「原発裁判と社会」第五報 損害賠償裁判に見るバックフィットの概念 

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カテゴリ: 第16回
原発裁判と社会 第五報 損害賠償裁判から見るバックフィットの概念 Nuclear Power Trials, Issue and Arguments No.5 The Concept on Back Fitting System 0日本保全学会 鈴木孝寛Takahiro SuzukiMember Before Nuclear Regulation Law were amended 2012, there is no Back Fit System concerning Site License. But several courts ruled that Nuclear Regulation Agency had to back-fit Site License on Fukushima Dai-ich Nuclear Power Plant. These courts ruled that State Government must compensate residents because Government didn’t back-fit. This Paper analyses the law concept on Back Fitting System before Fukushima Dai-ich Accident Keywords: Back Fitting System, Nuclear Regulation Law amended 2012, accident compensation 国家賠償請求の要件 各地の裁判所で、福島事故の被災者が東電だけではな く国に対しても事故による損害についての賠償請求訴訟を提起している。 これら賠償請求において、二つの主要な要件がある。 一つは国が福島事故を予見できたか否かという要件である(予見可能性)。もう一つは、国が事故を予見できたとして、事故を防ぐために適切な規制権限を行使したか否かという要件である。つ 、国が福島事故を予見でき、かつ適切な規制権限を行使(例えば、東電に防潮堤の拡充を命じる等)していれば、福島事故による被害を防げたか否かが争われているのである。 本稿は、これら裁判所が示した判決や、被告国の主張から、 者の を る規制権限の について分析するものである。 規制権限 福島事故 の2012 年に原子炉等規制法が改正される以 は、設置許可に関する 権限は規定されていなかった。 そこで、被告国は、規制権限がない以上、国は東電に対して防潮堤の拡充等を命じることはできないので、規制権限不行使の は しない、すなわち、国に損害賠償責任はないとしている。 これに対し、多くの裁判所は、堤防等の拡充は工事計画認可の であ 、改正 でも工事計画認可について は国の 権限が規定されているのであるから、国は規制権限不行使という過失を犯しているので損害賠償責任があると判決している(今のところ、千葉地裁だけが、国は事故を予見できなかったので損害賠償責任はないとしている。)。 以上の判決からは、多くの裁判所が設置許可と工事計画認可の関係を正確に理解していないことがわかる。すなわち、堤防等の拡充だけを見れば工事計画認可のではあるが、それら工事計画認可は設置許可記載の自然的 地 件の に されるということが裁判所に理解されていない。 設置許可記載の自然的 地 件で津波高さ10mとなっていれば、国(規制当局)は、15mの津波に対応する堤防を構築しろと工事計画認可の修正を被規制者に対して要求する( 権限を行使する)ことは旧法の下ではできなかったはずである、と被告国は主張しているのである。 基本設計事項と設置許可 し、 の裁判 から ると はよ である。規制 では、設置許可本文に記載されている事項は、原則として基本設計事項( たは基本的設計方針事項)とされてきていた。したがって、 に関する指針が 基 地 (設置許可本文記載事項)が見 されても、規制当局は、旧法の下では を命じる権限がないので被規制者の自主的な設置許可 更申請を していたので、 といわず、 チェ といってきていた。 ところが、裁判 では、設置許可本文記載事項の全てが基本設計事項等とは考えていなかった。例えば、設置許可記載の基 地 を追かに上回る地 を受けた柏崎原子力発電所の設置許可について、最高裁は設置許 可取消しを認めなかった(2009 年4 月23 日最高裁決定)。 すなわち、設置許可本文記載事項の全てを基本設計事項等と考えていれば、本文に記載された基 地 を追かに上回る地 が発生した場合には基本設計事項等を修正する必要があるはずであ 、かつ設置許可の 提である基本設計事項等に違背することになるので特段の事情が無い限 設置許可は取 消されたはずである。 ところが, 記の通 最高裁は柏崎原子力発電所の設置許可を取 消していない。 ということは、基 地 を基本設計事項等とは最高裁は考えていないとも解釈できる。ということは基 地 と自然的 地 件として同様な性格を有する津波の高さについても基本設計事項等と考えないとの 場もあ 得ることになる。 となると、津波高さが設置許可本文記載の高さよ 高くなるとの予見が得られれば、津波高さ自体は基本設計事項等ではないので、設置許可を 更する必要はなく、旧法の下でも規定されていた工事計画認可に関する 規制権限の行使で、防潮堤の拡充を被規制者に命じることができた、ということになる。 まとめ 以上のような、旧法の下での 規制権限を る について、柏崎原子力発電所設置許可を る最高裁決定を参考に、関係判決を踏 え分析を試 る。 連絡先: 鈴木孝寛 〒112-0012 文京区大塚5-1-17-303 Suzukitk1108@.gmail.com
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