東海再処理施設における海中放出管からの漏えいについて 1 - 海中放出管漏えい箇所の復旧-

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カテゴリ: 第8回
1.緒言
に確認された東海再処理施設の海 漏えいは、漏えい箇所が海底埋設 、この漏えい箇所を切断・回収し た。その結果、漏えい原因は外部 傷箇所に経年変化として水素脆性 より漏えいに至ったと推定した。 た漏えい箇所は、原因究明を終え った。復旧に際しては、復旧配管 中での施工性を考慮した方法の検 、既設配管との接続をメカニカル 行う方法を採用し、また、腐食防 防食を行えるようにした。なお、 発生した東北地方太平洋沖地震に 影響の有無について点検を行い、 を確認した。に適合した設計とする。 2漏れがたい構造とし、最高使用圧力、土圧、水圧に耐えうる材料を用いる。 3施工性と今後の保守性を考慮する。 1腐食対策として電気防食が継続できるよう、既設配管との電気的導通を図る。(2)施工の考慮事項施工は、漏えい原因究明の結果による対策を講 じることとして以下のことを考慮した。 1施工の際は、既設配管を損傷させない対策を十分確実に行う。 2既設配管との接続を海中で安全かつ確実に施工できる。 3復旧箇所の土砂掘削、埋め戻しは、グラブを使 用せず、潜水士による作業確認ができる方法に より行う。食討を設計する上での考慮 配管の設計及び施工では、以下の2.2 設計に際しての課題漏えい箇所を切断・回収し調査した結果、配管 は図 1 に示すように、漏えい部を頂点として陸側 へ約8度、沖側へ約2度の勾配があった。このた め、復旧配管の設計・製作では、取合いの際、芯 が合うように回収した配管と同様な勾配を設ける項 の設計及び工事の方法の技術基準
伴う放出管への影響の有無について点検を行い、 異常がないことを確認した。 復旧方法の検討 1復旧の配管を設計する上での考慮 復旧に用いる配管の設計及び施工では、以下の ことを考慮した。 (1)設計の考慮事項 1再処理施設の設計及び工事の方法の技術基準連絡先:青木 賢二 319-1194 茨城県那珂郡東海村村松 4-33、東海研究開発センター 核燃料サイクル工学研究所 再処理技術開発センター 施設管理部 施設保全第2課 -1 電話: 029-282-1111、e-mail:aoki.kenji @jaea.go.jp
1施工の際は、既設配管を損傷させない対策を! - 分確実に行う。 2既設配管との接続を海中で安全かつ確実に施工できる。 3復旧箇所の土砂掘削、埋め戻しは、グラブを使 用せず、潜水士による作業確認ができる方法により行う。 - 147 -ハウジング形管継手海中放出管 (既設配管)図2 ハウジング形管継手の構造図は各方式を調査した結果、ハウジング形管継手を 用いることにした。以下にハウジング形管継手と スリーブ形伸縮管継手の特長を示す。 (1) ハウジング形管継手の特長接続端両端部に特殊形状のゴムリングをは め込み、その上からハウジングをかぶせ、ボ ルト・ナットで締付ける接続方式である。シ ールはゴムリングで行い、ハウジングで押さ えつける様にする。取付けボルト 2本で装着 するため、海中での作業が容易であることが 特長である。また、配管の内圧や曲げに対して図に示すようにシール性が保持できるよう 用いることにした。以下にハウジング形管継手と スリーブ形伸縮管継手の特長を示す。 (1) ハウジング形管継手の特長接続端両端部に特殊形状のゴムリングをは め込み、その上からハウジングをかぶせ、ボ ルト・ナットで締付ける接続方式である。シ ールはゴムリングで行い、ハウジングで押さ えつける様にする。取付けボルト2本で装着 するため、海中での作業が容易であることが 特長である。また、配管の内圧や曲げに対し て図に示すようにシール性が保持できるよう にしている。さらに、配管の撓みや伸縮に裕 度がある。なお、ハウジングの抜け防止に配 管に角リングを溶接するが、海中でも溶接す ることができる。海中放出管 (既設配管)図2 ハウジング形管継手の構造図ハウジングゴムリング(2) スリーブ形伸縮継手の特長下図で示すとおり、構造は二重管形式(外 管:スリーブ管、内管:スピゴット管)を採 用した独特の可とう伸縮継手で内管と外管の 口径差を利用して大きな曲げ角と伸縮が吸収 できる。外管と内管との気密は、ハウジング 形管継手と同様にゴムリングをハウジングで 押さえつけることで確保する。二重管形式で あるため、管が自由に回転することにより、 ねじれを吸収することもできる。長さの調整 は、タイボルトの廻止めボルトを調整するこ とで行える。廻止めボルトはスパナ1本で行ギャップゴムリング\角リング 側面?ハウジング形管継手ング形管継手を ング形管継手とす。ゴムリングをは グをかぶせ、ボ 方式である。シ ウジングで押さ レト 2本で装着 易であることが 王や曲げに対し 保持できるよう 読みや伸縮に裕 の抜け防止に配 海中でも溶接す海中放出管 (既設配管)図2 ハウジング形管継手の構造図(2) スリーブ形伸縮継手の特長下図で示すとおり、構造は二重管形式(外 管:スリーブ管、内管: スピゴット管)を採 用した独特の可とう伸縮継手で内管と外管の 口径差を利用して大きな曲げ角と伸縮が吸収 できる。外管と内管との気密は、ハウジング 形管継手と同様にゴムリングをハウジングで 押さえつけることで確保する。二重管形式で あるため、管が自由に回転することにより、 ねじれを吸収することもできる。長さの調整 は、タイボルトの廻止めボルトを調整するこ とで行える。廻止めボルトはスパナ1本で行 えるため、海中での作業性が良い。ゴムリング高さタイボルトスリーブグ・スピゴットパイプllllllllllゴムリングボルトゴムリングハウジング側面図(伸縮量) 65mm65mmHF 10 (曲げ角)図3 スリーブ形伸縮管継手構造図- 149 -ゴムリング角リングハウジングによる気密圧力(圧縮)→負圧負圧による気密圧力(負圧)角リング内圧による気密圧力(内圧)タイボルトスリーブスピゴットパイプゴムリングボルトゴムリングハウジング側面?(伸縮量)65mm65mm1514) 10° (曲げ角)図3 スリーブ形伸縮管継手構造図- 149 -3.5 設計のまとめ - 接続と取合調整の容易さ、シール性から、復旧配 管はハウジング形管継手とスリーブ形管継手を組み 合わせた構成とした。図4にこれら継手を組合せた復旧配管概要図を示 す。5. 復旧作業設計の後、製作を行い、平成 23年4月6日から 復旧作業に着手し、復旧部の海底面の掘削整地を 行い、復旧配管の架台基礎を設置後、既設配管と 復旧配管との接続を2回に分けて海中で実施した 復旧工程は、復旧作業に約4ヶ月(海中で作業ボルトハウジング組手ゴムリング (SBR)つばスリーブ牛線管継手ナット海中出図4 復旧配管概要図4.復旧配管の耐震性 (1)耐震設計上の重要度分類 本設備の耐震重要度分類は、B類※1 として設計した。図5 海中放出管復旧概要図復旧作業手順11 架台底面の土砂を所定の高さに水平に均す。美動 (約40日)※1:B類とは、建築基準法施工令第88条第4項に定める水平震度の1.5倍のもの。 (2)耐震設計の計算 復旧配管の耐震計算は、既設放出管とも埋設配 管となることから、応答変位法により行った。計 算は、復旧配管に生じる応力として、主荷重(内 圧、土圧、水圧) により生じる応力及び従荷重(温 度変化、地震)により生じる応力の合成応力が管 の許容応力以下であることを確認した。また、地 震によって生じる放出管切断部の変位量が、スリ ーブ形伸縮管継手の許容変位量以内であること を確認した。確認した結果を表3に示す。2 沖側及び陸側の既設配管に角リングをすみ肉溶接。雲衝 (約5日)3 支持架台及び基礎を所定の位置に設置。@ 既設配管に復旧配管を取り付け。5 支持架台及び基礎は残置して、海底面まで埋め戻す。雲動 (約2日)6 使用前検査(外観、漏えい試験等)を実施する。笑傲 (約4日)表3 地震により生じる変位量 復旧放出管の変位量 || スリーブ形伸縮管継手この許容変位量 管となることから、応答変位法により行った。計 算は、復旧配管に生じる応力として、主荷重(内 圧、土圧、水圧) により生じる応力及び従荷重(温 度変化、地震)により生じる応力の合成応力が管 の許容応力以下であることを確認した。また、地 震によって生じる放出管切断部の変位量が、スリ ーブ形伸縮管継手の許容変位量以内であること を確認した。確認した結果を表3に示す。 は、復旧配管に生じる応力として、主荷重(内 土圧、水圧) により生じる応力及び従荷重(温 変化、地震)により生じる応力の合成応力が管 干容応力以下であることを確認した。また、地 こよって生じる放出管切断部の変位量が、スリ 一形伸縮管継手の許容変位量以内であること 認した。確認した結果を表3に示す。 表3 地震により生じる変位量スリーブ形伸縮管継手 復旧放出管の変位量の許容変位量 撓み量(U)=30.5 mm | 許容伸縮量=130 mm | 携み角(0) =0.001° | 許容撓み量=10° 復旧作業設計の後、製作を行い、平成 23年4月6日から 復旧作業に着手し、復旧部の海底面の掘削整地を 行い、復旧配管の架台基礎を設置後、既設配管と 復旧配管との接続を2回に分けて海中で実施した。復旧工程は、復旧作業に約4ヶ月(海中で作業 の実働は 50 日、稼働率2は約 36%) を要したが、 このうち、復旧手順に示す角リングの溶接から復 旧配管取付け自体は実働5日で行うことができた。 図5に復旧概要図及び図6に復旧作業手順を示す。復旧工程は、復旧作業に約4ヶ月(海中で作業 の実働は 50 日、稼働率は約 36%) を要したが、 このうち、復旧手順に示す角リングの溶接から復 旧配管取付け自体は実働5日で行うことができた 図5に復旧概要図及び図6に復旧作業手順を示す - ※2 稼働率は、「実際に作業できた日数/期間の総 日数」で表される。配管スリーブは手配管切断 ハウジング管継手ハウジングル単手ハウジング形管期手図6海中放出管復旧手順- 150 - 東北地方太平洋沖地震での海中放出管等への影響 ・ 漏えい部の復旧の矢先、本年3月 11 日に「東北 地方太平洋沖地震」が発生した。このため、既設放出管について点検を行った点 検とともに埋設部(陸域部、海域部)について再処 理施設内で観測された加速度を用いて、地震によ る応力が大きくなる箇所を抽出して掘削し目視点 検を行った。 1 掘削点検箇所は構築物から配管が出た箇所、配 管の曲がりの大きな箇所を代表箇所とし、目視点 検のほか配管の硬さ試験を行った。 上記の結果、変形及びひずみによる硬さの増加-151“ “東海再処理施設における海中放出管からの漏えいについて 1 - 海中放出管漏えい箇所の復旧-“ “青木 賢二,Kenji AOKI,清水 和幸,Kazuyuki SHIMIZU,山本 昌彦,Masahiko YAMAMOTO,檜山 久夫,Hisao HIYAMA,岩﨑 省悟,Shogo IWASAKI
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