浜岡原子力発電所5号機 塩分除去装置によるプラント系統水の浄化について
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カテゴリ: 第9回
2. 海水浸入状況
浜岡原子力発電所 5 号機は、2011年5月14日の原 2.1 海水浸入範囲 子炉停止過程において、復水器細管が損傷した。その復水器細管損傷により海水が浸入した範囲を Fig.1 結果、大量の海水が復水器ホットウェルに流入しプラに示す。 ント系統内全体に亘り海水が浸入した。12 復水器細管が損傷し細管内の海水が復水器ホットウ - 海水は高濃度の塩化物イオンを含有しており、機器ェルに流入した。その後、復水系(復水器ホットウェ 等への腐食影響が懸念されるため、系統水の塩化物イル~復水ブースタポンプ)に浸入した系統水は、初期 オン濃度を低減させる必要があった。段階では復水脱塩装置にて水中の不純物(主に塩化物 この塩化物イオン濃度の高い系統水を、既設の廃棄イオン)を除去できていたが、時間経過とともに除去 物処理設備で処理できるようにするため、前処理設備することができる容量を超え、海水を含んだ水が給水 として塩分除去装置を設置することとした。塩分除去系(復水ブースタポンプ~原子炉圧力容器)や復水ブ 装置は廃棄物設備として工事計画届出を行い、2011年 ースタポンプ入口配管につながる制御棒駆動系を通じ 12 月から設置工事を着手し、2012 年5月に設置が完了て、原子炉系機器に浸入した。 した。同設備は6月から浄化運転の予定である。本報告では、塩分除去装置によるプラント系統水の 浄化計画概要について述べる。2.グランドチーム
2. 海水浸入状況 2.1 海水浸入範囲 - 復水器細管損傷により海水が浸入した範囲を Fig.1 に示す。復水器細管が損傷し細管内の海水が復水器ホットウ ェルに流入した。その後、復水系(復水器ホットウェ ル~復水ブースタポンプ)に浸入した系統水は、初期 段階では復水脱塩装置にて水中の不純物(主に塩化物 イオン)を除去できていたが、時間経過とともに除去 することができる容量を超え、海水を含んだ水が給水 系(復水ブースタポンプ~原子炉圧力容器)や復水ブ ースタポンプ入口配管につながる制御棒駆動系を通じ て、原子炉系機器に浸入した。一時よりラウFAIRH高いです「おーとかかないリンカー(FEFig.1Seawater invaded in the wide area of the plant3202.2 現状の塩分濃度分布 - 海水が浸入したプラント系統水については、塩化物 イオン濃度に応じて計画的に浄化をおこなった。 - 比較的塩化物イオン濃度が低かった原子炉系は、脱」 塩水による希釈、既設浄化系による浄化を実施した。復水給水系のうち給水系については、復水器ホット ウェルへ系統水の移送を行ったのち、脱塩水置換を実 施した。 * 復水系については未だ塩化物イオン濃度が高い系統 水を保有したままである。現状の系統水の浄化状況と塩化物イオン濃度分布を Table.1 に示す。NoTable.1 Salinity distribution in the plant塩化物イオン | 系統 浄化状況濃度(ppm) 原子炉圧力容器、 余熱除去系及び| 浄化運転中 約0.002 原子炉冷却材浄化系 |2 |制御棒駆動機構 | 脱塩水置換 | 約 0.02 3|復水器ホットウ未実施 約9700復水系 5|給水系未実施 約6000 脱塩水置換 | 約653.塩分除去装置の概要3.1 処理計画 高濃度の塩分が含まれる復水器ホットウェル、復水 給水系の系統水は、多量の貯水が可能な復水器ホット ウェルに一度貯留したあと塩分除去装置へ移送し、既 設の廃棄物処理設備で処理することが可能な塩分濃度 まで浄化する計画とした。 処理対象水 ・系統水の総量:約 1825m2 ・系統水塩分濃度 : 1.27%TDS ・系統水の放射性物質濃度:約 0.07Bq/cm'浄化された水は液体廃棄物処理系で処理するものと し、濃縮水は、蒸発固化容器にて蒸発乾固し塩塊化す る。 * 塩分除去の方式としては、海水淡水化装置として産 業分野で広く使用され実績のある逆浸透膜装置を採用し、濃縮水を塩塊化する方式については、廃液処理設 備として実績のある蒸発装置を採用する事にした。逆浸透膜装置と蒸発装置からなる塩分除去装置によ る浄化システムを Fig.2 に示す。塩分除去装型水回収 タンク低電導度 サンプタンク系統水逆浸透膜装置液体廃棄物処理 (低電導度原液系)復水器麦?水PASSessoreで冷却水水タービン機器冷却系固体廃棄物処理系蒸発装置所内基気系柱固体商店) ドラム缶(約260本)所内幕気系(戻り)wwタービン機器冷却系(戻り) TwitterFig.2System configuration of desalination3. 2 塩分除去装置の構成と仕様 (1)逆浸透膜装置 a.構成 逆浸透膜装置の構成を Fig.3 に、高濃度 RO ユニット、 電気透析装置の写真を Fig.4 に示す。逆浸透膜装置は、海水成分を含んだ系統水を逆浸透膜 (以下 RO)処理により塩分を除去し、低電導度廃液サ ンプタンク (LCW サンプタンク)へ移送する。RO で 処理した脱塩水は低電導度廃液系で処理することから、 塩分濃度は 20ppmTDS 以下まで低減する必要があるた め RO は高濃度 RO ユニットと低濃度 RO ユニットの2 段構成としている。RO ユニットで処理された濃縮水は 仮受タンクに戻る。仮受タンクでは、ろ過処理された系 統水やROの濃縮水を仮受し塩分濃度を一定に保つこと により後段の電気透析装置(以下ED)の安定運転を可 能にしている。 * 仮受タンクからの濃縮水は、イオン交換膜を並べた 電気透析装置でさらに濃縮することで廃液量を低減し ている。321水タンク 原水移送ポンプより原液タンクフィルタ高度用R01度消RO ユニット仮受タンク低電導度系へバッグフィルタドラム缶透析ED)(水).....絶装へFig.3 Configuration of RO““ /ED““2 system *1 RO Reverse Osmosis membrane *2 ED Electro Dialysis電気透析装置 (Electro Dialysis device)高濃度用ROユニット (High concentration RO Unit)Fig.4 High Concentration RO Unit & ED device3m/hb. 主要仕様 逆浸透膜装置の主要仕様を Table.2 に示す。Table.2 RO/ED system specification 項目仕様 装置入口流量 RO ユニット流量25.2 m2/h/ 4.2 m/h (高濃度/低濃度) EDユニット流量1.1 m/h 脱塩水濃度(低濃度 RO 出口) 20ppmTDS 以下 濃縮水濃度(ED 出口)8%TDS(2)蒸発装置 a.構成 蒸発装置の構成を Fig.4 に示す。 蒸発装置は、濃縮水を蒸気室下部に取り付けた加熱 管を内蔵した蒸発固化容器に導入し蒸気で加熱し水 分を蒸発させ塩塊を作製する。塩塊作製後の蒸発固 化容器は、容器ごとドラム缶に詰め一時保管した後、 固体廃棄物として処理する予定である。 蒸発過程で安定して塩塊が生成できるように、前処理として濃縮水の水質調整を行っている。 塩塊作製過程で発生した蒸気は、凝縮器で水に戻さ れ、その凝縮水は水質を確認し低電導度廃液系で処 理するようにしている。消泡剤 苛性ソーダ逆浸透膜、 装置より調整?波 供給タンク廖液調整 タンク調整亮液 移送ポンプドラム缶 (濃縮水)気処理設備11~HVAC系TDヘッドポット(A)~(E)凝縮器冷却水 (TCCW)| 蒸気室 | (A)~(6)凝縮水 ー移送ポンプTEL低電導度廃液系へ所内蒸氣蒸?固縮水貯留 タンクドラム缶 (塩境)Fig.5Configuration of Evaporative solidificationsystemb. 主要仕様 蒸発装置の主要仕様を Table.3 に示す。Table.3 Evaporative solidification systemspecification様項目仕 | 蒸発器(蒸気室+固化容器) 5缶 濃縮水?理量6m/1工程 固化容器1個当りの塩塊重量 100kg(3)設置場所 * 逆浸透膜装置、蒸発装置を集中配置するスペース確 保が可能なこと、および設置作業の利便性からタービ ン建屋3階面に設置することにした。3.3 許認可適合設計 * 塩分除去装置は、廃棄設備として工事計画届出の必 要性があった。そのため、以下の対応を実施した。 (1) 適合性確認内容 逆浸透膜装置は、海水淡水化装置として国内外で十 分な使用実績がある一般産業品を採用したが、耐海水 性材料である強化プラスチック、ポリエチレン、塩化322ビニル等が使用されており、発電用原子力設備に関す る技術基準を定める省令に定められた基準によれない ことから、特殊設計施設認可申請を行い以下の適合性 確認を実施した。 a. 材料適合性 使用材料が日本工業規格(JIS)、米国機械学会 (ASME) 規格等で規定され、同装置の使用条件での 強度を有することを確認した。 b. 構造及び強度確認樹脂製の円筒形容器、開放タンクなどは、発電用 原子力設備規格設計・建設規格(以下「JSME 規格」 という)で規定された強度評価手法により十分な厚 さを有していることの確認をおこなった。JSME 規格計算によれない角型開放タンク、高濃度」 /低濃度 RO ユニットなどは、耐圧漏えい検査を行い 強度上問題ないことを確認した。以上のいずれの手法で評価できない塩化ビニル管 などは、設備の最高使用圧力が JIS や製品カタログ等 に示されている設計圧力を超えない範囲で使用され ることを確認した。 c. 漏えい監視の強化 塩分除去装置エリア堰内に複数の監視カメラ、漏え い検知器及び出力モニタからなる漏えい監視システ ムを設置した。この出力モニタを現場と中央制御室 で監視することにより、漏えい箇所の早期把握およ び隔離措置が可能となり、漏えい拡大防止を図って いる。3.4 材料検査における確認結果 - 塩分除去装置を構成する機器に採用したような一 般産業品の製作にあっては、機器メーカーでの品質 マネジメントシステムの下に材料管理は行われてい る。しかしながら、原子力発電所に供給される材料 としては、材料証明書と現品の識別表示など使用材 料の管理が十分でないものがあった。これらについては以下の確認方法を追加して行い、 使用材料の検証を実施した。 (1) トレース確認 機器メーカーの材料発注伝票まで遡り、準備された ミルシートが当該部材のものであることを確認した。 特に、複合材料である樹脂製品については、各素材 の材料証明書の内容が適用規格に適合していること 材料調達のトレース、及び品質管理についてメーカーの管理状況の確認を行った。 (2)冶金調査 ・識別表示管理していない部材について、硬さ試験、 化学成分分析をおこないミルシートと使用材料との 比較調査を実施した。 * 硬さ試験では、硬さ測定結果から引張強さを換算し ミルシートのデータと比較することで使用材料との 照合を実施した。化学成分分析は、PMI(Positive Material Identification) 試験あるいは、切紛採取による成分分析を行い、分 析結果とミルシートとを照合することで、使用材料 の照合を実施した。3.5 試運転結果実液による逆浸透膜装置の試運転結果を Table.4 に、 同装置で濃縮された廃液を蒸発固化した結果を Table.5 にそれぞれ示す。Fig.6 に、塩塊作製前後の蒸 発固化容器内部写真を示す。海水が浸入したプラント系統水を液体廃棄物処理 系で処理可能であることを確認した。また、濃縮水 は、塩塊化し固体廃棄物処理系で処理可能であるこ とを確認した。Table.4 Performance test result of RO/ED system 確認項目設計目標 試運転結果 脱塩水濃度20ppmTDS 以下 |13~15ppm (低濃度 RO出口) 濃縮水濃度8%TDS8~9%TDS (ED 出口)Table.5 Performance test result of Evaporativesolidification system 確認項目 設計目標試運転結果 塩塊重量100kg/1個 | 114~117kg/1個 如理時間36時間以内 | 27~28時間 | (1工程当り)323スを蒸発固化容器(塩塊作製前)蒸発固化容器(塩塊作製後)Fig.6Solidification container before and aftersolidified salt generation3.6 海水浸入水浄化運転計画 プラント系統水の浄化計画を Table.6に示す。 海水浸入したプラント系統水は復水器に移送・貯留 した後、塩分除去装置にて塩化物イオンを除去する。 塩分除去装置の運転は4ヶ月程度を予定している。Table 6 Schedule of purification which invadedseawater to plant 年月2012年度 項目||5|6|7|8|9 | 10 11 121 2 塩分除去装置設置工/3塩分除去運転塩分除去装置運転 (脱塩水置換含む)フラッシング機器点検・準備フラッシング運転系統フラッシング水抜き保管 機器点検点検4. 結言塩分除去装置による復水器細管損傷により海水浸 入したプラント系統水の浄化概要について紹介した。 逆浸透膜装置と蒸発装置からなる塩分除去装置は、 一般産業界で実績のある装置をベースに原子力許認 可適用設計を図ることで使用前検査を受け、また試 運転結果からは所期の性能を発揮することを確認し た。(平成 24年6月6日)324“ “浜岡原子力発電所5号機 塩分除去装置によるプラント系統水の浄化について“ “堀内 秀晃,Hideaki HORIUCHI,高柳 省治,Shouji TAKAYANAGI,寺井 啓祐,Keisuke TERAI,根本 清司,Seiji NEMOTO
浜岡原子力発電所 5 号機は、2011年5月14日の原 2.1 海水浸入範囲 子炉停止過程において、復水器細管が損傷した。その復水器細管損傷により海水が浸入した範囲を Fig.1 結果、大量の海水が復水器ホットウェルに流入しプラに示す。 ント系統内全体に亘り海水が浸入した。12 復水器細管が損傷し細管内の海水が復水器ホットウ - 海水は高濃度の塩化物イオンを含有しており、機器ェルに流入した。その後、復水系(復水器ホットウェ 等への腐食影響が懸念されるため、系統水の塩化物イル~復水ブースタポンプ)に浸入した系統水は、初期 オン濃度を低減させる必要があった。段階では復水脱塩装置にて水中の不純物(主に塩化物 この塩化物イオン濃度の高い系統水を、既設の廃棄イオン)を除去できていたが、時間経過とともに除去 物処理設備で処理できるようにするため、前処理設備することができる容量を超え、海水を含んだ水が給水 として塩分除去装置を設置することとした。塩分除去系(復水ブースタポンプ~原子炉圧力容器)や復水ブ 装置は廃棄物設備として工事計画届出を行い、2011年 ースタポンプ入口配管につながる制御棒駆動系を通じ 12 月から設置工事を着手し、2012 年5月に設置が完了て、原子炉系機器に浸入した。 した。同設備は6月から浄化運転の予定である。本報告では、塩分除去装置によるプラント系統水の 浄化計画概要について述べる。2.グランドチーム
2. 海水浸入状況 2.1 海水浸入範囲 - 復水器細管損傷により海水が浸入した範囲を Fig.1 に示す。復水器細管が損傷し細管内の海水が復水器ホットウ ェルに流入した。その後、復水系(復水器ホットウェ ル~復水ブースタポンプ)に浸入した系統水は、初期 段階では復水脱塩装置にて水中の不純物(主に塩化物 イオン)を除去できていたが、時間経過とともに除去 することができる容量を超え、海水を含んだ水が給水 系(復水ブースタポンプ~原子炉圧力容器)や復水ブ ースタポンプ入口配管につながる制御棒駆動系を通じ て、原子炉系機器に浸入した。一時よりラウFAIRH高いです「おーとかかないリンカー(FEFig.1Seawater invaded in the wide area of the plant3202.2 現状の塩分濃度分布 - 海水が浸入したプラント系統水については、塩化物 イオン濃度に応じて計画的に浄化をおこなった。 - 比較的塩化物イオン濃度が低かった原子炉系は、脱」 塩水による希釈、既設浄化系による浄化を実施した。復水給水系のうち給水系については、復水器ホット ウェルへ系統水の移送を行ったのち、脱塩水置換を実 施した。 * 復水系については未だ塩化物イオン濃度が高い系統 水を保有したままである。現状の系統水の浄化状況と塩化物イオン濃度分布を Table.1 に示す。NoTable.1 Salinity distribution in the plant塩化物イオン | 系統 浄化状況濃度(ppm) 原子炉圧力容器、 余熱除去系及び| 浄化運転中 約0.002 原子炉冷却材浄化系 |2 |制御棒駆動機構 | 脱塩水置換 | 約 0.02 3|復水器ホットウ未実施 約9700復水系 5|給水系未実施 約6000 脱塩水置換 | 約653.塩分除去装置の概要3.1 処理計画 高濃度の塩分が含まれる復水器ホットウェル、復水 給水系の系統水は、多量の貯水が可能な復水器ホット ウェルに一度貯留したあと塩分除去装置へ移送し、既 設の廃棄物処理設備で処理することが可能な塩分濃度 まで浄化する計画とした。 処理対象水 ・系統水の総量:約 1825m2 ・系統水塩分濃度 : 1.27%TDS ・系統水の放射性物質濃度:約 0.07Bq/cm'浄化された水は液体廃棄物処理系で処理するものと し、濃縮水は、蒸発固化容器にて蒸発乾固し塩塊化す る。 * 塩分除去の方式としては、海水淡水化装置として産 業分野で広く使用され実績のある逆浸透膜装置を採用し、濃縮水を塩塊化する方式については、廃液処理設 備として実績のある蒸発装置を採用する事にした。逆浸透膜装置と蒸発装置からなる塩分除去装置によ る浄化システムを Fig.2 に示す。塩分除去装型水回収 タンク低電導度 サンプタンク系統水逆浸透膜装置液体廃棄物処理 (低電導度原液系)復水器麦?水PASSessoreで冷却水水タービン機器冷却系固体廃棄物処理系蒸発装置所内基気系柱固体商店) ドラム缶(約260本)所内幕気系(戻り)wwタービン機器冷却系(戻り) TwitterFig.2System configuration of desalination3. 2 塩分除去装置の構成と仕様 (1)逆浸透膜装置 a.構成 逆浸透膜装置の構成を Fig.3 に、高濃度 RO ユニット、 電気透析装置の写真を Fig.4 に示す。逆浸透膜装置は、海水成分を含んだ系統水を逆浸透膜 (以下 RO)処理により塩分を除去し、低電導度廃液サ ンプタンク (LCW サンプタンク)へ移送する。RO で 処理した脱塩水は低電導度廃液系で処理することから、 塩分濃度は 20ppmTDS 以下まで低減する必要があるた め RO は高濃度 RO ユニットと低濃度 RO ユニットの2 段構成としている。RO ユニットで処理された濃縮水は 仮受タンクに戻る。仮受タンクでは、ろ過処理された系 統水やROの濃縮水を仮受し塩分濃度を一定に保つこと により後段の電気透析装置(以下ED)の安定運転を可 能にしている。 * 仮受タンクからの濃縮水は、イオン交換膜を並べた 電気透析装置でさらに濃縮することで廃液量を低減し ている。321水タンク 原水移送ポンプより原液タンクフィルタ高度用R01度消RO ユニット仮受タンク低電導度系へバッグフィルタドラム缶透析ED)(水).....絶装へFig.3 Configuration of RO““ /ED““2 system *1 RO Reverse Osmosis membrane *2 ED Electro Dialysis電気透析装置 (Electro Dialysis device)高濃度用ROユニット (High concentration RO Unit)Fig.4 High Concentration RO Unit & ED device3m/hb. 主要仕様 逆浸透膜装置の主要仕様を Table.2 に示す。Table.2 RO/ED system specification 項目仕様 装置入口流量 RO ユニット流量25.2 m2/h/ 4.2 m/h (高濃度/低濃度) EDユニット流量1.1 m/h 脱塩水濃度(低濃度 RO 出口) 20ppmTDS 以下 濃縮水濃度(ED 出口)8%TDS(2)蒸発装置 a.構成 蒸発装置の構成を Fig.4 に示す。 蒸発装置は、濃縮水を蒸気室下部に取り付けた加熱 管を内蔵した蒸発固化容器に導入し蒸気で加熱し水 分を蒸発させ塩塊を作製する。塩塊作製後の蒸発固 化容器は、容器ごとドラム缶に詰め一時保管した後、 固体廃棄物として処理する予定である。 蒸発過程で安定して塩塊が生成できるように、前処理として濃縮水の水質調整を行っている。 塩塊作製過程で発生した蒸気は、凝縮器で水に戻さ れ、その凝縮水は水質を確認し低電導度廃液系で処 理するようにしている。消泡剤 苛性ソーダ逆浸透膜、 装置より調整?波 供給タンク廖液調整 タンク調整亮液 移送ポンプドラム缶 (濃縮水)気処理設備11~HVAC系TDヘッドポット(A)~(E)凝縮器冷却水 (TCCW)| 蒸気室 | (A)~(6)凝縮水 ー移送ポンプTEL低電導度廃液系へ所内蒸氣蒸?固縮水貯留 タンクドラム缶 (塩境)Fig.5Configuration of Evaporative solidificationsystemb. 主要仕様 蒸発装置の主要仕様を Table.3 に示す。Table.3 Evaporative solidification systemspecification様項目仕 | 蒸発器(蒸気室+固化容器) 5缶 濃縮水?理量6m/1工程 固化容器1個当りの塩塊重量 100kg(3)設置場所 * 逆浸透膜装置、蒸発装置を集中配置するスペース確 保が可能なこと、および設置作業の利便性からタービ ン建屋3階面に設置することにした。3.3 許認可適合設計 * 塩分除去装置は、廃棄設備として工事計画届出の必 要性があった。そのため、以下の対応を実施した。 (1) 適合性確認内容 逆浸透膜装置は、海水淡水化装置として国内外で十 分な使用実績がある一般産業品を採用したが、耐海水 性材料である強化プラスチック、ポリエチレン、塩化322ビニル等が使用されており、発電用原子力設備に関す る技術基準を定める省令に定められた基準によれない ことから、特殊設計施設認可申請を行い以下の適合性 確認を実施した。 a. 材料適合性 使用材料が日本工業規格(JIS)、米国機械学会 (ASME) 規格等で規定され、同装置の使用条件での 強度を有することを確認した。 b. 構造及び強度確認樹脂製の円筒形容器、開放タンクなどは、発電用 原子力設備規格設計・建設規格(以下「JSME 規格」 という)で規定された強度評価手法により十分な厚 さを有していることの確認をおこなった。JSME 規格計算によれない角型開放タンク、高濃度」 /低濃度 RO ユニットなどは、耐圧漏えい検査を行い 強度上問題ないことを確認した。以上のいずれの手法で評価できない塩化ビニル管 などは、設備の最高使用圧力が JIS や製品カタログ等 に示されている設計圧力を超えない範囲で使用され ることを確認した。 c. 漏えい監視の強化 塩分除去装置エリア堰内に複数の監視カメラ、漏え い検知器及び出力モニタからなる漏えい監視システ ムを設置した。この出力モニタを現場と中央制御室 で監視することにより、漏えい箇所の早期把握およ び隔離措置が可能となり、漏えい拡大防止を図って いる。3.4 材料検査における確認結果 - 塩分除去装置を構成する機器に採用したような一 般産業品の製作にあっては、機器メーカーでの品質 マネジメントシステムの下に材料管理は行われてい る。しかしながら、原子力発電所に供給される材料 としては、材料証明書と現品の識別表示など使用材 料の管理が十分でないものがあった。これらについては以下の確認方法を追加して行い、 使用材料の検証を実施した。 (1) トレース確認 機器メーカーの材料発注伝票まで遡り、準備された ミルシートが当該部材のものであることを確認した。 特に、複合材料である樹脂製品については、各素材 の材料証明書の内容が適用規格に適合していること 材料調達のトレース、及び品質管理についてメーカーの管理状況の確認を行った。 (2)冶金調査 ・識別表示管理していない部材について、硬さ試験、 化学成分分析をおこないミルシートと使用材料との 比較調査を実施した。 * 硬さ試験では、硬さ測定結果から引張強さを換算し ミルシートのデータと比較することで使用材料との 照合を実施した。化学成分分析は、PMI(Positive Material Identification) 試験あるいは、切紛採取による成分分析を行い、分 析結果とミルシートとを照合することで、使用材料 の照合を実施した。3.5 試運転結果実液による逆浸透膜装置の試運転結果を Table.4 に、 同装置で濃縮された廃液を蒸発固化した結果を Table.5 にそれぞれ示す。Fig.6 に、塩塊作製前後の蒸 発固化容器内部写真を示す。海水が浸入したプラント系統水を液体廃棄物処理 系で処理可能であることを確認した。また、濃縮水 は、塩塊化し固体廃棄物処理系で処理可能であるこ とを確認した。Table.4 Performance test result of RO/ED system 確認項目設計目標 試運転結果 脱塩水濃度20ppmTDS 以下 |13~15ppm (低濃度 RO出口) 濃縮水濃度8%TDS8~9%TDS (ED 出口)Table.5 Performance test result of Evaporativesolidification system 確認項目 設計目標試運転結果 塩塊重量100kg/1個 | 114~117kg/1個 如理時間36時間以内 | 27~28時間 | (1工程当り)323スを蒸発固化容器(塩塊作製前)蒸発固化容器(塩塊作製後)Fig.6Solidification container before and aftersolidified salt generation3.6 海水浸入水浄化運転計画 プラント系統水の浄化計画を Table.6に示す。 海水浸入したプラント系統水は復水器に移送・貯留 した後、塩分除去装置にて塩化物イオンを除去する。 塩分除去装置の運転は4ヶ月程度を予定している。Table 6 Schedule of purification which invadedseawater to plant 年月2012年度 項目||5|6|7|8|9 | 10 11 121 2 塩分除去装置設置工/3塩分除去運転塩分除去装置運転 (脱塩水置換含む)フラッシング機器点検・準備フラッシング運転系統フラッシング水抜き保管 機器点検点検4. 結言塩分除去装置による復水器細管損傷により海水浸 入したプラント系統水の浄化概要について紹介した。 逆浸透膜装置と蒸発装置からなる塩分除去装置は、 一般産業界で実績のある装置をベースに原子力許認 可適用設計を図ることで使用前検査を受け、また試 運転結果からは所期の性能を発揮することを確認し た。(平成 24年6月6日)324“ “浜岡原子力発電所5号機 塩分除去装置によるプラント系統水の浄化について“ “堀内 秀晃,Hideaki HORIUCHI,高柳 省治,Shouji TAKAYANAGI,寺井 啓祐,Keisuke TERAI,根本 清司,Seiji NEMOTO