原子力安全・保安院の原子力安全研究ニーズについて
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カテゴリ: 解説記事
原子力安全・保安院の原子力安全研究ニーズについて
~原子力安全・保安部会(平成17年12月)より)~
原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)は、平成17年12月22日に開催された原子力安全・保安部会に対して、原子力安全規制及び安全研究に係る動きを踏まえ、今後の原子力安全規制の技術的課題を整理し、とりまとめた原子力安全研究ニーズ(案)を報告した。
ここでは、保安院報告に関し、原子炉を中心とした原子力安全規制分野別の安全研究ニーズを紹介する。
なお、保安院としては、本安全研究ニーズを、保安部会での議論、関係者との調整等を行ったのち、原子力安全基盤機構・日本原子力研究開発機構等研究実施機関に提示することとしている。
原子力安全規制分野別の安全研究ニーズ
保安院の安全研究ニーズ検討の基本的考え方については、原子力安全規制に直結する研究、すなわち規制制度や規制基準の整備に係る研究、民間の取組みに関し国として安全性を確認する際に必要となる知見やデータを得るために行う研究等の優先度が高い。一方、基礎・基盤研究あるいは開発研究の一環として、研究成果が規制支援に活用可能な研究の優先度は高くないが、国が参加する研究として有益である。この考え方を踏まえ、各分野における原子力安全施策の基本方針、具体的な安全研究ニーズ及び研究成果の安全規制への活用をとりまとめる。研究に係る資金、人材、設備・施設等研究リソースの効率的な配分の観点から研究成果の安全規制への反映が期待される時期を念頭に置き、当面のニーズと中長期的なニーズに分けて整理する。
(本稿では、当面のニーズに関し、共通分野及び原子炉安全分野につき、具体的な安全研究ニーズ及び研究成果の安全規制の活用につき記載した)
(1)共通分野
①リスク情報の活用
(具体的な安全研究ニーズ)
a.リスク情報を活用した規制制度のあり方に関する調査検討
b.リスク情報活用の可能な分野、具体的に推進する分野における関連規制文書の整備を検討
c.リスク情報活用の基盤となるPSAの品質を確保するために必要な手法・データ等の改良・整備
(研究成果の安全規制への活用)
各安全規制分野への具体的な適用に向けて、「原子力安全規制への『リスク情報』活用の当面の実施計画」に基づき平成22年度目途に段階的に実施。
②事故・故障情報の活用
(具体的な安全研究ニーズ)
a.事故・故障要因等の分析技術の検討
b.事故・故障発生の原因・対策の検討と技術情報基盤としてのデータベース化
c.運転管理情報(経年変化を含めた機器故障率データ、人的過誤率データ)等の分析・評価及び安全規制に活用すべき事項の検討
d.保安院が安全情報とそれにより得られた知識を集約、体系化・構造化して、民間を含めて広く共有することを可能とする知識管理(ナレッジマネジメント)の高度化の検討
(研究成果の安全規制への活用)
必要な情報が関係者に迅速に提供、共有されるシステムを継続的に充実する。
③人的・組織的要因
(具体的な安全研究ニーズ)
a.トラブル事象等の人的・組織的要因の調査分析に基づく知見・教訓の蓄積による評価手法の検討
b.原子力安全における建設・管理での人的・組織的要因について、審査等における事業者の能力を確認する項目の検討
c.事業者の安全文化の欠如による不祥事を防止することを目的とした事業者の取組みを評価する手法の検討
(研究成果の安全規制への活用)
安全文化に関し得られた知見・教訓について、規制の観点から活用するための基礎データ及び評価データとして蓄積し、定期安全管理審査及び保安検査官の日常業務等において迅速に活用できるよう、原子力安全基盤機構内イントラネットや保安検査官支援システムへの組込み等を行う。
④リスクコミュニケーション
(具体的な安全研究ニーズ)
a.住民等と事業者、専門家間のリスクコミュニケーションに関する手法の検討
b.住民等の理解を得るメカニズムの把握、これに関するデータ収集・分析方法
(研究成果の安全規制への活用)
地域住民や国民一般の原子力安全への懸念を踏まえ早期に成果を入手する必要。
⑤原子力防災
(具体的な安全研究ニーズ)
a.原子力施設等の緊急時に事故状態の把握及び進展の予測を行う技術の高度化
b.原子力施設等の緊急時の住民に対する退避、避難等要請に係る最新の知見の取得
(研究成果の安全規制への活用)
緊急事態において関係機関が一体となって的確に応急対策を実施できるよう、平常時から関係機関の間で活用できる支援システムやマニュアル等のツールを整備し、対応技術の高度化を図る必要があり、早期の成果を期待。
⑥廃止措置
(具体的な安全研究ニーズ)
a.核燃料サイクル施設の廃止措置における安全評価手法の検討
b.廃止措置のリスクレベルに応じた規制基準の策定
c.サイト解放基準の検討
(安全規制への活用)
「東海発電所」の本格解体、今後廃止措置が見込まれる「ふげん」及び軽水炉に対する廃止措置計画の審査に活用。また、核燃料サイクル施設に係る廃止措置計画の審査に活用。
⑦基礎・基盤研究
(具体的な安全研究ニーズ)
a.自然科学、人文・社会科学についての提案型公募研究を実施
b.溶接補修技術や計測技術等の新技術や材料の導入に対応した提案型公募研究を実施
(研究成果の安全規制への活用)
シーズ育成の研究については着実に推進し、研究の芽が出たものについては個別分野の研究へと組み込んでいく必要がある。
⑧燃料輸送
(具体的な安全研究ニーズ)
a.我が国の輸送規則の改訂提案及び各国からの改訂提案に対する技術的な検討、技術動向調査、必要に応じた計算解析等を実施
b.輸送中にトラブルが発生した場合等緊急時に、同種の容器の利用状況を把握するため輸送容器、輸送物及び輸送状況を一元管理することが可能なデータベースシステムの構築、及び関係機関でこれを共有できる情報網の整備を検討
(研究成果の安全規制への活用)
IAEAの輸送規則及び安全規制への反映については、IAEAのスケジュールに合わせて継続的に取組む必要がある。
(2)原子炉安全分野
1)燃料健全性評価技術
(具体的な安全研究ニーズ)
a.高燃焼度ウラン燃料、MOX燃料等について、燃料及び燃料被覆管の安全評価のためのデータを整備
b.全MOX炉心に係る、今後の炉心安全評価のため、商用炉における燃焼後燃料の試験による核特性データ及び臨界試験装置による炉物理試験データを整備
c.熱水力安全評価手法に関して、BWR炉心における過渡的な沸騰遷移後の熱伝達に関するデータの取得
(研究成果の安全規制への活用)
次期高燃焼度化に係る安全審査の判断根拠となる基礎データを平成19年度中に整備。高燃焼度9×9型燃料信頼性実証及び高燃焼度燃料安全裕度確認試験で得られるデータについては、平成19年度頃申請が見込まれる改良9×9型燃料の安全審査に活用、また、高燃焼度燃料被覆管の安全評価に活用。
2)材料健全性評価技術
(具体的な安全研究ニーズ)
a.原子炉施設の機器・構築物健全性評価技術のため、材料の性能低下現象毎に各種技術動向を鳥瞰した技術開発マップ等を整備し、判断根拠の明確化
b.配管・機器の破壊・破損に係わる地震エネルギー入力の影響等について、配管系の動的強度評価法に関する基礎研究の実施を検討
(研究成果の安全規制への活用)
確率論的構造健全性評価法について、平成18年度以降日本電気協会「破壊靱性確認試験方法」、「原子炉構造材の監視試験評価法」の改訂の妥当性確認に活用。平成18年度以降日本機械学会「維持規格欠陥評価法」の妥当性確認後、安全評価への活用。経年設備耐震データについて、平成20年度までに取得し、日本機械学会「維持規格」の妥当性確認に活用。
3)耐震安全
(具体的な安全研究ニーズ)
a.耐震安全性能
b.耐震規制基準
c.最新の知見の検討
(研究成果の安全規制への活用)
機器耐力データは平成19年度までに取得し、地震PSAに活用。平成19年度以降、地盤・構造物相互作用データはJEAG4601の妥当性確認に活用。
4)安全評価
(具体的な安全研究ニーズ)
a.解析コード及びPSA等の安全評価手法を技術情報や知見の蓄積により十分な検討を実施し、開発・改良により評価精度の向上、解析の迅速化
b.解析条件の設定等に使用する安全審査関連データの整備のため、国内外プラント情報の収集・整理等を行うとともに民間規格の改訂等に関する妥当性評価を実施
c.原子炉施設等で事故・故障が発生した場合に要因分析等の解析を実施し、必要な場合、保安院の早期規制制度の整備を可能とする制度体制を検討
d.安全規制に活用する観点からの国内外の試験結果の集約と体系化及び解析モデルの整備について最新の知見の取得を含めた計画的な研究を実施
(研究成果の安全規制への活用)
安全審査等における安全性の評価に用いるために審査スケジュールに応じた整備作業を各年度実施。
5)運転管理・検査技術
(具体的な安全研究ニーズ)
a.検査・モニタリング技術と運転管理情報の分析
健全性評価制度の適切な運用のため、最新の知見を反映した検査手法による、欠陥検出及びサイジング精度の向上技術について妥当性評価を実施。
b.予防保全、取替・補修技術について、
最新の知見を反映した手法による、補修技術、表面改質技術、取替技術について妥当性を確認
c.リスク情報の高経年化対策への活用
経年変化に伴う故障率の変化を考慮したPSAによるリスク情報が重要であるため、そのための故障率等のデータ収集、解析手法の開発等を実施。
d.原子力施設における放射線作業従事者の被ばく線量の低減化
定期検査等における作業の最適化を図るための調査が必要。
(研究成果の安全規制への活用)
平成18年度に低炭素ステンレス鋼の非破壊検査指針、 平成19年度に炉内構造物溶接部検査指針、ノズルセーフエンド部検査指針に活用、平成20年度に圧力容器貫通部検査指針、容器貫通部狭隘部検査指針に活用。
6)高速増殖炉
(高速増殖炉に係わる具体的な安全研究ニーズ)
a.技術基準の高度化
燃料の技術基準の高度化を図る。また、PSAを活用した構造基準に関連した調査を行い、PSAを活用した技術基準等の我が国への適用性、取入れ方を検討
b.高速増殖炉の維持基準
高速増殖炉の構造物の材料劣化に関する調査、維持基準に関する海外の動向調査等を行い、維持基準について検討
c.もんじゅアクシデントマネジメント
有効性評価の手法としてPSAが有力であり、提案前の現段階で評価手法を整備
d.クロスチェック等に用いる解析コードの改良・整備を実施。
(研究成果の安全規制への活用)
事業者より提案されるアクシデントマネジメントの提出時期までに整備。
原子力安全・保安院の原子力安全研究ニーズについて 青木 昌浩,Masahiro AOKI
~原子力安全・保安部会(平成17年12月)より)~
原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)は、平成17年12月22日に開催された原子力安全・保安部会に対して、原子力安全規制及び安全研究に係る動きを踏まえ、今後の原子力安全規制の技術的課題を整理し、とりまとめた原子力安全研究ニーズ(案)を報告した。
ここでは、保安院報告に関し、原子炉を中心とした原子力安全規制分野別の安全研究ニーズを紹介する。
なお、保安院としては、本安全研究ニーズを、保安部会での議論、関係者との調整等を行ったのち、原子力安全基盤機構・日本原子力研究開発機構等研究実施機関に提示することとしている。
原子力安全規制分野別の安全研究ニーズ
保安院の安全研究ニーズ検討の基本的考え方については、原子力安全規制に直結する研究、すなわち規制制度や規制基準の整備に係る研究、民間の取組みに関し国として安全性を確認する際に必要となる知見やデータを得るために行う研究等の優先度が高い。一方、基礎・基盤研究あるいは開発研究の一環として、研究成果が規制支援に活用可能な研究の優先度は高くないが、国が参加する研究として有益である。この考え方を踏まえ、各分野における原子力安全施策の基本方針、具体的な安全研究ニーズ及び研究成果の安全規制への活用をとりまとめる。研究に係る資金、人材、設備・施設等研究リソースの効率的な配分の観点から研究成果の安全規制への反映が期待される時期を念頭に置き、当面のニーズと中長期的なニーズに分けて整理する。
(本稿では、当面のニーズに関し、共通分野及び原子炉安全分野につき、具体的な安全研究ニーズ及び研究成果の安全規制の活用につき記載した)
(1)共通分野
①リスク情報の活用
(具体的な安全研究ニーズ)
a.リスク情報を活用した規制制度のあり方に関する調査検討
b.リスク情報活用の可能な分野、具体的に推進する分野における関連規制文書の整備を検討
c.リスク情報活用の基盤となるPSAの品質を確保するために必要な手法・データ等の改良・整備
(研究成果の安全規制への活用)
各安全規制分野への具体的な適用に向けて、「原子力安全規制への『リスク情報』活用の当面の実施計画」に基づき平成22年度目途に段階的に実施。
②事故・故障情報の活用
(具体的な安全研究ニーズ)
a.事故・故障要因等の分析技術の検討
b.事故・故障発生の原因・対策の検討と技術情報基盤としてのデータベース化
c.運転管理情報(経年変化を含めた機器故障率データ、人的過誤率データ)等の分析・評価及び安全規制に活用すべき事項の検討
d.保安院が安全情報とそれにより得られた知識を集約、体系化・構造化して、民間を含めて広く共有することを可能とする知識管理(ナレッジマネジメント)の高度化の検討
(研究成果の安全規制への活用)
必要な情報が関係者に迅速に提供、共有されるシステムを継続的に充実する。
③人的・組織的要因
(具体的な安全研究ニーズ)
a.トラブル事象等の人的・組織的要因の調査分析に基づく知見・教訓の蓄積による評価手法の検討
b.原子力安全における建設・管理での人的・組織的要因について、審査等における事業者の能力を確認する項目の検討
c.事業者の安全文化の欠如による不祥事を防止することを目的とした事業者の取組みを評価する手法の検討
(研究成果の安全規制への活用)
安全文化に関し得られた知見・教訓について、規制の観点から活用するための基礎データ及び評価データとして蓄積し、定期安全管理審査及び保安検査官の日常業務等において迅速に活用できるよう、原子力安全基盤機構内イントラネットや保安検査官支援システムへの組込み等を行う。
④リスクコミュニケーション
(具体的な安全研究ニーズ)
a.住民等と事業者、専門家間のリスクコミュニケーションに関する手法の検討
b.住民等の理解を得るメカニズムの把握、これに関するデータ収集・分析方法
(研究成果の安全規制への活用)
地域住民や国民一般の原子力安全への懸念を踏まえ早期に成果を入手する必要。
⑤原子力防災
(具体的な安全研究ニーズ)
a.原子力施設等の緊急時に事故状態の把握及び進展の予測を行う技術の高度化
b.原子力施設等の緊急時の住民に対する退避、避難等要請に係る最新の知見の取得
(研究成果の安全規制への活用)
緊急事態において関係機関が一体となって的確に応急対策を実施できるよう、平常時から関係機関の間で活用できる支援システムやマニュアル等のツールを整備し、対応技術の高度化を図る必要があり、早期の成果を期待。
⑥廃止措置
(具体的な安全研究ニーズ)
a.核燃料サイクル施設の廃止措置における安全評価手法の検討
b.廃止措置のリスクレベルに応じた規制基準の策定
c.サイト解放基準の検討
(安全規制への活用)
「東海発電所」の本格解体、今後廃止措置が見込まれる「ふげん」及び軽水炉に対する廃止措置計画の審査に活用。また、核燃料サイクル施設に係る廃止措置計画の審査に活用。
⑦基礎・基盤研究
(具体的な安全研究ニーズ)
a.自然科学、人文・社会科学についての提案型公募研究を実施
b.溶接補修技術や計測技術等の新技術や材料の導入に対応した提案型公募研究を実施
(研究成果の安全規制への活用)
シーズ育成の研究については着実に推進し、研究の芽が出たものについては個別分野の研究へと組み込んでいく必要がある。
⑧燃料輸送
(具体的な安全研究ニーズ)
a.我が国の輸送規則の改訂提案及び各国からの改訂提案に対する技術的な検討、技術動向調査、必要に応じた計算解析等を実施
b.輸送中にトラブルが発生した場合等緊急時に、同種の容器の利用状況を把握するため輸送容器、輸送物及び輸送状況を一元管理することが可能なデータベースシステムの構築、及び関係機関でこれを共有できる情報網の整備を検討
(研究成果の安全規制への活用)
IAEAの輸送規則及び安全規制への反映については、IAEAのスケジュールに合わせて継続的に取組む必要がある。
(2)原子炉安全分野
1)燃料健全性評価技術
(具体的な安全研究ニーズ)
a.高燃焼度ウラン燃料、MOX燃料等について、燃料及び燃料被覆管の安全評価のためのデータを整備
b.全MOX炉心に係る、今後の炉心安全評価のため、商用炉における燃焼後燃料の試験による核特性データ及び臨界試験装置による炉物理試験データを整備
c.熱水力安全評価手法に関して、BWR炉心における過渡的な沸騰遷移後の熱伝達に関するデータの取得
(研究成果の安全規制への活用)
次期高燃焼度化に係る安全審査の判断根拠となる基礎データを平成19年度中に整備。高燃焼度9×9型燃料信頼性実証及び高燃焼度燃料安全裕度確認試験で得られるデータについては、平成19年度頃申請が見込まれる改良9×9型燃料の安全審査に活用、また、高燃焼度燃料被覆管の安全評価に活用。
2)材料健全性評価技術
(具体的な安全研究ニーズ)
a.原子炉施設の機器・構築物健全性評価技術のため、材料の性能低下現象毎に各種技術動向を鳥瞰した技術開発マップ等を整備し、判断根拠の明確化
b.配管・機器の破壊・破損に係わる地震エネルギー入力の影響等について、配管系の動的強度評価法に関する基礎研究の実施を検討
(研究成果の安全規制への活用)
確率論的構造健全性評価法について、平成18年度以降日本電気協会「破壊靱性確認試験方法」、「原子炉構造材の監視試験評価法」の改訂の妥当性確認に活用。平成18年度以降日本機械学会「維持規格欠陥評価法」の妥当性確認後、安全評価への活用。経年設備耐震データについて、平成20年度までに取得し、日本機械学会「維持規格」の妥当性確認に活用。
3)耐震安全
(具体的な安全研究ニーズ)
a.耐震安全性能
b.耐震規制基準
c.最新の知見の検討
(研究成果の安全規制への活用)
機器耐力データは平成19年度までに取得し、地震PSAに活用。平成19年度以降、地盤・構造物相互作用データはJEAG4601の妥当性確認に活用。
4)安全評価
(具体的な安全研究ニーズ)
a.解析コード及びPSA等の安全評価手法を技術情報や知見の蓄積により十分な検討を実施し、開発・改良により評価精度の向上、解析の迅速化
b.解析条件の設定等に使用する安全審査関連データの整備のため、国内外プラント情報の収集・整理等を行うとともに民間規格の改訂等に関する妥当性評価を実施
c.原子炉施設等で事故・故障が発生した場合に要因分析等の解析を実施し、必要な場合、保安院の早期規制制度の整備を可能とする制度体制を検討
d.安全規制に活用する観点からの国内外の試験結果の集約と体系化及び解析モデルの整備について最新の知見の取得を含めた計画的な研究を実施
(研究成果の安全規制への活用)
安全審査等における安全性の評価に用いるために審査スケジュールに応じた整備作業を各年度実施。
5)運転管理・検査技術
(具体的な安全研究ニーズ)
a.検査・モニタリング技術と運転管理情報の分析
健全性評価制度の適切な運用のため、最新の知見を反映した検査手法による、欠陥検出及びサイジング精度の向上技術について妥当性評価を実施。
b.予防保全、取替・補修技術について、
最新の知見を反映した手法による、補修技術、表面改質技術、取替技術について妥当性を確認
c.リスク情報の高経年化対策への活用
経年変化に伴う故障率の変化を考慮したPSAによるリスク情報が重要であるため、そのための故障率等のデータ収集、解析手法の開発等を実施。
d.原子力施設における放射線作業従事者の被ばく線量の低減化
定期検査等における作業の最適化を図るための調査が必要。
(研究成果の安全規制への活用)
平成18年度に低炭素ステンレス鋼の非破壊検査指針、 平成19年度に炉内構造物溶接部検査指針、ノズルセーフエンド部検査指針に活用、平成20年度に圧力容器貫通部検査指針、容器貫通部狭隘部検査指針に活用。
6)高速増殖炉
(高速増殖炉に係わる具体的な安全研究ニーズ)
a.技術基準の高度化
燃料の技術基準の高度化を図る。また、PSAを活用した構造基準に関連した調査を行い、PSAを活用した技術基準等の我が国への適用性、取入れ方を検討
b.高速増殖炉の維持基準
高速増殖炉の構造物の材料劣化に関する調査、維持基準に関する海外の動向調査等を行い、維持基準について検討
c.もんじゅアクシデントマネジメント
有効性評価の手法としてPSAが有力であり、提案前の現段階で評価手法を整備
d.クロスチェック等に用いる解析コードの改良・整備を実施。
(研究成果の安全規制への活用)
事業者より提案されるアクシデントマネジメントの提出時期までに整備。
原子力安全・保安院の原子力安全研究ニーズについて 青木 昌浩,Masahiro AOKI