HLW地層処分地選定に関する日本型合意形成モデルの構築①研究概要

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カテゴリ: 第7回
1. はじめに
エネルギー自給率わずか4%と主要先進国最低で ある我が国において、エネルギーの安定供給は大き な課題であり、地球温暖化の観点からも原子力発電* 2. 本研究の進め方 エネルギー自給率わずか4%と主要先進国最低で ある我が国において、エネルギーの安定供給は大き な課題であり、地球温暖化の観点からも原子力発電 の活用が大きな政策課題になってきている。現在、 我が国の発電量の 3 分の 1 は原子力発電によって 担われており、原子力発電を抜きにして我が国のエ ネルギーの安定的確保は考えられない。しかし、こ うした重要なエネルギー源である原子力発電に伴っ て発生する使用済み燃料の再処理に伴う高レベル放 射性廃棄物の処分については、処分地選定が困難な 状況にある。高レベル放射性廃棄物の処分問題は、 原子力発電を活用する以上避けては通れない課題で あり、この課題になんらかの解決の道筋を見出さな ければ、我が国のエネルギーの安定的確保はありえ ない。処分地選定が困難になっている背景には、放射性」 廃棄物を含め廃棄物問題には、負のイメージが強く 必要性は理解できるが自分の近くに処分施設が建設 されるのは嫌だ、といういわゆる NIMBY (Not In My Back Yard)問題があることに加え、適切な安全確保 策により合理的な許容リスクを担保しうるとしても、 長期に亘ってその状態を維持することについての懸 念を払拭できないことなどがある。こうした現状を打破し、社会全体の高レベル放射 性廃棄物処分に関する理解を促進し、共同(協働か どうか?)して解決策を考えていくことが必要であ る。 このため、みんなでともに考えていく、新し図1に本研究の目的と手法についてまとめた。日 本型合意形成モデルの検討に当たっては、我が国特 有の社会的背景、心理的要素等を様々な角度から分 析することが必要である。このため、本研究では、 我が国におけるリスク認知、受容に至る特徴的な社 会的背景や心理的要素を分析し合意形成モデルの構 築を行なう。また、これまでに原子力委員会で実施 された原子力政策円卓会議をはじめ、既存の合意形 成への取り組みで得られた知見の整理はもとより、 その他のリスク認知や原子力発電に関する意識調査 などの既存の研究成果も整理し、これまでの進め方 における改善点について明らかにする。そしてこの リスク認知・受容要因の分析から得られた課題を踏 まえて、海外のモデルを参考としながら我が国の制放射線展開 くするリスクコミュニ)ケーション研究欧米エネル子力強円CURAM 英国の合意形 夜の仕組み市民参加の対話の経験・知見や海外の知見を整理・活用教育プログラムの開発 放射線等に関する科学的情報の提供と検討 リスク認知・受容要因の分析 社会心理学的アプロによる検討 ☆日本型合意形成モデルの設計みんなで共に考えていく模索・検討日本型合意形成モデルの構築に関する政策提言理解から具体的行語に至る対話持続可能な地域共生長期的な受容
図1 研究目的と手法
研究課題の相互関係教育プログラムの開発・一般公衆 合意形成の・学校教育 ための教育放射線影響・リスクに関する信頼性の高い (日本特有し合意のための科学情報の提供 の問題世代を考慮した育手法 「日本型合意形成モデル、 のN?RS 合意形成モデル設計。SAITO リスク認知・受容要因分析合意プロセス の明確化情報によりどのようにリスク が認されていくかの解析図2 研究課題の相互関係 度設計に資する合意形成モデルを設計・開発・検証する。本研究は、「制度設計のためのモデル」と「教育プ ログラム」の組み合わせによって日本型の高レベル 放射性廃棄物処分地選定の事業開始準備から埋設処 分完了まで長期に及ぶ処分事業への「合意形成」の ための総合的なグランドデザインを構築することに より、原子力に対する信頼醸成のための社会学的ア プローチのモデルケースとして研究を進めていくも のである。これらの取り組みを基礎として、本研究において は「強い負のイメージ」から「合意形成」そして「新 しい地域共生へ」と「みんなで共に考えていく」政 策へ転換していくための合意形成モデルのあり方を 構築していこうというものである。3. これまでの研究成果「教育プログラム」の開発においては、一般公衆 が放射性廃棄物処分に関する問題についても能動的 にどうすべきかを考える機会を設けることが重要で あると考え、スイス ITC が開発したロールプレイン グゲームを電子デバイスで構築し、ゲーム感覚で取 り組めるツールを開発し、大学生を対象にその効果 と課題について検討した。また、学校教育において HLW地層処分選定に関して社会的に合意を形成していくため には、何を考えていくべきかを明らかにする必要がある次世代層への教育や 長期にわたる→一般公衆の科学リテラシ静岡大学Gと、カッシーの向上・健康リスク」放射線等に関する科学的情報の提供とリスト バースク認知・受容要因分析放医研GNIRS合意形成のプロセス社会心理学的アプロー チによる検討を加味し た、社会的に受容でき る公平・透明性のある 市民参加手続き関東学院大学→鹿児島大学 関東学院大学、富士常葉 大学、鹿児島大学、京都大 学、福井大学、大阪大学、 日本原子力研究開発機構、関西電力図3 課題と各研究機関の役割はイギリスの放射性廃棄物に関するデジタルコンテ ンツを活用し、日本の中学校で活用することにより ディベート、意思決定などのスキル育成に有効であ ることが試行的な実践の結果示された。「制度設計のためのモデル」においてはリスク関 連情報の調査・収集を実施し、合意形成に影響を与 える高レベル放射性廃棄物に関する様々なリスクの 認知・受容に係わる要因について分析し、リスク要 因抽出した。ダイヤログセミナーを実施し、テキス トマイニング法によるメッセージ分析を試み、キー ワードとなる構成要素の出現頻度などの情報を得た。 さらに、日本型合意形成モデル構築の設計では、「日 本型合意形成」に至る社会背景、「地域」の背景につ いて、以下の項目に着目し情報を取りまとめた。ア クションプランとしては2つの方向、つまり、制度 や政策に関する領域と個別のコミュニケーションに 帰結される領域があると考えられ、「マクロな場」と 「ミクロな場」と分類できた。本研究で構築する日 本型合意形成モデルは、これら二つの場、そしてそ の接続をデザインすることにあると考えられる。こ れらを詳細に検討した結果、日本の場合は、理性よ りも感性、個よりも集団(地域)という側面がある ため、「場の長」を巻き込んだ感性指向の形態を取る べきであることが示唆された。 *今後、これらの結果に基づいてワークショップを 開催し、モデルの有効性を検証するとともに、「合意 形成」のための総合的なグランドデザインを提案し ていく予定である。こよる4.まとめ本研究プロジェクトは、高レベル放射性廃棄物の 処分問題について、これまでの我が国の制度設計に 資する合意形成モデルを検証するとともに、市民を 含めて本問題を協同して解決策を考えていく、とい う、「みんなで共に考えていく」新しい合意形成モデ コレを構築していこうとする試みであり、本学会委員 のみならず、広く日本国民全体からの賛否を交えた コメントをいただき、より良いモデル案を提示して いきたい。本研究は、文部科学省原子力基礎基盤戦略研究イ ニシアティブにより実施された「HLW地層処分地 選定に関する日本型合意形成モデルの構築」の成果である。-8“ “HLW地層処分地選定に関する日本型合意形成モデルの構築“ “興 直孝,Naotaka OKI
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