玄海原子力発電所の重大事故等対応訓練について

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カテゴリ: 第16回
玄海原子力発電所の重大事故等対応訓練について Response training for serious accidents at the Genkai Nuclear Power Station 九州電力株式会社 安東 潤一 Junichi ANDOU Member 九州電力株式会社 笠毛 誉士 Takashi KASAMO Member 玄海原子力発電所における、重大事故に至る恐れがある事故若しくは重大事故等が発生した場合に対 処するための教育訓練について紹介する。 Keywords: Serious accident response training はじめに 新規制基準への適合及び安全性向上のために、安全対 策設備を導入し、玄海原子力発電所3,4号機は再稼働し、安全・安定運転を継続している。 安全対策として導入した、重大事故等対処設備が、事 故時において確実に機能を発揮するためには、要員の力 量維持が必要である。 当社は原子炉施設保安規定に基づき、「力量の維持向上のための教育訓練」「成立性の確認訓練」の計画を策定し、 計画的に訓練を実施している。 これらの訓練のうち、保修対応要員に対する取り組み について紹介する。 訓練項目 保修対応要員に対する訓練項目は、図1のとおり。 図1 保修対応要員の訓練項目 連絡先: 安東 潤一、〒810-8720 福岡市中央区渡辺通二丁目 1 番 82 号、九州電力株式会社 原子力発電本部 原子力設備グループ E-mail: junichi_andou @kyuden.co.jp 0力量維持訓練 事象の種類及び事象の進展に応じて適確、かつ、柔 軟に対応するために必要な力量の維持向上を図る。 0成立性確認訓練 重要事故シーケンスに係る対応手段について、役割 に応じた対応が実施できることを確認する。(「技術的 能力に係る成立性確認訓練」「現場主体の作業・操作にかかる成立性確認机上訓練」「現場シーケンス訓 練」) 訓練体制 0 訓練は、初動対応要員 28 名(技術系社員12 名及 び協力会社員16 名)で構成される「班」にて実施する。(初動対応要員 13 班体制) 図2 訓練体制 0 当社原子力訓練センター所長を訓練及び作業安全の統括管理責任者とし、各班のリーダーを作業責任 者とする。 0 保修対応要員の役割分担は、宿直体制と同じ役割とする。訓練に当日参加できない場合は、他班の同じ役割の者と交替することも可能とする。 訓練の実施 4 1 力量維持訓練 原子炉施設保安規定に定めた「重大事故等の発生及び 拡大の防止に必要な措置の運用手順等」に記載した対応手段を実施するために必要とする手段を教育訓練項目として実施する。 ・訓練頻度は年1回以上。作業・操作の類似がないものは年2 回(そのうち1 回は机上訓練) ・任意訓練項目は、高線量下を想定し放射線防具を使用 した教育訓練、夜間及び降雨等の悪天候等を想定した 教育訓練を実施する。 ① 机上訓練【訓練日数 半日程度】 ② 代替電源設備(高圧発電機車又は中容量発電機車) による給電、可搬型ディーゼル注入ポンプ(原子炉注水)接続・運転等【訓練日数 1日】 図3 訓練風景① ③ 初動対応関係 ・代替電源による給電(大容量空冷式発電機起動 確認)、ディスタンスヒース取替等 【訓練日数 1日】 ④ 水源確保関係(資機材運搬、ホース布設等)、ハイドロサブ関係(移動式大容量ポンプ車による補機冷却水通水)、燃料補給関係 等 【訓練日数 1日】 図4 訓練風景② 4 2 成立性確認訓練 0 技術的能力に係る成立性確認訓練 ③④の対応について、役割に応じた対応が必要な要員数で想定時間内にできることを確認する。また、訓練結果を基に訓練時間と想定時間を比較し評価する。【訓練日数 3日】 0 現場主体の作業・操作にかかる成立性確認机上訓練有効性評価の重要事故シーケンスに係る対応手段について、必要な役割に応じて求められる現場作業 等ができることを机上訓練で確認する。 【訓練日数 1日】以下、訓練対象の重要事故シーケンス ・全交流電源喪失(RCP シールLOCA が発生する場合) ・雰囲気圧力・温度による静的負荷(CV 過圧破損) ・雰囲気圧力・温度による静的負荷(CV 過温破損) ・使用済燃料ヒット水の小規模な喪失 ・全交流電源喪失(運転停止中) 0 現場シーケンス訓練 有効性評価の重要事故シーケンスと技術的能力の 手順を網羅的に検証できる重要事故シーケンスを対 象に、指定した班で実時間ベース実働訓練を行い、 適切に対応できることを確認する。 【訓練日数 1日】以下、訓練対象の重要事故シーケンス ・全交流電源喪失(RCP シールLOCA が発生する場合) ・雰囲気圧力・温度による静的負荷(CV 過圧破損) おわりに 原子力発電所の安全性は、重大事故等対処設備の設置 等により確実に向上している。これらの設備の機能を確実に発揮するためには、設備を扱う要員の力量維持が不可欠である。万が一の事故等の発生に備え力量維持向上のための訓練を継続して実施するとともに、更なる原子力発電所の安全性・信頼性向上へ取り組んでいく。
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