原発運転差止仮処分裁判に見る課題(中間報告)

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1.はじめに 原発運転差止仮処分裁判に見る課題 (中間報告) 福井工業大学 堀池 寛 Hiroshi HORIIKE 法政大学 宮野 廣 Hiroshi MIYANO 国際原子力法学会 鈴木 孝寛 Takahiro SUZUKI 日本原燃(株) 田中 治邦 Harukuni TANAKA 早稲田大学 村田 貴司 Takashi MURATA 子炉等規制法をはじめとする法令が制定され、国によっ て規制監督する制度が採用されている。原子力発電所を 民主主義を構成する要素の一つとして、公共空間で言 葉(=価値)を戦わせ議論する仕組みがある。公共空間 での言葉の遣り取りで得られた結論は、ある種の公共性 を以て政治を導いてゆくことができると、擬制されてい る。しかし民主主義に基づいて得た政治的な方針は本当 に善なのか真実なのか、現実には、必ずしもその保証が ある訳ではない。現代の様に科学技術が発達した社会で は、原子力安全規制、宇宙開発、海洋開発などに見られ るように、行政組織は高度な専門性を有する様になって いる。それに対し司法や裁判官は必ずしも科学技術の専 門家ではないことから、様々な問題が浮かび上がってく る。原発裁判についての報道では、裁判所が原子力発電の 安全性についての科学技術的妥当性を認めたか否かとい う切口で解釈されることが多いように見受けられる。裁 判制度とは法律に照らしてどの説明が一致しているかを 明らかにすることが第一ではあることはもちろんである が、現実には、どちらの言い分がより社会に受け入れら れるかに、焦点が当てられる事例が多く見受けられる。 その過程で、科学技術的な説明が援用されることになる。 ここでは最近の原発裁判を例にとりつつ、原子力発電 の安全性が裁判の中でどのように扱われ解釈されている かについて検討し、原子力の理解の向上に役立てていく 一助にしたい。 2.原子力の裁判問題とその論点 2.1 原子炉規制制度 原子力発電所は保有する放射能量が大きく、ひとたび 大事故が起き、放射能が漏洩するようなことがあると、 国民・社会に大きな影響がでることになりかねない。そ の様な事態を避け、国民・社会の安全を守るために、原 運営する事業者には高度の技術力が要求され、事業者に は安全な設計と適切な工事の管理、完成時および稼働中 の検査等を法律で義務付けており、それらを柱とした総 合的な許認可制度となっている。 原子力発電プラントを設計してそれを建設、運転する には、原子力工学、物理、化学、電気、機械、材料、土 木建築等を包含した総合工学が要求され、設計製作や据 付調整等の工事については、技術力のある重電工業会社 と材料、機器メーカが担当している。 原発プラントの安全性を多方面から担保するため、ま た許認可制度とその遂行を支えるための研究開発が日本 を含め世界で実施され、それらの成果は産官学で共有さ れ、原子力発電の安全運転と安全管理を支えている。そ の研究開発は我が国のみならず世界の頭脳を結集し、人 類の英知を結集した形で実施されるのが一般であり、設 計開発や改良の段階で様々な知見が反映された上でプラ ントとして完成されている。法が求める原子力発電の安 全性に関する設計の妥当性の科学的な議論は、原子力規 制委員会において十分な議論と検証が為され、開発設計 段階で解決される仕組みとなっており、この様なものと して原子力発電の工学的な成立性や安定運用自体が達成 される。その結果、原子力発電の運転再開における議論 は、科学技術的な議論ではなく、社会の受容性、生存権、 人格権等という技術以外の論点の議論になっているよう である。 2.2 原子力を取り巻く裁判の特徴 裁判とは、社会関係における利害の衝突や紛争を解 決・調整するために、裁判所が法定の形式に従い当事者 に対して示す拘束力のある判断である。それは法律に基 づき、個人、法人を問わず当事者間の価値の衝突の解決 解説記事「原発運転差止仮処分裁判に見る課題 (中間報告)」 15保全学 Vol.16-3 (2017) を目的としたもので、必ずしもその科学技術的な妥当性 を争うものではない。もちろん科学技術的な事項が主要 な争点になる場合も多いが、どちらの言い分に社会から 見て受け入れられるものか、ということから判断される 場合もなしとしない。 また、社会的に注目度が高い原発裁判が報道される場 合、裁判官が原子力発電の科学技術的妥当性や安全性を 認めたかどうかという切口で解釈され報道されることが 多い。裁判の場では、前述の通り科学的な事項の真偽を 争うことが必ずしも十分にできる訳ではないにもかかわ らず、一面的に争点として報道する姿勢には問題があろ う。裁判は、科学技術的ではない判断を下すこともあり 得るのである。 2.3 原発裁判の特徴 原発裁判の判決や決定で国・事業者が勝訴する場合に は、高度な専門的判断として行政府の結論は妥当とする 判断が下されているようである。逆に国・事業者が敗訴 する場合には、“原子力発電は危険”という視点から結 論が導かれるようである。この場合、科学技術的な議論 は必ずしも多くはなく、その導出過程において科学技術 的な論理上の積み重ねを欠いているように思われる。 原子力規制委員会の場などの議論を通じて、原子力発 電の性能や安全性について、法が求める科学的な正当性 は十分に証明されているというのが、原子力に携わる科 学技術の専門家の理解であるが、原発は危険であるとい う結論に至る論理や論理上の過程を十分に検証し、その 要因を分析することによって、安全性についての説明が 十分に理解されていない部分を明確に認識することが、 原発の建設・運転に携わる者には必要であろう。 原子力裁判を通じて問題となる場合が多い当事者適格 について以下に論ずる。 原発の裁判上の基本的な問題として、電力等事業者の 当事者適格が常に判断されている。この起こりは、上述 したように原子力発電は総合工学プラントであり、また 最先端技術を含むハイテク施設でもあるので、その許認 可審査に含まれる技術情報を非専門家である原告等は所 有していないと言う点にある。ではなぜ、原告等は“原 発の安全性に疑問がある”と言えるのかという疑問が残 る。伊方行政訴訟(S59.12.14 高松高裁、H4.10.29 最高裁) の最高裁判決では、原発の安全性についての立証責任を、 原告側から被告国行政庁への転換を許容した。安全性に 疑義ありと訴えらえた被告行政庁が安全であることの証 明をするべきであると要求したのである。 それに続く志賀 2 号の差止民事訴訟(H18 金沢地裁) ではそれが更に拡大解釈され、原告が具体的危険性を相 当程度立証した場合には、その後は被告である電力事業 者が原告の指摘が存在しないことを、具体的根拠と資料 を以て反証を尽くすこと、とした。裁判所は、原子力の 総合工学としての詳細且つ広範な知識を持たない原告と それを持つ被告との間の、「公平性・適切性」のための 立証責任の分配であると説明をしている。しかし原子力 の許認可においては、行政庁は許認可を下す当事者であ るが、事業者は許認可を受ける民間法人であり、国と同 等の全ての許認可情報を持つ訳では必ずしもない。伊方 裁判では被告は国であったので立証責任の転換が許容で きたとしても、被告が民間事業者の場合は、許認可の妥 当性についての立証判決を、そのまま民間事業者に対し て当てはめた金沢地裁の判決は妥当性を欠くのではない かと思われる。原告にすべての立証責任を負わせるか、 被告不適格とするか、あるいは民事訴訟においても判断 を下した国行政庁を何らかの形で裁判に参加させるべき ではないかと考える。 2.4 裁判所の判断の特徴 以下は、一つの分析であり、例示としてまとめた。 [運転是認の場合] ・ 災害発生の危険が絶対にないという「絶対的安全性」 は要求できない。 ・ 原子力プラントの科学技術的な審査内容にまで踏み込 み判断を下している。 ・国の専門的行政判断を前提にしている。 ・ 立地県の裁判所で日頃より原発の許認可について技術 情報も含めて調査研究している。 ・ 確率論や地震のスケーリング則、データのばらつきの 統計的処理法を感覚として理解できている。 ・ 東日本太平洋沖地震で原発施設に地震動で被害が出な かったのは、旧規制の妥当性を裏付けるものと判断す る。 ・ 年超過確率が 10-4~10-5 という値は極めて低い値で不確 かさの保守的評価も併せ考慮すると、危険性が社会通 念上無視し得る程度にまで管理されていると結論でき る。 ・ 安全性とは危険性が社会通念上無視し得る程度にまで 管理されている。 [運転否認の場合] ・ 科学的に完璧、絶対に安全、という説明が被告側から 16解説記事「原発運転差止仮処分裁判に見る課題 (中間報告)」 17 無かった。 が原子力規制委員会から示されているが、この動き ・ 原告側は危険性を最大限に主張して、大事故の“発生 も断層の動きと捉えるべきなのか、議論となってい の可能性はゼロではない”とし、裁判官も“ゼロでは る。 ないことは安全ではない”と認識する結果となってい 4) 地震動においては、大きさ、ばらつきなど様々な疑 る。 問が出されていること : 最大地震動を決める、設定、 ・ 被告側の科学的説明を正しく理解できず、説明不足説 評価における考え方や、方法の理解が十分ではない。 明不十分として結論に至っている。 5) 異常気象下での自然事象への対応、テロへの対応等 ・ 原子力工学における複雑な論理の組合せまで踏み込ん が求められていること でいない。 6) 訓練の位置づけが明確に示されていないこと : 安全 (例) 単一故障、主冷却ポンプが耐震重要度で C クラ への取り組みとして訓練が重要な位置を占めている スに分類されている理由 ことなどが理解されていない。 ・ 「福島事故の真の原因は未解明である」と言う原告側 7) 避難計画の位置づけが明確に示されていないこと: の主張を受け入れている。 自治体の責任や国の責任が不明確になっている。 ・ 福島事故を反映した新規制基準の安全判断の妥当性に は疑問を持っている。 これらのうち特に重要な論点について以下に対応の例 ・ 大規模な地震の被害を目の当たりにして、基準地震 を含めて示す。 動の超過確率が 10-4 以下という発生の可能性に疑問を 持っている。 3.2 リスクの理解 ・ 基準地震動は設計基準の一つと理解していない。 リスクへの理解がなされていないことが最も重要な課 ・ 設計基準事故 DBE とは何かについて理解が得られて 題となっていると言える。言葉として「絶対安全はない」 いない。 と認識されつつも、“リスクが残ることに納得感がない” というのが多くの市民、裁判官の思いでもあるようであ 情報が少ないことから科学技術的に間違った議論が原 る。「安全」というのは「リスク」が“あってはならない” 告側から数多く提起されているようであり、科学的に との立場である。しかし、科学的には、リスクはゼロに 誤った見解をそのままに放置しておくことは、科学の啓 はならない。そこで、リスクと言う言葉、リスクの理解 もうと発展において問題が大きい。 が重要となる。「リスク」とは、“将来にある好ましくな 原発裁判での判断の内容を、科学技術的、具体的に検 いことが起きる可能性”であり、「原子力安全」につい 討して、その問題点を探り検討を進めることは、今後の てのリスクは、放射性物質が放出されてその健康影響を 我が国の科学技術立国のためにも重要である。 受ける可能性である。そこで、社会通念にいう安全の概 3.判決に見る技術論の課題 念との乖離がでてくる。社会で正確に理解されているわ けではないが、どの程度のリスクが「安全」という社会 3.1 技術的課題の一覧 通念で得られている状態のリスクであるのか、そこに一 原子力発電所の運転再開の差し止め裁判等で、原告等 つの論点がある。一方、裁判では「安全」の技術的判断 共通的に出されている疑問について以下に主なものの概 は、原子力規制委員会が行うものであるとしている。し 要を示す。 かし、原子力規制委員会は「安全」という判断を回避し 1) 絶対安全の要求があること : 世の中は「絶対安全」 ていることから、裁判では、個別課題ごとに規制の要求 を求めており、「リスクがあることは、認められない」 を満たしていると判断することになる。 と言う認識である。 耐地震動評価においては、耐震基準の 2006 年の改定 2) 基準地震動の設定があまいのではないか、との疑問 時には、確定論としての基準地震動以下での構造健全性 があること : これまで基準地震動は何度も見直しを の確認は従来の評価と同じであるが、新たにこれを超す してきており、なぜそうなるのか、納得できる説明 場合のリスク評価を求め、「残余のリスク」として、リ がない。 スク低減への努力を求めた。 3) 断層に対する対応の考え方が定まっておらず理解が リスク評価では、手法の一つとして PRA (Probabilistic 得られていないこと :「破砕帯」も断層とする考え方 Risk Analysis) を採用している。この手法への疑問が指 保全学 Vol.16-3 (2017) 摘されている。一つは事象の進展モデルの妥当性であり、 どのように妥当性が検証されているのか明確にしなけれ ばならない。また、PRA で得られた結果の信頼性につ いては、どの程度信頼できるものか、また発生頻度、発 生確率の“ばらつき”がどの程度のものか、についての 疑問が出されている。すなわち、決定論での保守性との 関連で、信頼性の扱いや“ばらつき”の位置づけを示す ことが必要である。 3.3 地震動の設定と評価 耐地震動評価に用いる基準地震動の設定についての疑 問が多い。地震動発生と伝播の問題は、様々なモデルが 提案され議論されてきた。検証の難しさから、どのモデ ルが正しいのか判断ができず、“レシピ”という概念が 取り入れられている。多くのそれらしいものを取り入れ た包括モデルを用いている。この概念が理解されておら ず、分かりやすい説明、解説が必要である。特に震源を 特定しない場合の、地震動の決め方に難しさがあるよう である。最近は、地震動の地下構造での伝播のゆがみな どが経験され、地下の構造モデルにも注目が集まってい る。どのようにモデル化するか、十分なデータのない状 況で重大な課題となっている。 入力の大きさをどのように設定するべきかに関連して は、断層をどのように考えるのか、動きとしてどのよう に与えるのが妥当なのか、まだまだ研究要素が大きい課 題である。地震動として同じモデルの地盤が崩壊するこ とはなく、常に得られる振動データも異なる地盤での崩 壊による地震動である。現象の解明が重要な課題であり、 そのためには物理モデルを最も妥当な信頼できるモデル で構築し、中央値を求めることが大切である。そのうえ で、ばらつきは広がりを評価して、どの程度の信頼性が あるのか、を推定し、リスク評価に活かしていくことが 妥当な方法と考える。 一方、振動を受ける側での課題もある。振動モデルと しては、建屋や構造物のモデル化にも課題が投げられて いる。モデルの妥当性は、何に関して評価しているのか が明確でないことなど、指摘されているようである。地 震動評価は、振動の大きさを評価すればいいのか、構造 物としての機能が評価されればいいのか、破壊を評価す ればいいのか、「安全」と言う観点から評価の選択を考 えなければならない。それは、振動問題だけではなく、 構造強度の問題でもあり、システム安全、機能維持の問 題でもある。 3.4 設計基準、想定を超える事象への対応 深層防護とはなにか、についての理解ができていない ようであり、説明も十分にはなされていない。深層防護 としての、シビアアクシデント対策や訓練、防災の位置 づけやその訓練など、リスク低減にどのように役立つも のであるのかの説明が十分でなく、理解がされていない。 電源の重要性や可搬型の電源ポンプの位置づけ、重要 性について十分な説明が必要である。また、サイトでの 事故を想定した訓練がリスク低減に大きく役立つもので あること、を説明することが必要である。更に、異常事 態への対応、予期せぬ異常気象、テロ対応にも役立つも のであることを示さなければならない。 4. 原発裁判の判決例 4.1 原子力を巡る司法判断 判決・決定とは、「裁判所が認定した事実」に基づく 「裁判所の判断」であり、「裁判所が認定した事実」=「真 実」である保証はない。こうしたことが起こる理由とし ては、「価値観の違い」「裁判官の予断等による誤解」「裁 判官の理解不足による誤解」等が挙げられる。 以下に、これらの視点からこれまでに下された司法判 断を分析した。 1価値観の違い 第一に、安全に対する考え方の相違が挙げられる。つ まり、「絶対的安全」か「相対的安全」か、の問題である。 但し、事業者が敗訴したものも含め、最近の判決は、全 て相対的安全観に基づいている。ただ、その「相対的」 の感覚が、原発を差止めた判決・仮処分決定では「絶対 的安全」に近くなっている。 「絶対的安全」に近くなる理由としては、個々の裁判 官の主観による他、裁判官の理解不足が挙げられる。つ まり、一般人同様裁判官は、単に「発生の可能性が 100 万分の一」といわれても分からない場合もあると推察さ れる。裁判においては、「具体的な天然現象の発生と比較す る」「法概念にもある神の行為(責任が問われない行為) と比較する」等、裁判官が理解できるように表現に工夫 することが必要である。 2裁判官の予断等による誤解 裁判は、「原告が主張し、被告が反論して、争点が形 成され、その争点の立証を、双方が行う」というように 進む。ところが、争点が形成されていない、もしくは原 告・被告共に丁寧に主張しなかったと、裁判所(裁判官) 18解説記事「原発運転差止仮処分裁判に見る課題 (中間報告)」 19 が考えた事項については、裁判官の予断等が入る可能性 原子力の専門家は、原子力の厳しい安全規制数値が、 がある。 裁判官を含め一般の人には理解されていない、というこ 例えば、原爆症への認定を争った事件に関する、長 とを肝に銘じるべきであろう。例えば放射線被爆量は 崎地裁判決 (2016 年 2 月 22 日 ) では、自然放射線によ 1mSv を超えると危険と考える人が多いが、これは規制 る年間被ばく線量の平均 2.4mSv の 10 倍を超える場合、 値が 1mSv であるからである。規制値は、単に周辺監視 健康被害を生じる可能性があると判示した。 区域の設定規制値なのであるが、「規制値」となった瞬 10 年間自然放射線により被ばくが続けば、累積で 間から、それを超えると危険と受け取られる可能性があ 24mSv になるのだから、単純に 10 倍して判断し、危険 ることに注意が必要である。 と考えること自体が短兵急に過ぎるが、何故、裁判官 ロ)原子力における業界用語への理解不足 は 10 倍と考えたのか、それが問題なのである。これは、 高浜の運転差止を認めた福井地裁仮処分決定 (2015 年 環境基準を含め、多くの危険物規制は、危険値の 10 分 4 月 ) では、主給水系と補助給水系との関係について、「主 の1から 100 分の1で規制することが多いことが原因で 給水によって冷却機能を維持するのが原子炉の本来の はないか、と考えられる。つまり、皮膚感覚で、“10 倍 姿」「安全確保の上で不可欠な役割を第 1 次的に担う設 だと危険”という思い込みがあるのではないかというこ 備はこれを安全上重要な設備であるとして , その役割に とである。 ふさわしい耐震性を求めるのが健全な社会通念」「この 例えば、SOx 環境基準値(環境にとって望ましい基準) ような設備を安全上重要な設備ではないとするのは理解 は、1時間値の1日平均値が 0.04ppm(年平均値換算で に苦しむ」と判示した。これは、主給水と補助給水の位 0.017ppm 相当)である。他方、公害病認定地区指定要 置づけへの誤解であるが、一般人にとって、主ブレーキ 件の SOx 濃度(これ以上の濃度であると気管支ぜんそ が作動して、次に補助ブレーキが作動するのが普通の感 くをはじめとする公害病が発生する可能性がある濃度) 覚であることを考えれば、福井地裁の裁判官の誤解も理 が、年平均値、0.05ppm 以上である。つまり、環境に望 解できるような気がする。 ましい濃度の約 3 倍で、健康を害する濃度となるのであ つまり、原子力の業界用語が、一般社会に対して、ど る。のように理解されているかを常に考え、それに対処する また、昨今、問題となった、食塩では、成人男性の必 必要があるということであろう。 要量が、1日 8g 未満であるが、他方、致死量は 210g で ハ)工学的なアプローチへの理解不足 ある(体重 70 kgの場合)。つまり、必要とされる量の約 工学的なアプローチへの裁判官の理解不足も少なから 25 倍で危険値なのである。 ず認められる。裁判官には、完全に原因が判明しない限 このように、一般社会における安全・危険の数値の比 り有効な対策はできないとの考えがあるようである。こ は、原子力と桁違いに小さい。原子力における感覚でな の遠因には、ドイツ流概念もあるように思われる。 く、上記のような、一般社会の感覚(=物差し ) で原子 同じくドイツ流概念で導入された日本の医学の場合を 力の安全・危険を考えて、長崎地裁の裁判官は、10 倍 例に引くと、森?外 ( 陸軍の医官、ドイツ医学の信奉者) だと危険と考えたのではないか、と思われる。 は脚気細菌説を唱え、原因追及アプローチにこだわり、 裁判においては、十分に、原子力の安全の論理を主張 原因がわからないので対策せずに、その結果、陸軍では しないと、このような裁判官の予断が入る可能性がある 数万人の脚気死者を出した。一方、海軍は英国流経験医 ことに注意を要する。 学で、脚気の原因は不明だが、とりあえず麦飯で脚気に 3裁判官の理解不足による誤解 対処できるとの経験則で対処し、脚気死者はほぼゼロで 理解不足の要因としては、前記のような イ)裁判官 あった。 または一般人と原子力専門家との皮膚感覚の差異、ロ) 最近でも、昭和 40 年代のスモン病にみられるとおり、 原子力における業界用語への理解不足、ハ)工学的なア 原因追及するも判明せず対策が打てなかった事態があ プローチへの理解不足(原因が判明しない限り有効な対 る。これも、後に海外からキノホルム使用量の多さが指 策は不可能との考え、完璧な証明への熱望)が挙げられ 摘され、その後キノホルム原因と判明することとなった。 る。日本の裁判官の態度には原因追及型のそれが見られる イ) 裁判官または一般人と原子力専門家との皮膚感覚の ことに注意が必要である。つまり、裁判官には、福島事 差異 故の原因は完全には明らかとなっていない、と思われて 保全学 Vol.16-3 (2017) いるようである。すなわち、事故を起こした福島原発で は内部が見られないこと等から、有効な安全対策はでき ていないと思われており、また、仮に原因が未判明であっ ても有効な対策を打てること、すなわち、広い意味での 工学的アプローチについては理解できていないのではな いかと思われる。 例えば、先の福井地裁仮処分決定では、「その事故現 場に立ち入ることができないため、事故原因を確定でき ないままになってしまう可能性が極めて高く 、 福島原発 事故においてもその原因を将来確定できるという保証は ない」と判示し、また、同様に事業者が敗訴した大津地 裁仮処分決定 (2016 年 3 月 ) では「しかしながら、福島 第一原子力発電所の事故の原因究明は、建屋内での調査 が進んでおらず、今なお道半ばの状況あり、本件の主張 及び疎明の状況に照らせば、津波を主たる原因として特 定し得たとしてよいのかも不明である。」と判示してい るのが一つの証拠である。 このような裁判所の判断の裏には、以下の事情が影響 している。 ・ 国会事故調が地震原因説の可能性を示唆し、津波原因 説への疑問があると思われている。 ・ 原子力規制委員長の「新規制基準の適合性の判断をし ても、安全性が担保されるものではない」との発言が あったこと。 原因が完全に判明しなければ対策が打てないと考える 裁判所にとって、 ―議論が分かれている→原因が未解明→対策が打てるわ けがない― といった論理が構築されているようである。福井地裁 の仮処分決定の以下の文言が、こうした状況を暗示して いる。 「イベントツリーにおける対応策をとるためにはいか なる事象が起きているのかを把握できていることが前提 になるが、この把握自体が極めて困難である」 4.2 海外の状況と、原子力を巡る司法制度改善への提言 海外の状況であるが、差止訴訟の多いドイツや米国と も、原子力発電所への差止めは行政訴訟が中心であるが、 理由はドイツや米国で異なる。 (1)ドイツの場合 ドイツでは、民事による差止訴訟を禁止する明文の規 定がある。連邦循環経済廃棄物法(連邦イミシオン防止 法)14 条(日本の大気汚染防止法に近い)、原子力法 7 条 6 項である。 ドイツにおいては、行政処分(原子力の許可に相当す る)は、周辺住民の権利関係を含めた法律関係を含めて 規定すると考えられており、これを『私法関係形成効』 という 。 この法律関係の変更(原子力発電所の運転差止 めも変更に該当する)を求める者は行政処分を争う必要 がある、とされている。 但し、行政訴訟が中心ではあるが、原子力を専門とし ない行政裁判官が判断を下す。また、行政訴訟なので手 続き違反で厳しい判決がでることがある。 < 手続き重視は品質保証に通じる考え > ・ ヴィール原子力発電所では、絶対安全を求める裁判官 が原子力発電所の運転差止めを命じたこともある。 ・ ミュルハイム・ケルリッヒ原子力発電所では、当初の 炉心位置決定の変更手続きがされていないことを理由 に許可取消(後段手続きで炉心位置変更は認可されて いたが)。 (2)米国の場合 米国において、民事による差止訴訟を禁止している訳 ではない。しかしながら、安全性の判断については、裁 判所は NRC の判断を尊重するので、NRC の判断を覆せ ない限り民事差止訴訟を提起しても勝つ見込みがない。 したがって、先ずは、NRC の判断を争う行政訴訟が提 起される。 NRC の判断を優先する理由は以下のとおりである。 ・ NRC 自体が、地裁レベルの司法機関的機能を有して いる。 ・ ニューディール以来の伝統で、独立行政委員会の専門 的な判断に優先性が付与されている。 前者に関連して、米国 NRC の許認可手続き自体が裁 判に類似していることが挙げられる。すなわち、許認可 を求める電力の申請や、許認可取消を求める反対派の主 張と、それら申請や主張に対する NRC 事務局の判断を 比較考量して、委員会が判断して許認可が下されるので ある。後者の一例として、実質的証拠法則の採用がある。こ れにより、NRC の判断は、証拠として、原則として司 法裁判所を拘束することになっている。この結果、司法 裁判所は、原則として安全性の中身の判断をすることな く(NRC の判断を優先採用)、行政処分手続き面での判 断に特化するのが通例である。 (3)日本との比較 日本では、民事の差止め(相手は電力事業者)、設置 20解説記事「原発運転差止仮処分裁判に見る課題 (中間報告)」 21 許可処分の取消し(相手は国、原子力規制委員会)の関 また、前記知財高裁と同様の問題であるが、東京集中 係について様々な意見はあるが、多くの意見は併用を認 問題への対処が必要となる。 める。比較的、独の考え方に近いのが、以下のような福 例えば、 島第二設置許可処分の取消訴訟の福島地裁判決の考え方 ・ 審判部門自体は東京に置くが、公開審判(ヒアリング) である。しかしながら、結論として民事訴訟を制限した は原則地方開催(米国NRCも地方ヒアリングあり) ことになっていない。 ・ 民事差止訴訟と行政訴訟の並列を認める(但し、審判 ・設置許可処分の公定力を否定する民事差止めは認めな 部門の審判を経た原子力規制委員会の決定は、裁判所 い。を拘束するとする実質的証拠法則を採用して、民事差 但し、設置許可手続きには、周辺住民の参加制度がな 止訴訟で訴えられた電力は、自ら審判部門の審判を求 く、損失補償手続きもない。したがって、この公定力 めて、それを民事訴訟で活用する、としてバランスを は、周辺住民に生命・身体等への危険が生じるまでの とる等)。 受忍を命じるものではない。 したがって、生命・身体等への危険が生じる恐れを理 5. 原発裁判への対応 由とした民事訴訟は認められる。 5.1 中間報告として 第 2 節に述べた通り、原子力発電プラントはその技術 また、米との比較では、日本の原子力規制委員会の手 に潜在するリスクの大きさに鑑み、設計開発段階に於い 続きにおいて、委員会と規制庁(事務局)が一体となっ て安全性の追及とその検証に世界の専門家の知恵と努力 て、事業者の申請や反対派の異議を判断しているので、 が集積されており、運用開始後に新たに発見された知見 裁判の要素が希薄である。 や保守・補修の経験の反映は継続するべきものであるも < 改善への提言 > のの、基本的な設計に大きな間違いがあるとは考えられ 一つは、知的財産高等裁判所(知財高裁)の原子力版 ない。福島第一原発事故を引き起こした巨大な津波は、 制度の導入である。これは、特許庁の裁決に不満があれ 東北地方の沿岸に死者・行方不明者合わせて 2 万人近い ば、特許庁審判部に訴え、この審判部の審判に不満があ 被害を出すまで誰も対策を講じていなかったものである れば、知財高裁に訴える仕組みである。 が、原子力分野ではそのような津波やその他の外部事象 知財高裁では、専門的な裁判官によって、問題が審理 についてこれまで以上の強固な防護対策を施すことを新 される。但し、原子力発電所と違って、特許訴訟におい 規制基準が求めている。その結果、万が一起これば甚大 ては、周辺住民・公衆が特許取消しを訴えることは殆ど となる被害の大きさと、そのような事故の発生確率との ない。また、特許制度自体が東京中心の運用である。原 積として定義されるリスクは、従前と比べ圧倒的に低く 発運転差止めは各地の住民が提起しており、東京への裁 なっているが、この安全性向上策の適用が裁判では理解 判の集中が認められるか、という問題がある。 されず運転差し止めの決定がなされる場合がある。 もう一つの改善策は、公正取引委員会の旧審判制度に それは、第 3 節に述べた通り、リスク評価という概念 類似した制度の導入であり、米国の NRC 制度に類似す が一般社会の人々や法曹界にとってなかなか理解の難し る。この旧審判制度は、公正取引委員会の決定に不満が いことが原因であろう。そもそもリスクが残るというこ あれば、同委員会審判部に訴え、この審判部の審判に不 と自体、理解しにくいもののようである。薬品、化学物 満あれば、東京高裁に訴える仕組みであった。 質、飲食物、喫煙、乗り物にかかわるリスクは受け入れ この制度においては、実質的証拠法則(旧独禁法 80 られても、原子力の場合は万一起きれば甚大な被害にな 条)が採用され、公取審判部の判断が裁判所を拘束する るので受け入れられないとする感覚は、リスクの中に想 ことになっていた。 定被害規模が算入されている事実が理解されていない証 但し、この制度は、審判部門の中立性が疑われ、現在 拠である。発生確率を乗じることでリスクが低くなり過 は廃止されている。原子力において、この制度を導入す ぎることが、万一の被害規模が考慮されていないと誤解 るためには、審判部門の原子力規制委員会からの独立性 する主因であろうが、この数学的な期待値の定義に誤り を重視する必要がある(例えば、原子力規制委員会と審 は無い。深層防護の考え方や、設計基準を超える事故へ 判部門が内閣府に並置される、審判部門には規制庁から の対応の準備なども十分には理解されていないようであ 独立した専門家を附置する等) るし、特に、震源の想定から地震動の伝播、建屋・機器 保全学 Vol.16-3 (2017) の応答に至るまでの耐震安全性の複雑で高度な評価技術 とそれでも残るリスクの評価の要求などは益々理解が難 しいものであろう。 その結果、第 4 節に述べたように、若干の説明不足や 誤解を呼び得るコメントが、訴訟において原子力利用を 否定する判決や決定にいとも簡単に結び付いてしまって いる。例えば、リスクの大小を十分に説明できていない 結果、裁判官が実質的に「絶対的安全性」を求めるとか、 自然放射線の 10 倍や、周辺監視区域の設定にかかわる 規制値を越えた瞬間に危険な領域とみなすとか、あるい は原子力プラントの安全設計に於いて常用の主給水系と 異常時の補助給水系の重要性が逆転しており理解に苦し むとの判示が出るとか、更には、炉心溶融を起こした原 子炉の内部が見られなければ再発防止策が決定できる訳 は無い、といった誤解を生み出している。これらは裁判 官を責めるべきものではなく、原子力利用を考える側に よる分かり易い説明が不足していると受け止めるべきで ある。 5.2 学術講演会での意見交換 上記の検討結果を、8 月 4 日に松山市で開かれた学術 講演会の企画セッションで紹介した。そこでは、以下の ような質疑応答・意見交換が行われた。 Q1. 伊方最高裁判決では、裁判所は行政の専門技術的な 裁量処分を尊重すべしと判示しているのに、最近、 原子力規制委員会の判断を尊重せず原子力発電所が 危険だとし、差止めを命じる裁判所の判断があるが、 どうしてか。 A1. 福島原発事故という現実の原子力発電所の事故が起 きたため、行政の判断に対して裁判所が懐疑的に なっているからである。要するに従前のパラダイム が崩壊して、新しいものが構築されていないという 現実がある。 原子力規制委員長の「新規制基準の適合性の判断を しても、安全性が担保されるものではない」との発 言があったことも影響している。 Q2. 一部の裁判所は、福島原発事故の原因は未解明だか ら新規制基準では安全を維持できないと考えている ようだとのことだが、福島原発事故の原因は解明さ れているのではないか。 A2. 大きな原因は二つあると思われる。 一つは、国会事故調が地震原因説の可能性を示唆し ており、他の報告の津波原因説と食い違っている。 この食い違いのあることが、原因が未解明だとの判 断を裁判所にもたらしている可能性がある。日本学 術会議においても、原子力規制委員会においても地 震原因説は否定されたが、これは国権の最高機関で ある国会自身が修正しない限り続く問題かもしれな い。もう一つは法学全般に通じる問題ではあるが、福島 第一原発の壊れた部分を実地で見て原因を追究し、 その上で対策を講じなければ完璧ではないという思 い込みが裁判所を始め法学者にある。つまり放射線 量が高く当該部分を実地で見ることが不可能な以 上、完璧な対策はできていないという思いが一部の 裁判所にあるのではないか。 余談だが、法学者の研究会で、ボーイング 787 のリ チウム電池問題の原因は未解明だが安全対策を講じ て 787 は飛んでいると話したら、原因が未解明なの に何故対策が打てるのかと法学者全員疑問を持って いた。要するに裁判所にとって工学的判断という概 念は理解しにくいのではないか。 Q3. 証人尋問もない書面審査だけの仮処分手続きで原子 力発電所の運転が差止められるのは、不合理ではな いか。 A3. 法律制度として仮処分制度がある以上、仕方がない。 判所が理解しやすい言葉で説明して行くしかない。 また制度改革としては、原子力規制委員会をはじめ とする行政の専門技術的な判断について、裁判所が 尊重する仕組み(かつての公正取引委員会が有して いた実質的証拠制度による行政判断の優越性の維持 等)を作ることが考えられる。 Q4. 一つの原子力発電所について、複数の裁判所で差止 めが争われるという状態は好ましいものではないと 思われる。 A4. 法律制度として、裁判を起こす権利がある以上、自 分の近くで裁判を起こしたいという人の行為を止め ることはできない。原子力発電所の事故の影響範囲 について、福島事故の場合 250km 程度に及ぶと言 う意見もあり、結構広い範囲で裁判が起きているの が現状。知財高裁のように東京に原子力関係訴訟専 門の高裁を設置するという改善案もあるが、前述の 裁判を起こす権利との兼ね合いとで難しいと思われ る。当面は、原子力規制委員会の判断に証拠価値を 置くよう裁判所の理解を得、どこの裁判所であって も、一つの原子力発電所については当該原子力発電 差止めを求める債権者側の主張に対し、丁寧かつ裁 1900/01/21解説記事「原発運転差止仮処分裁判に見る課題 (中間報告)」 所についての原子力規制委員会の判断が通用するよ うにして行くしかないと考える。 参考文献 Q5. 電力会社を相手とする民事の差止訴訟を止めさせ、 [1] 佐伯啓思 さらば民主主義 朝日選書 617,2017: 行政に対する訴訟に集中させるべきではないか。電 力に対して、新規制基準の成立過程や正当性の説明 (平成 29 年 9 月 29 日) を求めるのはお門違いで、その説明を求めて裁判で 争うなら行政訴訟に一本化すべきではないか。 A5. 法制度上、日本ではドイツとは異なり、民事の差止 著 者 紹 介 めも行政訴訟による許可の取消も両方できるように なっている。法改正して行政訴訟に一本化するのは 著者 : 堀池 寛 かなり難しい。原子力規制委員会の判断の優越性を 所属 ・ 役職 : 福井工業大学 教授 構築していくしか、当面の対策は無いように思う。 専門分野 : 原子力工学 5.3 今後の活動 これまでの判例検討の結果、原子力関係者が今後取り 著者 : 宮野 廣 組むべきことを以下にまとめた。 所属 ・ 役職 : 法政大学 客員教授 (1) 新規制基準は福島第一事故の再発防止のためにこそ 専門分野 : システム安全、 設計工学、 作られたこと、従ってこれを守った原子力利用に伴 流体振動 ・ 耐震評価 うリスクは十分に小さく抑えられることを、国(規 制委員会、経産省)、事業者、産業界、そして学術 著者 : 鈴木 孝寛 会が、分かり易く懇切丁寧に説明する努力を尽くす 所属 ・ 役職 : 国際原子力法学会 ことが重要で、それは裁判の場では勿論、日常のあ 専門分野 : 原子力法制 らゆる場で取り組まなければならない。 (2) 社会通念上許容されている他のリスクと比べて原子 力の安全性が高いこと(目標とする安全レベル、つ 著者 : 田中 治邦 まり安全目標が厳しいこと)を、積極的に説明、解 所属 ・ 役職 : 日本原燃(株) 説して行くことが大切である。 専門分野 : 炉心設計、 安全解析、 (3) そのような努力を続けた結果が、マスコミの報道に 反映されているかどうか、国民一般の理解を得てい リスク評価、 核燃料サイクル評価 るかどうかが、裁判官の判断に大きく影響し得るこ 著者 : 村田 貴司 とを認識しなければならない。原子力関係者の説明 所属 ・ 役職 : 早稲田大学 努力の不足が、ネガティブな判決や一般社会の原子 力への忌避感を招いていると自戒すべきである。 専門分野 : 原子力政策 引き続き判例の検討を進めると共に、第 4 節の後半に 示したような海外の例、知財高裁の例、公取委の旧審判 制度などを参考に、原子力規制委員会・規制庁の改革と 審判部門を設置して実質的証拠法則を採用するなど、制 度的な改善について提案を精緻化・具体化して行く。 23 原発運転差止仮処分裁判に見る課題(中間報告) 堀池 寛,Hiroshi HORIIKE,宮野 廣,Hiroshi MIYANO,鈴木 孝寛,Takahiro SUZUKI,田中 治邦,Harukuni TANAKA,村田 貴司,Takashi MURATA 原発運転差止仮処分裁判に見る課題(中間報告) 堀池 寛,Hiroshi HORIIKE,宮野 廣,Hiroshi MIYANO,鈴木 孝寛,Takahiro SUZUKI,田中 治邦,Harukuni TANAKA,村田 貴司,Takashi MURATA
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