レベル3PRAによる立地地域の被ばくリスクプロファイル評価

公開日:
カテゴリ: 第17回
レベル3PRA による立地地域の被ばくリスクプロファイル評価 evaluating exposure risk profile around NPP by Level3 PRA 長岡技術科学大 学 山本啓太 Keita Yamamoto Student-member 長岡技術科学大学・東京大学 村上健太 Kenta Murakami Member Abstract: In Japan, PAZ -Precautionary Action Zone- and UPZ -Urgent Protective action planning Zone- are decided. On the other hand, there is a big typhoon in summer and heavy snow in winter in Japan. They might prevent citizen to protect from radioactive materials. Therefore, it is important to think evacuation in such a situation. This study uses OSCAAR -Off Site Consequence Analysis code for Atmospheric Release in Reactor Accident- that is developed by JAEA -Japan Atomic Energy Agency. OSCAAR can evaluate exposure risk. This study evaluates Kashiwazaki Kariwa NPP by OSCAAR. Kashiwazaki Kariwa NPP is in Niigata prefecture where is heavy snowy area. This study assumes a heavy snow that it is difficult to evacuate. Keywords: Level3 PRA, Disaster prevention 1.研究背景 原子力災害への対策を検討するためには、外的事象や内的事象によって発生しうる様々な原子力事故による 被ばく線量を事前に評価する必要がある。柏崎刈羽原子 力発電所を有する新潟県は日本有数の豪雪地帯であり、 有事の際に雪のため避難が困難であるという懸念があ る。そこで、本研究では柏崎刈羽原子力発電所周辺にお いて、大雪のような気象条件を想定した条件付き被ばく リスク評価を行い、屋内退避などの防護措置の有効性を 評価することを目的とする。 本研究において、被ばく線量を定量的に評価するた め、JAEA が開発した確率論的事故影響評価コード 「OSCAAR(オスカー)」を使用した。OSCAAR は事故時に大気中に放出された放射性物質の環境中移行とそれ に続く人への被ばく、被ばく集団の健康影響および経済 影響を推定するための一連の計算モジュールとデータフ ァイルから構成されている。[1] OSCAAR では国内全17 の原子力発電所立地地域における2018 年間の1時間ごとの気象データを収録している。これらをもとに、想定 される事故シナリオと防護措置を設定することで被ばく 連絡先:名前、〒000-0000 住所、所属先、 E-mail@co.jp *この部分はテキストボックスです。1 ページ目の左下に余白にはみ出さないように配置してください。 線量を計算できる。計算結果では放出点からの距離と実 効線量を出力できるため、OSCAAR を用いて被ばくリスクを定量的に評価することとした。 2.計算条件 想定したソースターム OSCAAR では放出開始時間および継続時間、放出高さ、希ガスやヨウ素など放射性物質の種類や量、物理的・化学的形態といったソースタームを指定することができる。ソースタームについては『軽水炉モデルプラントの広範な事故シナリオに対する環境影響評価』[1]を参考にした。 ソースタームとして原子炉スクラム失敗シーケンスグループを、格納容器加圧破損についてはドライウェル破損を選択した。以下本ソースタームをTC-DWF と表記する。表1にTC-DWF の詳細を示す。TC-DWF は原子炉スクラム失敗という事故シナリオとしての深刻さに加え、他ソースタームと比較して放出までの時間が短く、雪により防護措置が遅れた場合に影響が見られると考えた。表 1 を元に気象条件および防護措置の有無を指定し計算を行ない、結果を出力し評価を行なった。評価範囲として、UPZ を参考に30 ㎞圏内を評価した。 防護措置 OSCAAR で設定可能な防護措置には屋内退避、コンクリート屋内退避、避難、移転がある。このうち、屋内 表1 評価に用いたソースターム 事故 シーケンス 放出までの時間[h] 放出継続時間[h] 放出高さ [m] 放出分類別の全放出割合 希ガス 有機 ヨウ素 無機 ヨウ素 Cs-Rb Te-Sb Sr-Ba Ru La TC-DWF 3 23 40 9.5E-01 1.5E-03 2.9E-02 2.8E-02 6.8E-03 7.0E-05 4.8E-07 1.9E-07 退避のみ指定した。防護措置のパターンとして、 ①防護措置を一切施さない ②避難が困難な気象条件を想定し、30km 圏内全域で屋内退避を実施 を考えた。推定被ばく量は放出開始時刻より72 時間の積算量を計算した。 気象条件 OSCAAR には2018 年間の1時間ごとの気象データを収録しており、総サンプル数は8760 になる。このうち、500 サンプルをランダム抽出し、得られた結果の50%値を評価基準とした。 また、大雪で避難が困難であるという事象を想定する ため、記録的な大雪を観測した2018 年1 月22 日[2] の気象条件を比較対象とした。ただし、OSCAAR では 「降雪」という気象条件による沈着率は考慮されておら ず、降水量と大気安定度によってモデル化されている点 に留意が必要である。 3.計算結果 図1に2018 年1 月22 日の降雪を想定した計算結果を示す。 図1 大雪を想定した気象条件を付与したときの被ばくリスクと発電所からの距離の関係性 雪により避難が困難な場合においても屋内退避を実施することで、発電所近傍であっても ICRP103 で定められた 緊急時被ばく状況の 20mSv 以下となることを確認した。 [3] 2.5 ㎞~21.5 ㎞において、大雪時の線量が 500 サンプ ルを上回ったが、両者の差は2 倍を超えなかった。 4.結論 過去の気象観測データを用いて、特異な気象条件の日付を指定した条件付きリスク評価を行うことで、地域住民が心配しているシナリオが発生した場合の現実的なリ スクプロファイルを提示する方法を試行した。 参考文献 本間俊充、石川淳、富田賢一、村松健“軽水炉モデルプラントの広範な事故シナリオに対する環境影響評価”、日本原子力研究所、p8、pp16-19 国土交通省“1 月22 日からの大雪等に係る被害状況等について【第8 報】 社団法人日本アイソトープ協会“ICRP Publication 103 国際放射線防護委員会の2007 年勧告”、pp68-70
著者検索
ボリューム検索
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)