原子力発電所の敷地内破砕帯問題:志賀原子力発電所の敷地内シームの評価(その1)

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カテゴリ: 解説記事
1. はじめに 原子力発電所の敷地内破砕帯問題: 志賀原子力発電所の敷地内シームの評価(その1) 北陸電力株式会社 片川 秀基 Katagawa HIDEKI 北陸電力株式会社 中嶋 光浩 Nakashima MITSUHIRO 現した。これを踏まえ原子力安全・保安院(当時)は 2012 年 4 月以降、耐震バックチェックの一環として既 原子力発電所では、活断層の上に重要構造物を作らな い。そのため既設発電所では、現地確認を含む厳重な安 全審査で、その旨の確認がなされてきた。 北陸電力(株)は、2012 年 7 月 18 日の原子力安全・保安 院(当時)の指示により、志賀原子力発電所において、 シームの断層活動性の追加調査を実施した。この調査等 の結果は、2013 年 12 月 19 日原子力規制委員会(2012 年 9 月に発足。)に報告し、同委員会の下で有識者によ る評価会合(以下、有識者会合と呼ぶ。)に付されている。 この解説記事の執筆時点で、有識者会合の評価書はまだ 確定していない。 この解説記事では、シーム問題の背景、発端と経緯、 追加調査の内容と結果、2015 年 11 月 20 日のピア・レ ビューで審議された評価書案 [1] の問題点について(そ の1)、(その2)の 2 編で解説する。 (その1)では、まず「2.シーム問題の発端」とし て原子力発電所の敷地内破砕帯問題の背景、北陸電力(株) の志賀原子力発電所のシームが活動性を問われるにい たった発端について述べる。次に「3.シーム問題への 取り組み」として原子力規制委員会下で改訂された新規 制基準とその適用を概略し、調査・評価への取り組み方 について述べる。「4.シームとは何か?」および「5. シーム S-1 の断層部分の活動時期」については北陸電力 (株)の追加調査結果等から述べる。 2.シーム問題の発端 2.1 原子力発電所の敷地内破砕帯問題 2011 年 3 月 11 日の東北地方太平洋沖地震による広範 な地殻変動に伴って誘発地震活動が頻発した。2011 年 4 月 11 日の福島県浜通りの地震(M7)では、耐震設計 で考慮されていなかった湯ノ岳断層に地表地震断層が出 設原子力発電所の敷地内破砕帯の活動性をレビューし、 評価資料の充実を目的に、志賀原子力発電所を含む 6 つ の原子力発電所に追加調査を指示した。 2.2 志賀原子力発電所のシーム問題の発端 「シーム」という用語は、成因の如何によらず粘土等 の挟み層に用いられる。志賀原子力発電所では、基礎岩 盤中の地質不連続面に節理、シーム、破砕帯の 3 区分を 行った。節理は挟在物がなく連続性に乏しい所謂通割れ 目、シームは薄い粘土質の挟み層、破砕帯は砕けた岩石 からなり粘土を伴う。 図 1 志賀原子力発電所のシーム等の分布 志賀原子力発電所の基礎地盤に破砕帯は存在しない。 基盤(千数百万年前の安山岩の火山活動でできた岩石か らなる穴水累層)中に S-1 ? S-8 の 8 本のシームがあり (図1)、中位段丘I面(12 ~ 13 万年前)など海成段丘 堆積層に覆われる [2]。シームには北西 - 南東方向と北 北東 - 南南西方向があり、いずれも傾斜は高角度である。 北陸電力(株)はそれぞれの方向を代表するシーム S-1、及 保全学 Vol.15-1 (2016) び S-4 と S-6 でトレンチ調査等を実施し、中位段丘I面 を構成する堆積層(少なくとも 12 ~ 13 万年前以前)に 変位がないことを明らかにした。なお、シーム S-2 とシー ム S-6 はそれぞれの延長に位置して近接し、走向傾斜、 条線の方向も同じなので、一括してシーム S-2・S-6 と して扱う。 こうしたシームが敷地内破砕帯問題の対象となったの は、2012 年 7 月 17 日の原子力安全・保安院(当時)「地 震・津波に関する意見聴取会」においてである。安全審 査当時のシーム S-1 トレンチ(以下、旧トレンチと呼ぶ) の壁面スケッチ(図2)について、堆積層基底面のシー ム S-1 の位置に段差があることから、一部委員が堆積層 の断層変位を疑ったのである。 図 2 旧トレンチ(B トレンチ北西壁)スケッチ これを受けて原子力安全・保安院(当時)は、翌 18 日、北陸電力(株)に追加調査を指示した [3]。北陸電力(株) は直ちに調査計画を策定し、同年 8 月、原子力安全・保 安院(当時)の承認を得て追加調査に着手した。 2.3 シームの追加調査開始以降 原子力安全・保安院(当時)と原子力安全委員会(当時) とのダブルチェック体制による安全規制は、2012年 9 月、 原子力規制庁を事務局とする原子力規制委員会に一元化 された。 原子力発電所の敷地内破砕帯問題は原子力規制委員会 に引き継がれ、追加調査結果に基づく評価作業は、同委 員会の下、有識者会合で行われることになった。有識者 会合とは 16 名の有識者のなかから原子力発電所毎に 4 名が選任され、原子力規制庁を事務局として評価作業に あたる。 有識者会合の評価書案は、担当以外の有識者によるピ ア・レビューを経て、評価書として確定する。ピア・レ ビューは学術論文の査読にあたる。日本原電(株)敦賀 原子力発電所ではレビューアーから問題点の指摘が多出 したことから、座長は、評価書は科学的合理性に基づく 総合的評価として整理すべき旨を述べている。しかし、 評価書の結論が見直されることはなかった。 2015 年 11 月 20 日、北陸電力(株)の志賀原子力発 電所のピア・レビューが行われ、レビューアーから、評 価書案に用いられた根拠の妥当性やデータに対する事実 認識について意見が多出した。これを踏まえ本年 1 月 6 日の原子力規制委員会第 48 回定例会は、有識者間で評 価が分かれる部分があれば『その旨を明記したうえで評 れば、活断層についての審査のポイントは、『重要な安 る断層等の露頭がないことを確認する。』を明記したこ と、将来活動する可能性のある断層として『震源として 考慮する活断層』と『地震活動に伴って永久変位が生じ る断層』を明記したこと、そして将来活動する可能性の 動が否定できないものとし、これが明確に判断できない 場合は中期更新世以降(約 40 万年前以降)まで遡って 総合的な検討を行ない評価するとしたことである。 なお「まえがき」には、活断層の調査、評価に必要 な 3 つの留意点があげられている。これらはいずれも過 去の安全審査に係る実務の中で考慮されていた事柄であ る。特に活断層や地震時に永久変位を生じる断層が基礎 底面上にあってはならないことについては、その実証が 求められていた。 解説記事「原子力発電所の敷地内破砕帯問題:志賀原子力発電所の敷地内シームの評価(その1)」 価書をとりまとめていく。』とした [4]。しかし、これを 受けて実施された 3 月 3 日の有識者会合でレビューアー の意見は顧慮されず、評価書案の結論は変わっていない [5]。なお、現在、有識者会合の評価書は、原子力規制委員 会が行う新規制基準適合性審査に際し、重要な参考と位 置づけられている。 3.シーム問題への取り組み 3.1 新規制基準 2013 年、新規制基準が制定された。「敷地内及び敷地 周辺の地質・地質構造調査に係る審査ガイド」[6] によ 全機能を有する施設の地盤には将来活動する可能性のあ ある断層を後期更新世以降(12 ? 13 万年前以降)の活 保全学 Vol.15-1 (2016) 3.2 新規制基準の追加調査実施への適用 が得られた。 「審査ガイド」の具体的適用には、2014 年 12 月 10 日 の敦賀原子力発電所のピア・レビューで座長の加藤東大 教授が総轄したように、科学的合理性に基づく総合的な 評価、判断が肝要と考えられる。 例えば、「まえがき」にあげられた活断層の調査、評 価に必要な留意点のひとつに、『2 変動地形学的調査、 地質調査、地球物理学的調査について、それぞれが独立 した視点から行う調査であることを踏まえ、例えば変動 地形学的調査により、断層の活動を示唆する結果が得ら れ、これを他の調査で否定できない場合には、活動性を 否定できないこと等を念頭に評価を進めること。』があ る。この留意点の追加調査への具体的適用では、評価は 科学的かつ合理的説明性の観点から総合的になされるも のであることを前提に、次の考え方で臨んだ。即ち、変 動地形学的調査により断層の活動を仮定できる場合で あっても、地質調査や地球物理学的調査で具体的根拠を 持って異なる結果を導きうる場合、評価は、調査の確度 や精度、調査間における概査と精査の相補関係に照らし てなされるべきである。 また、既設原子力発電所を対象に、『活動性の調査に 当たって、設置面での確認が困難な場合には、当該断層 の延長部で確認された断層等の性状等により、安全側に 判断する必要がある。』とされている。一方、同解説には、 『地震活動に伴って永久変位を生じる断層及び支持地盤 まで変位及び変形が及ぶ地すべり面は、地震活動と常に 同時に活動するとは限らない。このことを踏まえ、安易 に、将来活動する可能性を否定してはならない。』とある。 この下線部分の意味とその適用については、具体的かつ 合理的根拠を持ってする科学的否定をも排除するもので はないと考えられる。 3.3 追加調査の実施内容 シームに係る課題は、シーム自身が震源断層となりう るか、あるいは地震時に動いて永久変位を生じるかの2 点である。いずれも後期更新世以降(12?13万年前以降) の活動の有無で判断する。以前なら変位地形法や断層上 載地層法を適用した。しかし、既設発電所の地形面や表 層の地層は建設時に失われていることが多い。シームの 追加調査の実施にあたっては、既往の調査方法を追及し つつ、シームの成り立ちや関係する地質構造を解明する 調査を取り入れた。そもそもシームがどのような地質構 造なのか、断層現象がどのように係っているのかを調べ たのである。その結果、活動性の検討にも重要なデータ こうした調査を行なう前提として、シーム S-1 等対象 となる地質構造の詳細な分布を把握する事が不可欠であ る。 以上についての具体的な調査項目には岩盤調査坑調 査、ボーリング調査、トレンチ調査、ピット調査、露頭 ?ぎ調査、および海岸露頭調査がある(図 3)。 図 3 シーム S-1、S-2・S-6 の上載地層法等配置図 4.シームとは何か? 破砕帯とは、断層で壊れたりズレたりした地層や岩石 が、それなりの厚さを持って帯状に分布するものをいう。 シームが基盤岩中に挟在する粘土質薄層であって、所謂 破砕帯でないことは既述した。以下、シームとはどのよ うな地質構造なのか、シームにおける断層現象とその規 模、活動性の考え方について解説する。 図 4 シームに係る地質構造の概要 4.1 シームの鉱物学的な特徴 シームの主要な鉱物組成は、母材起源の斜長石等を除 けば、クリストバライト、スメクタイトが主で、このほ か僅かながら沸石を検出している。クリストバライトも スメクタイトも熱水変質により生成する鉱物で、スメク タイトは比較的低温環境下で生成する。鏡下で詳細に観 察すると、スメクタイトが分布する中には、強アルカリ 環境下で生成する鉄サポナイトも散見される。なお、風 化帯で粘土鉱物等はハロイサイトに置き換わっている。 4.2 シームに係る地質構造 シームは“帯状を呈する火山砕屑岩”内の構造で、多 くは“凝灰質な細粒部”に沿って分布する(図4)。 “帯状を呈する火山砕屑岩”は岩脈状の産状を示し、 礫とマトリックスからなる火山砕屑岩状の岩石である。 角礫岩相?細粒岩相の複数の岩相がしばしば貫入被貫入 関係を示して分布する。周囲の穴水累層とは入り組んだ 境界を持って漸移する。分布方向はシームと同じである。 “ 凝灰質な細粒部 ” は細粒岩相で、線状ないし帯状に分 布する。 “ 帯状を呈する火山砕屑岩 ” の礫とマトリックスは穴 水累層の岩石に由来する。しばしば塑性流動状の組織・ 構造を示し、細粒岩相で顕著である。また、内部には正 断層センスの変形構造を留める。 “ 帯状を呈する火山砕 屑岩 ” はシームを除き、いずれも周辺の穴水累層と同様 に岩石化している。断層破砕による構造は全く認められ ない。岩盤調査坑で実施した K-Ar 年代測定によれば、“ 帯 状を呈する火山砕屑岩 ” 中のマトリックスから採取した 斜長石(20Ma 以上)には、周辺の穴水累層の安山岩の それ(15Ma)よりも優位に古い年代のものが含まれる。 下位の穴水累層の岩石が何らかの理由で粉砕され、岩砕 や鉱物片からなるマトリックスと礫とが混交した流体と なって、穴水累層中を上方へ移動したことを示唆する。 “ 帯状を呈する火山砕屑岩 ” は、おそらく第三紀中新 世の安山岩火山活動の後期ないし末期に北北東 - 南南西 方向、北西 - 南東方向の断裂形成に伴い、地下深部から 供給と移動を繰り返したものと考えられる。 こうした “ 帯状を呈する火山砕屑岩 ” 中におけるシー ムの産状・性状は、シームが、“ 帯状を呈する火山砕屑岩 ” や “ 凝灰質な細粒部 ” が形成され岩石化した後に出来た ことを示す。 4.3 シーム内部の組織構造と断層 岩盤調査坑では、周辺岩相中の新鮮な安山岩礫がシー ムに入り込む、あるいはほとんどシームを横断する産状 を示すものがある(図5)。これらの礫に破断、断層破 砕はまったくない。 また、シーム中に残る “ 凝灰質な細粒部 ” の組織や 礫、二次鉱物の鉄サポナイト結晶はその形状をとどめて おり、断層破砕は認められない [7]。しかし、シームと 周辺岩相との境界に沿って剥離させると、鏡肌や条線を 伴う平滑な面が出現する。シームの形成後、シームの縁 性検討の対象はこの断層である。シーム幅は平均で mm オーダー、時に数 cm に及ぶが、断層の幅は mm オーダー 以下で、平均的にはフィルム状と非常に薄い。 図 5“帯状を呈する火山砕屑岩”中のシームの産状例 4.4 シームの深部連続性と成因 シームS-1と直交する2測線でボーリング調査を行い、 シームの深部連続性を調査した。その結果、“ 帯状を呈 する火山砕屑岩 ” の中でも、シームが分布するのは深度 200m 程度より浅所で、深部には連続しない [8]。 シームの母材である “ 凝灰質な細粒部 ” が変質してス メクタイトを形成するためには水が必要である。シーム が深部にないということは、水が地下深部からではなく 地表からもたらされたことを示す。 “ 凝灰質な細粒部 ” は “ 帯状を呈する火山砕屑岩 ” 中 の相対的な弱部である。その縁辺に沿い、シームは、地 表から浸透した天水や海水と “ 凝灰質な細粒部 ” とが反 応し、低温熱水変質することで形成されたと考えられ る。低温熱水変質作用にもそれなりの温度は必要である れる。なお、シームのスメクタイトで実施した K-Ar 年 代測定値は 10Ma であった。K-Ar 年代測定法をスメク タイトに用いるには問題もある。しかし、この値は、「5.2」 解説記事「原子力発電所の敷地内破砕帯問題:志賀原子力発電所の敷地内シームの評価(その1)」 辺に断層現象を生じたことは間違いない。シームの活動 から、その形成は穴水累層形成の火山活動末期と考えら 保全学 Vol.15-1 (2016) に後述する断層形成時期に近い。 広域応力場を想定すると、約1千万年前前後となる。 4.5 断層部分の変位規模 4.1 ~ 4.4 を通覧すると、シームは “ 帯状を呈する火 山砕屑岩 ” 中の岩相境界で、地表付近から浸透した水の 存在の下、低温熱水変質作用により形成された粘土質薄 層である。縁辺には断層をともない、その幅は平均的に はフィルム状程度にすぎない。断層というより割目に近 い。こうした断層が、断層の長さと幅との関係から、数 10cm 規模の大きな断層変位を繰り返してきたとは考え 難い。 5.シーム S-1 の断層部分と活動時期 断層の活動時期を知る一助として条線を検討した [9]。 5.1 シーム S-1 の断層部分形成時の応力場 シーム S-1 の追跡では、断層部分の最新活動面を出し て条線の観察も行った。条線は断層や割れ目がズレる際 に出来る擦りキズのことである。この条線の方向から、 それができた応力場を求めることができる。 シーム S-1 は断層部分が右横ズレ逆断層として動いた ことが分かっている。山路他の多重逆解析法 [10] によ り応力場を求めると、最大主応力軸の方向は時計周りの 方位角 16.7°、水平からの伏角 44.9° の圧縮、また最小 主応力軸の方向は方位角 272.6°、伏角 13.8° の圧縮であっ た [11]。これは、シーム S-1 が南北性圧縮の応力場にあっ てシームの縁辺にズレを生じ、断層部分ができたことを 示す。 5.2 広域応力場を仮定した活動時期 能登半島周辺の新第三紀以降の広域応力場の変遷は次 の通りである [12],[13],[14]。 中新世前期には漸新世に始まる日本海の形成と拡大が あり、引張性の応力環境が支配的であった。しかし、中 新世中期の初頭(13 ? 8Ma)に応力場の大転換があった。 この大転換後西南日本弧の能登半島周辺の地質構造形成 は、北北西 - 南南東方向の最大圧縮主応力軸を持つ南北 性圧縮の応力場で進行した。その後鮮新世が始まる前後 の 6 ? 5Ma 以降は最大主応力軸の方向が現在のそれに 近い東西性圧縮の応力場に転換した。 シーム S-1 と同じ方向のものを含め、シームや “ 帯状 を呈する火山砕屑岩 ” は能登半島西岸の穴水累層の随所 に散見されることから、シーム S-1 の断層の最新活動に なお、志賀 1 号機原子炉建屋基礎底面では、シーム S-1 の断層部分は “ 帯状を呈する火山砕屑岩 ” 末期の岩 相に断層変位を与えておらず [15]、その活動時期は、条 線から推定した時期と矛盾しない。 5.3 局所応力場での挙動可能性 敷地近傍の断層に敷地に最大規模の地変を生じる活動 を想定し、その際のシーム S-1 断層部分の挙動可能性を 検討した。この検討には原子炉建屋から約 1km 東方の 福浦断層や西方海域の兜岩沖断層をあてた(図 6)。 層である。これらの断層に M6.9 相当の地震を起こす長 さ 21.2km、幅 14.1km の震源断層を想定し、「くい違い 弾性論」に基づき、シーム S-1 の断層部分での最大せん その結果、シーム S-1 の周辺で発生する最大せん断ひ ずみの方向は左横ずれ正断層の動きを示唆するもので、 右横ズレ逆断層の条線方向に対し抑制する方向であった [16]。断層の活動長さを変えるなどのパラメータースタ ディーの結果も同様である。 図 6 活動時の局所応力場を検討した周辺断層 5.4 断層部分の活動時期 5.3 によれば、旧トレンチ位置を含むシーム S-1 の断 層部分が、敷地近傍の断層の活動に伴う局所応力場の 下で動いたとは考え難い。5.2 をも考慮すると、シーム S-1 の形成およびその断層部分の最新活動は、少なくと も鮮新世に入る前に終了したものと考えられる。 参考文献 [1] 「北陸電力株式会社志賀原子力発電所の敷地内破砕 ともに南北方向の断層で、長さ 3km に満たない逆断 断ひずみの方向を求めた。 帯の評価について<案>」,平成 27 年 11 月 20 日 原子力規制委員会志賀原子力発電所敷地内破砕帯の 調査に関する有識者会合 [2] 片川秀基・中嶋光浩 : 原子力発電所に敷地内破砕帯 問題:志賀原子力発電所の敷地内シームの評価(そ の2),保全学,pp. 22-28 (2016) [3] 「敷地内破砕帯の追加調査計画の策定について(指 示)」20120718 原院第1号,平成 24 年 7 月 18 日 経済産業省 [4] 「敷地内破砕帯調査に関する有識者会合の進捗状況 について(報告)」,平成 28 年 1 月 6 日 原子力規 制庁 [5] 「北陸電力株式会社志賀原子力発電所の敷地内破砕 帯の評価について ( 案 )」,平成 28 年 3 月 3 日 原 子力規制委員会志賀原子力発電所敷地内破砕帯の調 査に関する有識者会合 [6] 「敷地内及び敷地周辺の地質・地質構造調査に係る 審査ガイド」,平成 25 年 6 月 原子力規制委員会 [7] 「志賀原子力発電所敷地内破砕帯に関する追加調査 コメント回答 資料 ? 6 熱水変質史」,志賀・現 調 3-1,平成 26 年 7 月 11 日 原子力規制委員会志 賀原子力発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者 会合 [8] 「志賀原子力発電所敷地内破砕帯に関する追加調査 コメント回答 II.1.シーム S-1 の深部連続性に 関する調査結果」,志賀・現調 5-2,平成 26 年 12 月 26 日 原子力規制委員会志賀原子力発電所敷地内 破砕帯の調査に関する有識者会合 [9] 「志賀原子力発電所敷地内破砕帯に関する追加調査 コメント回答 II.2.シーム S-1、シーム S-2・ S-6 等の多重逆解法による応力場の推定」,志賀・ 現調 5-2,平成 26 年 12 月 26 日 原子力規制委員会 志賀原子力発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識 者会合 [10] Atsushi YAMAJI, Katsushi SATO, and Makoto OTSUBO: “Multiple Inversion Method Software Package User’s Guide”, http://www.kueps.kyoto-u.ac.jp, -2011[11] 「志賀原子力発電所敷地内破砕帯に関する追加調査 コメント回答 II.1.シーム S-1,S-2・S-6 等の 運動方向データ」,志賀・現調 5-2,平成 26 年 12 月 26 日 原子力規制委員会志賀原子力発電所敷地内 破砕帯の調査に関する有識者会合 [12] 片川秀基 : 東北日本弧と西南日本弧の境界領域にお ける地質構造形成メカニズムの研究 ? 能登地区の 新第三紀・第四紀の地質構造形成史から ?,東京工 業大学学位論文,(2004) [13] 岡村行信 : 能登半島および周辺海域の地質構造発 達史と活構造,活断層・古地震研究報告,No.7, pp.197-207, (2007) [14] 尾崎正紀 : 20 万分の1地質図及び説明書「能登能半 島北部沿岸域」,海陸シームレス地質情報集,数値 地質図 S-1,地質調査総合センター,(2010) [15] 片川秀基・中嶋光浩 : 原子力発電所の敷地内破砕帯 問題:志賀原子力発電所の敷地内シームの評価(そ の2),保全学,(2016) [16] 「志賀原子力発電所敷地内破砕帯に関する追加調査 コメント回答 I.3.シーム S-1 の北西部(旧ト レンチ付近)に関する応力解析」,志賀・現調 5-2, 平成 26 年 12 月 26 日 原子力規制委員会志賀原子 力発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合 (平成 28 年 2 月 12 日) 著 者 紹 介 著者 : 片川 秀基 所属 : 北陸電力株式会社 土木部 専門分野 : 地質、 地盤、 耐震 著者 : 中嶋 光浩 所属 : 北陸電力株式会社 土木部 専門分野 : 土木耐震、 品質保証 解説記事「原子力発電所の敷地内破砕帯問題:志賀原子力発電所の敷地内シームの評価(その 1)」 原子力発電所の敷地内破砕帯問題:志賀原子力発電所の敷地内シームの評価(その1) 片川 秀基,Katagawa HIDEKI,中嶋 光浩,Nakashima MITSUHIRO 原子力発電所の敷地内破砕帯問題:志賀原子力発電所の敷地内シームの評価(その1) 片川 秀基,Katagawa HIDEKI,中嶋 光浩,Nakashima MITSUHIRO
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