工事用電源設備 改善の取り組み

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カテゴリ: 第17回
工事用電源設備 改善の取り組み 電源開発(株) 八幡博 Hiroshi Yahata Non-member 電源開発(株) 横浜和志 Kazushi Yokohama Non-member 電源開発(株) 傳法憲司 Kenji Dempo Member J-POWER ジェネレーションサービス(株) 二村伸吾 Shingo Futamura Non-member J-POWER ジェネレーションサービス(株) 片井和成 Kazunari Katai Non-member 大間原子力建設所において、建設工事の長期化に伴って強風や塩害による劣化により、地絡が原因の停 電が増加傾向にあったことから、工事用電源設備の改善を行った。架空電線の地上布設、給電ラインの変 更及び柱上変圧器や開閉器の地上設置により、停電の減少や停電時の波及範囲の縮小、さらに保守性や作 業の安全性を向上することができた。 Keywords: 工事用電源設備、架空電線、地上布設、遮断器、柱上開閉器、柱上変圧器 1.はじめに 工事用電源設備は現場の工事用機器や事務所などに給電しており、発電所建設に必要な重要なインフラ設備で あるため、不断なく供給することが要求される。本稿では、 安定した工事用電源を供給するため、大間原子力建設所 の環境状況を踏まえた工事用電源設備の改善の取組みを紹介する。 2.従来の電源構成 従来、大間原子力建設所の建設工事に使用する工事用電源は、図1 に示すとおり高圧受電盤の遮断器No.1~ No.4 を介して大きく4 つの給電ラインに分岐して、各負荷設備に給電していた。 図1 従来の工事用電源全体構成 4 つの給電ラインのうち、No.1~No.3 ラインは地上布設したCV ケーブルにより給電しているが、遮断器No.4 ラインは負荷設備の設置範囲が広いことから、配電柱を 連絡先:傳法憲司、〒039-4602 青森県下北郡大間町大字奥戸字小奥戸281、電源開発株式会社 大間現地本部 大間原子力建設所 電気グループ E-mail: kenji_denpou@jpower.co.jp 使用した架空電線を採用していた。 地域特有の厳しい気象条件にある大間原子力建設所に おいては、架空電線は設置環境の影響を受けやすく、設 備の経年劣化も相まって、強風や塩害による断線や地絡 を原因とした停電が増加傾向にあった。 3.工事用電源設備の改善内容 給電ラインの地上布設 停電の根本的な要因である強風や塩害による影響を排除するため、電気的な露出部がある架空電線を取り止めて、No.4 ラインをCV ケーブルによる地上布設に変更した。(図2 参照) 図2 給電ラインの地上布設に伴う電柱の撤去 また、CV ケーブル地上布設に合わせて、柱上に設置していた開閉器、変圧器等の設備一式を地上化し盤内に 収納した。(図3 参照) 図3 変圧器の盤内収納 給電ラインの分岐 従来の給電ラインでは、No.4 ラインの下流側で事故等が発生した場合は、当該ライン全体を停電させる必要があり、広範囲に影響が及ぶことになる。このため、事故時の波及範囲を制限するため、図4 に示す工事用電源構成のとおり、遮断器No.4 の下流側に新規遮断器を追加し、給電ラインを3 分岐に変更した。 図4 変更後の工事用電源全体構成 際しては、その都度情報共有を行っている。 また、視認性の悪い箇所に布設されているCV ケーブルの対策として、高電圧注意の掲示物を設置した。(図6 参照) 図6 注意喚起掲示物の設置 4.工事用電源設備の地上化による改善効果 架空電線からCV ケーブルによる地上布設に変更することにより、強風による断線はなくなり、塩害による影 響は格段に低下し、改善以降、地絡による停電は発生し ていない。 また、変圧器等の柱上設備を盤内に収納したことによ り設備機器近傍での目視点検が容易となり保守性が向上 したほか、負荷設備の点検時には、従来は電柱を昇降し ての開閉器「入」「切」操作を必要としていたが、開閉器の地上化により高所作業が不要となり、作業の安全性 が向上した。 5.おわりに 安全対策 図5 遮断器の追設 本来は建設期間中の短期使用を想定していた工事用電 源設備であったが、建設工事の長期化に伴い改善に取り 組み、停電の減少や停電時の波及範囲の縮小、さらに保 守性や作業の安全性を向上することができた。 大間原子力建設所は現在、新規制基準への適合性審査を受けている段階にあり、当面は維持管理に注力するこ ととなる。 CV ケーブルの地上布設に伴い、建設工事でのケーブル誤切断による感電事故の発生防止を図ることを目的 に、ケーブル布設図を作成し駐在する作業員に対して情 報共有を実施し、負荷設備の追加による布設図の改訂に そのような状況下において、経年や環境要因による設 備の劣化対策は重要な業務の一つであり、今後も受注者 の協力を得ながら、継続的な改善に取り組んでいきたい。
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