フィルタベント性能評価のための基盤技術の開発と活用
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カテゴリ: 第16回
フィルタベント性能評価のための基盤技術の開発と活用
Development of technical basis for filtered containment venting system and its utilization
電中研
金井大造
TaizoKANAI
会員
電中研
古谷正裕
MasahiroFURUYA
非会員
電中研
西義久
Yoshihisa NISHI
非会員
電中研
西村聡
SatoshiNISHIMURA
非会員
Abstract: When an excess pressure and temperature are added to a containment vessel (CV) of a nuclear power plant (NPP) by a severe accident, overpressure damage of the CV is assumed to be possible. When the CV falls into such a situation, radioactive materials in the CV are released into the environment. Filtered containment venting systems (FCVS) that is installed in the exhaust systems reduce pressure in the CV while mitigating the release of the radioactive materials by the multi-scrubbers (venturi-scrubber, wet scrubbing, static mixer, metal-fiber filter and molecular sieve). Hence, the radioactive materials in the CV venting are emitted in various forms (CsI / CsOH aerosol, I2 gas, CH3I gas and so on) and these materials is carried by steam-based gas. This study has developed technical basis, data-base and empirical model of FCVS performance.
Keywords: Filtered containment venting system, Sever accident, Aerosol, Iodine, econtamination factor
ー 背景
原子力発電を長期的に安全に保ちつつ利用していくこ とを目的として、原子炉事故対策の高度化が求められて いる。この中で、原子炉過酷事故時の格納容器破損による放射性物質の漏洩量を低減するため、国内原子力発電 所ではベン 時に を低減さ るフィルタベンシステム（Filtered Containment Venting System; FCVS）の導入が進められている。FCVS は除去機構の異なる多段のフィルタ構造により、格納容器ベン 時の排気ガス中に含まれるエアロゾル（微粒子）、ヨウ素、有機ヨウ素とい った、物理・化学形態の異なる種々の核分裂生成物(Fission Products; FP)を除去することが可能である。FCVS の FP 除去機構は、時々刻々と変化する伽入蒸気伽量・温度・圧力、エアロゾル粒径、ス 液（プ ルス ングのためにFCVS 内に保持された液 ）の液位・pH などの を受 る 事 であるため、 の 分が多く、FCVS の放射性物質除去性能（ econtamination Factor; F） 評価では、 のとこ としてエアロゾル
F 1, （除去）、ヨウ素 F 1 （除去 ）、
有機ヨウ素 F 5 （除去 8 ）が用いられている[1)。しかし、過酷事故時の 的な 保全のレベルを適切に評価し、改善・向上を促進するためには、FCVS の除去性能を適切に把握・ ル化し、動的なシミュレ ションを活用することが重要である。
2 フィルタベント基盤技術の開発と活用
2.1 フィルタベント技術基盤の開発
本研究は、一般財団法人電力中央研究所（以下、当所） が経済産業省からの受託研究（発電用原子炉等安全対策高度化技術基盤整備事業（フィルタベン 性能評価のための技術基盤整備））として、平成24 年から平成28 年の
か年にて した。本研究では、 機 （内径 .5m x高さ 8m、試験最大圧力／温度 .7MPaG／23 ℃）でのFCVS 性能評価が可能な 験設備を構築した（Fig.1）。また、高いダイナミッ レンジでエアロゾル、ヨウ素、有機ヨウ素除去特性を評価するためのエアロゾル発生装置、ヨウ素・有機ヨウ素発生装置、サンプリング・計測 システムを開発した [2, 3)。
2.2 タベ と ル開発
本研究では、FCVS の各フィルタ （ベンチュリノズル、液相 、金 フィルタ 、 イ ）におるエアロゾル、ヨウ素、有機ヨウ素除去特性に する験 タベ スを構築し、得られた 験 タベ スから、 験式（ ル）を開発した。 として、ヨウ素 F への液位、液性（成分、pH）等の について、 験
タベ スを構築し、 験式を得た。また、液相 にお
るエアロゾル除去特性については、液相 出口におるエアロゾル粒径分布の変化から（Fig.2）、エアロゾル粒子径、液位、気泡径を変数とした 験式を得た（Fig.3）。
連絡先:金井大造、〒2 1-8511 東京都狛江市岩戸北2
-11-1、一般財団法人電力中央研究所
E-mail: t-kanai@criepi.denken.or.jp
Fig.1 Sche atics f the CRI PI FCVS test facility
Fig.2 e i e tal data base f ae s l e val e ties i a wate sc ubbe
Fig.3 i ical del f ae s l dec ta i ati fact i a wate sc ubbe
2.3 フィルタベント性能評価ツ ルの開発
本研究では、個別評価 験から得た 験式を統合したFCVS 性能評価ツ ルを開発した。本ツ ルでは、FCVS 性能の経時的な変化を評価することが可能である。 えば、FCVS ス 液温が低い時の蒸気 による除去果の増大、蒸気 によるス 液位の上昇による除去 果の増大等を考慮することが可能である。さらに、過酷事故解析コ ドからの出力を本ツ ルへの入力として与えることで、ある事故シナリ にお る FCVS
の放射性物質放出量の評価が可能である。 えば沸騰水型軽水炉が、フィルタベン を した場合、FP 除去性能として Cs（エアロゾル）に対して F 1 , 程度といった、 の性能評価 より1 ケタ～2 ケタ高い ダ
での除去が可能との結果が算出されている（Fig.4）。
Fig.4 Ae s l DF evaluated by c u led a alysis f FCVS si ulat a d MAAP
3 まとめ
、当所では、電気事業者が使用する過酷事故解析コ ド（MAAP）への FCVS 性能評価ツ ル導入を進めている。過酷事故解析コ ドに FCVS 評価 ルを導入することで、フィルタベン 時のFP 放出量、粒子径等の予測精度が大きく向上する。このように FCVS 性能特性を高度に把握することは、信頼度の高い過酷事故対策・手順の高度化、緊急時の国際標準対応策の策定につながる。今後、本研究にて得られた基盤技術、 タベ
スおよび評価ツ ルを 保全のための FCVS 運用高度化や、避難計画策定等に最大限活用できるよう、当所で進めている確 論的リス 評価手法の高度化と合わ 、リス という観点からの情報発信を進める。
参考文献
[1) フィルタベン ンググル プ （ 良林 直 監修）、“フィルタベン -原子力安全の切り札を徹底解説-”、日本機械学会、2 18
[2) T. Kanai, M. Furuya, T. Arai and Y. Nishi, " evelopment of an aerosol decontamination factor evaluation method using an aerosol spectrometer , Nuclear Engineering and
esign 3 3, pp58-67 (2 16)
[3) T. Kanai, M. Furuya, T. Arai, N. Tanaka, Y. Nishi, K. Shirakawa, S. Nishimura, M. Satake, " econtamination process of elemental iodine with filtered containment venting system , Proc. of 23rd International Congress on Nuclear Engineering (ICONE23), Japan, (2 15)