換気設備の部分更新によるホットセル負圧機能の維持管理
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カテゴリ: 第17回
換気設備の部分更新によるホットセル負圧機能の維持管理
日本原子力研究開発機構
鈴木 隆太
RyutaSUZUKI
?ember
日本原子力研究開発機構
水越 保貴
YasutakaMIZUKOSHI
Non-member
照射材料試験施設は、核燃料物質使用施設であり、放射性物質を取扱うホットセル内を常時負圧に維持するため換気設備を設置している。竣工から約 40 年経過し、換気設備の経年劣化によるホットセル負圧機能低下を防止するため計画的に短期間での部分更新を行った。
キーワード(換気設備、保守、ホットラボ、高経年化)
1.緒言
照射材料試験施設(以下、「MMF」という。)では、放射性物質を取扱うためのホットセルを有し、その内部 は換気設備により常時負圧に維持管理している。負圧制 御又は負圧監視を行う換気設備は、竣工後約40 年が経過しており設備全体を一度に更新することが望ましい が、多大なる予算と長期間の保守日数を要するため、現 実的には困難であり照射後試験工程への影響も大きい。 このため、換気設備は部分更新での対応が合理的であ る。換気設備の主要な構成設備である計装機器類は、負 圧制御又は負圧監視を行う観点から、非常に重要な設備 であり、予備系統を有していないため優先して部分更新を行った。その他の予備系統を有している設備について は、通常の保守方法により実施している。
本稿では、MMF における換気設備の部分更新による保守実績について報告する。
2.換気設備の構成
換気設備は、管理区域及びホットセルの負圧維持管理 を行う上で重要な設備であり、以下に示す3 設備で構成される。給排気設備は、給排風機及び給排気弁等で構成され、予備系統を有している。監視設備は、ホットセルの負圧監視を行うための中央監視盤及び定検用監視盤で 構成される。計装機器類は、ホットセルの負圧制御を行う指示調節計、負圧を検知する差圧発信器及び電気、空 気信号を変換する各種変換器で構成される。
3.部分更新による保守実績
連絡先: 鈴木隆太
(国)日本原子力研究開発機構 大洗研究所燃料材料開発部 材料試験課
〒311-1393 茨城県東茨城郡大洗町成田町4002 番地
E-mail: suzuki.ryuta@jaea.go.jp
部分更新計画を策定するにあたっては、系統の重要 度、機器の経過年数及び校正結果を指標として、対象機 器(台数)を選定した。部分更新は一つのホットセルの 負圧制御を行うために構成された複数の機器類の一部分 を選定し、更新した。直近10 年の部分更新実績を表1 に示す。前記の指標のうち、直近では経過年数から選定 されたものを部分更新しており、更新後の換気設備は正 常に稼働している。
計装機器類の部分更新作業にあたっては、ホットセル の換気のモードを通常から定検用モードに切り換えるこ とで、ホットセルの負圧機能を維持した状態で実施する ため、閉じ込め機能は維持されていた。
換気設備の現実的な保守方法として、低予算で短期間 での保守可能な部分更新を採用し、若手の人材育成とと もに継続的に保守を進めてきた。
表1 計装機器類の構成及び更新実績(直近10 年)
機器名称
設置台数
更新実績
負圧指示調節計指示計
差圧発信器
I/P変換器P/I変換器等
16
20
17
14
2
2
1
4
12
2
4.結言
MMF は竣工後約40 年が経過しており、換気設備の高経年化が進んでいる。そのため、短期間で効率的に保守を実施するため、部分更新を採用した保守活動を継続的に取組んできた。今後も部分更新などの保守手法により多数の機器類で構成された換気設備の維持管理及び人材育成を継続することで、施設の安全安定運転に努めていきたい。