福島第一発電所事故に係る放射線の話

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カテゴリ: 解説記事

1.まえがき
平成23年3月11日に東北地方太平洋沖地震をきっかけに福島第一発電所の事故が発生して以来半年あまりが経過した。この間テレビ・新聞等のメディア、国会での審議等で放射線が話題にならない日はないといってよい。事故以前には大多数の方が放射線になじみがなかったが、それだけ大多数の人にとって放射線が身近になってきている。ベクレルやシーベルトといった放射線用語は、以前は専門家のみが知っている放射線の単位であったが現在は、知らない人はいないといってもくらいである。事故が起こったことは大変不幸なことであるが、原子力の専門家はこれまでの原子力安全の考え方や規制の在り方が間違っていなかったのかを検証し、教訓を得て今後の安全対策に生かすべきであるが、一方、今回の事故をきっかけに国民の放射線に対する理解が深まることは大切なことであろう。本解説は、放射線や放射線防護のことを取り上げ、整理をすることで福島第一発電所の事故に関するトピックスの1つである放射線の理解に少しでも役立てていただくことを目標としたい。
2.事故の発生と進展
 平成23年3月11日の事故の発生前の福島第一発電所の運転状況は、1号機は定格電気出力運転、2号機と3号機は定格熱出力運転、4号機、5号機及び6号機は定期検査中であった。4号機については、大規模修繕工事を実施中であり、核燃料はすべて使用済み燃料プールに移送されていた。運転中の1号機から3号機は14時46分の東北地方太平洋沖地震の発生を受けて自動停止したが、同時にすべての外部電源が失われた。直ちに非常用ディーゼル発電機が起動したが、約1時間後に襲来した津波により冷却用海水ポンプ、非常用ディーゼル発電機、配電盤が冠水して停止した。また、冷却用海水ポンプの冠水のため残留熱除去系や補機冷却系が機能を失い、最終的なヒートシンクが確保できなくなった。
 その後、隔離凝縮系、消火ラインを活用した淡水・海水注入や格納容器のベントが試みられたが、圧力容器内の核燃料棒の露出を防ぐことができずに1~3号とも炉心溶融が生じた。そのため、高温になった燃料被覆管の成分であるジルコニウムと水との反応が生じ大量の水素が発生した。この水素は何らかの経路で原子炉建屋に滞留し1、3号機では水素爆発を起こした。また、2号機においてはサプレッションチャンバ付近で爆発した。また、4号機では原子炉建屋で水素爆発を起こしたが、その原因は究明中である。
 ベントや水素爆発によりヨウ素やセシウムなどの放射能が施設外に放出された。福島第一発電所の事故は、国際原子力評価尺度で7とされ、チャルノブイリ事故と同等とされたが、放出された放射能量は1桁くらい少ない。原子力安全委員会の評価(3月11日から4月5日まで)ではヨウ素131が約1.5X1017ベクレル、セシウム137について約1.2X1016ベクレルとなっている4月初旬以降は、ヨウ素131でみた放出量は1011~1012ベクレル/時と推定されている。主なパラメータについてチェルノブイリ事故、スリーマイル発電所事故と福島第一発電所事故を整理して付表1に示す。
3.放射性物質、放射線、線量とその単位
放射線は放射性物質を構成する放射性元素の原子核から出てくる。ヘリウム原子核として出てくるもの(アルファ線)、電子の形で出てくるもの(ベータ線)、光として出てくるもの(ガンマ線)の3種類がある。ほかに原子炉で作られる中性子線がある。中性子は寿命が約15分であり、原子炉の外に飛び出すとすぐに崩壊してしまい自然界ではほとんどない。したがって、福島発電所の事故後は原子炉が停止し中性子が発生する核反応は起こっていないので、中性子を除く3種の放射線だけを問題にすればよい。まず、放射能・放射線を扱うための必須の単位について触れておきたい。
1) ベクレル:放射線を出す放射性物質の量を表すための単位がベクレルである。1ベクレルは1秒間に1個の壊変を起こす放射性物質の量を示す。
2) グレイ:放射線を受けた物質が吸収するエネルギー量を表し、吸収線量という。物質1キログラムが1ジュールのエネルギーを吸収した場合1グレイである。物理単位で生物への影響は考慮していない。
3) シーベルト:エネルギー吸収線量に人体への影響を考慮してあらわす線量の単位。等価線量と実効線量がある。等価線量は、吸収線量に放射線荷重係数(ガンマ線、ベータ線は1.0、アルファ線は20)を掛けて求める。放射線の種類による人体への影響度の違いを考慮している。また、臓器や組織ごとに放射線の影響を受ける度合いが違う。その違いを4段階に分けて全臓器に割り振った数を組織係数(表1)といい、等価線量に組織係数をかけ合計したものを実効線量と呼ぶ。臓器による影響度の違いを踏まえ、人体として比較するための放射線管理上の線量の単位である。
例えば、甲状腺が100ミリシーベルト(等価線量)被ばくした場合、全身(実効線量)換算では5ミリシーベルトになる。
表1 実効線量を求めるための組織係数
組織 組織係数
生殖腺 0.2
骨髄、胃、肺、結腸 0.12
膀胱、乳房、肝臓、食道、甲状腺、その他の組織・臓器 0.05
皮膚、骨表面 0.01
4.原子炉事故で放出される放射性物質(核種)と人体への移行経路
原子炉の中では、ウラン235が核分裂を起こしている。核分裂に伴うエネルギーを発電に利用しているのであるが、一方で核分裂を起こした時に放射線を出す核分裂生成物が生成される。これらは、通常5つの障壁により閉じ込められているが、大事故の際には原子炉の外に放出される。核分裂生成物の種類は多いが、半減期がきわめて短いものが多く、人間への影響を考えるうえで重要な核種は多くはない。チェルノブイリ発電所の事故の際に放出された放射性物質のうち健康被害をもたらすうえで検討された核種は、結局、ヨウ素131、セシウム137と134、ストロンチウム90である。その他にルテニウム106、モリブデン99が放出され、ウランやプルトニウムも放出された。福島発電所の事故のケースでは、ヨウ素131とセシウム137、セシウム134である。その他は微量しか放出されていない。
ヨウ素131の半減期は8日であり、放出後1か月も経過すると放射能は16分の1となる。セシウム137とストロンチウム90の半減期は約30年であり影響は長期間続く。ストロンチウム90の放出量はチェルノブイリ事故の場合セシウム137の10分の1程度であり、この位の割合の量であれば通常の放射線防護ではセシウムを測定し代表としてその放射能を規制することでストロンチウム90も同時に規制されているとされている。実際、福島発電所事故の場合、ストロンチウムの放出量はセシウム137の10分の1以下でメディアでもストロンチウム90が取り上げられることはあまりなかった。事故の当初はメディアでヨウ素が大きく取り上げられ甲状腺がんを予防するためのヨウ化カリウム剤を用意するかどうかが大きな問題となっていたがその後はほとんどセシウム137が話題の中心である。
図1 放射性物質の人体への移行経路
発生源から外部に放出された放射性物質は様々な経路を通って人体に至る。その経路を図1に示す。放射性物質・放射線による被ばくは、外部から直接放射線(主にガンマ線)を浴びる場合(外部被ばく)と飲料水、野菜や穀物、畜産物、淡水産物、海産物と一緒に摂取することによって体内から被ばくする場合(内部被ばく)がある。
外部被ばくには以下のルートがある。
(1) 大気中の放射性物質から
(2) プルーム(放射能を含んだ雲)から。プルームの通過までの期間に限られる。
(3) 地表に降下した放射性物質から
内部被ばくには以下のルートがある。
(1) プルームの吸入。プルームの通過までの期間に限られる。
(2) 地表降下物の再浮遊物の吸入
(3) 食品から体内に摂取
(4) 飲料水から体内に摂取
人がどのくらいの被ばくを受けたかを評価する場合、上記のルートや放射線の核種を考慮しながら被ばくした線量(等価線量や実効線量)を評価することとなる。
4.避難
福島第一発電所の事故のような原子力災害の時に放射性物質や放射線の異常な放出が発生した場合に講じる措置を防護対策と呼んでおり、原子力安全委員会の防災対策に対する指針(原子力施設等の防災対策について)の第5章5-2として定められている。防護対策には、屋内退避、コンクリート屋内退避、避難、安定ヨウ素剤予防服用、食物摂取制限等がある。屋内退避及び避難等に関する放射線の被ばくレベルに係る指標として表2のように定められている。
表2 屋内退避・避難等の指標
予測線量
(ミリシーベルト) 防護対策の内容
全身(外部被ばく) 甲状腺
骨被ばく
10~50 100~500 住民は自宅等の屋内へ避難すること、その際、窓等を閉め気密性に配慮すること。
50以上 500以上 住民は、指示に従いコンクリート建屋の屋内に退避するか、または避難すること。
上記の表2の指標は事故直後に多量の放射線を被ばくすることを防止するために定められたもので、運用する期間は、数日から2週間程度が目安となる。福島第一発電所事故のように事故収束活動がそれ以上長期化し、事故直後に比べ環境放射線も減少している状況の下では退避や屋内退避に伴う住民の負担が大きすぎ別の管理が必要になる。日本には適切な指針がないので表3に示すICRP(国際放射線防護委員会)の推奨基準を参考に政府は対処している。それによると短期間の緊急時は20ミリシーベルト以上で避難、平常時の規制値は1ミリシーベルト以下である。2週間程度以上で平常に復帰するまでの過渡的な期間の線量は、1~20ミリシーベルトの範囲でできる限り少ない被ばく量で済むように管理するのが原則である。福島第一発電所事故は平成23年9月の段階では緊急事態期ではなく、復旧期にある。例えば、文部科学省は、学校校庭での活動の管理目標として20ミリシーベルト以下、できるだけ1ミリシーベルトに近づけることとしている。国は線形仮説に基づく安全側の基準を採用していることになる。
 ヨウ素剤の服用についても原子力安全委員会の防災指針、付属資料12に基本的考え方が定められている。それによれば40歳未満の人が服用し、新生児、乳児、幼児、13歳以上と年齢によって服用量が定められている。福島第一発電所の事故の場合、ヨード剤は自治体に用意されたが、避難を完了していたため実際に服用した人はいなかった。
表3 ICRP(国際放射線防護委員会)の事故時の放射線管理の考え方
時期 目安となる線量
(ミリシーベルト/年) 線量の管理目標 措置
緊急事態の期間 20~100 事故による被ばく量を20-100ミリシーベルトに管理する。 避難、食品の出荷制限、摂取制限、除染による環境回復などの防護方策により被ばく量の低減を図る。
事故収束期の復旧の期間 1~20 事故による被ばく量を1-20ミリシーベルト/年に管理する。
平常時 1以下 医療被ばく、自然放射線被ばく以外の原子力利用による被ばくを1ミリシーベルト/年以下に管理する。
5.食品の放射能に関する規制
食品には、もともといくらかの放射能が含まれている。たとえばホウレンソウには約2000ベクレル/キログラム程度の放射性カリウムが含まれている。この放射能は天然にあるものであり、特に規制はされていない上に汚染されているとも言わない。しかしながら、原子炉事故で放出された放射性物質には規制がある。その指針は原子力安全委員会が推奨し食品安全委員会で定められている。その指標は表4及び5のとおりである。
表4 飲食物に関する暫定規制値(ヨウ素)
対象 放射性ヨウ素
(ベクレル/キログラム)
飲料水 300
牛乳・乳製品 300(注)
野菜類(根菜、芋類を除く) 2000
注 100ベクレル/キログラムを超えるものは乳児用に使用しないように指導すること
表5 飲食物に関する暫定規制値(セシウムその他)
対象 セシウム
(ベクレル/キログラム) ウラン
(同左) プルトニウム及び超ウラン元素
(同左)
飲料水 200 20 1
牛乳・乳製品 200 100 1
野菜類 500 100 10
穀類 500 100 10
肉・卵・魚・その他 500 100 10
食品安全委員会によれば、この規制値は福島第一発電所の事故に対応した暫定的規制値で長期的には見直すとのことである。これらの規制値の算出根拠は文献【3】に説明されている。介入という防護のための規制を開始する判断のための実効線量を5ミリシーベルトとし表5の5種類の各食品に1ミリシーベルトずつ割り当て各食品を1年間食べ続けたとしたときに1ミリシーベルトに達する放射能の濃度を成人、幼児、乳児に区分して計算し最も厳しい数値を参考に安全側の数値を指標として設定している。これらの指標値は、摂取制限などを開始する値であり、指標値に達したとき健康を害する症状が出るという値ではない。例えば、セシウム200ベクレルを含む牛乳100ミリリットル(日本人の平均摂取量)を1年間飲み続けた場合の被ばく量は約0.1ミリシーベルトとなり、胃の1回のX線検査での被ばく量約3ミリシーベルトよりも少ない。
外国の食品の規制・基準の例には米国(米国産及び輸入食品における放射性核種のガイダンス基準(CPG7119.14)がある。ヨウ素の規制値については日本が緩く、セシウムの規制値については日本が厳しい数値になっている。
6.被ばく医療
 人が原子炉事故に起因する放射線を浴びたとき被ばく医療を受けることになる。具体的には、原子力安全委員会の防災指針(原子力施設等の防災対策について)の第6章緊急被ばく医療に沿って行政の指導で対処し、初期医療機関(避難所、事業所内医療施設)でサーベイランス、線量評価、必要に応じて除染、診察を受けることとなる。入院が必要な場合は2次医療機関(東日本では放医研、西日本では広島大学)、入院して特別な措置が必要な場合は3次医療機関(放医研)が指定されており初期医療機関と連携して対処する。
7.放射線の人体への影響
放射線を被ばくすると人体に現れる影響には身体的影響と遺伝的影響がある。身体的影響は確定的影響と確率的影響に分かれる。確定的影響は閾値を超えると100%症状が出る。確定的影響の症状とその閾値を表6に示す。表から胎児への影響を除いて閾値は150ミリシーベルト以上である。胎児への影響では流産は50ミリシーベルトから現れ、奇形の閾値は100ミリシーベルトである。
一回の被ばく量が2,000ミリシーベルトを超えると1か月半から2カ月後に死亡する可能性があるが、福島発電所事故ではこのような量の被ばくをした住民や従業員は存在せず、死亡者はゼロである。これは幸いなことで特記したい。
確率的影響とは、被ばくをするとある確率で症状が現れる影響をいう。確率的影響についてはがんがある。原爆被爆者に見られるがんとしては、白血病、多発性骨髄腫などがある。チェルノブイリ事故では、小児甲状腺がんが検出されている。国際防護委員会(ICRP)では、がんの確率的影響は保守的な仮定であるLNT(線形仮説)を採用している)。それによると1,000ミリシーベルトではがんによる死亡確率が5%増加する。
表6 放射線被ばくによる症状と閾値【4】
標的組織 症状 閾線量
(ミリシーベルト)
骨髄 白血球減少 500
赤血球減少 2,000~6,000
血小板減少 2,000~6,000
不妊 男性 一時的不妊 150
永久
不妊 3,500~6,000
女性 一時的不妊 650~1,500
永久
不妊 2,500~7,000
眼 水晶体混泥 500~2,000
白内障 5,000
胎児 胚死亡、流産 50~100
奇形 100
精神発達遅延 120~200
皮膚 一時的紅斑 2,000
一時的脱毛 3,000
壊死 18,000
注:1グレイ=1ミリシーベルトと換算(ガンマ線、ベータ線を想定)
線形仮説では100ミリシーベルトでは、がんによる死亡確率が0.5%増加することになり、日本人の約半数はがんで死亡しておりわずかにリスクが増加するだけである。国立がん研究センターの資料【5】によると喫煙者のがんの発生のリスクは1.6倍である。これに相当する放射線のリスクは、1,000~2,000ミリシーベルト)被ばくした場合でがんの発生でみて1.8倍となる。
 どの程度の放射線を被ばくしたらどのような確率的症状が出るかは広島・長崎の原爆やチェルノブイリ事故の疫学調査を基に論じられている。しかし、このような低線量の時の影響はデータが少ないうえに、確率的影響の場合、純粋に放射線の影響を抽出することが難しいという研究手法上の限界もある。このため100ミリシーベルト)以下では、放射線による確率的影響があるかどうか検出できない。一方、低線量領域では放射線が当たると免疫機能が刺激、強化され、生体の修復機能がより強化されるとの主張もある。このような放射線のプラスの影響はホルミシス効果と呼ばれている。日本、オーストリア、ロシアなどでホルミシス効果を根拠にラドン温泉の効用がうたわれ、療養のために活用もされている。ホルミシス効果は、否定する学者もおり、今後、実証研究が待たれる。
国連科学委員会報告書(2000,2006)は100ミリシーベルト以下では確定的影響は観測されないとしており、規制当局が胎児に対する配慮は必要であるが、管理目標として100ミリシーベルトを念頭に置くことは現状では妥当であるといえる。一方で、生体の放射線に対する修復機能は考えている以上に強力で影響が出る閾値は実際にはもっと高いと主張する意見もある【6】。このような意見によれば現行の規制は厳しすぎ、かえって住民の負担を重くしているということになる。がん治療に使われる放射線照射量が通常、数グレイを数回に分けて照射し、合計で数十グレイに達することを踏まえるとこの考えにも根拠があり、今後、放射線防護と生活上の便益のバランスのとれた放射線防護の研究と実践を進めてほしいものである。
8.モニタリング
 平常時には、地方公共団体が中心となり環境放射線モニタリングを実施している。福島第一発電所事故のように異常な放射線が発電所外に放出された場合には、災害対策基本法に基づき国、地方公共団体、指定公共団体及び原子力事業者は、それぞれの防災計画に従って環境放射線のモニタリングを行う、その目的は、原子力安全委員会、防災・環境に関する指針の環境放射線モニタリング指針に記載されているように①周辺住民等の線量の推定及び評価、②環境に対する放射性物質の蓄積状況の把握などである。日本政府の報告書によれば福島第一発電所事故後には次のモニタリングが行われている。
1) 発電所敷地内
・空間線量測定
・放出監視
・土壌の放射能分析
・海水及び海底土の放射能分析
2) 発電所敷地外
・空間線量率
・大気中ダスト
・土壌および雑草の放射能濃度
・海域モニタリング(海上の空気中ダスト、海水中・海底土の放射線モニタリング、水産物)
・航空モニタリング
3) 日本全国で実施
・都道府県別環境放射能水準調査
・定時降下物
・上水
 モニタリングを踏まえ飲料水は厚生労働省、農産物、畜産物は厚生労働省と農林水産省、稲については原子力災害対策本部が原子力安全委員会の助言を得て規制している。
9.まとめ
 福島第一発電所事故は、まだ収束していないが、プラントの状態は落ち着いており、来年の1月には収束が期待される。発電所からの放射能の放出率は、現在ではピーク時の1千万分の1に減っており周辺の環境モニタリングの数値は安定している。できる限り早く警戒区域や計画的避難地域が解除され住民の方が元の生活を取り戻すことを希望している。

参考文献
[1] 原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書、平成23年6月
[2] 原子力用語事典ATOMICA (http://www.rist.or.jp/atomica/)
[3] 須賀、保険物理、35(4) 465-466(2000)
[4] シンポジウム“バイオサイエンスの進歩”、PPT、長崎大学、平成23年4月14日
[5]国立がん研究センターホームページ (http://www.ncc.go.jp/jp/information/pdf/cancer_risk.pdf)
[6] ウェードアリソン、放射能と理性、邦訳、峰村利哉、徳間書店、平成23年7月
(平成23年8月31日)

付表1 原子力発電所事故の比較
発電所名 チェルノブイリ スリーマイル 福島第一発電所
炉形式 RBMK-1000、4号炉 PWR、2号炉 BWR
電気出力 100万kW 95.9万kW 1号機:46.0万kW
2号機:78.4万kW
3号機:78.4万kW
4号機:78.4万kW
事故発生日 1986/4/26 1979/3/28 2011/3/11
ヨウ素放出量 1.76 X 1018 ベクレル 注2 5.55 X 109 ベクレル 注3 1.5 X 1017 ベクレル 注1
セシウム137放出量 8.5 X 1016ベクレル注2 0 1.2 X1016 ベクレル 注1
希ガス 6.5 X 1018 ベクレル 注2 9.25 X 1012 ベクレル
注3 2 X 1018 ベクレル 注4
死者 急性障害 28名
その他 2名 0 0
周辺住民の被ばく量 119 ミリシーベルト 0.01 ~1 ミリシーベルト 約19万5千人のスクリーニング調査実施。スクリーニングレベルは100,00cpm(1マイクロシーベルト/時に相当)とし、ほとんどがそれ以下であった。除染を行った住民は102名
避難(周辺 30km) 135,000人(原安委報告書)
116,000人(原子力ポケットブック) 妊娠中の女性と就学年齢前児童に避難勧告(5 マイル以内の地域)
かなりの数(ATOMICA) 避難区域(5.16時点)42,765人
計画的避難区域(5.16時点)
約10,000人
(福島県ホームページ及び福島県災害対策本部)
INES評価 注5 7 5 7
注1 原子力安全委員会による評価(日本国政府の報告書、添付VI-1)
注2 国連科学委員会報告書(1996年推定値)
注3 ATOMICAから
注4 仏IRSNによる見積り評価(http://www.irsn.fr/EN/news/Pages/201103_seism-in-japan.aspx)
注5 IAEAによる国際原子力評価尺度(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E4%BA%8B%E8%B1%A1%E8%A9%95%E4%BE%A1%E5%B0%BA%E5%BA%A6)
福島第一発電所事故に係る放射線の話 植田 脩三,Shuzo UEDA 福島第一発電所事故に係る放射線の話 植田 脩三,Shuzo UEDA
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