六ヶ所再処理工場の保全体制強化への取り組み

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カテゴリ: 第17回
六ヶ所村再処理工場の保全体制強化への取り組み ATOM Works(株) 岩﨑恵志 Satoshi IWASAKI Non-member ATOM Works(株) 岡山康広 Yasuhiro OKAYAMA Member ATOM Works(株) 安井将司 Masashi YASUI Non-member 青森県六ヶ所村にある六ヶ所再処理工場(以下「再処理工場」)竣工後の安全操業へ向けて、弊社では2014 年度より技術取得を目的に技術員派遣を開始し、2017 年度より現場計器の保全業務を開始した。特に 重要と位置づけられる現場計測機器の点検や万が一のトラブルに対して早期の復旧対応が可能となる保全体 制の構築を目指している。本稿では前回「保全学 No.4 2021vol.19」報告時(以下「前回報告時」)からの取り組み状況の他、今後の新たな取り組みについて紹介する。 キーワード:六ヶ所村再処理工場 現場研修 人材教育 早期の復旧 安全上重要な設備 1.継続した保全体制維持の取り組み 現場での保全活動を通した人材育成 再処理工場における現場計測機器の保全業務を通じ て、保全技術員の育成を行うとともに、不具合対応に関 する知識/経験を蓄積している。また、元請会社への派 遣についても継続することで自社若手社員の知識/技術 の修得を図っている。継続的な保全業務による経験と技 術の修得により、現場計測機器の保全体制を整えている。 効率的な保全のための工夫 工程変更やトラブルによる緊急事態への迅速な対応を行うことを目的に、工具および計測器を自社にて購入し 管理している。 図1に示すように、社内訓練用計器にて計器点検の訓 練を実施することで現場における作業手順の確立と作業 時間短縮につながり、不具合現場計器の早期復旧や放射 線管理区域内での作業時間短縮を図っている。 また、不具合対応フロー等の初期対応ノウハウの構築 により、不具合発生時の早期復旧を目指して工夫を重ね ている。 効率的な保全対象機器の広範囲化 2018 年度より放射線管理区域内の保全業務を開始し、放射線管理区域内での保全業務のノウハウを構築した。 連絡先:岩﨑 恵志 〒039-3213 青森県上北郡六ヶ所村大字鷹架字発茶沢133 番70 ATOM Works(株) 設備保全部 電気・計装課E-mail : atom22@jomon.ne.jp 自社による対応が困難な分析計器等の作業については、 計装機器メーカーや他同業企業へ協力企業として同行し てもらい対応した。これらの対応により、図2に示すよ うに、点検可能な工種が増え業務量の安定化や不具合に おける対応幅が増えた。 図1 実計器を使用した訓練風景 年度別対応可能工種 2019年度 2021年度 今後の目標 図2 作業可能工種の範囲 2.次の業務ステージへ 他地元企業との協力 保全業務を通して培ってきた技術力をベースに、地元 協力企業技術員の派遣を受け入れる教育の土壌を作った 。地元企業との連携により、保全に向けた体制を強化 し、保全工程の変更や人員不足の不安要素を取り除く計 画である。 安全上重要な設備の保全への参入 2021 年度より、再処理工場においては、高い技術力・品質を求められる安全上重要な設備の点検業務への参入を計画している。安全上重要な設備とは、再処理工場における安全運転に最重要な設備であり、保全業務にあたっては幅広い知識と技術が求められる。これら設備に対して、これまで培った経験と実績、並びに他の地元企業との連携による保全体制の強化により対応する。安全上重要な設備の保全こそ地元企業が備えるべき技術であ り、不具合発生時に早期の対応/復旧を行う体制構築に必要不可欠と考えている。 3.今後の保全体制強化へ向けての取り組み 今後の保全体制強化に関しては、下記のような取り組 みを考えている。 1)保全業務による経験や訓練および元請会社への 自社若手社員の派遣を通じ、保全業務に関する知 識、技術の習得を継続的に図る。 2)他地元企業との連携を強化し保全体制の強化お よび業務拡大を図る。 3)対応可能な工種拡大の観点から、各メーカー主 催の講習会へ参加を模索する。分析計等の自力対 応が困難な計器について、引き続き同業他社の作 業に立ち会い技術力および経験を蓄積する。 4)再処理工場における様々な不具合対応や初期診 断に関して継続的なデータの蓄積、分析、初期診 断要領の検討を行う。自らの経験のみでの蓄積で はなく、前述している地元企業との連携の一環と し検討会を定期的に開催する。 5)安全上重要な設備への新規参入を無災害・品質 トラブルゼロで終え、地元企業としての信頼を蓄 積し、再処理工場の安定操業へ貢献する。 4.まとめ 再処理工場の保全を実施する上で、より多くの計装設 備工種への対応、業務体制の強化、不具合対応に対する 手順の確立を行っていく必要がある。そのためにも、再 処理工場における保全業務を通し、経験と実績を積み重 ね、地元企業との連携を強化する。 一方、保全体制の維持には安定した業務量が必要であ る。そのためには再処理工場の保全計画が重要であり、 これらの情報を事業者に共有してもらい、体制の構築計 画に反映していく。 5.最後に これら点検業務の積み重ねが「信頼」を生み、さらに 「信頼」が技術力を育てていくと考えている。これを達成するためには、さらなる経験の積み重ねが大前提であ る。技術員がMyプラントの意識を持って継続的に研鑽を重ねていくことが重要である。六ヶ所村の安全は六ヶ所村の企業から発信していきたい。 参考文献 岩﨑恵志:各機関の動向 六ヶ所再処理工場の保全体制強化へ向けたATOM Works 株式会社の取り組み “保全学 No.4 2021 Vol.19 pp.63-65 ”
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