3Dアズビルドレーザ計測を利用したライニング配管の製作・据付精度向上

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カテゴリ: 第15回
3D アズビルドレーザ計測を利用したフイニング配管の製作・据付精度向上 Improvement in Manufacturing and Installation Accuracy of Lining Piping by Application of 3D As-built Laser Measurement 二菱重工業掬 川端 カイオ Caio Kawabata 非会員 二菱重工業掬 川村 国冶 Kuniharu Kawamura 非会員 二菱重工業掬 井上 勝 Masaru Inoue 非会員 Due to the high degree of required dimensional accuracy in its manufacturing, repairing of lining pipes with flanges requires a long installation period. With the conventional method, we have to wait more than three weeks to start lining installation after the start of onsite construction, because pipe dimensions are determined onsite then lining installation is conducted at shop. It causes prolongation of the onsite installation period. Therefore, we have tried to improve the dimensional accuracy in its manufacturing by applying three-dimensional as-built laser measurement device which enables high precision measurement. In addition, we established a new process from manufacturing to installation. As a result, we achieved successful shortening of onsite lining pipe repairing period. However, there are still some conditions and points to be dealt with to apply this method to the actual construction. We organize them and provide important points in this paper. Keywords: three-dimensional as-built laser measurement, lining pipes, installation period 1 諸言 フランジ接続されるライニング配管の取替・修繕工事については多くの実績がある。しかしながら、原子力施設においてはわ かな れも されないことから、 精度な据付が求められ、配管製作寸法精度や現地据付工法に関する議論が繰り返し行われてきた。 また、工場にてライニング加工された配管については 現地で再加工することが困難である為、最終組立ブロックに調整代を設け、現地据付時に最終寸法を計測し、そのブロックを工場にてライニング施工する 現合管工法が 用されることが多い。 しかしながら、この場合だと現地での寸法計測から工場でライニング施工されて、現場へ戻ってくるまでの期間(3 週間)をあらかじめ工程上に見込んでおく必要がある。 一方、フランジ接続する配管工事においては、工場ライニングの工程に占める割合が比較的大きくなり易く、 連絡先:川端 カイオ、T652-8585 神戸市兵庫区和田崎町 1-1-1、三菱重工業) パワードメイン 原子力事業部 建設・保全技術部 配管工事計画課 E-mail:kaio kawabata@mhi.co.jp 現地据付期間短縮の観点からも現合管工法に代わる新工法のニーズがあった。 また、1 ブロックだけの取替やT ブロック等、寸法に制約のあるケースでは、製品の製作寸法精度によって現地据付に することがよくあり、 精度な製作方法についても検討が必要であった。 2 必要な計測・製作寸法精度 フランジ接続部に用いられている一般的なガスケットは3~6mm 程度の厚みのあるゴム製となっており、締付時にガスケットをなじませることで、ある程度の寸法誤差を現地にて することは可能である。 にガスケットをなじませる以外での寸法調整方法はないに等しく、これらの寸法から 容可能な計測・製作寸法誤差の目標となる数値を検討する。整理表をTable 1 に示す。 ガスケット厚さ3mm~6mm を現場状況に合わせて使用することで現地調整代を少なくとも1,2mm 程度は確保できると考えられる。(両端ガスケットで考慮すると2 倍まで可能)従って、計測・製作寸法誤差を士2mm 以内に めることで、現合管工法に頼ることなく、ライニング配管の現地据付が可能になると考えられる。 Table 1 A list of general gaskets 3 取替配管の計測 取替配管(フイニング配管)の計測ポイント 取替ブロックの面間 分岐管の分岐点 フランジの傾き エルボのわたり 穴ふり位置 計測機器 レーザトラッカー(API 社製)と呼ばれる 精度光学3次元計測器を用いる。 レーザトラッカーとは レーザトラッカーから発射されるレーザビームを被計測物に合わせたリフレクタP で反射させることによりリフレクタP までの距離d と極性に対する2 角度vt とhz を計測し、P 座標を算出する。Fig.1 参照。 レーザトラッカーの構成(Fig.2 参照) ① レーザトラッカー本体( 精度エンコーダ内臓) ② レーザ発振コントローラ ③ 操作・解析両用PC ④ リフレクタ 付属の冶具を使用することにより被計測物の様々な表面形状に対応可能 レーザトラッカーの特徴 ① 速・ 精度計測(士2.5ppm、士0.05mm/20m) ② 最長計測距離40m ③ 計測者技量による結果のバラツキが少ない レーザトラッカー適用条件 ① 計測対象物及び装置設置場所が振動していないこと。計測作業エリア内での作業禁止。 ② 計測対象物までの距離が2m 以上確保できること。 ③ 計測用レーザと計測ポイントの間にサポートなどの干渉物が存在しないこと。 ④ 計測対象物の温度変化が極端に生じないこと。 計測要領 計測開始前に固定点を登録し、計測装置の場所を変更しても再度同じ固定点を登録することで同じ空間であることを認識させる。8 点以上の固定点を設置する。(多いほど誤差が少なくなる) 計測点は既設フランジ外周部の内側端部から10mm オフセットした8 点を測定する。オフセットイメージをFig.3 に示す。(内側端部で図る場合、ガスケット等の段差で測り辛い箇所が出る可能性がある為にオフセットを実施する。) また、レーザが届かない(隠れる)場所にはターゲットを取付けて計測を行う。X 点を計測点に合せて A 点・B 点を計測することにより、X 点までの距離が 自動計算され、計測点の座標が測定される。具体例をFig.4 に示す。 Fig.1 coordinate calculation method Fig.2 Laser tracker component Fig.3 Off-set image of measurement point Fig.4 Double target equipment 4 取替配管の製作 製作寸法 計測データを基に製作部門にて仮寸法を設定し、設計部門・製作部門・据付部門にて仮寸法の確認会を行い、問題や修正箇所の洗出し及び対応について協議する。寸法確認会にて取決められた事項を基に図面寸法(製作寸法)が決定される。取決め事項の一例としては、取替範囲の両端部(既設取合部)のフランジの中心点を結んだ線を新管の通り芯として設定した際、 れが発生したため、管台の管長を調整することで対応したことが挙げられる。イメージをFig.5 に示す。 Fig.5 Image of pipe stand adjustment 製作時の取決め事項 既設及び新管取合部のフランジ部については、計測寸法(図面寸法)より厚みを持たせたフランジを 用し、フランジの傾き再現や溶接による歪を させることにした。 また、製作寸法精度を めるため、下記のポイントにてレーザ計測を実施する。 フランジ仮付け前(配管加工寸法決定) フランジ溶接前 フランジ溶接後(フランジ加工寸法決定) フランジ加工後最終寸法確認 製作期間 本工法では全ブロックがレーザ計測対象品となることに加えて、計測後の機械加工が発生することから、通常の製作期間よりも若干長くなる。従って、本工法を成立させるためには、従来よりも若干長く製作期間を確保する必要がある。 製作時の対応事象 フランジ取付時の溶接 みで、 体差はあるが数mm 程度のフランジの倒れが発生していたが、フランジ部には加工代を設けていたため、図面寸法に合わせて最終加工を実施した。Fig.6 に発生事象を示す。 Fig.6 Welding distortion of the flange part 5 評価・考察 製作精度 / 計測精度 製作誤差については、レーザ計測結果を基に最終加工を実施するため、限りなく図面寸法(計測寸法)に近づけることができ、製作誤差は士1mm 以下に まった。また、計測誤差については3.2 項で述べた通り、限りなく少ないため、士1mm 未満として考えることができる。従って、計測・製作寸法誤差は士2mm 未満に抑えることが可能である。これは、Fig.7 に示すように、現地据付時に調整が可能となると想定した目標寸法を満足しており、現合管工法による現地での最終調整に頼ることなく、現地据付が理論的に可能であることを示している。 Fig.7 dimensions errors and permissible errors 現地据付例 本工法によって、製作されたライニング配管により、広範囲の取替においても配管ブロックが入らなくなる事象や反対に配管ブロック間の隙間が大きく、取付ができない様な事象は発生していない。これは、3D アズビルドレーザ計測の計測寸法精度が く、それを基に作成される図面寸法に対する製作寸法精度が いことを示している。 6 結論 本工法では、現合管工法において現地工程を支配していた工場ライニング工程が不要となるため、冒頭に述べた3 週間程度の期間を見込む必要がなくなり、現地据付工程面で大きなアドバンテージが発生する。これは、定検工程に与える影響を小さくすることを意味し、今後のライニング配管取替・修繕工事において有力な選択肢になりえる。 Table 2 に現合管工法と3 次元計測工法の比較表を示す が、製作面においては製作工程(レーザ計測や最終加工等)が増加することで製作コスト及び製作期間が増加する。一方、製作コストに関しては、現地据付面でのコスト低減効果(定検工程短縮や作業員コスト低減)を比較して、費用対効果の い工法を選択することが肝要である。 Table 2 Comparison list of both methods
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