図面の知識化と安全・保全

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カテゴリ: 第3回
1.目的及び背景
ベルヌーイの定理や設計計算式のように数式で表され 産業や科学が発展した今日、多領域に跨る、それも た知識もある。また、このような手順で造ればこのよ 図面など多様な形態をした知識を統合して問題解決に うな製品が出来るといったレシピ、あるいは手続き型 あたる必要が生じている。特に、グローバル化が進みの知識も存在する。 国境なき市場競争が一般化した今、設備の安全を確保 このような様々な文書等の媒体に含まれる多様な形 と同時にコスト・ダウンを図ることが要求される。こ 態をした知識をそれぞれ明示化し、人間にもコンピュ のためには大規模・分散情報源から有用な情報を的確 ータにも利用できる形式知として共有し、再利用する に特定・収集し、多様な情報源から有益な知識を効率必要がある。 的に獲得すると同時に、情報の変化を素早く的確に知今日まで図や表は設計者の意図など高度の知識を含 識へ反映させる技術が重要である。んでいるにも拘わらず、それを理解出来るのは人間だ 例えば、化学や発電プラントの安全確保や機能維持けであり、コンピュータ・システムで直接利用される のためには、配管管理のように業務の一部であっても、 ことはなかった。 流体力学、熱力学、化学工学、材質、機械、腐食、磨耗、 従って、実際の問題解決には様々な領域の知識を利 熱応力、配管、制御、建築、鉄構造物など広い領域に用しなければならないにも拘わらず、個別の知識を実 跨る大量の専門的情報や知識が関連する。装した複数のシステムを、それぞれ動かし検討するし これらの問題解決に必要な情報や知識は、様々な情 かなかった。 報源に多様な形態で散在しており、これらから有用なこの問題を解決するために、まずはルール、関係、 知識を効率的に獲得しなければならない。データ、手続きの統一的な共通表現である汎用情報モ 例えば、設備に関する技術情報や知識は、フローシ デル(GIM: Generic Information Model)を開発している。 ート等の設計図面や機器スペックなどの社内文書に含 図面、表等に含まれる知識は、これらを人間が理解 まれている。また、それをより効果的に運用して役立 , するときに使う知識を分析し、自動的に形式知に変換 たせる情報・知識は、JIS、ANSI 等の国内・国際的な。 して利用できるようにした。そして、データ、図、表、 工業標準および企業内の設計標準、製図標準などの標 数式、手続きを共通の形式知へ変換し、蓄積することで 準類に含まれている場合がある。これらの技術文書に 統合知識ベースを構築した。 は、テキスト文書で記述されたルールとしての所謂知GIM は人間に必要な機能を全て表現することができ 識のほかに、図面に含まれている設計者の意図、表形る。そのため、動詞を中心とした GIM の知識表現は、 式で表されている許容圧力など、制約に関する知識な機能を呼び出すための形式である。知識表現に対応す どがある。る機能を準備することにより、統合知識ベースは単に - 問題解決のために必要な知識は、人間が手で入力し...知識表現を蓄積するだけではなく、機能や技術を蓄え た程度の量のルールだけでは不充分であり、図面や表た機能ベースや技術ベースとして働く。 に含まれる知識の方が量的には圧倒的に多い。その他、 連絡先:芝尾紘一、〒1020074 東京都千代田区 九段南 3-7-7 九段南グリーンビル 10F、 (株)エー・アイ・イー研究社、電話 03-5212-3151 e-mail:shibao@aie-res.co.jp
2. 知識統合のためのモデル 2.1 汎用情報モデルGIM 1 統合的な知識処理を行うためには、ルール、データ、 図、表、数式、手続きに含まれている知識を処理できる 必要がある。多様な形態の知識を統合するためにそれ らを共通形式の形式知に変換する必要があるので、そ のためのモデルを開発している。 - 動詞を中心とする意味の表現という共通項で考えれ ば、形態が異なっても、意味の交換を可能にすること ができる。このため、汎用情報モデル GIM(Generic Information Model)を開発した。図面、表、データ等の多様な媒体と、テキスト、(デ ータ)数式、手続き等様々な形態をした情報に含まれ る意味を抽出する必要がある。サービス知識処理DB、図面、表、ルール、数式、手続きFig.1 統合知識処理- 知識も数学モデルもモデル化できる汎用情報モデル であれば、質的なパフォーマンス、つまり、量的な振 る舞いを推論や計算で返すことができる。このように、 モデルを開発して直ちに質問に対する回答を得るため には、知識自体が機能を表現したものでなければなら ない。従って、GIM は機能の呼出し表現が知識の要素 のモデルであると考えている。GIM は動詞を中心とするモデルであり、ISO 10303 TC/184/WG4 D STEP(Standard for the exchange of product model data)でプラント関連の日本側の標準案と して作成された GPM(Generic Product Model)を知識も 表現出来るように拡張したものである。GPM はデータモデルではあるが、動詞に代る関連 (association)を用いて、オブジェクト間の関係を階層や 構成だけでなく接続など他の関係も一般的に表現できる。更に GIM は演繹的知識であるルール、数式(関数 モジュール)に加え、手続き的知識も関連として登録す ることができる。従って、構築されたモデルの実行に 際して計算論で定性的、定量的な性能質問に回答でき る。モデル上での問題解決、即ち,GIM で記述したモ デルが実行されたときには、GIM は振る舞いを計算し て返すことが出来る。 3. 図面の知識化3.1 知識化とは - 大量の図面・表などの多様な形態の情報から、含ま れている知識を取り出して形式知化するために、意味 化と知識獲得の 2 段階で行う。意味化とは、図面や表 など人間が作成した図書類に記述されている表現を先 ず、正確に明示化する。ついで、その図書に含まれて いる設計者の意図など人の知識を、その分野の専門家 の使用している背景と成る知識を使って獲得する。こ れはつまり、図面等の形態の文書に含まれる知識を、 どのようにして人間が読み取っているかを行動分析に よって分析し、明示化して抽出することである。知識 獲得とも言われる。そして、その抽出した知識をプロ グラム化して図面や表に含まれている暗黙知をコンピ ュータでも利用できる述語形式など明示知に変換する ことである。総合ソリューション知識統合 知識獲得意味の明示化DB、図面、表、ルール、数式、手続きFig.2 知識化と応用のステップ図面や表から知識を抽出するとき、知識 CAD など作 図システムに知識生成プログラムを組み込んで直接、 知識化する方法がある。 - 他は一般の作図 CAD で作成された図面等の理解シ ステムに上記知識を組み込んで、一般図面の CAD デー12タを知識化する方法である。企業が持つ知識の源とし て多くあるのは実際の業務の過程で利用した図面や表 などである。これらは、例えば作図 CAD や表ソフトで 記述されたレガシーデータである。ここでは、量的に 1 意味化(意味の明示化) 図面などの原資料は、一般に人間が人間とのコ タを知識化する方法である。企業が持つ知識の源とし。 バルブの意味モデルは、右図のように線、点およびそ て多くあるのは実際の業務の過程で利用した図面や表れらの関係を正確に表現する。電子データ的にはそれ などである。これらは、例えば作図 CAD や表ソフトで は点と線分の組み合わせで意味モデルを XML で表現 記述されたレガシーデータである。ここでは、量的に する場合多い。 多いレガシー・データからの知識生成について述べる。3.2 知識化(知識の獲得) 3.1 意味化(意味の明示化)行動分析で明示化された、熟達者の図面等を理解す * 図面などの原資料は、一般に人間が人間とのコミュ る知識をプログラム化することで、大量の図面や表な ニケーションに作成された場合が多く、従って、特別どを自動的に知識化する。 に明示的に知識を獲得してコンピュータで利用するな 学習・訓練プログラムの開発の場合と同様に、図面 どを考えて作成されたものではない。理解の要素的な能力が何に基づくかを分析する。そし て要素の間の構造を分析し、それらの能力をシステム 構築に盛り込むことで、熟達者と同じような判断、図面 等の理解ができるように、知識への自動変換プログラ ムを設計する。 プロセス・プラントの分野の運転者や保全マン、設計 者等は、Fig.4 の左図はバルブを表したものと理解す ることが出来る。しかし、他分野の関係者には、別のものを意味しているかも知れない。このように、シン ニケーションに作成された場合が多く、従って、特別 に明示的に知識を獲得してコンピュータで利用するな どを考えて作成されたものではない。mamaはとて30 camosterestorHomeータを用いて行うことは難しい。このため、先ず、表 現をコンピュータにも人間にも理解できる形式である 意味表現に変換する。これは、作図された対象などが、 オブジェクトであればその分類を示す。又、オブジェ クトとオブジェクトの関係を記述する意味構造、又は 意味モデルを作成する。正確な表現であればよい。例 えば、AutoCAD など作図 CAD で作成された電子図面 データを、直線、円弧、点、文字などの図形要素とそ の図形要素の間の接続関係などの関係を正確に表現し た意味モデルを作成する。 例えば、プラントではゲート・バルブは Fig.4 の左図-13 -よびそ はそれ で表現 バルブの意味モデルは、右図のように線、点およびそ れらの関係を正確に表現する。電子データ的にはそれ は点と線分の組み合わせで意味モデルを XML で表現 する場合多い。 3.2 知識化(知識の獲得) * 行動分析で明示化された、熟達者の図面等を理解す る知識をプログラム化することで、大量の図面や表な どを自動的に知識化する。学習・訓練プログラムの開発の場合と同様に、図面 理解の要素的な能力が何に基づくかを分析する。そし て要素の間の構造を分析し、それらの能力をシステム」 構築に盛り込むことで、熟達者と同じような判断、図面 等の理解ができるように、知識への自動変換プログラ ムを設計する。 プロセス・プラントの分野の運転者や保全マン、設計 プロセス・プラントの分野の運転者や保全マン、設計 者等は、Fig.4 の左図はバルブを表したものと理解す ることが出来る。しかし、他分野の関係者には、別の ものを意味しているかも知れない。このように、シン ボルの意味は分野によって異なる。レジェンドとして シンボルと意味の対応を定義・登録する。Fig.5 のようなモデルでは図形要素とそれらの間の 関係を正確に表現した意味モデルを作成する。意味モ デルは XML で表現する。 * プラント関連の技術者がフローシートを見るときに 使っている背景知識であるレジェンドや、機器や配管 部品の間に引かれた線の意味(配管)を知識ベースでルール化しておく。そして知識ベース側でハイブリッド 推論エンジンを使って、図面に含まれている有用な知 識を背景知識のルールを使って自動的に抽出し、Fig.6 表に示すような1階述語論理形式(FOL)の知識表現に 変換する。 34 | is_aliate_valve_6““,““cate_vaive', 'V-10211).1dra'. 'and ation““)...。 rifugal) _3““,2).35 status('cate_valve_B','valve','close'). 36 annotation('gate_valve 8',''). 37 port (sate_valve_6.1. TUNDEF'). ! 30 port('gate valve_B'.2. 'UNDEF'). 39 status ('process_line (wain),4', 'edge', 'end'). 40 is_a('process_line (nain) 4'.'process_line (main)',''). 41 connection('process_line (nain)_4', 'lover1_2', 4, 'pump (centrifugal) _3',2). 42 status ('process_line (nain)_5', 'edge','end““). 43 | ls_a('process_line(valn)_5““ 'process_line(main)',''). 44 connection('process_line (main) 5', 'puap (centrifugal) _3',l, 'gale_valve_5““ 45 status ('process_line (main)_9', 'edge', 'end'). 46[is_a('process_line(main) 8, 'process_line(pain)', 'P-38-1P1-420!').4 47 connection('process_line (nain)_9','gate valve_8',1, 'drual_1',2). 4日 | [EOF]Fig.6 フローシート図面の知識表現Fig.7 は、図面の知識化であるフローシートに含ま れる知識の抽出過程の表示画面である。Tay』Huary:3katusしかwFinaデルバググブレダメで シンプル 茶のののリウマートフののの の折のここZZ 22222れさあ Erogram chaless.nlanalice_ico aralyze_ .0 arnalyze_nea....W link reducer Link_yell .MIN create-sewne.....MINITE search_segme... MINING greaterbo.MINING creale slalu..... MININGKnomats...!さい。お酒ツーのSeeixent Seementちりめんザーダス報の取得だしの素行alter.にんにくみFig.7 図面の知識化のプロセス表示画面図面の知識化は作図 CAD をカスタマイズした知識 化 CAD でフローシートを作画して、知識化に必要なデ ータを直接 XML 形式で生成するやりかたもある。4. 知識の統合化図面に含まれている設計者の意図など有用な知識を 抽出できたとしても、それは安全や保全に必要な解を 迅速に求めるためには不足する。図面はこれ等の解を 求めるための一部の情報、知識を提供するに過ぎない。このために必要な機器仕様などの設計段階に得られ た設備に関する知識や、保全業務で蓄積された保全履 歴、検査記録などがある。それに、設計標準、保全標準、安全基準などの企業 内の標準類や、更に JIS、ISO など工業標準に含まれている知識がある。これらは表で表されたものが多い。それで、表で記 述された知識は、明示的な知識に変換して知識ベース に蓄積する。 - 標準に含まれる知識の中で、ルールや計算式で表さ れるものは、論理検索ルールや計算モジュールとして 利用できるように、知識ベースに登録しておく。 これ等を統合して統合知識ベースを構築する。4.1 表の知識化 * Fig.8 のような、機器スペックシートの表に含まれる 事実や知識を、知識形式(FOL)に変換する。変換され た知識形式を Fig.9 に示す。Identification12345677equipment segment name item no item name location pid no codehtex tube side I sell sideE-523 xylene column condenser fractionation section205Fig.8 機器スペックシート(部分)property('E-523','tube_side','equipment','htex'). propertyCE-523','tube_side','segment_name','tube_sic property(E-523','tube side', 'item no'. E-523'). property(E-523','tube_side', 'item_name','xylene colu property(E-523','tube side','location','fractionation : property(E-523','tube_side':'pid_no'.205) property(E-523','tube_side', 'applied_code','none').Fig.9 機器スペックシート(部分)の知識表現設計や安全、保全などに関する標準には表で記述さ れたものも多い。Fig.10 は配管設計標準の一つである 配管材料選定基準の一部である。配管材料の種類、配 管サイズと配管クラスが決まると、材質、製法、管端、 肉厚など詳細仕様が決まる。ENGINEERINGSPECIFICATI FORPIPING MATERIALS CLAREVPlant CLASS AIE_PI(A41A) JOB NO 流体名NON-CORR. PROCESS 使用限界圧力=Kg/C191月3C-10~40 呼び径(B)カー 材質製法肉厚...1.12~1......SIPG370-S-H.. L.L.11.3...1.4.1..ATP932B::31..18~881 I SB410-A ミエルボ L .1/2~1............52 0.11.1.12. 1.4.1.STP027.0-SNKS.18~88 1 88410-1 「.....12.01..............5250. L1112.0.1.4.1.8IRG37A..SNLS 16~48SB410-1 レジュー11/2~11 ...1.1.1.12~1.4.L.S1PG27.9...5MLS..118~B8 SB410-V) カップリ1.1.12~1...........3250......いた...... SCHB0...... 2.PEまたは....5GH4.0.......FALC.SMIN. L .S............SCHRO 1.JPEまたは...SCH40.... BEI(4) ............SCHED PE. ...SCHAO.S......4....SCHE.D 1.2PEまたは....SCH40. BE(4) 1...................SCHB0......Fig.10 配管材料選定基準Fig.10 の配管材料選定基準を述語形式の知識 (FOL)14に変換したものの一部を Fig.11 に示す。% Start Row Datas of CIM Table: aicuple??? ????????番sin((ale_pl, des imed), l'E simt (Cale_pl, designed), gint([aie_p1,designed], simt([ale_pl, designed), iciat[ate_p1,designed], gint ( [ale_p1, designed). cint(Cale_p1,designed], sint ( [ale_pl, desi cned), sint([aie_p1,designed], 「番 sint([ale_pl, designed), cint([aie_pl, des luned), Usint([ale_p1.designed], cint([aie pl, designed), cint([ale_pi, designed) icint(Cate_pl.designed], Icint(Cale_p1, deslened], Islat([ale_p1, designed], Ikint([aie_p1, designed), eint([ale pl, designed), cint([ale_pl, designed). [cint(Cale_p1, designed],sint([ale_pi, designed) | cint
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