沿岸立地構造物塩害評価及び対策

公開日:
カテゴリ: 第9回
1. 諸言
日本は多くのエネルギーを輸入しており、その自給率 は 5%未満である。その為、エネルギー源として原子力発 電を利用している。原子力発電に伴い、使用済燃料が発 生する。使用済燃料には、ウラン、プルトニウム等の燃 料物質が含まれており、資源の乏しいわが国では、これ を再利用するために再処理が必要となる。現在の再処理 施設の能力は発生する使用済燃料より小さいため、一時 的に保管する施設として、使用済燃料中間貯蔵施設(以 下中間貯蔵施設)が必要とされる。中間貯蔵施設は電気 を使わず、自然冷却能力を有する設計がなされている。 日本の原子力施設はすべて沿岸部に立地しているため、 中間貯蔵施設は運搬条件上、沿岸部に立地することが最 適である。福井県は日本で最も多くの原子力発電所が立 地しているため、福井県の沿岸部に中間貯蔵施設を建設 することを想定し、本研究を実施した。腐食は様々な要 因が複合するが、沿岸部では、海から環境汚染因子が飛 来し、自然冷却の為の吸気口から流入し、構造物の腐食 が発生する。腐食により、施設の健全性が低下する可能 性があり、施設の設計段階で環境因子の流入量を評価す ることが必要となる。本研究では、環境因子中、沿岸部 で支配的である海塩粒子の飛来量を評価するため、福井 県あわら海岸(日本海側)に暴露試験装置を設置し、海 塩粒子飛来量の評価を行った。また、付着法(ステンレ ス鋼)による海塩粒子飛来量の検証を行った。各暴露試 験装置にはフィルターを設置し、フィルターを設置して いない装置と比較し、海塩粒子対策評価を行った。
2. 試験方法
2.1 海塩粒子飛来量の評価JIS ドライガーゼ法に準じ、暴露試験装置内(図 1)に、 開口部 10平方cmのドライガーゼプレート(図 2)を設置し た (図 3) 。ドライガーゼプレートを一定期間ごとに交換 し、回収したドライガーゼを処理した後、イオンクロマ トグラフを用いて定量化した。です・ー・ー05図1 暴露試験装置図 2 ドライガーゼプレート図3装置内設置状況1900/11/242.2付着法(ステンレス鋼)の評価 鏡面仕上げを施した幅 100mm×長さ 100mm×厚さ2mmの ステンレス鋼 (図 4)を図5の暴露試験装置内に設置し、ド ライガーゼと同じ期間暴露した。暴露後、純水で湿らせ たガーゼで表面をまんべんなくふき取った。回収したガ ーゼは JIS ドライガーゼ法と同じように処理を行い、イ オンクロマトグラフで定量し、JIS ドライガーゼ法と比較 を行った。※暴露試験装置は 図1と同等の仕様面仕上げステンレス鋼図 4ステンレス鋼図5装置内設置状況※暴露試験装置は、 図1と同等の仕様13鏡面仕上げ図 4 ステンレス鋼3.試験結果 3.1 海塩粒子飛来量の評価結果各装置のドライガーゼ法による海塩粒子飛来量の変化 を図6に示した。ーリーフィルター」A(使い捨PERIFR* (NaC1 mg/m2/day)B再生可1,6776-0116GEIICE71279/99/30-10/1910/2011/211/3-11/16/17-11/30試驗期11図 6海塩粒子飛来量 NaCl mg/m^2 day 海塩粒子飛来量はフィルター無が最も多く、フィルタ ーB(再生可能、乾式フィルター)とガラリがほぼ同じであ り、フィルターA(使い捨て、湿式フィルター)が最も少な くなった。3.2 付着法(ステンレス鋼)の評価結果 * 付着法による測定は、JIS ドライガーゼ法と近い値を示 したが、例外としてフィルター無しの装置の海塩粒子飛 来量があった。この測定結果を図7に示す。10000トライカーセ(ステンレス鍋)10/20-11/211/3・11/1611/17-11/3012/1・12/13カーガラリ(ドライカーゼ)ターガラリ(ステンレス鍋)1927/05/181902/09/26(ドライガーゼ)海塩粒子飛来区(NaCl mg/m2/day)|--フィルター無 |(ステンレス鍋)10/20-111211/3・11/1611/17-11/30121・12/13試驗期間図7 JIS ドライガーゼ法と付着法の比較(フィルター無し)JIS ドライガーゼ法と近い値を示した例(ガラリ装着) の海塩粒子飛来量測定結果を図8に示す。1927/05/18ーーー ガラリ(ドライカーゼ)海塩粒子飛来登(NaCl mg/m2/day)一ターガラリ(ステンレス鍋)10/20-11/211/3-11/1611/17-11/3012/1・12/13試驗期間図8 JIS ドライガーゼ法と付着法の比較(ガラリ装着)4.考察JIS ドライガーゼ法では、ガーゼ内を風が通過する際に ガーゼの繊維が海塩粒子を吸着するが、付着法では海塩 粒子は試験体の表面にのみ付着する。そのため、付着限 度量がドライガーゼ法に比べて少ない。しかしガラリや フィルターを装着した装置では海塩粒子飛来量が少なく、 限度量に達しない為、設置条件によっては簡易測定法と して使用可能と思われる。参考文献 [1] 津田孝雄、廣川健編著、機器分析化学、朝倉書店(2004) [2] 野田和彦、片山英樹、升田博之、「大気環境および大気腐食の評価法」、第144回腐食防食シンポジウム -腐食防食協会 (2004) [3] 福永忠、中安文男、梅原敏宏、野村満幸、山本裕之、「沿岸立地構造物に用いる腐食防止フィルター性能 評価」、日本原子力学会秋の大会(2011)(平成24年6月08日330 -“ “沿岸立地構造物塩害評価及び対策“ “滝下 貴行,Takayuki TAKISHITA,中安 文男,Fumio NAKAYASU,来馬 克己,Katsumi KURUBA,梅原 敏弘,Toshihiro UMEHARA,野村 満幸,Mitsuyuki NOMURA,山本 裕之,Hiroyuki YAMAMOTO
著者検索
ボリューム検索
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)