志賀原子力発電所における耐震補強工事について

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カテゴリ: 第6回
1. 緒言
北陸電力株式会社志賀原子力発電所では、いち早く 発電所の耐震安全性を確保するために志賀原子力発電 所1号機(BWR 54 万kW)、2 号機(ABWR 135.8 万kW)の耐震補強工事を平成 18 年 11 月から平成 21 年1月までの期間において実施した。工事は、「止める」、 「冷やす」、「閉じ込める」機能を有する設備を中心と して配管類、電路類へのサポート追設、構造変更によ る補強や既設サポートの取替えにより実施した。今回、耐震補強工事の実施にあたっては、発電所の 広範にわたり高所や狭隘な作業スペースでの作業が多 いため、綿密な工事計画の策定、工程管理を行うとと もに、労働安全の確保と品質確保のため、工事に携わ るもの全員参加による安全大会の開催や現場パトロー ルを充実し、災害や火災の発生防止を図り無事故・無 災害で工事を終了することができた。
2. 工事の実施
2.1 2号機における工事の実施2号機は平成 18年 11月 27 日から平成 19年9月 30 までの期間を第I期工事として 335 箇所、また、平成 19年 11月1日から平成 20 年3月 13 日までの期間を 第II期工事として 911 箇所,合計で 1,246 箇所の工事 を実施した。この間、平成 19年3月 25 日には能登半 島地震により工事が一時中断したが、能登半島地震に よる工事への影響はなかった。連絡先:最所丈博〒925-0161 石川県羽咋郡志賀町赤住 1 北陸電力(株)志賀原子力発電所保修部大型改良担当、電 話:0767-32-2666、e-mail:saisho.takehiro@rikuden.co.jp工事箇所数を下表に示す。主な工事対象系統は原子 炉冷却系統設備、非常用炉心冷却系、非常用電源系な どである。Table 1 Major Modification of Unit2追設 「補強・取替合計 | 配管類 241 箇所 | 603 箇所 | 844 箇所 電路類 5箇所) 397 箇所 | 402 箇所 | 合計 | 246 箇所 | 1,000 箇所 | 1,246 箇所 |Fig.1 主蒸気隔離弁へのスナッパの追設- Fig.2 原子炉補機冷却水系配管へのレストレイント追設1901/04/07耐震補強工事は、第I期工事は定期点検工事と併走 して実施した。第II期工事は燃料装荷作業や定期点検 工事がほぼ終了した段階から実施したため、原子炉格 納容器内におけるノイズ対策を徹底した。また、工事 は系統毎に工事期間を綿密に調整しながら進めた結果、 予定通り終了することができた。耐震補強工事後、原子炉起動段階において原子炉格 納容器内に追設、取替えたサポートの熱による移動に より既設設備との干渉がないことを確認した。2.2 1号機における工事の実施 * 1号機は、2号機に引き続き平成 20年7月4日から 平成 21 年1月 29 日までの期間に 1,681 箇所の工事を 実施した。工事箇所数を下表に示す。主な工事対象系 統は2号機同様、原子炉冷却系統設備、非常用炉心冷 却系、非常用電源系などである。Table 2 Major Modification of Unit1追設 | 補強・取替| 合計 配管類 | 667 箇所 | 718 箇所 | 1,385 箇所 電路類 14 箇所 | 282 箇所 | 296 箇所 | 合計 681 箇所 | 1,000 箇所 | 1,681 箇所Fig.3 主蒸気配管へのスナッバ追設耐震補強工事は、定期点検作業との重複を回避する ため、燃料装荷作業終了後、ウェルオーバーフローレ ベル状態において本格的に実施した。 2 号機同様、燃 料装荷状態での工事であったため、原子炉格納容器内 におけるノイズ対策を徹底した。また、原子炉格納容 器内における作業効率を図り、被ばく線量を低減する ため、据付工法を事前に検討し、一部では火気対策を 十分に行った上で、ガス溶断作業やMIG溶接を利用し 作業時間の短縮を図った。工事における火災事故発生防止のため、化学消防隊 の防火パトロールを1日に3回,工事担当者によるパ トロールを1日に1回以上、火災防止特別パトロール を週に1回実施し、原子炉格納容器内の出入口には火 気作業場所を明示するなど工事に携わる者の火災発生 防止意識の向上、現場でのコミュニケーションを積極 的に実施した結果、火災事故なく工事を終了すること ができた。今回、1 号機の耐震補強工事での小口径配 管サポートの追設において、樹脂アンカーの穿孔深さ が従来は最小 100mm であったが、今回、強度評価試験 により、設計適用範囲まで強度を満足することが確認 されたため、穿孔深さ 50mmのタイプのものを採用し た。これにより、埋設物との干渉回避等の後打ちアン カーの打設作業の効率向上を図ることができた。また、 工事は系統毎に工事期間を綿密に調整しながら進めた 結果、予定通りに終了することができた。耐震補強工事後、2 号機同様、原子炉起動段階にお いて原子炉格納容器内に追設、取替えたサポートの熱 による移動により既設設備との干渉がないことを確認 した。Table 3 Chemical anchor Spec今回採用品 | 従来品(最小) OD1(mm)M10M12 OD2(mm)14.5 d1(mm) | 454 01900/04/211900/04/09d2(mm) 設計許容荷重(kN)1900/01/05 7:12:00TOPのD13. 結言1) 志賀原子力発電所 1、2 号機の耐震補強工事を無事故・無災害で終了し、発電所の耐震安全性の確保につなげることができた。 2) 今後とも、発電所の耐震安全性確保に向け、最新知 見を反映することが肝要であり、継続的な取組みが 必要である。1901/04/08
“ “志賀原子力発電所における耐震補強工事について“ “倉田 勝,Masaru KURATA
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