施工不良を識別する体感型施設を用いた現場研修

公開日:
カテゴリ: 第17回
施工不良を識別する体感型施設を用いた現場研修 電源開発(株) 石川博康 HiroyasuISHIKAWA 会員 電源開発(株) 熊倉恵 KeiKUMAKURA 非会員 大間原子力発電所の建設工事は、東日本大震災が発生して以降、新規制基準の影響を受けない範囲に限定して工事に取り組んでおり、現場施工管理の実務経験が少なくなっていることが課題となっている。そこで、過去に他の発電所で発生した施工不良等を模擬した施設(通称:ミスらんガイド設備)を用いた現場研修を通して、技術力の維持・向上を図っている。 Keywords: 人材育成、教育、現場研修、技術力向上、施工管理、保守 1.はじめに 大間原子力発電所の建設工事は 2008 年 5 月に着工し、以後、順調に工事を進めてきたが、2011 年3 月の東日本大震災の影響によるインフラの制約などにより、工事を一時休止することとなった。この時点での工事の総合進捗率は37.6%であった。 建設工事は 2012 年 10 月より再開したが、既に新規制基準制定の議論が進められていたことから、新規制基準の影響を受けない範囲で工事に取り組むこととした。 搬入した製品をより望ましい環境にて保管するため、2014 年からは長期保管体制を構築し、経年劣化の防止を図っている。 大間原子力建設所では、長期保管中の製品の品質維持を目的に、巡視点検による保管状態の確認、乾燥剤・養生等の交換、劣化兆候が見られた場合の錆除去・再塗装等の処置を行っている。一方、工事物量は年々減少しており、施工管理に関する技術力の維持・向上が課題となっている。 そこで、2016 年より大間原子力建設所構内に設置した体感型施設(通称:ミスらんガイド設備)を活用した施工管理に関する研修を行っている。 2.ミスらんガイド設備 ミスらんガイド設備とは、過去に他の発電所で発生した施工不良等を模擬したものであり、以下の5 つの施設で構成されている。 ①配管編 配管(溶接接続、フランジ接続)、配管サポート等で構成される。 【不具合例】フランジ締付不良 等 ②機器編 ポンプ、弁、配管(ドレン用の小口径配管を含む)、配管サポート等で構成される。 【不具合例】オリフィス接続向き不良 等 ③空調編 送風機、空調ダクト、ダクトサポート等で構成される。 【不具合例】リベット未施工 等 ④電気編 ケーブルトレイ、電線管、計装ラック等で構成される。 【不具合例】接地線端子圧着不良 等 ⑤足場編 足場編は「単管足場」と「枠組足場」の2 種類が設置されている。 【不具合例】手摺取付け不良 等 3.研修状況 ミスらんガイド設備を用いた研修は、過去に他の発電所で発生した施工不良等を実物で確認することを通じ て、施工管理の技術力向上を目的としている。具体的な研修の進め方は以下のとおりである。 ①概要説明 講師が施工要領書や設計図面を用いて、各設備の施工 状況のポイントを説明する。 ②不具合箇所の抽出 ミスらんガイド設備を用いて、受講者が各設備に組み込まれている不具合箇所を探し出す。(図1~図5) ③不具合箇所の解説 講師が、各設備に組み込まれている不具合箇所について解説する。 図1 研修の状況(配管編) 図2 研修の状況(機器編) 図3 研修の状況(空調編) 受講後のアンケートでは、ミスらんガイド設備を用いた研修は、実物を実際に見て触ることができるため、机上研修に比べて理解しやすいとの回答を多く得ている。 図4 研修の状況(電気編) 図5 研修の状況(足場編) 施工管理に関する技術力の維持・向上のための取り組みの一環として2016 年からミスらんガイド設備を用いた研修は行っており、本店及び現地の社員を合わせて延べ120 名程度の受講実績がある。 4.おわりに 大間原子力発電所は新規制基準への適合性審査を受けている状況にあり、当面は長期保管中の製品の品質維持管理に注力することとなる。その間においても、ミスらんガイド設備を用いた現場研修等を通じて、今後の発電所の建設段階における施工管理、及び運転開始後の保守管理で必要となる技量の維持・向上を図っていく。
著者検索
ボリューム検索
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)