制御棒クラスタ案内管の保全に関するガイドラインの適用

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カテゴリ: 第6回
1.緒言
PWR 型原子力プラントの制御棒クラスタ案内管 (以下 GT と称する)は、制御棒を炉心に案内する 筒状の部品であり、その案内板はプラント運転中にGuide Plate おける制御棒の流動振動により Fig.1 の様に摩耗す ることが分かっている。本劣化事象に対して H13~ 14年に火力原子力発電技術協会(現:日本原子力技 術協会)で、大学,電力会社,メーカ間で GT 案内 板摩耗に対する保全方針を協議し、その成果は H14Guide Tube 年3月に炉内構造物点検評価ガイドラインとして、 Reactor Vessel IntemalsGuide Hole 出版された[1]。その後、国内 PWR プラントの GTWear of Guide Tubes は、本ガイドラインに従って点検を実施してきてお
2. ガイドラインの概要 り、H16年1月には各プラントタイプの点検実施時 期を示したガイドラインの第2版が出版され、この2.1 摩耗進行予測 内容は日本機械学会の維持規格にも反映されている GT 案内板の摩耗程度は、Fig.2 に示す様にリガメ [2]。
ント部の摩耗長さ(以下摩耗長さと称する)を定義 * 上記ガイドラインでは、GT 案内板の点検周期につして評価しており、単位時間当たりの摩耗体積は常 いて、初回の点検結果、及び単位時間あたりの摩耗 に一定と仮定することにより、プラント運転時間と 体積を一定と仮定した摩耗進行予測に基づいて策定摩耗長さの関係を推定している。ここで、1枚の案 している。今回H16年以降に得られた同一プラント 内板の摩耗が進展すると、制御棒は他の案内板に接 の連続した点検結果を考察する事により、摩耗進行。 触し、摩耗する案内板も分散されるため、案内板1 予測に基づいた保全方針の妥当性を確認した。枚あたりの摩耗進行速度は遅くなると考えることができる。ガイドラインでは、Fig.3 に示す様に安全側 連絡先: 松原亨、〒652-8585 兵庫県神戸市兵庫区和田 崎町一丁目1番1号、三芳重工業(株) 神戸造船所 原子に1枚の案内板に摩耗が最も集中すると考えられる 力機器設計部 炉内構造物設計課、電話:078-672-3106、 モードを想定して摩耗進展を評価し、プラント運事 e-mail: toru_matsubara@mhi.co.jp時間(相対比)と摩耗長さの関係を導出している。
Wear Progress No Wear GT guide holeControl Rod (0%) 小1Maximum Wear Length(100%)Wear length + Definition of Wear lengthFig. 2Control Rod 140 GT .調Wear ProgressACCOULDnnnnnnnnunceNo. 7 PlateContact 5.9 No.6 PlateCortadt 5.5 16.6 Nb5 Platecortad36 12.3 29.5 No. 4 Plate| Cortad | 27 17.8 | 201144.61 No.3 PlateCortad 2.1 157126128961617Wear length No.2 Plate | conted 1.8 | 4.5 19.0 | 17.7|385|80.1 [No.1 Plateconted | 1.5|36 17.0[126|23.3 148.9|100 |
No.1 Plate1004Wear length[%]to ti t2 t3 t4 ts to tzOperational Time (Relative ratio) Wear prediction curve of Guide TubesFig. 32.2 点検実施時期 * 各プラントタイプで代表プラントを選出して、初 回点検を実施し、初回点検により得られた摩耗長さ、 及び初回点検時のプラント運転時間を通るように、 摩耗進行予測曲線を重ね合わせる事により、当該プ ラントにおける今後のプラント運転時間と摩耗長さ の関係を推定することが可能となる。ガイドライン では、摩耗進行予測を基に管理摩耗長さ(別途算出 している摩耗長さのクライテリア)に達するまでの 時間を算出し、その 1/2 のプラント運転時間を目途 に、次回点検等の保全を実施することとしている。3.同一GTの連続した点検結果・ガイドライン第2版発行後において、同一プラン トにおける3回分の点検結果を用い、各点検の摩耗 長さ、及び2回目の点検結果を通るように設定した 摩耗進行予測曲線の関係を Fig.4に示す。本図から連 続した同一 GT の点検結果は概ね摩耗進行予測曲線 付近にあることが確認できる。 GT の点検は、2.2 節に従った手法で管理摩耗長さに達するまでの時間の 1/2 の時期を目途に実施して おり、このように余裕を持って保全する上において、 摩耗進行予測は十分妥当であり、本保全方法でプラ ントの安全を維持できることが確認できる。Criteria for Maintenance(Depend on the wearstatus of Control Rod)/ 166%GTECReplaced after Inspection5351XWear length [%]0.491500.41Wear Perdiction Curve0.34#1#2 #3Inspection Time300000100000200000 Operational Time [hr]Fig. 4Inspection data and wear prediction curve4.結言1) 現在 GT は、ガイドラインでの保全方針に基づいて、点検を実施しており、その点検周期は、初回の点検結果、及び摩耗ワークレイトを一定とした - 摩耗進行予測結果に基づいて策定している。 2) 同一 GT の連続した点検結果を整理した結果、初 一回点検以降の摩耗量は、初回点検結果に基づく摩耗進行予測曲線に概ね一致することが分かった。 3) 管理摩耗長さに達するまでの時間に余裕を持って点検を実施し、予防保全する上では、摩耗進行 予測曲線を用いた GT の保全は十分妥当であり、 ガイドラインに従った点検によりプラントの安 全を維持できる事を確認した。謝辞GT の保全方針について協議、アドバイス頂いたガ イドライン検討会の皆様、また実機プラントの点検 結果を提供頂いた電力会社の皆様に感謝致します。参考文献[1] 社団法人 火力原子力発電技術協会 PWR 炉内構造物点検評価ガイドライン 制御棒クラスタ案内管 [2] 日本機械学会 発電用原子力設備規格維持規格198“ “制御棒クラスタ案内管の保全に関するガイドラインの適用“ “松原 亨,Toru MATSUBARA
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