燃料貯蔵プール 主タービン 廃棄物処理設備タービン油系 放射線モニタタービン制御系、 その他その他 Fig9 Facilities whose integrity is required at decommissioning plant この機会に維持管理が不要な設備の殆どは保全の 対象外とした。ただし、ごく一部の系統は、内部に 流体(水、油等)が残存していることから、流体の 抜き取りが終わるまでは一部を保全の対象としてい るが、抜き取り完了後に順次保全の対象外に移行す る。(Fig10参照)原子炉運転中、タービン発電機の軸受等に潤滑油を供給して タービン油系 「いた系統であり、廃止措置段階では不要な系統設備備考従来の 現在の 保全方式 | 保全方式 TBMBDM主油タンク|潤滑油を抜き取るまで事後保全。 「抜き取り後は保全対象外。同上BDM主油タンク | TBM 液位計装 軸受油ポンプ TBM機能不要なため保全対象外TBM : 時間基準保全 BDM : 事後保全Fig 10 Examples of a revision of maintenance method5. 今後の1,2号機の保全計画の見直し 5.1 保全計画の整理 現在の1,2号機の保全計画は、Fig8 に示すとお り施設管理課の保全計画として定められており、そ の構成は、原子炉設備、タービン設備、電気設備、 計測設備といった分冊形式になっていることから、 例えば、燃料プール冷却浄化系(FPC系)の定期 点検を計画する場合、原子炉設備、電気設備、計測 設備それぞれの保全計画を確認しなければならない。 また、保全計画には数千点、数万点におよぶ施設・ 設備が記載されており、維持管理すべき施設・設備 と維持管理不要な施設・設備が混在しているため、 点検対象機器を検索する手間がかかる状態にある。 現状の施設管理課の保全計画のイメージを Figl1 に 示す。原子炉設備。 | タービン設備電気設備計測設備 FPCポンプ原子建屋給気ファン FPCポンプモータ FPC系計装品 FPC熱交換器原子炉建屋排気ファン FPC系弁モーター RHR系計装品 FPCフィルタ脱塩塔 原子炉建屋空調ダンパ 「炉心スプレイ炉心スプレイ系 FPCストレーナ 原子炉建屋空調ダクト ・ポンプモータ計装品 FPC系弁RHRポンプモータ 原子炉給水系計装品 FPC系配管原子炉給水ポンプ RHR系弁モーター 原子炉給水系弁 原子炉原子が建屋空調系 炉心スプレイポンプ 原子が給水系配管給水ポンプモータ| 炉心スプレイ系弁 タービン油ポンプ 原子が給水系井モータ || 補給水系計装品 炉心スプレイ系配管 タービン油系タービン タービン油系配管油ポンプモータ||タービン油系計装品 RHRポンプ RHR熱交換器 補給水ポンプ原子?建民 RHR系弁 補給水系給気ファンモータ) 系統毎ではなく、設備の種類毎に分類されている。補給水ポンプモッ 今後も機能を維持する設備と維持管理対象外の設備が混在Fig11 Current maintenance program for Hamaoka Unit 1 and 2今後、これらを維持管理すべき施設・設備と維持 管理不要な施設・設備を整理し分冊化すること、維 持管理が必要な設備について系統毎に集約する等の 整備が必要である。この整理の概要を Fig12 に示す。HFPC系HRHR系 カー補給水系は原子炉空調系 → FPCポンプ RHRポンプ 補給水ポンプ原子が建屋給気ファン FPC熱交換器 RHR熱交換器 補給水系原子炉建屋排気ファン FPCフィルタ脱塩塔 RHR系弁給水ポンプモータ FPCストレーナ原子建星空調ダンパ RHR系配管 ?給水系官原子炉建屋空調ダクト FPC系有 RHRポンプモータ| 補給水系計装品原子炉建屋 FPC系 RHR系キモータ」給気ファンモータ FPCポンプモーター 「RHR帯装品原子屋 FPC系モーターコンモータ FPC系計装品 機能維持する設備を系統別に整理新品 維持管理対象外の設備は別枠 維持管理対象外) ロレスプレイポンフ「原子が給水ポンプレータービン油ポンプ が心スプレイ系弁 原子炉給水系弁タービン油系弁 炉心スプレイ系配管 原子が給水系配管タービン油系配管 炉心スプレイポンプモータ| 原子炉給水ポンプモータ タービン油ポンプモータ が心スプレイ系計装品 原子炉給水系弁モータ... 1|タービン油系計装品原子の給水系計装品131 -Figl2 MansFig12 Management of maintenance program for Hamaoka Unit 1 and 25.2 保全計画の見直しの必要性 前段までの保全計画の整理は、現行の保全計画を 系統別にソートしたにすぎない。1,2号機は、廃止措置を始めたばかりで解体工 事が本格化していないものの、維持管理すべき施 設・設備が多数ある一方、1,2号の保全を担当す る要員は少人数であることから、現状の体制で設備 ○保全、解体工事等を効率的に実施する必要がある。 5.3 保全計画の見直し 保全作業実施単位の変更 現状の保全作業は、機械設備、電気設備、計測設 青毎に管理を実施しているため、作業実施単位毎に 発注、現場管理等を実施している。また、作業安全保のための隔離措置は作業実施単位で実施する必 要があり、隔離措置内容の検討や隔離措置実施・解の手間が煩雑である。この煩雑さを解消法のひと っとして、保全作業の実施単位を系統別に変更する 方法が考えられる。これは、ある系統の点検を行う 島合に機械、電気、計測それぞれに作業安全措置等 実施しているものを、1件にまとめて作業を実施 一る方法である。こうすることで発注や隔離措置を 一つにすることができ効率化が図られる。 の点検頻度等の見直し 現在の保全計画は、機械設備、電気設備、計測設 青を横断的に見たものでないため、各機器の点検頻 度等がまちまちである。しかし、例えば以下の様な 見点で点検実績データ等を評価し、過剰な保全を解 当することで保全の効率化が可能である。 ○ 部品の劣化具合絶縁特性の劣化具合 3 計器ドリフト具合 これらの視点で検討し得られた結果から Fig13 に 汚すような保全の効率化が期待できる。・PC系統概略図機器名現周期変更 本格イメージ (高崎)スキマサージタンク[FPCポンプ6年使用済燃料貯蔵ブール「モタ点検周期 をポンプ点 期に合わせるこ とで、直FPCポンプストレード] ストレーナ(日]ポンプ出口圧力スイッチ)5点検期の延長PCポンプ(A) | FPCポンプ(B)熱交換器、10年 10年 2年 13年 10年 10年|点検用の(フィルタ・塩F/D(A) TF/DB) 10 [流量調整系へ流量調整系(B)ストレーナ点検 |周期をTED点検 周期と合わせる ことで、点検効率ストレーナ5年FPCMARIA)FPC熱交(B)Fig13 Example of a revision of maintenance frequency- 432 - . むすびに 廃止措置を実施しているプラントは国内外にいく っかあるが、運転号機を同一敷地内に有した沸騰水 原子炉の2基同時の廃止措置は世界初のことであ - と共に、1,2号機の廃止措置は始まったばかり ・あり課題は山積であるが、地元の方々のご理解と 協力をいただきつつ、今後も原子力安全を最優先 一、適切な保全を実施しつつ効率化に努め、廃止措 を着実に実施していく。“ “?浜岡原子力発電所1、2号機 廃止措置計画認可後の保全について廃止措置計画認可後の保全について“ “湖口 正裕,Masahiro KOGUCHI,中村 雅昭,Masaaki NAKAMURA,清水 義昭,Yoshiaki SHIMIZU,山本 千秋,Chiaki YAMAMOTO
中部電力株浜岡原子力発電所1,2号機(以下、 「1,2号機」)は、平成 21年1月30日に運転を終 了し、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に 関する法律(「以下、炉規制法」)第 43 条の 3 の 2 第2項の定めに従い、平成 21年6月1日、経済産業 大臣に廃止措置計画の認可申請を行い、平成 21 年 11月 18 日に認可を受けた。また、同日、炉規制法 第 37 条第1項の定めに従い原子炉施設保安規定(以 下、「保安規定」)の認可も受け、3~5号機の保安 規定が第1編、1,2号機の保安規定が第2編とな った。現在、1,2号機の現場では、汚染状況調査のた めの系統除染や放射線管理区域外に設置された設備 の解体工事を実施する一方、今後も維持する設備の 機能を確保するための点検を実施している。本報告は、1,2号機廃止措置の全体工程、系統 除染と放射線管理区域外設備撤去工事の状況、廃止 措置計画認可前後における保全計画の見直しについ て述べたものである。 2. 廃止措置の全体工程 1,2号機の廃止措置の全体工程を Figl に、解体 2. 廃止措置の全体工程1,2号機の廃止措置の全体工程を Figl に、解体 順の概要をFig2 に示す。 現在は、廃止措置第1段階の解体工事準備期間に あり、1,2号機の建屋内からの使用済燃料等の搬 出、汚染状況調査のための系統除染、汚染状況の調 連絡先:湖口正裕,〒437-1695 静岡県御前崎市 佐倉 5561, 中部電力(株) 浜岡原子力発電所 環 境保全部施設管理課, 電話:0537-85-2393, E-mail: Koguchi.Masahiro@chuden.co.jp平成20年度~平成25年度~) 平成30年度~平成35年度~平成40年度~ 平成45年度~ 第1段階4 解体工事準備期間 原子炉領域周辺設備
等解体撤去 解体機会期間
◆運転終了(H21.1.30) ◆廃止措置計再認可申(H21.61) 廃止指計画変更認可中止 計画変更認可申請は、解体撤去の工程に合わせて段的に行う場合があります。 燃料の搬出・譲渡し修止措置工程放射能レベルの調査・ 検討、系統除染など原子炉領域周辺設備解体地去安全管解体放射性廃棄物理設備の設置 1原子炉領域解体撤去強等解体撤去解体放射性廃棄物の処理処分放射線管理区域外の設備・機器の 解体撤去Fig! Overall decommissioning plan for Hamaoka NPS Unit1 and 2第1集“管理駅蔵界管理区域内(原子がく) 第34:原子間第2段階)唯Fig2 Sequence of Dismantling Area3. 系統除染、解体工事の状況11系統除染 1,2号機では、今後の解体工事に向け、原子炉- 429 .格納容器(以下、「格納容器」)内部の汚染状況調査 を行う必要があり、この調査における被ばく量を低 減するため、格納容器内の比較的放射線量の高い配 管等に付着した放射性物質の除去を、化学除染工法 を採用して行った。化学除染は、他電力および浜岡 原子力発電所で実績のある工法である。 系統除染の概要を Fig3 に示す。除染した系統原子炉格納容器 原子炉圧力容器除染前後のデータ(2号機の例) |除染前 「除染後、前後比率 | (mSv/h) (mSv/h)|原子炉再循環系測定点a0.66 | 0.05 | 1/13 |b|0.320.07 | 1/5測定点b原子炉 冷却材浄化系測定点a余熱除去系Fig3 System Decontamination2)解体工事の状況昨年度は、放射線管理区域外に設置された「格納 容器窒素ガス供給装置」の解体を実施した。この装 置は、原子炉運転中に格納容器内の酸素濃度を制限 値以下に抑えるために設置されていたものである。 解体前後の様子をFig4 に示す。 | 1号機| 2号機 | 「解体前| 解体前」| 解体後| 解体後Fig4 Example of dismantled facilities今年度は、原子炉運転中、発電機に水素を供給し ていた装置、復水に酸素を供給していた装置等のボ ンベ庫の解体を計画している。解体予定のボンベ庫 の一部をFigs に示す。何れも放射線管理区域外に設 置された設備である。|水素ガスボンベ庫|酸素ガスボンベ庫、「炭酸ガスボンベ庫Figs Scheduled dismantlement this year (Gas cylinder warehouse)4. 廃止措置前後の保全計画10保全組織の変更廃止措置計画認可以前、1~5号機の設備の保全 は保修部(原子炉課、タービン課、電気課、計測課 等)で実施していたが、1,2号機の廃止措置移行 に伴い、平成21年7月に組織変更が行われ、3~5 号機の保全は保修部が行い、1,2号機の保全は新 組織である環境保全部 施設管理課が行うこととな り、廃止措置に向けた体制が整った。保修部は、機械設備(ポンプや弁など)である原 子炉設備とタービン設備をそれぞれ原子炉課、ター ビン課が、電気設備(モータ、変圧器等)は電気課、 計測設備(検出器、指示計等)は計測課が保全を行 っている。一方、施設管理課は、機械設備、電気設 備、計測設備を問わず、1,2号機の全ての設備に ついて保全を行っている。Fig6に組織変更前後の業 務分担を示す。 変更前1号機2号機13号機4号機(5号機」 原子炉設備保修部 原子炉課 タービン設備保修部 タービン課 電気設備保修部電気課 計測設備保修部 計測課 ?更後 |1号機2号機3号機4号機5号機 原子炉設備保修部 原子炉課 タービン設備、環境保全部 保修部 タービン課 電気設備 施設管理課 | 保修部電気課 計測設備保修部 計測課Fig6 Maintenance Sections at Hamaoka NPS2)組織変更前の保全計画 - 組織変更前は、保修部各課が所掌する設備に対し て、それぞれに保全計画を定めていた。具体的には、 原子炉課が所掌する設備は各号機毎に原子炉課の保 全計画として定め、同様に、タービン課、電気課、 計測課もそれぞれに保全計画を定めていた。当時の 保全計画の概要を Fig7に示す。430原子炉課、 保全計画タービン課 保全計画電気課 保全計画計測課 保全計画1号原子炉設備1号タービン設備1号電気設備1号計測設備2号原子炉設備2号タービン設備2号電気設備2号計測設備3号原子炉設備3号タービン設備3号電気設備3号計測設備4号原子炉設備4号タービン設備4号電気設備4号計測設備5号原子炉設備15号タービン設備5号電気設備5号計設備Fig7 Maintenance Responsibility before organizational change3)組織変更後の保全計画組織変更前まで保修部各課が担当していた設備の うち1,2号機の保全計画は、施設管理課が定める こととなった。組織変更後の保全計画の概要を Fig8 に示す。施設管理課 保全計画1号原子炉設備1号タービン設備1号電気設備1号計測設備2号原子炉設備2号タービン設備2号電気設備2号計測設備原子控謀 保全計画計課タービン課 保全計画電気 保全計画保是計画3号原子炉設備3号タービン設備3号電気設備3号計測設備4号原子炉設備|4号タービン設備4号電気設備4号計測設備5号原子炉設備| 5号タービン設備5号電気設備5号計調設Fig8 Maintenance Responsibility after organizational change・ 廃止措置計画および保安規定が認可され維持管理 すべき施設・設備が明確になったことで、維持管理 が不要な設備が明確になった。(Fig9参照)維持管理すべき施設・設備 維持管理不要な設備 燃料プール冷却浄化(FPC系)炉心スプレイ系(CS系) 余熱除去系(RHR系)高圧注入系(HPCI系) 非常用ディーゼル発電機 原子炉隔離時冷却系(RCIC系) 系各建屋空調設備ほう酸水注入系(SLC系) 原子炉圧力容器原子炉給水系 燃料交換機復水系 使用済燃料貯蔵プール 主タービン 廃棄物処理設備タービン油系 放射線モニタタービン制御系、 その他その他 Fig9 Facilities whose integrity is required at decommissioning plant この機会に維持管理が不要な設備の殆どは保全の 対象外とした。ただし、ごく一部の系統は、内部に 流体(水、油等)が残存していることから、流体の 抜き取りが終わるまでは一部を保全の対象としてい るが、抜き取り完了後に順次保全の対象外に移行す る。(Fig10参照)原子炉運転中、タービン発電機の軸受等に潤滑油を供給して タービン油系 「いた系統であり、廃止措置段階では不要な系統設備備考従来の 現在の 保全方式 | 保全方式 TBMBDM主油タンク|潤滑油を抜き取るまで事後保全。 「抜き取り後は保全対象外。同上BDM主油タンク | TBM 液位計装 軸受油ポンプ TBM機能不要なため保全対象外TBM : 時間基準保全 BDM : 事後保全Fig 10 Examples of a revision of maintenance method5. 今後の1,2号機の保全計画の見直し 5.1 保全計画の整理 現在の1,2号機の保全計画は、Fig8 に示すとお り施設管理課の保全計画として定められており、そ の構成は、原子炉設備、タービン設備、電気設備、 計測設備といった分冊形式になっていることから、 例えば、燃料プール冷却浄化系(FPC系)の定期 点検を計画する場合、原子炉設備、電気設備、計測 設備それぞれの保全計画を確認しなければならない。 また、保全計画には数千点、数万点におよぶ施設・ 設備が記載されており、維持管理すべき施設・設備 と維持管理不要な施設・設備が混在しているため、 点検対象機器を検索する手間がかかる状態にある。 現状の施設管理課の保全計画のイメージを Figl1 に 示す。原子炉設備。 | タービン設備電気設備計測設備 FPCポンプ原子建屋給気ファン FPCポンプモータ FPC系計装品 FPC熱交換器原子炉建屋排気ファン FPC系弁モーター RHR系計装品 FPCフィルタ脱塩塔 原子炉建屋空調ダンパ 「炉心スプレイ炉心スプレイ系 FPCストレーナ 原子炉建屋空調ダクト ・ポンプモータ計装品 FPC系弁RHRポンプモータ 原子炉給水系計装品 FPC系配管原子炉給水ポンプ RHR系弁モーター 原子炉給水系弁 原子炉原子が建屋空調系 炉心スプレイポンプ 原子が給水系配管給水ポンプモータ| 炉心スプレイ系弁 タービン油ポンプ 原子が給水系井モータ || 補給水系計装品 炉心スプレイ系配管 タービン油系タービン タービン油系配管油ポンプモータ||タービン油系計装品 RHRポンプ RHR熱交換器 補給水ポンプ原子?建民 RHR系弁 補給水系給気ファンモータ) 系統毎ではなく、設備の種類毎に分類されている。補給水ポンプモッ 今後も機能を維持する設備と維持管理対象外の設備が混在Fig11 Current maintenance program for Hamaoka Unit 1 and 2今後、これらを維持管理すべき施設・設備と維持 管理不要な施設・設備を整理し分冊化すること、維 持管理が必要な設備について系統毎に集約する等の 整備が必要である。この整理の概要を Fig12 に示す。HFPC系HRHR系 カー補給水系は原子炉空調系 → FPCポンプ RHRポンプ 補給水ポンプ原子が建屋給気ファン FPC熱交換器 RHR熱交換器 補給水系原子炉建屋排気ファン FPCフィルタ脱塩塔 RHR系弁給水ポンプモータ FPCストレーナ原子建星空調ダンパ RHR系配管 ?給水系官原子炉建屋空調ダクト FPC系有 RHRポンプモータ| 補給水系計装品原子炉建屋 FPC系 RHR系キモータ」給気ファンモータ FPCポンプモーター 「RHR帯装品原子屋 FPC系モーターコンモータ FPC系計装品 機能維持する設備を系統別に整理新品 維持管理対象外の設備は別枠 維持管理対象外) ロレスプレイポンフ「原子が給水ポンプレータービン油ポンプ が心スプレイ系弁 原子炉給水系弁タービン油系弁 炉心スプレイ系配管 原子が給水系配管タービン油系配管 炉心スプレイポンプモータ| 原子炉給水ポンプモータ タービン油ポンプモータ が心スプレイ系計装品 原子炉給水系弁モータ... 1|タービン油系計装品原子の給水系計装品131 -Figl2 MansFig12 Management of maintenance program for Hamaoka Unit 1 and 25.2 保全計画の見直しの必要性 前段までの保全計画の整理は、現行の保全計画を 系統別にソートしたにすぎない。1,2号機は、廃止措置を始めたばかりで解体工 事が本格化していないものの、維持管理すべき施 設・設備が多数ある一方、1,2号の保全を担当す る要員は少人数であることから、現状の体制で設備 ○保全、解体工事等を効率的に実施する必要がある。 5.3 保全計画の見直し 保全作業実施単位の変更 現状の保全作業は、機械設備、電気設備、計測設 青毎に管理を実施しているため、作業実施単位毎に 発注、現場管理等を実施している。また、作業安全保のための隔離措置は作業実施単位で実施する必 要があり、隔離措置内容の検討や隔離措置実施・解の手間が煩雑である。この煩雑さを解消法のひと っとして、保全作業の実施単位を系統別に変更する 方法が考えられる。これは、ある系統の点検を行う 島合に機械、電気、計測それぞれに作業安全措置等 実施しているものを、1件にまとめて作業を実施 一る方法である。こうすることで発注や隔離措置を 一つにすることができ効率化が図られる。 の点検頻度等の見直し 現在の保全計画は、機械設備、電気設備、計測設 青を横断的に見たものでないため、各機器の点検頻 度等がまちまちである。しかし、例えば以下の様な 見点で点検実績データ等を評価し、過剰な保全を解 当することで保全の効率化が可能である。 ○ 部品の劣化具合絶縁特性の劣化具合 3 計器ドリフト具合 これらの視点で検討し得られた結果から Fig13 に 汚すような保全の効率化が期待できる。・PC系統概略図機器名現周期変更 本格イメージ (高崎)スキマサージタンク[FPCポンプ6年使用済燃料貯蔵ブール「モタ点検周期 をポンプ点 期に合わせるこ とで、直FPCポンプストレード] ストレーナ(日]ポンプ出口圧力スイッチ)5点検期の延長PCポンプ(A) | FPCポンプ(B)熱交換器、10年 10年 2年 13年 10年 10年|点検用の(フィルタ・塩F/D(A) TF/DB) 10 [流量調整系へ流量調整系(B)ストレーナ点検 |周期をTED点検 周期と合わせる ことで、点検効率ストレーナ5年FPCMARIA)FPC熱交(B)Fig13 Example of a revision of maintenance frequency- 432 - . むすびに 廃止措置を実施しているプラントは国内外にいく っかあるが、運転号機を同一敷地内に有した沸騰水 原子炉の2基同時の廃止措置は世界初のことであ - と共に、1,2号機の廃止措置は始まったばかり ・あり課題は山積であるが、地元の方々のご理解と 協力をいただきつつ、今後も原子力安全を最優先 一、適切な保全を実施しつつ効率化に努め、廃止措 を着実に実施していく。“ “?浜岡原子力発電所1、2号機 廃止措置計画認可後の保全について廃止措置計画認可後の保全について“ “湖口 正裕,Masahiro KOGUCHI,中村 雅昭,Masaaki NAKAMURA,清水 義昭,Yoshiaki SHIMIZU,山本 千秋,Chiaki YAMAMOTO