UT分析システムの適用によるUT評価手法の高度化

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カテゴリ: 第5回
1.緒言
国内原子力プラントにおける供用期間中検査では、 配管溶接部は JSME 維持規格に基づき、体積検査とし てUTを実施している。近年、UTデータ評価において、 全てのデータを取り込み、複数の検査員、必要に応じ て第三者による分析・判定が可能なシステムを用いた UT 評価手法の高度化が求められている。これらニーズ に対応すべく、当社はデジタル探傷器を用いて UT デ ータをデジタル化し、UT 分析システムを開発・適用す ることによって、高精度なデータ評価を可能とし、既 に現地検査工事に適用を開始、拡大中である。 本紙では、UT 評価手法の高度化の一例として、配管自 動 UT 装置を用いた UT 分析システムの概要・利点に ついて紹介する。
2.配管自動 UT 装置
配管自動 UT 装置の全体図を Fig.1 に示す。配管自動 UT 装置は、手動で実施していた探傷作業を自動化する ことにより、UT データと位置情報を同時に取り込み、 探傷作業を効率化することを目的として開発した装置 である。連絡先:井原 亮一 〒652-8585 神戸市兵庫区和田 崎町 1-1-1 三菱重工業株式会社神戸造船所 品質保 証部原子力サービス品質管理課 電話:078-672-3104 e-mail : ryoichi_ihara@mhi.co.jp2.1 走査ツール部走査ツール部は、周方向走査のガイドとなるレール 部と、探触子の保持・押付・走査を実施するスキャナ で構成される。 2.2 制御盤、 - 制御盤に走査範囲、走査ピッチ、走査スピード等の 探傷条件を入力し、スキャナを動作させる。また、制 御盤と対象配管が離れている場合でも、配管近傍でス キャナの位置等を確認しながら微調整が実施できるよ うにペンダント型リモコンを備えている。 2.3 探触子探触子は、適用箇所であるエルボの形状、溶接部近 傍の形状変化部に対して十分な倣い性を確保するため、 局部液浸型の探触子を開発・適用している。 2.4 探傷器全ての UT データ(以下、A スコープ波形と記す) 及び位置情報を取り込み、デジタルデータによる経年 比較調査、詳細評価を可能とするデジタル探傷器を適 用している(3.1 項参照)。3.UT データ評価配管自動 UT 装置にて採取されたデジタルデータは ネットワークを介して現地から自社の神戸造船所へ転 送される。このデータに対して自社開発した UT 分析 システムを用いて詳細分析を行い、規格要求を満足す る帳票を出力する。2973.1 探傷システムのデジタル化従来適用していた配管自動 UT 探傷システムは、取 り込まれる UT データがアナログ信号であること、大 容量のデータ保存ができない等の理由から、A スコー プ波形をデジタルデータとして取り込むことが不可能 であった。その為、最大エコー高さ及びその位置情報 を保存し、それを元に帳票を出力する方式を採用して おり、下記に示す問題点があった。 (1)探傷後のデータ確認は、出力された記録にて実施する為、現場でのデータ確認が不可能である。探傷デ ータに不備があった場合は、現場に戻り再探傷を実 施するという手戻り作業が発生する。 2) 大容量のデータ保存ができないことから、最大エ コー高さに関する情報のみを保存しており、エコー 挙動(トラベリング)による評価が困難である。 3)出力帳票は最大エコー高さのリスト、反射源位置を 示す断面図、最大エコー高さの分布図等である。こ れは手動 UT と同様、限られた情報での評価であり、 最大エコー高さ周囲のエコー分布状況を踏まえた詳細評価は難しい。 そこで、配管自動 UT 探傷システムにデジタル探傷器 を用いることで、A スコープ波形をデジタルデータと して取り込むことが可能となり、下記の利点が得られ た。 10探傷後、現場にて UT データの良否判定が可能とな った。仮にデータ不良が判明した場合でも、即座に 再探傷を行うことができる。 2)最大エコー高さを示さない位置の A スコープ波形 も全て取り込まれているため、エコー挙動による評 価が可能となった。 3) 複数の検査員でデータを同時に評価することが可 能となり、評価の信頼性・客観性が向上した。また、 現地と神戸造船所で UT データを共有可能である。 更に、帳票には Aスコープ波形に加え、配管の側面 図となる B スコープ及び D スコープ、上面図とな る C スコープ(以下、3-View 表示と記す)を色調 図として表現することが可能であり、過去の検査に て蓄積された 3-View 表示を比較することで、より詳細な評価が可能となった。 探傷システムをデジタル化することによって、現場で の作業効率が向上し、大容量のデジタルデータを用い たエコーの詳細評価、デジタルデータの共有化が可能 となった。3.2 UT 分析システム : - 当社は、デジタルデータで得られる A スコープ波形 及び位置情報を活かし、高精度・迅速な分析が可能と なる UT 分析システムを開発した。システムを用いた 分析フローチャートを Fig.3 に、UT 分析システムの特 徴を下記に示す。 1)記録レベルを超えるエコーを自動抽出し、そのエコ ーの位置、エコー高さ、指示長さを自動的に算出す ることが可能である。 2)配管形状、溶接開先等の実機形状が反映された 3D モデルを用いた分析機能を搭載している。3D モデ ルは、図面寸法及び垂直 UT による板厚計測結果を 反映しており、より正確な分析が可能である。この 3D モデルに自動 UT 装置が出力する位置情報及び 探傷器が出力するエコーの路程情報を反映させる ことによって、反射源位置の特定が容易となり、エ コー挙動による評価とあわせた高精度な評価が可 能である。 3)抽出された記録レベルを超えるエコーのリストを 自動出力することが可能である。また、リストアッ プされたエコーについて、3-view 表示及び反射源位 置を示す断面図を自動出力することが可能である(データリスト及び断面図の例を Fig.4 に示す)。 UT 分析システムの適用により、3D モデルを用いた高 精度な評価が可能となった。また、本システムの適用 によってデータリスト、3-view 表示及び断面図の自動 出力が可能となり、迅速な帳票作成を可能とした。ま た、帳票の自動出力機能はヒューマンエラーによる記 スミスの防止にも有効である。4.結言- 当社は高精度かつ迅速な評価を可能とした UT 分析 システムを開発し、下記の結言を得た。今後は、UT デ ータ信号処理機能の充実等の改良を行い、更に高機能 なシステムを構築していきたい。 1)探傷システムをデジタル化し、Aスコープ波形をデ ジタルデータとして取り込むことによって、現場で の作業効率が向上し、データの詳細評価も可能とな った。 2)記録レベルを超えるエコーの自動抽出機能、実機形 状が反映された 3Dモデルを用いた評価、帳票の自 動作成機能等を搭載したUT分析システムを適用し、 UT 評価手法の高度化を実現した。298Control PanelPC for Flaw DetectorScannerFlaw DetectorRailRemote ControllerFig.1 Photograph of Automated UT Equipment for PipingCamel 1 Dec fecel LesToolChannel 1 Dell Few LANJR220609C 18mm jw 17.5mm2101-20 4 月 20 des | c 11 am | w 10.4mm] |C-Scope3D-modelingPas-13,3222NX: 2200 Y: 1755 FD X:220.0:5.71 D: 12.23 eSize 2170 Head 4.7 Pich 33Bank2222 Crusel 1 Default Feral LesA220 degclamn W175mm.SIDEOChwed 1 Dolek Focal LasDatag | 20 degc15mm W18.4mme |||1900/01/11B-Scope1900/05/29A-ScopeFig.2Analysis Screen1900/10/25探傷探傷データ転送UT 分析システムパラメータ設定・探傷条件設定 ・実機形状を 3D モデルに反映指示エコー自動抽出詳細評価・エコー挙動調査」 ・3D モデルを考慮したエコー反射源の位置確認 ・複数の検査員による総合評価1900/01/091900/01/09帳票出力・データリスト出力 ・3-View 表示図出力 ・断面図出力Fig.3 Flow Chart for UT Analysis System***配管自動UT解析システムインディケーション解析図 *** プラント名DEB-V 探傷角度42.7(deg) 系統名HAIKAN 探毎方向Upstream 10B1F 探周波数2(102) 接線番号Mockup ファイル名12.25.rdt 配管呼び径68 探5日付2007/12/25リスト ho株子位置 X (dg) T Y138(D)ビーム必殺 1 wan)1906/05/09エコー高さ (DAC)1900/07/18*** 配管自動UT解析システムインディケーションデータリスト *** PAGE: 1/1探傷角屋12.7(das) 系統名HAIKAN 探偵方向Upstream 図面書1081F 探傷用208) 得後番号Mockup ファイル名12.25.rdt 配管呼び6D 神毎日付2007/12/25 処理レベル20/100(MC)ホー代表例解新国参照 ピークインディケーションー200CC)100(MC) ビーム リスト お子位指示 高さH 長さ考 X Yea) W(e) (DHC) 始点終点地点終点 (日) 3.01900/01/26 7:26:2453 3.0/ 510 08.2高校図(0.51) 102.0 18 23.478.0/ 103.0 3.31(0.53) 138.0 23.21 200 120.0/ 145.034.61 123.0/ 141.025.9 180.0 27.01 120.0/2430 177.4130.53】 251.024.611 200 249.0/ 73.0 34.61 257.0/70.0 282.0 23.91 22 262.0500.0 25.9A5(0.5) 33.046.11a 2491 0.0/ 51.073.5 192.0 46.01 2 117.07 22.0 151.4外部 318.01 27.8 309.07367.069.2 342.0506.0/ 343.0 60.61 11 123.0117.07221.0 164.41 126.07141.0 21.6 12207.072.513 258.0/273.00 21.6スエー|3|4|5|6|97/e/85B361 2001 150欠陥エコーFig.4Examples of Analysis Report1900/10/26
“ “UT分析システムの適用によるUT評価手法の高度化“ “井原 亮一,Ryoichi IHARA,井 裕一,Yuichi I,西田 純一朗,Jun-ichiro NISHIDA,川田 かよ子,Kayoko KAWATA,川瀬 直人,Naoto KAWASE
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