伊方3号機に係る愛媛県の対応について

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カテゴリ: 解説記事
1. はじめに 平成 23 年 3 月 11 日に発生した東北地方太平洋沖地震 は、東京電力福島第一原発において、深刻な原子力災害 を引き起こした。 愛媛県では、事故直後から四国電力に対し国の要求以 上のアディショナルな安全対策を求めている。 国では、事故を教訓とした新規制基準を策定し、平成 25 年 7 月 8 日には四国電力は原子力規制委員会に対し、 原子炉設置変更許可申請を提出するとともに、当県に対 し安全協定に基づき再起動に係る事前協議を提出してい る。 当県としては、平成 27 年 10 月 26 日にこの事前協議 を了解した。事前協議の了解の判断に当たり、県がどの ようなステップを踏み、何がポイントになったかという ことについて、要点を整理した。 2. 主な経緯 以下に知事が事前協議に対し了解するまでの主な経緯 を記述する。 H27.9.1 県伊方原子力発電所環境安全管理委員会が原子力規制 委員会の審査を妥当とする報告書を知事に提出 H27. 9.11 国から8項目の要請に対する回答 H27.10. 6 知事が政府の原子力防災会議に出席 内閣総理大臣が、伊方原発において万が一の事故が発 生した場合に、国が責任を持って対応することを明言 H27.10.9 県議会が伊方3号機の再稼働を認める決議を可決 H27.10.15 知事と経済産業大臣との面談(10月6日内閣改造) H27.10.21 経済産業大臣による伊方原発の現地視察 H27.10.26 知事が四国電力に対し、伊方3号機の再起動に係る事前 協議に対する了解 3. 再稼働判断の3条件 知事は、3.11 福島第一原発事故直後から将来伊方原発 の再稼働の話が浮上したときには、エネルギー政策をつ かさどる『国の考え方』はいかなるものか、事業者たる『四 国電力の取組み姿勢』がいかなるものか、これらを受け て県民の皆さんが議論し、その意見がいかなるものなの か(『地元の理解』)、この3つを柱とし、これらを咀嚼 して最終判断するとしていた。 年月日 内 容 H23.3.11 東北地方太平洋沖地震、東京電力福島第一原子力発電 所事故 次章以降において、それぞれの条件の確認状況につい て記述する。 H25.7.8 新規制基準施行 四国電力が原子力規制委員会に伊方3号機の原子炉設 置変更許可申請 4. 国の考え方 四国電力から県に対し安全協定に基づく事前協議 原子力規制委員会による審査 4.1 伊方3号機の安全性の確認 (審査会合74回、現地調査3回、ヒアリング約400回) 当県では、原子力規制委員会による新規制基準適合性 H27. 7.15 原子力規制委員会が伊方3号機の原子炉設置変更許可 審査による審査と並行して、国任せにすることなく、伊 H27. 7.17 伊方3号機の再稼働を進めることについて、経済産業大 方原子力発電所の安全対策について検討・評価する機関 臣から知事に協力要請 として学識経験者により構成する伊方原子力発電所環境 H27. 7.21 知事と経済産業大臣との面談 安全管理委員会の下部に設置した原子力安全専門部会 県から国に対して8項目の要請 (以下、「専門部会」という。)において、新規制基準で 解説記事 保全学 Vol.15-3 (2016) 強化・追加された部分(耐震・耐津波性能、シビアアク シデント対策等)や伊方原子力発電所の立地条件など伊 方地域の特性を考慮すべき部分を中心に審議している。 (図 1) 専門部会は、四国電力が新規制基準に基づく原子炉設 置変更許可申請をした平成 25 年 7 月以降、15 回の部会 開催、3回の現地調査により審議している。 なお、専門部会は、会議自体、資料・議事録とも全て公 開している *1。 更なる安全性向上の自主的な取組みを進めていくため に、原子力規制委員会としてはどのようなことを行う のか 更に、専門部会における審議の過程で、新規制基準へ の適合性確認の状況のみならず、原子力規制委員会が科 学的・技術的な審査を行う際に基本となると考えられる 安全目標について、どのような考え方に基づき検討が行 われ、策定されるに至ったのかを確認することが、県民 解説記事「伊方3号機に係る愛媛県の対応について」 への説明性を確保する上でも重要との認識のもと、安全 目標の設定経緯や新規制基準との関係等についても確認 した。 ○安全目標について ? 安全目標に、福島第一原発事故により多数の避難者を 発生させたこと等が考慮されるべきか否か議論がなさ れたか ? 安全目標の位置づけ、今後の見直しの方向性・スケ ジュール ? 安全審査の判断基準に、明示的に安全目標という形で は取り入れられていない背景・理由 ○新規制基準等について 図1 伊方原子力発電所環境安全管理委員会組織図 ? 安全審査の判断基準を策定する際、「安全性」という ものをどう定義したか ? リスクコミュニケーションについて今後どのような方 策をとるのか ? 新規制基準を「世界で最も厳しい水準」と表現してい るが、その根拠は何か (2) 安全目標に係る専門部会の見解 上述した安全目標の位置づけや安全審査との判断記述 との関係については、専門部会において議論となったの で、取り上げて記述する。 a. 安全目標についての原子力規制委員会の回答 ? 原子力規制委員会は独立した立場で科学的・技術的見 地から原子力発電所の規制に必要な基準を設定するこ とが役割との認識のもと、安全目標は、原子力施設の 規制を進めていく上で達成を目指す目標として、原子 力規制委員会として定めたもの ? 福島第一原発事故のような事故を二度と発生させない よう、「万一の事故の場合でも環境への影響をできる だけ小さくとどめるためにセシウム 137 の放出量が 100 テラベクレルを超えるような事故の発生頻度は、 100 万炉年に1回程度を越えないように抑制されるべ き」という目標を設定 (1) 国 (原子力規制委員会) に確認すべき事項 専門部会の審議では、原子力規制委員会の審査におい て、伊方原子力発電所の地域性をいかに考慮したもので あるか、福島第一原発事故を踏まえ最新の知見を取り入 れたものであるか審査終了後に確認することが必要であ ると考え、下記項目について、原子力規制委員会に確認 した。 ○地域性を考慮した適合状況について 他サイトと異なる伊方特有の自然環境、地形、発電所 内の構造等の地域性についてはどのような点を考慮し たか ○最新の知見に基づく審査の状況について 最新知見をどのような方法で把握し審査に反映した か、今後、基準に反映すべきと判断した知見はどのよ うに事業者に対応させるか ○不確かさの考慮とその妥当性について 適合性を判断するに当たり、どこまで「不確かさ」を 考慮していれば問題ないと考えているのか ○人的要因考慮の状況について 運転のための技術的能力として確認した項目につい て、その内容が履行されているか否かどのように確認 するのか ○その他 保全学 Vol.15-3 (2016) ? 継続的な安全性向上を目指す原子力規制委員会とし て、引き続き検討を進めていく予定 ? 原子力規制委員会の役割から 、 社会的受容性やコスト とのトレードオフとの観点から安全目標を設定したも のではない b. 原子力規制委員会の回答に対する専門部会の見解 ? 国が安全目標を設定するに当たり、福島第一原発の事 故を踏まえて、国民が必要とする十分な安全性に関す る社会的合意を得られてはいないと理解 ? 安全文化醸成を始めとした安全性向上に資する取組み の促進を図ることが必要 ? 科学技術を社会的に利用する上では、そのリスクに関 して透明性をもって説明し、一般の方々がよく理解し た上で、社会的合意が図られるようリスクコミュニ ケーションを今後とも推進することが重要 (3) 専門部会の審議結果 専門部会では、約2年に及ぶ審議の結果を報告書とし てとりまとめ、伊方原子力発電所環境安全管理委員会で 審議・了承の後、専門部会部会長から知事に審議結果を 報告した *2,3。 以下に報告書のまとめ部分を記述する。報告書は県の ホームページに掲載しているので、必要に応じ参照いた だきたい。 ○伊方3号機について、運転に当たり求めてきたレベル の安全性が確保されていることを確認したとする原 子力規制委員会の新規制基準適合性審査の結果は妥 当なものであると判断する ○四国電力においては自主的な対応も含め、積極的に安 全対策の更なる向上に取り組み、伊方原子力発電所の 安全確保に万全を期されること、原子力規制委員会に おいては今後の各段階における適切な審査、検査等を 適確に進めるとともに、原子力安全対策の不断の向上 に取り組まれることを強く求めるものである ○規制当局、事業者双方において、安全性を高める努力 が常になされる仕組みが重要であることから、安全目 標の継続的な検討を含め、安全文化醸成を始めとした 安全性向上に資する取組みの促進を図ることが必要 であると考える ○科学技術を社会的に利用する上で重要なリスクコ ミュニケーションについても、原子力規制委員会のみ ならず国として取組みを進める必要があることを付 言する ○専門部会は伊方原子力発電所の安全対策について確 認することがその役割と認識するが、これまで十分に 時間をかけ議論してきた中で、これらの安全文化の醸 成やリスクコミュニケーションといった取組は直接 的に伊方原子力発電所の安全対策に関わるものでは ないものの、今後とも推進することが重要と考える。 県においては、国において社会的合意を得るためのこ うした取組みが進められるよう求めていくことを望 むものである 4.2 伊方3号機の再稼働を進める国の方針 伊方3号機の原子炉設置変更許可がなされた2日後の 平成 27 年7月 17 日、知事あての経済産業大臣名の文書 *4 により、伊方3号機の再稼働を進める政府の方針が示 された。 (1) 政府の方針文書 以下に政府の方針文書の主な項目を示す。 ○原子力については、エネルギー基本計画において安 全性の確保を大前提に、重要なベースロード電源で あると位置付け、原子力規制委員会により世界で最 も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場 合には、原子力発電所の再稼働を進める方針である ○伊方3号機は、原子炉設置変更許可が行われ、再稼 働に求められる安全性が確保されることが確認され たことから、政府として、エネルギー基本計画に基 づき、伊方3号機の再稼働を進める ○政府として、立地自治体等関係者の理解と協力を得 るよう国が前面に立って取り組むこととし、新規制 基準への適合審査の結果や、エネルギー政策・原子 力政策の内容、原子力災害対策の内容などを丁寧に 説明していく ○避難計画を含む地域防災計画について、政府として、 計画の更なる充実のための支援やその内容の確認を 行うとともに、計画の改善強化に継続して取り組ん でいく ○万が一事故が起きた場合には、政府は、関係法令に 基づき、責任を持って対処する ○愛媛県がこれまで四国電力に求めてきた、さらなる 揺れ対策や電源対策、戸別訪問による地元住民への 真摯な説明、全てのトラブルを通報連絡する「えひ め方式」の徹底といった独自の追加安全対策につい ては、「全国的にも特筆すべき取組」として高く評価 する (2) 県から国に対する8項目の要請 前述した政府の方針文書を受け、国の考え方をより明 確にするために、知事は経済産業大臣と面談し、以下の 事項について改めて要望し回答を求めている *5。 ○大洲・八幡浜道路の整備促進 ○大分県への避難訓練に対する協力(佐田岬半島部住 民が大分県の受入施設まで実際に避難する訓練に 国 の全面的なバックアップを要請) ○四国電力に要請した伊方原子力発電所の緊急時の作 業スペース確保への協力 ○使用済燃料の中間貯蔵への取組み ○使用済燃料の最終処分への取組み(原子力利用に必 須の使用済燃料対策の具体的推進) ○伊方原子力発電所における廃炉技術の研究(国内で 廃炉実績のない加圧水型原子炉に広く適用できる廃 炉研究を、伊方原子力発電所で展開) ○経済産業大臣の現地視察(伊方原子力発電所の現場 視察、伊方町長との面談) ○内閣総理大臣の発言(原子力利用に関して最終的な 責任を持つ総理の言葉を、県民を代表して直接お聞 きする) 一部の項目についてはすぐに解決できる課題ではない が、その方向性という点では、県の考えを受け止めた回 答があり、全ての項目について満たされたと判断した *6。 5.四国電力の取組み姿勢 伊方原子力発電所の敷地特性を踏まえた地域の視点で の追加対策が重要との考えのもと、福島第一原発事故発 生直後から4年半の間、県は四国電力に対し追加安全対 策を独自に要請している。 ○原子力本部の松山市への移転 → H 23.6 移転、原子力本部長が常駐 ○国の基準を上回る電源対策 →H 24.3 完了(亀浦変電所からの配電線ルートを新設) ○国の基準を上回る更なる揺れ対策 → 概ね 1000 ガル以上の耐震性確保の対策の実施 ○「えひめ方式」による異常通報連絡の更なる徹底 →正常状態以外のすべての事態が発生したときは県に速 やかに報告し、県が公表(H25.6 再徹底を要請し、以 降適切に履行) ○地元住民に対する真摯な説明 →伊方原子力発電所から 20 キロ圏内約 28,000 戸の戸別 訪問等実施 ○伊方1号機原子炉容器の劣化の確認試験の前倒し →H 23.10 に試験片取出、H 25.7 に問題なしとの結果報 告済 ○県内全市町への伊方原子力発電所異常時通報連絡情報 の提供 →H 23.11 から運用開始 ○緊急時の作業スペースの確保 → H 27.10、構内に約 7000 m2の整備計画を報告 こうした取組みについては、経済産業大臣からも「全 国的にも特筆すべき数々の取組み」として、高く評価さ れている。なお、知事自身が平成 27 年 10 月2日に伊方 原子力発電所の現地視察も行い、新規制基準への対応も 含め、対応状況を確認している。 県としては、今後とも、四国電力に対し、県民の安全 ・ 安心の向上に向けて、伊方原子力発電所の安全対策に 不断に取り組んでいくよう求めていく。 次項以降において、県が要請した項目のうち、特徴的 なものについて記述する。 福島第一原発事故は、電源を喪失したことが一因であ り、事故直後、国は電源車の配備などの緊急安全対策、 外部電源の信頼性向上対策を要求している。これらの対 ではなく、電源の確保というのが生命線であるとの考え から、県としてアディショナルな電源対策をするよう四 国電力に要請をしている。 これに対して、四国電力から発電所近くの標高約 100m に位置する亀浦変電所からの追加配電線を H24.3 までに敷設している。(図2) (2) 国の基準を上回る更なる揺れ対策 福島第一原発事故の原因と伊方原子力発電所との立地 条件の違いなどを分析し、伊方原子力発電所は標高 10m であり、瀬戸内海側に位置していることから、津波によ 図2 追加の電源確保対策 解説記事「伊方3号機に係る愛媛県の対応について」 (1) 国の基準を上回る電源対策 策は伊方原子力発電所でも実施されているが、それだけ 保全学 Vol.15-3 (2016) る心配は少ない。他方で、敷地前面海域に中央構造線断 層帯があるため揺れのリスクが伴うことから、四国電力 に対し、更なる揺れ対策を要求している。 これに対し四国電力は、伊方原子力発電所の耐震裕度 を徹底検証し、必要な対策を実施して、「概ね 1000 ガル」 にも耐えうる施設とするとの回答を受けた。 県としては、専門部会において、四国電力の評価結果 について確認するとともに、現地確認を実施している。 以下に耐震性向上工事の例を示す。(図3) ○専門部会の審議結果 ・取組みの位置付け 愛媛県からの「更なる揺れ対策」の要請に対する四国 電力の自主的取組みについては、国の規制基準及び評価 方法に基づいて耐震安全性が確保されるということをそ もそもの基本認識としたうえで、裕度の小さい設備・機 器について、各設備の実態に即した評価を行い、必要に 応じて耐震性向上工事を実施するもので、県民の安全・ 安心の更なる向上に向けた取組みである。 ・四国電力の報告内容 「取組みの位置付け」を踏まえたうえで、今回の四国 電力の評価については、安全上重要な機能を有する 195 設備について、新規制基準に基づく審査で確認された新 たな基準地震動を用いて、国の工事計画認可、耐震バッ クチェックおよびストレステストにおいて適用実績のあ る方法等により評価を行った結果、概ね 1,000 ガルの揺 れに対する耐震性が確保されることを確認したものであ り、四国電力の評価手法及び評価結果は妥当であること を確認した。 ・四国電力の今後の対応 県民等への説明に当たっては、国の規制基準に基づき 耐震安全性は確保されることを伝えたうえで、規制基準 と自主的取組みの違いも含め、評価結果を正確に説明す るとともに、今回得られた個々の数字にのみとらわれる ことなく、耐震性向上はもとより、発電所全体の安全性 向上に常に取組んでいくこと。 なお、専門部会としては、こうした取組みを審議する ことは、ひとつの見方だけでなく異なる角度から確認し 多方向から安全性を議論する観点であることから、非常 に有効なものであると考える。 (3) 「えひめ方式」 による異常通報連絡の更なる徹底 県、伊方町、四国電力との安全協定において、平成 11 年から、伊方原子力発電所における正常状態以外の 全ての事象を通報連絡することを取り決めている。 通報を受けた県が報道機関への説明及びホームページ 掲載等により公表することしている *7。 これは信頼関係を構築する上で、隠し事はしないとい うことを求めているものであり、「報告遅れは信頼に亀 裂が入り、隠ぺいは信頼を粉々にする」という認識を現 場に徹底するよう要請している。 また、設備の異常などについては、原因調査、再発防 止対策の検討結果について報告を聴取し、公表すること している。 なお、公表に際しては以下の区分に応じて公表するこ ととしている。 図3 耐震性向上工事の例 A ??????????? B C 区分:国への報告を要するトラブルなど(直 ちに公表) 区分:放射線管理区域内における設備の異常 など(48 時間以内に公表) 区分:A,B 区分以外のもの(毎月 10 日に前 月分を公表) 6. 地元の理解 県において、「地元の理解」について、立地町である 伊方町の判断、隣接の八幡浜市及び 30km 圏内の 5 市 町 ( 大洲市、西予市、宇和島市、伊予市、内子町 ) の意 見、県民の代表である県議会の議論等を総合的に判断し た。この判断のために県として、どのようなことを行っ てきたか、次項以降において、主な取組みなどについて 記述する。 (1) 全ての情報を公開 知事が同意した際の記者会見時の知事の言葉を引用す れば、「知事の役割は何ぞやと考えたときに、県民の皆 さんが冷静かつ深く議論できるように、国の姿勢・方針 をどう分かりやすく引っ張り出すのか、また電力事業者 の姿勢をどう分かりやすく引っ張り出すのか、ここに集 中すべきと考えてまいりました。」、「これらを引っ張り 出すことに没頭してきた 4 年半でありました。」という 言葉にあるように伊方原子力発電所に係る情報について は全てオープンにして、分かりやすく県民に提供すると いうことに努めてきている。 具体的には、 ? 知事が政府関係者や四国電力幹部と会談する際は、 全てマスコミオープンとした。 ? こうした契機となる動向については、その内容を知 事メッセージ 1 としてHP *8 に掲載するとともに、知 事書簡として県内市町長、周辺県知事等 2 あてに発出 し、お知らせした。 1 H 23.3 ~ H27.10 の間に計47回 2 県内 20 市町長、同議会議長、四国3県、山口県、広島県、大 分県知事等 ? 県の伊方原子力発電所環境安全管理委員会、専門部 会の審議は会議自体と資料・議事録とも全て公開し た *1。(図 4) ? 専門部会の確認結果をとりまとめたパンフレット、 Soleil(それいゆ)という県が年 4 回発行している原 子力情報誌により県民に情報提供した *9。 ??????????? (2) 四国電力の戸別訪問によるフェイストゥフェイスでの説明 一番真摯な説明は、一軒一軒訪問し、フェイストゥフェ イスで説明することであるとの考えのもと、四国電力に 対して 20km 圏内の全戸(約 28,000 戸)に対する訪問対 話活動を要請している。(平成 23 年以降は、計6回の訪 問対話活動を実施) その際には、安全対策の具体的な考え方や実施内容な どについて説明するとともに、原子力発電に関する意見 を聴取することとしている。なお、その意見については 厳しい意見も含めて、全て公開することを求めている。 (3) 立地 ・ 隣接 ・ 周辺市町が主催する説明会 立地町の伊方町をはじめ、30km 圏内の周辺市町にお いて、説明会が開催され、その求めに応じ、国からは審 査結果、エネルギー政策、国や県から防災対策を、四国 電力から安全対策を説明している。 これら説明会での意見も踏まえ、30km 圏内の周辺市 町長から意見が表明されている。 (4) 県民の代表である県議会の議論 県議会では、特別委員会が設置され、原子力規制委員 会や資源エネルギー庁、内閣府などの参考人を招致し審 議が行われている。なお、専門部会の部会長も呼ばれ、 審議結果を説明している。 また、特別委員会では、計 7 回の委員会が開催されて おり、伊方原子力発電所の現地調査も行っている。 これらを踏まえて、議会最終日の本会議において、再 稼働することについて必要性が認められる旨の決議がな 解説記事「伊方3号機に係る愛媛県の対応について」 ????? 図4 専門部会の審議結果のパンフレット (Soleil) 作成部数:約7万部 配布先 :30km圏内の全世帯に配付 県内のコンビニ、スーパーに設置 ????? 保全学 Vol.15-3 (2016) されている。 7. まとめ 伊方3号機の再起動については、これらの「国の考え 方」、「四国電力の取組み姿勢」、「地元の理解」の3条件 とともに、伊方発原子力電所を取り巻く状況、国全体の エネルギー情勢等も総合的に考慮した結果、平成 27 年 10 月 26 日に了解し、臨時記者会見 *10,11 を行い、知事自 ら記者発表している。 県としては、伊方 3 号機の再起動の了解に当たって、 四国電力に対し、事前協議の了解の通知と併せ、今後の 国の審査や検査に安全第一で真摯に対応することなどを 要請している。 絶対に過酷事故を起こさせないとの決意のもと、今後 とも、四国電力に対し、県民の安全・安心の向上に向け て、伊方原子力発電所の安全対策に不断に取り組んでい くよう求めていく。 また、国には、引き続き工事計画及び保安規定の適切 な審査や、厳正な使用前検査、原子力防災対策への支援 などを要請したところであり、今後も必要と思われるこ とは、その都度国に求めていくこととしている。 参考 HP *1 原子力安全専門部会資料・議事録 http://www.ensc.jp/pc/user/HOUDOU/ 管理委員会 .htm *2 伊方3号機の新規制基準への適合性審査に関する原 子力安全専門部会報告書 http://www.ensc.jp/pc/user/HOUDOU/h27/o270902/ houkokusyo.pdf *3 伊方3号機の新規制基準への適合性審査に関する原 子力安全専門部会報告書(概要版) http://www.ensc.jp/pc/user/HOUDOU/h27/o270828/ shiryou3-2.pdf *4 四国電力株式会社「伊方発電所3号炉の再稼働」へ 向けた政府の方針について https://www.pref.ehime.jp/gen/documents/seihubunsyo.pdf *5 平成 27 年 7 月 21 日 伊方原発 3 号機に係る経済産 業大臣との面談について https://www.pref.ehime.jp/gen/chiji_message27. html#h270721 *6 伊方3号機の安全対策等に係る国への要望について (回答) https://www.pref.ehime.jp/gen/documents/270911kaito.pdf *7 報道発表 ( 伊方原子力発電所からの異常通報連絡関 係) *8 伊方原発に関する知事メッセージ http://www.pref.ehime.jp/gen/chiji_message.html *9 専門部会の審議結果のパンフレット(Soleil) http://www.ensc.jp/pc/user/HOUDOU/sonota/pamphlet.pdf *10 伊方原発 3 号機の再起動に係る事前協議に対する 了解に関する記者会見(動画) 著 者 紹 介 http://www.pref.ehime.jp/h12200/ehimenettv/1ch/271026. html 著者 : 菅原 洋行 *11 伊方原発 3 号機の再起動に係る事前協議に対する 所属 : 愛媛県県民環境部防災局 了解に関する記者会見(議事要旨) 原子力安全対策推進監 http://www.pref.ehime.jp/h99901/press/271030_ tizikisyakaikenyoushi.html (平成 28 年 8 月 15 日) 伊方3号機に係る愛媛県の対応について 菅原 洋行,Hiroyuki Sugawara 伊方3号機に係る愛媛県の対応について 菅原 洋行,Hiroyuki Sugawara
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