質量分析法を用いた再処理工場の定期バイオアッセイ分析の改善

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カテゴリ: 第16回
質量分析法を用いた再処理工場の定期バイオアッセイ 分析の改善 Improvement of periodical bioassay analysis by mass spectrometry in Rokkasho Reprocessing Plant 株式会社ジェイテック沼沢怜奈Reina NUMASAWA 小比類巻康二Koji KOHIRUIMAKI 一戸 佳奈 Kana ICHINOHE 工藤 訓 Satoshi KUDOMember 日本原燃株式会社大山 一寿 Kazuhisa OOYAMA 氣田 信一 Shinichi KETA 田中 義也 Yoshiya TANAKA On evaluation of internal exposure in the radiation workers involved in maintenance and operation, calculation from work environment measurement, extracorporeal measurement methods and bioassay analysis method are adopted in Rokkasho Reprocessing Plant from its features. In addition, we proceed to improve efficiency of analysis work by implementing pretreatment of samples promptly and safety with mass analysis method as which ICP-MS, inductively coupled plasma mass spectrometers is used. We report overview and effect of this method in this report. Keywords: Internal exposure, Bioassay, Mass spectrometry はじめに 六ヶ所再処理工場では、原子力発電所とは異なり、核 分裂生成物の他、ウランおよびプルトニウム等も取り扱 うことから、保全や運転等に係る放射線業務従事者の内部被ばく管理において、アルファ線放出核種による被ば く評価も必要である。内部被ばく線量の評価方法としては、 業 測定 タからの 法、 ルウンタ等による体外 測法に加え、バイオアッセイ法も採用している。(図1)内部被ばく線量は直接測定による評価ができないため、これらの手法を組み合わせた個人モニタリングを体系化[1]し、信頼性の高い測定評価を実施することが必要である。 内部被ばく線量評価におけるバイオアッセイ法は、排泄物や生体組織等の人体から採取した試料に含まれてい る放射性物質の種類、放射能を測定し摂取量を 定する手法であり、アルファ線やベ タ線のみを放出する核種についても評価が可能である。再処理工場では、アルフ 作業者が呼吸する空気 吸入呼気経口(飲み込み) 計算法 体 計測法 じイ才アツセイ法 図1. 内部被ばくの評価方法 連絡先 沼沢 怜奈 〒039-3212 青森県上北郡六ヶ所村尾駁字弥栄平1-108 株式会社 ジェイテック 放射線安全統括部 放射線技術グル プ E-mail reina-numasawa@j-tech66.co.jp ァ線放出核種であるウランおよびプルトニウムを取り扱う 業者について、尿を分析試料として定期的にバイオアッセイ分析を実施している。 定期バイオアッセイ分析における課題 バイオアッセイ検査対象者(以下 検査対象者 と略す) は、モニタリング対象者 300 から、 業内 を し、連続する月において同一者とならないように抽出す る。定期バイオアッセイ分析では月毎に検査対象者の尿 中ウラン(U-234,235,238)の放射能を測定し、内部取込みの 有無を確認している。アルファ線の測定では他のアルフ ァ線放出核種や有機物等の不純物が妨害となるため、湿式灰化による前処理および陰イオン交換法による化学分離が必要である。本手法では前処理等の 業に5 日、アルファ線核種分析装置による放射能測定に22 時間、採取から評価までを含めると 2 週間を要し(図2)、1 ヶ月あたり40 検体の測定が上限である。また、健康有害性の高い試薬や分析用の放射性同位元素を使用するため、業効率の向上に加え、安全性の確保も課題となっていた。 尿試料 チニン測定を実施する。判定基準は預託線量から誘導し た50ng/L とし、基準値を上回る検体については放射能分析を実施することとしている。質量分析では前処理から 測定までを 1 日で実施することが可能であり、クレアチニン測定についても同日に実施できる。 放射能分析と質量分析の比較表を図4 に示す。 放射能分析 質量分析 前処理 5日 2時間 測定時間 22時間 5時間 補正用分析時間 3時間 使用試薬 10種類 4種類 使用試薬量 約500mI 約25mI 放射性同位元素の使用 有 無 同時測定 体 15 体 図4. 放射能分析と質量分析の比較 図2. 放射能分析の評価フロー 質量分析によるスクリーニング 当社および日本原燃(株)は、前述の課題解決のため 前処理が簡易かつ化学分離等が不要な誘導結合プラズマ質量分析装置( Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer 以下 ICP-MS と略す)による質量分析に着目し、放射能分析を実施する前段階にスクリ ニングを導入した。図 3 に質量分析導入後の評価フ を示す。スクリ ニングでは、検査対象者の尿を採取した後、ICP-MS を用いた検量線法により、U-238 度を測定する。なお、尿の 縮度合を補正するため酵素法によるクレア 図3. 質量分析を導入した評価フロー 適用実績 2012 年5 月からスクリ ニングを導入し、2019 年3 月 までの 7 年間で9064 検体を対象に実施した。このうち、判定基準である50ng/L を超過し、放射能分析を実施した検体は10 検体であった。スクリ ニング導入前は年間480 検体実施していた放射能分析が導入後は1~2 検体と なった。 まとめ 質量分析によるスクリ ニングを導入することで、前 処理の簡易化および 業時間の短縮に繋がり 業効率が大 に れた。試薬や放射性同位元素の使用量も減でき 業安全性も向上した。また、検査対象者が 1 ヵ月あたり40 から120 に増加し、導入前に比べ3 倍の検査が可能となった。 今後は、内部被ばく評価の精度向上、 らなる効率化の観点から、定期バイオアッセイと体外 測法から個人モニタリングにおける測定 タの蓄積を進めるとともに、分析手法の検 も日本原燃(株)と 力しながら進めていきたい。 参考文献 [l]ICRP Publication78 業者の内部被ばくの個人 モニタリング (社)日本アイソト プ 会
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