水中のステンレス製構造物に対する高信頼度の水中レーザ溶接保全工法の開発について

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カテゴリ: 第16回
水中のステンレス製構造物に対する高信頼度の水中レーザ溶接保全工法の開発について Development of High Reliable Welding Method with Underwater Laser Welding Technology for Stainless Steel Made Structures Installed in Underwater 日本原燃園 浜田泰充 Yasumitsu HAMADA 園 H 検査計測 大脇桂 Katsura OOWAKI 園 H 検査計測 海老名信一 Shinichi EBINA 園 H 検査計測 藤田秀一 Syuuichi FUJITA 日本原燃園 長澤和幸 Kazuyuki NAGASAWAMember Spent fuel storage pools keep pool water by lining plate installed in inner surface. For the continuous maintenance method of those lining plate, the necessity occurs to quickly develop underwater repair welding technology. So, we are decided to develop new underwater welding method that is able to conquer those problems. In this paper, we report the concept of new welding method and results of confirmation examination for formation of new welding method by practical use conditions. Keywords: Underwater laser welding, Spent fuel storage pools, Rokkasho reprocessing plant, High reliable welding method 1 緒言 再処理工場の使用済燃料貯蔵プールは,内面に施工された厚さ4 mm または6 mm のステンレス鋼製内張り(以下,「ライニングプレート」と称する)により内部のプー ル水を保持して,原子力発電所から受入れた使用済燃料を安全に貯蔵している.それらのライニングプレートは溶接により接合されており,その溶接線全長は,国内初の商業用再処理工場である六ヶ所再処理工場の場合,約13 km にも及ぶ.Fig.1 に六ヶ所再処理工場の使用済燃料貯蔵プールの構造をーす.また,Fig.2 にライニングプレートの断面構造をーす. それらのライニングプレートに対して恒久的な保全を行うための手段として,水中環境下で溶接による保全施工を行うことができる工法及び装置の開発が必要となっている.保全対象箇所の特性として,使用済燃料の冷却維持のため,最大水深12 mの環境下での水中保全が必須であること,保全対象箇所がクラック等でライニングプレートを貫通している場合,ライニングプレートの表面と裏面の間で水圧と大気圧の圧力差(以下,「差圧」とい う)が発生することがあげられる. Fig.1 Structure of spent fuel storage pools of Rokkasho reprocessing plant Stainless steel lining plate 連絡先 浜田 泰充,〒039-3212 青森県上北郡六ヶ所村大字尾駁字沖付 4-108,日本原燃) 再処理事業部再処理工場 保全企画部 E-mail: yasumitsu.hamada@jnfl.co.jp Air (Backside of lining plate) Fig.2 Structure of cross section of stainless steel lining plate 水中環境下での溶接法(以下,「水中溶接法」と称する) は, 式法と 式法に大 できる[1]. 式法の内,ライニングプレートのような薄板に対して,遠隔自動での水中溶接法としては,水中TIG 溶接と水中レーザ溶接が考えられる. 水中TIG 溶接は,保全対象箇所全体または局部をチャ を覆うように設置したライニングプレートと同材質の薄板に対して,薄板を溶 材として 用して, 方 から1周途切れなく薄板を貫通させる1パス溶接を実施す る工法(以下,「レーザ薄板貫通溶融溶接工法」と称する) を試案した.Fig.3 に供試体の模式図をーす. ンバーなどで気中環境にすることで,多くの施工実績の ある気中と同様の溶接条件を適用可能であるが,装置が 比較的大型になり,狭監部への適用が困難という特徴を 有する.水中レーザ溶接は,低入熱で高精度の溶接と装 置のコンパクト化が可能であり,狭監部へも適用できる という特徴を有する. Mock crack (full penetration) Temporary welding まずは,早期の実機適用を目的に,保全対象箇所にラ イニングプレートと同材質の当て板を設置して, 式法 Base plateThin plate Welding direction による水中TIG 溶接にて当て板周辺にすみ肉溶接を行う工法を開発した[2].開発は完了し,実機へ適用できる準 備が整っている. 一方, 式法による水中レーザ溶接のこれまでの開発において,保全対象箇所がクラック等でライニングプレートを貫通している場合,ライニングプレート裏面方 への溶接金属の溶け抜けが発生する等の課題が明らかとなっていた.また,水中TIG 溶接と同様に,当て板周辺にすみ肉溶接を行う工法では,当て板内部に閉じ込められる水の水蒸気化による内圧上昇抑制の観点から,施工中のガス抜きのために,水蒸気噴出し防止孔の事前設置 と施工後の孔埋め処置が必要なことが報告されており[3], 施工手 装置の 化という実用面での課題が明らか となっていた. そこで,水中レーザ溶接の実用面での課題を できる新たな工法を開発することとした.ここでは,新たな 工法の概念と,新たな工法が実機適用条件でも成立する ことを確証するための試験の結果について報告する. 2 新たな工法の概念と開発目標 新たな工法の開発目 として,①溶融金属の溶水蒸気の噴出しが発生せず,安定して保全対象箇所の封 止を完了できること, 水蒸気噴出し防止孔の事前設置と施工後の孔埋め処置が不要で施工が簡便であること, ③内部に閉じ込められる水の蒸発量を抑制するため,短 間で施工が完了できること, 保全対象箇所の表面状態(う り )に に対 できることとした. これらの開発目 をクリアするために,保全対象箇所 Fig.3 Schematic drawing of test pieces 3 試験方法 レーザ薄板貫通溶融溶接工法が実機適用条件でも成立することを確証するための試験として,水深 ライニングプレートの貫通によるライニングプレートの表面と裏面間の差圧状態を,段階的に実機の保全箇所の環境条件に近づけることとし,次のとおり,3 段階の試験を実施した.Fig.4 に試験装置の模式図をーす. 試験① 浅い水深にて,レーザ薄板貫通溶融溶接工法が成立するか確認 試験 水深20 m にて,レーザ薄板貫通溶融溶接工法が成立するか確認 試験③ 水深15 m,差圧模 環境にて,レーザ薄板貫通溶融溶接工法が成立するか確認 4 試験結果と結論 水中レーザ溶接の実用面での課題を できる新たな工法として,レーザ薄板貫通溶融溶接工法を開発し,次 の結果と結 を た.Fig.5 及びFig.6 に試験 及び試験 ③の結果をーす. レーザ薄板貫通溶融溶接工法が成立する基本的な条件を確立するため,浅い水深(水頭圧のみ)で溶接試験を実施し,溶接部の外観観察及び浸透探傷試験結果から,水中においても水蒸気噴出し防止孔 しで,水蒸気の噴出しが発生せずに安定して保全対象箇所を封止できることを確認した. 実機の最大水深(12 m)以上の水深20 m を模 して溶接試験を実施し,溶接部の外観観察及び浸透探傷試験結果から,水蒸気噴出し防止孔 しで,水蒸気の噴出しが発生せずに安定して保全対象箇所を封止できることを確認した. 実機における最も厳しい条件である差圧と水深15 mを模 し,さらにライニングプレートと薄板間のギャップを模 して溶接試験を実施し,溶接部の外観観察及び浸透探傷試験結果から,水蒸気噴出し防止孔 しで, 水蒸気の噴出しが発生せずに安定して保全対象箇所を封止できることを確認した. それぞれの試験における断面マクロ観察から,断面の形状と溶込み深さに異常は見られず,水中においても気中と遜色のない溶接部が られた. 以上の結果から,レーザ薄板貫通溶融溶接工法は, 開発目 をクリアし,実機適用に耐えうる工法であるという結 が られた. 参考文献 原子力発電設備維持に係る技術基準について,(財)発電設備技術 会 (1996), 395-433. 尾 ,浜田, 使用済燃料貯蔵プール け水中TIG 溶接保全技術の開発,溶接学会 文集 第25 巻 第4号 (2007), 519-531. 椎原,田村, 水中レーザ溶接技術の開発 : 当て板補修工法,溶接学会全国大会講演概要 第79 集(2006), 288-289. Fig.4 Schematic drawing of experiment systems Depth of water [m] 20 20 Laser power [kW] 2 3 We d ng speed [m/m n] Th n pate th ckness [mm] 2 2 Bead appearance Penetrant test (PT) Cross sect on macro Fig.5 Photographs of weld bead appearance, penetrant test, and cross-section macro (Experiment ) Fig.6 Photographs of weld bead appearance, penetrant test, and cross-section macro (Experiment ③)
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