民間規格を活用義務化する米国政府機関(2)-NRCとASMEの関係-

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カテゴリ: 解説記事
前号で、米政府機関は連邦法により民間規格を活用し を利用した場合の意思決定 , (ii) 参画した規格委員会の なければならないことを紹介した。ここでは、その責務 数と参加人数 , (iii) 1 年間に利用した新規格、あるいは と、原子力規制委員会(NRC)と米国機械学会(ASME) 改定規格の数などの項目が含まれる。 との関係について述べる。 このように NRC にとって ASME の規格活動は重要な 1. 政府機関の責務 職務と位置付けられている。 政府機関の組織の長は、OBM A-119、PL-104-113 法の 3. ASME の NRC への対応 尊守の保証、規格担当管理官の指名、利用に関する年報 ASME Code 会議は年 4 回北米各地で開催され、NRC を商務省・国立標準技術研究所(NIST)へ報告する義 から常時 10~20 名が継続して参加している。 務がある。 ASME Code 会議の委員は Consensus member と呼ば 政府機関は特別な理由がない限り、民間規格を活用し れ、ボランティアであるが、NRC のみは組織の代表で なければならないが、民間規格に法律との不整合や技術 ある。委員は産業界に偏りがないよう約 8 種類に分類さ 的に不正確があった場合、制限や変更を加える権限を有 れ、NRC は Regulator の部類に属する。上部委員会であ する。この場合、理由を明示し、また、規格策定組織と る Standard Committee では毎回 NRC Report が配布され、 密接な調整を行い、公表しなければならない。 トラブルや審査状況等がつぶさに報告される。 また、政府職員は政府機関を代表する公式な立場から ASME Code の技術的議論は下部委員会の Task Group, 活動し、意見調整や見解を提示する。 Working Group, Subgroup で行われる。議長は、NRC は 上記のように連邦法によって確固とした枠組みが構成 どう思うかと意見を聞くことが多々ある。ときには、け され、民間規格の活用がなされている。 んか腰の議論が交わされることがある。その底辺には互 2. NRC の ASME における活動 いの信頼関係が窺える。 ASME は NRC の参加を歓迎していることは言うまで NRC は民間規格の策定状況を随時調査している。ま もなく、ASME 委員にとって良い動機付けとなっている。 た、産業界に対して NRC が是認できるような規格を作 また、NRC 委員にとっても生の技術情報が入り、かつ、 成するよう推奨している。 議論の場として有益である。 NRC は連邦規則(10CFR; Code of Federal Regulation)、 次回は、筆者が経験した、NRC の要請により作成さ 規制指針(RG; Regulatory Guide)や標準審査プラン(SRP; れた ASME 規格の背景などを紹介したい。 Standard Review Plan)で、ASME 規格等を積極的に是認 し、事業者に対してその適用を認めている。 (平成 29 年 1 月 19 日) NRC の規格担当管理官は、ASME 委員会の委員とし て、あるいは参加者として常時討議に加わる。また、他 著 者 紹 介 連邦機関との調整、NIST との協力、OMB-A-119 の実施 著者 : 長谷川 邦夫 ガイダンスの作成と発行、参加実績年報の作成をする。 所属 : 一般財団法人 発電設備技術検査協会 NRC は、民間規格の採否について年 1 回政府に報告 規格基準室 する義務がある。年報には (i) 民間規格でなく政府規格 専門分野 : 破壊強度、 欠陥評価 民間規格を活用義務化する米国政府機関(2)-NRCとASMEの関係- 長谷川 邦夫,Kunio HASEGAWA 民間規格を活用義務化する米国政府機関(2)-NRCとASMEの関係- 長谷川 邦夫,Kunio HASEGAWA
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