フェーズドアレイ UT によるニッケル基合金溶接部の欠陥深さ測定法の開発

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カテゴリ: 第9回
1. 緒言
開発を進めてきた[5]~[9]。前報[7],[8]では、浅いき 裂から深いき裂(対象部位の板厚の 1/2 である 40mm 近年、国内外の加圧水型原子力発電プラントの 程度)の広い範囲を対象とした「欠陥深さ測定要領」 600 系ニッケル基合金溶接部において、一次冷却水 を提案し、EDM ノッチ付与試験体(深さ 5mm~ 環境下での応力腐食割れ(PWSCC)の発生が報告 40mm)に対してその有効性を明らかにした。 され[1]、原子炉容器管台溶接部では、超音波探傷試 しかしながら、SCC き裂に対する深さ測定および 験(UT)により、SCC き裂の深さ測定が困難な事 深さ測定要領の適用性は明らかにされていない。 例が報告された[2]。検出されたき裂は、表面長さが 本報告では、ニッケル基合金溶接部に SCC き裂を 短く巾着状の深いき裂であったため、従来の UTで付与した試験体を用いて、フェーズドアレイ UT を は、深さ測定が困難であったとされている[3]。適用し、き裂深さサイジング性能を明らかにすると 従来、ニッケル基合金溶接部は、溶接金属組織 (柱 ともに、き裂深さ測定要領の有効性についても明ら 状晶組織)の異方性から超音波難探傷材と言われて かにした。さらに、き裂深さ測定における測定誤差 いる。これは、溶接金属組織における超音波の屈曲、 要因を分析し、深さ測定の更なる高精度化について 減衰に加えて、溶接金属組織からの材料ノイズエコ も検討したので、これらの結果について報告する。 ーにより、端部エコーの検出性が低下し、深さ測定 が困難となるためである。2. 試験方法 フェーズドアレイ UT は、探傷条件の最適化、探 傷データの画像化などの特徴を有する技術であり、 2.1 供試体 ニッケル基合金溶接部を対象に、多くの機関で研究 - 試験体は、SCC き裂を付与したニッケル基合金溶 開発が行なわれている[4]。接部試験体であり、試験体の形状、寸法の一例を 著者らは、これらのき裂を高精度に測定する技術 Fig.1 に示す。また、Table 1 に SCC き裂の付与条件を示す。SCC き裂は、突合せ溶接部およびバタリ ング部の溶接線直交方向に付与されており、目標深さは3~40mm である。
2. 試験方法2.1 供試体、 1 試験体は、SCC き裂を付与したニッケル基合金溶 接部試験体であり、試験体の形状、寸法の一例を Fig.1 に示す。また、Table 1 に SCC き裂の付与条 件を示す。SCC き裂は、突合せ溶接部およびバタリ ング部の溶接線直交方向に付与されており、目標深 さは3~40mm である。2312.2 試験方法 - 試験に用いた探傷装置は、フェーズドアレイ UT 装置(DYNARAY 256/256 : Zetec社製)である。用いたアレイ探触子は3種類で、仕様および適用 対象を Table 2 に示す。表より、Oは、略号 2L(10) で浅い欠陥探傷用、2は、略号 2L(20)で中程度深さ の欠陥探傷用、3は、2 個のマトリクスアレイ探触 子を配置したピッチキャッチ探傷用探触子で、略号 2MPC で、深い欠陥探傷用として選定した。 「試験体の探傷は、直接接触法でX-Y スキャナを用 いた自動 UT で行った。3. き裂深さ測定要領の検証3.1 き裂深さ測定法 - 前報[7],[8]では、ニッケル基合金溶接部のき裂深さ 測定において、板厚の半分程度の大きさ(深さ 40mm 程度)までの欠陥を対象とした深さ測定要領を提案 した。そのフロー図を Fig.3 に示す。 - ステップ 1 では、深さ測定領域を板厚方向に領域 分けして選定した3種類のアレイ探触子を用いて探 傷する。ステップ 2 では、アレイ探触子1の UT デ ータをもとに、探傷画像(C スコープ及び D スコー プ画像)から欠陥情報(欠陥位置、概略長さ等)を 把握する。ステップ 3 では、3種類のアレイ探触子 から欠陥検出の有無を評価し、欠陥深さの大小判別 を行う。ステップ 4では、き裂深さの大小判別から 選定されたアレイ探触子のデータについて詳細解析 を行い、ステップ5で、き裂深さを求める。3.2 き裂深さ測定結果 ・ ニッケル基合金溶接部 SCC き裂付与試験体を用い、Fig.2 に示す欠陥深さ測定要領に従って、深さ測 定を行った。 - き裂深さ測定の代表例として、浅いき裂の場合お よび深いき裂の場合の解析例を以下に記載する。(a)浅いき裂の解析例 - 浅いき裂の解析例を Fig.3 に示す。欠陥深さ測定 要領のステップ 2 において、1小型アレイ探触子 2L(10)の探傷画像を Fig.3 (a)に示す。 C スコープ画 像からき裂は、試験体の中央部近傍に位置し、D ス コープからき裂の概略形状が確認できた。 - 欠陥深さ測定要領のステップ 3 において、3種類 のアレイ探触子の探傷画像 (B スコープ)を Fig.3 (b)に示す。図より、12L(10)および2中型アレイ探触 子 2L(20)のBスコープ画像では、き裂指示が認めら れたが、32 分割型マトリクスアレイ探触子 2MPC のBスコープ画像では、き裂指示が認められなかっ た。この結果から、このき裂は浅いき裂と評価した。 - 次に、欠陥深さ測定要領のステップ 4 では、ステ ップ 3 で浅いき裂と評価したことから、12L(10)お よび22L(20)の UT データをもとに、き裂深さ測定 を行った。き裂深さは、12L(10)の詳細解析により 8.6mm と評価された。このき裂は、破壊調査から深 さ6.2mm のき裂であり、UT による深さは、若干過 大評価(誤差+2.4mm)ではあるが、良好な結果で あった。Carbon steelSCC crackButtering-200Weld metalStainless steel立-500-80Fig.1 Nickel based alloy weld specimen with SCCcracks in weld metal areaTable 1Table 1 SCC crack conditions of nickel alloy weldspecimenAreaDirectionDepth (mm)Length (mm)・Weld metal ・ButteringAxiald%3D3~4010~15Table2 Specification of phased array probesnameSpecificationTarget0Shallow crackType:Linear(Small size)Freg.:2MHZ 2L(10) Mode: LongitudinalElement size:10x0.8mm No. of channels : 64ch Type:Linear(Middle size)Freq.: 2MHZ 2L(20) Mode:LongitudinalElement size:20x0.6mm No,of channels:64ch Type:Dual matrix Freq.: 2MHz Mode: Longitudinal Element size: 3.1x3.1mm No. of channels : 72ch (T/R)Middle crackNPCDeep crack232(b)深いき裂の解析例深いき裂の解析例を Fig.4に示す。 ステップ 2 において、アレイ探触子12L(10)の探 傷画像を、Fig.4 (a) に示す。浅いき裂の場合と同様、 き裂位置およびき裂形状が確認できる。なお、D ス コープ画像からアスペクト比の大きな形状を有して いることが推定できる。ステップ 3 において、3種類のアレイ探触子の探 傷画像(B スコープ)から、き裂の大小判別を行っ た結果を、Fig.4 (b)に示す。図のBスコープ画像か ら、3 種類のアレイ探触子12L(10)、22L(20)およ び32MPC のいずれも、き裂指示が認められたこと から、このき裂は深いき裂と評価した。 - 次に、ステップ 4およびステップ5では、ステッ プ3で深いき裂と評価したことから、アレイ探触子 32MPC の UT データを用いて深さ測定を行った。 その結果、このき裂は深さ 18.3mm と評価され、破 壊調査で求めたき裂深さ 19.4mm と比較すると、若 干過大評価(誤差+1.1mm)ではあるが、極めて良 好な結果であった。対象としたすべての SCC き裂は、前記同様、Fig.2 に示す欠陥深さ測定要領に従って深さ評価を行った。 各き裂に対して左右両方向からのデータを用い、最 終的に深さ評価した探傷画像 (B スコープ)を、Fig.5 に示す。図より、欠陥番号 ACH は、突合せ溶接部 の溶接金属部に付与した SCC き裂であり、欠陥番号 I およびJは、バタリング部に付与した SCC き裂で ある。突合せ溶接部とバタリング部の探傷画像(B スコープ)を比較すると、バタリング部は、突合せ 溶接部に比べて、材料ノイズエコーが顕著に認めら れ、SN 比が低くき裂深さ評価が難しい部位である ことがわかる。 * UT によるき裂深さサイジング精度は、破壊調査 から求めたき裂深さとの比較で評価した。その結果 を Fig.6 に示す。統計的な誤差評価を試みた結果、 誤差平均は-1.78mm、RMS誤差は 2.93mmであり、 き裂深さは、非常に良好な精度で評価された。ニッ ケル基合金溶接部の SCC き裂に対する深さ測定誤 差は、一般に RMS 誤差 5mm 程度とされており、 それに比べて極めて良好であった。以上の結果から、ニッケル基合金溶接部にフェー ズドアレイ UT を適用し、SCC き裂深さを高精度で 評価できたことから、本研究で提案した「欠陥深さ 測定要領」の有効性が検証されたと言える。Step 1Step 2Step 3Step 1Inspection1 Small type array probe (Shallow) 2Middle type array probe (Middle) 3 Dualtype matrix array probe (Deep)Step 2Check of crack information (Crack Position, Crack Length)| sawastopStep 3Evaluation of crack size Discrimination between shallow and deepcrack from inspection images dataEvaluation of rack sizeIndication Probe typeAB ooo 2 |x|olo a lx |x|o.onO: Indication x:NoIndicationShallow crackDeep crackShallow crack Depth analysisDooperack Depth ?nalysisStep 4steptDepth analysisDepth analysisStep 5Depth sizingDepth sizingFig.2 Flowchart of defect depth sizing procedure(a) Step 212L(10)C-scopeDiscopeLengthIndicationproble(b) Step 3B-scope 221(20)12L(10)32MPCラクシーSurfaceSurfaceSurfaceきなんですよIndicationIndicationNo indicationDetection:ODetection:×Detection: Crack size: ShallowFig.3 UT procedure for crack depth sizingin shallow crack(a) Step 212L(10)C-scopeDescopeLengthIndicationProfile(b) Step 3Boscope 22L(20)12L(10)11.32MPCA SurfaceSurfaceSurfaceにいいかな。IndicationIndicationIndicationDetection:O Detection:ODetection:O Crack size : Deep Fig.4 UT procedure for crack depth sizingin deep crack233Flaw:AFlaw:BSurfaceSurfaceシーンTip echoリリLowmwmwvaIRETip echoFlaw:CFlaw:DSurfaceSurfaceがあるたTip echoTip echoFlaw:EFlaw:FSurface.Surface :Tip echoTip echoFiaw:GFlaw:HSurfaceSurfaceimaれるのです。joemusine-OweetTip echoTip echoFRED前Flaw:IFlaw:JSurfaceSurfaceTip echoTip echoFig.5 B-scan images of nickel based alloy weld specimenwith SCC cracks by Phased Array UTAverage error :-1.78 mm RMS error :2.93mmMeasured depth by PAUT (mm)O:Weld metal ●:Buttering10 5 10 15 20 25 30 35 40Actual crack depth (mm) Fig.6 SCC crack depth sizing accuracyby Phased Array UT4. き裂深さ測定の誤差要因分析SCC き裂深さを高精度に測定するためには、深さ 測定における誤差要因を分析し、改善を図ることが 重要である。ここでは、ニッケル基合金溶接部の UT における従来の知見、前述の深さ測定結果などから、 想定される主要な誤差要因を抽出し、深さ測定に及 ぼす影響および測定誤差の低減策について検討した 結果を纏め Table 3に示す。また、き裂深さ測定要 領に係る誤差要因についても検討し Table 4 に纏め た。これらの内容を以下に記述する。4.1 微弱な指示の識別 - ニッケル基合金溶接部の探傷では、溶接金属組織(柱状晶組織)が異方性材料であり、結晶組織によ り超音波の屈曲、減衰が生じ、端部エコーは微弱な 信号となり、結晶組織からの金属組織エコー(ノイ ズエコー)との識別が難しい場合がある。微弱な信号の誤認識には、ノイズエコーをき裂ェ コーと認識し、き裂深さを過大評価する場合、ある いは、き裂エコーをノイズエコーと認識し、き裂深 さを過小評価あるいはき裂なしと評価する場合がある。これらの誤差低減としては、複数条件の探傷デー タをもとに総合的に評価する方法があげられる。4.2 溶接金属組織の影響 - 超音波音速異方性を有する材料では、探傷領域で 音速が異なるため、探傷器上に表示される波形の位 置が実際の位置と異なる位置に表示され、そのため の測定誤差が生じることになる。また、超音波屈曲が生じる場合では、測定された き裂先端部エコーのビーム路程が、実際のき裂先端 位置と異なって測定されるため過大評価となる。これらの誤差低減方法としては、事前に対象部位 である溶接金属部と同等の確認用試験片(対比欠陥 付与)を製作し、探傷屈折角と超音波音速との関係 および探傷屈折角と超音波屈曲程度の関係等を求め、 深さ補正を行う方法がある。4.3 き裂形状の影響 - ニッケル基合金溶接部試験体に付与した SCC き 裂の破面解放試験によるき裂形状写真の一例を、 Fig.7 に示す。図より、き裂は、アスペクト比が大 きく(2 程度:長さ 14.6mm, 深さ 27.5mm) かつ 巾着状の様相を呈し、さらにき裂先端が櫛状に尖っ た形状であることがわかる。き裂形状を詳細にみる と、深さ 23mm 程度までは円弧状に進展し、その後 櫛状に先端が尖った形状(幅 1mm 程度)を呈して いる。このようなき裂の探傷では、上記の円弧状の 深さ位置(23mm 程度)から大きな信号が検出され、 き裂先端部からの微弱な信号を見逃す場合がある。 - き裂先端の微弱な信号を検出するためには、適正 な集束条件の選定を図ること、探傷感度を高くする こと、高出力探触子を用いた探傷を行うこと等、き 裂先端に高出力の超音波を入射させ、端部エコーを 高感度に検出することが重要となる。234また、他のき裂形状に起因する誤差要因としては、 き裂先端部の傾きを有する場合、き裂先端部の開口 幅が狭くて超音波が透過する場合、複数き裂の中央 部に最も深いき裂が存在し、き裂先端部への超音波 入射が困難な場合などがある。 - これらの誤差要因を低減させる方法としては、上 記と同様、き裂先端に高パワーの超音波を入射させ ること、複数方向から探傷すること等が上げられる。 しかしながら、複数き裂の中央部に最も深いき裂が 存在し、き裂先端部への超音波入射が困難の場合、 など UT の限界もある。4.4 溶接欠陥の影響 ・ニッケル基合金溶接部試験体は、SCC 感受性の高 い溶接材料を用いて部分的に補修溶接を行って製作 する場合、補修溶接部の溶接金属部あるいは補修溶 接部の境界等に溶接欠陥が発生することがある。これらの溶接欠陥は、UT で検出され誤認識する 場合があるが、これらの溶接欠陥は、模擬試験体特 有の事象であり実機では対応不要である。実機のUT 検査では、溶接部の開先形状、溶接施工状態を可能 な限り調査し、補修溶接の有無、溶接欠陥の有無な どを把握し、かつ PSI の UT データを確認すること が、誤差要因の低減にとって重要である。Table 3 Main factors of crack depth sizing error深さ評価 ・過大評価 ・過小評価対応策(誤差低減策) ・複数探データからき裂とノイズを識別 ?UTデータの解析・評価の習熟度向上 ・対象部位と同等の確認試験片で補正量 を求め、必要に応じて深さを補正過大/過小評価誤差要因・微弱な指示(材料ノイズ)をき裂と評価 1|微弱な指示の識別・微弱な指示(き裂の指示)をノイズと評価・超音波音速異方性によるき裂指示位置のズレ 2溶接金属組織の影響!・超音波組曲によるき裂指示位置のズレ ・尖ったき裂先端部の検出性が低下 ・き裂先端部の傾きで、先端への超音波が入射困難・き裂先端部の開口幅が狭く、超音波が透過しき裂先 3 き裂形状の影響端部の検出性が低下 ・複数き裂の中央部では、最深き裂先端への超音波が 入射困難」過小薛尚・き裂端部に高パワー超音波を入射(装置、要領の改善・整備)14 溶接欠陥の影響・補修溶接等で発生した溶接欠陥をき裂と誤認識過大醉街・模擬試験体では、特有事象で対応不要 ・実機の場合、施工時の溶接状況を把握23.3mm27.5mmTable 4 Main factors of crack depth sizing error regarding as UT procedure誤差要因深さ評価対応策(誤差低減策)ProfileCrack tip (Sharp)|機材の整備」探傷装置、探触子、走査装置等の機材が不十分のため」過大過小評 適正な探傷が困難・適正な機材を整備 ・要領の改善・整備B|探傷条件の選定| 探傷条件の選定ミスにより、適正条件での探傷が困難。 |過大過小評価 | ・要領の改善・整備Fig.7 SCC crack shapeby destructive test| 解析条件の選定解析条件の選定ミスにより、適正条件での解析が困難過大過小評価・要領の改善・整備DI 検査員の技量技量不足により、微弱な指示を認識過大/過小評価 | CUTデータの解析、評価の習熟度向上4.5 深さ測定要領に係る誤差要因 - き裂深さ測定要領に係る誤差要因としては、 Table4 に示すように、探傷装置、探触子等の機材 の整備不足、探傷条件の選定ミス、解析条件の選定 ミス等があげられる。また検査員の技量不足も考え られる。これらの誤差要因の低減には、要領の改 善・整備、検査員の習熟度の向上が重要である。5. 深さ測定精度向上のための対応ニッケル基合金溶接部の SCC き裂に対する深さ 測定において、前記のき裂深さ測定結果、測定誤差 要因分析結果および従来のニッケル基合金溶接部の UT に関する知見をもとに、き裂深さ測定精度向上 のための対応策について検討し、その結果を Table 5 にまとめた。(1) き裂先端部エコーの検出性向上 き裂先端部からのエコーを高い SN 比で検出する には、高出力の超音波をき裂先端部に入射させ、き 裂先端部からの信号を高感度で検出する方法がある。 この場合は、適用するアレイ探触子の超音波ビーム 集束条件を適正に選定しき裂先端部に入射させるこ と、また高出力超音波探傷装置、高出力超音波探触 子等ハードウェアを適用することなどが必要となる。小評価・要領の改奪・廃備小評価 | .UTデータの解析、評価の習熟度向上235 -(2) き裂とノイズの識別性向上 - き裂先端部からのエコーと材料ノイズエコーの識 別性を向上させるには、複数条件の探傷データから 総合的に評価することが重要である。 Fig.2 の「欠陥 深さ測定要領」では、ステップ2において、き裂の 表面位置、形状、傾き等の情報から、ノイズ信号の 誤認識、き裂信号の見逃し等の低減を図ることを示 した。このように、複数データの解析を行うことが、 き裂とノイズの識別性向上に極めて有効である。(3) 探傷要領の整備・改善上記(1)、(2) で述べたような、き裂深さ測定 精度向上のための改善が行われた場合は、深さ測定 要領に反映させる。(4) 教育・訓練 き裂深さを高精度に測定するためには、検査員に 対して、1対象部位の把握、2UT の習熟等の教育・ 訓練を行い、検査員の技術レベルの維持・向上を図 ることが重要である。4.結言 * ニッケル基合金溶接部 SCC き裂付与試験体に対 して、欠陥開口面側からフェーズドアレイ UT を適 用し、き裂深さサイジング性能および「欠陥深さ測 定要領」の有効性を明らかにした。また、き裂深さ 測定に及ぼす誤差要因を分析し、深さ測定の更なる 高精度化案についても検討した。その知見を以下に 纏める。(1) ニッケ基合金溶接部に付与した SCC き裂に対して、「フェーズドアレイ UT によるき裂深さ測 定要領」に従って深さ評価を行った結果、き裂 深さは、誤差平均-1.78mm、RMS 誤差 2.93mmと良好な精度で評価できた。 (2)上記の結果から、本研究で提案した「欠陥深さ測定要領」の有効性が検証された。 (3) き裂深さ測定に及ぼす測定誤差要因を分析し、深さ測定の更なる高精度化のための対応案を纏めた。 (4) 上記の結果から、ニッケル基合金溶接部の SCCき裂深さ測定に対するフェーズドアレイ UT の 有効性が明らかとなった。Table 5 Improvement items of crack depth sizing accuracy 項目内容「き製先端部エコーの検出性向上」高パワー探傷装體、高パワーアレイ探触子の活用、開発 (SN比向上)・超音波ビームの高集東化(マトリクスアレイ探触子の活用)・適正UT条件によるき裂情報の採取、識別 2き裂とノイズの識別性向上(き裂の表面位置、形状、傾き等) 3 探傷要領の整備、改善・上記改善策の要領への反映、整備 「教育・訓練・実機事例の調査、把握(き裂形態、溶接部施工等〉 ・検査員の習熟度向上参考文献[1] 原子力・安全保安院:加圧水型軽水炉の一次冷却材圧力バウンダリにおける Ni基合金使用部位 に係る検査等について,NISA-163a05-2(2005) [2] 関西電力(株)プレスリリース:大飯発電所3号機の定期検査状況について(原子炉容器Aループ出 一口管台溶接部の傷の原因と対策),(2008.9.26) [3] 西田純一朗他:セーフエンド溶接部に対する UTサイジング手法の高度化,日本保全学会 第6回学術講演会要旨集,pp.236-240, (2009.9) [4] 平澤泰治:原子力プラント用フェーズドアレイ 1. 超音波探傷技術,東芝レビュー, Vol.60, No.10,pp.48, (2005) [5] 平澤泰治,福富広幸:ニッケル基合金溶接部の欠陥深さサイジングに対する超音波探傷法の適 用性評価,電力中央研究所報告,Q09025,(2010.5) [6] 平澤泰治,福富広幸:ニッケル基合金溶接部の欠陥深さサイジングに対するフェーズドアレイ UT 法の適用性評価,日本保全学会 第7回学術講演会要旨集,pp.61-66, (2010.7) [7] 平澤泰治,岡田久雄,福冨広幸:ニッケル基合金溶接部の欠陥深さサイジングに対する超音波 探傷法の適用性評価,電力中央研究所報告,Q10031, (2011.6) [8] 平澤泰治、岡田久雄,福冨広幸:ニッケル基合金溶接部の欠陥深さサイジングに対するフェー ズドアレイ UT 法の適用性評価,日本保全学会第8回学術講演会要旨集,pp.17-22, (2011.10) [9] 平澤泰治,岡田久雄,福冨広幸:ニッケル基合金溶接部の欠陥深さサイジングに対する超音波 探傷法の適用性評価、電力中央研究所報告, Q11011,(2012.5)236、“ “フェーズドアレイ UT によるニッケル基合金溶接部の欠陥深さ測定法の開発 “ “平澤 泰治,Taiji HIRASAWA,岡田 久雄,Hisao OKADA,福冨 広幸,Hiroyuki FUKUTOMI
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