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ILSVRC2012におけるディープラーニング(深層学習) [1]の有効性が画像認識において示されその可能性に多くの人々が期待する状況になって久しい。しかし、計算力学や CAEといった分野こそ、ディープラーニングとの親和性が高いと期待するもののその応用方法・利用方法については先行研究事例が少ない。一方で、もともと多くのデータを必要とする分野(材料設計、流体工学等)においては特徴量を抽出する多次元非線形マッピングの技術としてディープラーニングの利用例が複数報告されている [2]。本稿ではサロゲートモデル(代替モデル)への期待と現状、そして最も重要な予測の質を高めるための重要な視点を示す。具体例として、重合メッシュ法によるき裂進展データを大量に生成し、何をどのように学習するのがサロゲートモデルの構築に有効なのかを裂進展挙動の予測を通して考察する。...
特集記事
特集記事「AIと保全」(3) 予兆監視システム(SIAT)とIBM Watson Explorerの連携によるプラント監視技術の高度化
著者:
林 司,Tsukasa HAYASHI
発刊日:
公開日:
当社は、発電プラント(島根 2号機)が蓄積している膨大なプラントデータいわゆるビッグデータに着目し、日本電気株式会社(NEC)と共同で、このプラントデータを活用して、設備の異常を可能な限り早い段階で、かつ正確に検知する人工知能( AI)を開発してきた。この AIはネットワーク障害対応用エンジン( SIAT(System Invariant Analysis Technology))をプラント監視に応用した異常を早期に検知する予兆監視システムである。2013年には、プロトタイプのシステムによりこれまで蓄積してきた島根 2号機の運転データを用い種々の機能確認を行い、システムの有効性を確認し上で 2014年に島根 2号機に導入、同年運用を開始した。 2015年には 3号機に導入した。図 1に SIATのプラント常時監視画面を示す。図 1に表示されているのは、プラントの主要な系統である。表示の緑は系統が正常に運転中であることを示している。系統内の相関するセンサーデータがいつもと異なる動きをした場合、その相関の崩れの状態により系統表示は、緑(正常)から、黄(注意)、そして赤(異常)に変化し、警報を発報する。...
特集記事
特集記事「AIと保全」(4) 米国の CAP活動と AIの活用
著者:
渡邉 邦道,Kunimichi WATANABE
発刊日:
公開日:
原子力発電所・原子燃料加工施設など国の規制を受ける原子力施設に対する検査制度は、福島第一原子力発電所の事故の反省から、 2020年 4月より大幅に変更されることが決定している。米国の ROP(Reactor Oversight Process)制度を参考とした変更であり、これは以下のような大幅な変更になると言われている。即ち従来は、規制側は「事業者の細部にわたる活動に介入し」、事業者は「規制対応で手一杯」という改善の進まない負のスパイラルの世界からパラダイムシフトして、 ROP適用後には、規制側は「安全にフォーカスして、問題が安全上重要でなく、事業者の強い自己評価と CAPが機能している場合には直接的な介入を保留してオーバーサイトする」もので、これに対して事業者は「自ら問題を見出して、解決することで、自主規制する」という新たな世界を志向していると言われている。この新たな ROPの世界では、是正措置活動(CAP)が重要な役割を果たすという位置づけになっており、本稿では、米国におけるこの CAPシステムの取り組みと、 CAPシステムにおける AIの活用についての調査結果を紹介するものである。なお、調査結果は、米国...
特集記事
特集記事「AIと保全」(5) 原子力プラントにおけるサイバーフィジカルシステム実現の取組
著者:
古川 智昭,Tomoaki FURUKAWA
発刊日:
公開日:
東芝は 2018年 11月に 2019~ 23年度事業計画「東芝 NEXTプラン」を発表した。この中で、 CPS企業を目指し、サイバー技術とフィジカル技術の融合で社会課題の解決に貢献するとの経営方針を示した。この方針を受けた原子力事業領域での CPSの取組について紹介する。...
特集記事
特集記事「AIと保全」(6) 動画によるインフラ構造物点検・診断技術
著者:
高田 巡,Jun TAKADA
発刊日:
公開日:
画像センサデバイスの高速化・高解像度化によって、人間の視覚を超えた時間・空間分解能での光学観測も容易になり、計測分野での活用可能性が拡大している。従来、画像センサは陰影・色・形状等の計測に用いられてきたが、近年では高速・高解像度の撮像を利用することで、動画から物体の表面振動を計測する事例も報告されている [1][2]。本稿では画像センシング技術の時間・空間分解能がインフラ構造物、特に道路橋の力学的挙動を遠方計測可能なレンジに到達しつつあることを示した上で、構造体表面の挙動観測に基づいて劣化損傷状態を推定する試みを紹介する。...
特集記事
特集記事「AIと保全」(7) 予知保全・故障予測~ AIの実践的活用例~
著者:
井上 道雄,Michio INOUE
発刊日:
公開日:
近年、製造業をはじめとする様々な現場において「予知保全(Predictive Maintenance)」の取り組みが注目を浴びている。予知保全とは、機器に取り付けられた各種センサーから得られる情報から、機器の故障時期を予測し適切なタイミングでのメンテナンス実施を目指すものである。余計なメンテナンス作業を避けることによるコストの削減だけでなく、予期しない故障を減らすことによる稼働率や安全性の向上も期待されている。稼働率ダウンが致命的になる発電設備や、安全性を追求する航空機業界では早い段階から取り組みが進んでいた。ここ数年は Internet of Things (IoT) 関連技術の飛躍的な発展も手伝いその適応範囲は広がりを見せ、工作機械や生産設備なども含め、様々なところで予知保全が実現されつつある [1]。多くのプラントで老朽化が進むほか、保守・安全管理の実務を担ってきた多くのベテラン技術者が引退の時期を迎えつつある。技術者の勘・コツ・経験を AIで補完する観点からも、今後予知保全のニーズは更に高まることが予想される。...
特集記事
特集記事「AIと保全」(1) AIと保全の特集にあたって
著者:
出町 和之,Kazuyuki DEMACHI
発刊日:
公開日:
近年の計算機性能の向上に伴い、人工知能( Artificial Intelligence: AI)が目覚ましく進歩している。人工知能の分野の1つに機械学習 (Machine Learning)があり、さらに機械学習のなかの1つの分野が、深層学習 (Deep Learning)である。これら3つの関係を図示すると下のようになる。 このなかでも深層学習は、人間が自然に行っている学習能力と同様の機能をコンピュータで実現できるまで至っており、画像認識、音声認識、自然言語処理、リスク予測などの分野で大成功を収めつつある。 身近な例では、自動運転技術、画像認識技術や音声認識技術、自動音声応答技術など、さまざまな AI技術がすでに我々の身近に実用化されている。さらに原子力規制委員会は、ホームページ公開用の電力会社と職員との 「ヒアリング」の文字起こしに、この4月より音声自動認識 AIを活用し始めた。このように他産業における AI導入例は言わずもがな、規制にさえも遅れをとっている我が国の原子力産業はいつのまにか保守的な思考の虜になり、新技術導入に慎重になりすぎている可能性がある。さらには、どこにどのように AIを導入すれ...