運転中の大容量共用施設における計測制御設備の更新工事

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カテゴリ: 第14回
1.緒言
運転中の大規模プラントにおける圧縮空気供給設備の ような大容量、かつ共用で運用される施設の計測制御機 器類の更新工事では建設工事段階と異なり、広範囲にお よぶ負荷先設備の運転への影響を与えることなく、かつ 短期間に実施するための「リスク低減対策」が特に重要 になる。 本稿では、24時間連続運転設備でかつ他工事との干 渉があったユーティリティ系統「圧縮空気製造設備」の PLC更新工事(以下、本工事とする)の実施に当たり、 計画段階からFMEA((Failure mode and effects analysis) 「故障モード影響度解析」以下、工程FMEAとする)[1] によるリスクの抽出や評価、検討等を計画段階に十分行 い、工事中の負荷先設備における安定運転の確保と、更 新工程における遅延等のリスク低減対策に取り組んだ活 動内容について報告する。
2.再処理施設における落雷事象の概要[1] 2.本工事の概要とリスク 2.1 一般的な更新工事のケース 一般に計測制御機器の更新工事は、以下の4ケースに 大分類される。 a)既設機器と更新機器が同メーカーであり、基本的に盤 内配置変更が不要で、内部ソフトウェアも保守ツール により自動変換が可能なケース1(図1) b)同メーカーの後継機種が無く、他メーカーの機種で盤 内配置変更の検討や新たにソフトウェアの作成が必要 となるケース2(図2) c)更新工事と合わせて制御機能の強化等の変更をするケ ース3(図3) d)更新工事を実施する上で、その機能上短時間の運転停 止も不可能であり、更新工事中に仮設設備等での運転 継続が必要なケース4(図4) また、このケースに加えて他工事との干渉や運転停止 期間の制限の影響を受けるので、更新工事期間の制限や 連絡先: 橋本 渉 更新工事工程の遅延になる可能性に対する対策も必要で 株式会社ジェイテック ある。 電気・計装保修部 制御グループ これらのことから、運転中の設備の更新工事を実施す 〒039-3212青森県上北郡六ヶ所村尾駮字沖付4-91 E-mail: wataru2-hashimoto@j-tech66.co.jp るにあたっては、既設設備の仕様、プロセスの状態、お よび他工事からの影響等を十分に把握して、そのリスク を最小化にする必要がある。
[同メーカー機種、ソフト自動変換] 既設PLC 保守ツール 基本的に、盤内配置 更新PLC(同メーカー) 変更不要 図1:更新工事[ケース1] 既設PLC 更新PLC(他メーカー) ソフト:自動変換 [他メーカー機種、ソフト作成]ソフト:吸い上げ 保守ツール ソフト:書込み 保守ツール 盤内配置変更の 検討が必要 図2:更新工事[ケース2] 既設PLC 更新PLC ソフト:作成 [制御機能改善] 保守ツール 図3:更新工事[ケース3] 既設PLC 更新PLC 制御機能改善 ソフト:自動変換 +追加機能 を作成 [仮設設備等による運転継続]a.機能切替 仮設設備 or他PLC c.更新 b.仮設設備/他PLC での運転 図4:更新工事[ケース4] 2.2 更新設備の概要
今回報告する更新の対象設備は、再処理工場の各施設 へ圧縮空気を24時間連続で供給するための大容量かつ 共用の施設である。 本設備は、圧縮空気貯槽内圧力を規定値で常時維持す るもので、図5に示すとおり常用圧縮機3台と運転予備 圧縮機1台で構成され、常用圧縮機3台の内2台が連続 運転、残り1台が待機状態で圧縮空気を供給するもので ある。 本設備は、約20年前に製作・据付され連続供用され てきたもので、制御機器は既に廃型となったため、高経 年化対策の一環として初期納入メーカーではない当社が その制御機器類の更新工事を実施した。 また、本工事は、設備の24時間連続運転を継続させ るため、圧縮機を運転切替し、制御機器を 1 台毎に更新 することとした。 〔圧縮空気製造設備系統概要図〕 <更新対象PLC> 圧縮機 PLC 常用A PLC 圧縮空気PLC 貯槽 PLC 圧縮機3台が 必要な設備 図5:24時間連続運転設備 概要図 2.3 本工事におけるリスク 本工事は、2.1項のケース1(同メーカー機種・ソ フト自動変換)に該当する他、現地作業のリスクや他工 事作業期間との干渉への対策が必要である。 このことから、本工事においては以下の3つのリスク の組合せとなる。 (1)2.1項のケース1に該当するリスク 既設機器と更新機器は同メーカーの後継機種にな るが、外形寸法が相違し、盤内機器の配置変更が 困難なため、外形寸法が同等な機種へ変更する。 このことで、配線の引き直しが生じる。(図6) - 152 - 常用B 常用C 運転予備 再処理工場の 各施設へ <運転概要> ・通常圧縮機2台、 24時間連続運転 ・負荷上昇により、圧縮機3台運転 (自動制御) 23.本工事のリスク低減への手法と評価 既設PLC 外形寸法同等 3.1 リスク低減への手法(工程FMEA) 配線の引き回し 本工事においては、トラブル未然防止として、国際安 外形寸法相違 作業が発生 全規格におけるリスク低減のための方法論について規定 機種している図9に示すJIS B 9700(ISO12100)[2]および、工 変更 程FMEAの手法を用い、リスク低減活動を行うことと した。 更新PLC(同メーカー後継機種) なお、工程FMEAは作業工程におけるリスクを抽出 図6:外観寸法相違、機種変更 し、評価、検討、対策へと進めるものであり、これを図 10に示す。 (2)現地作業のリスク 更新工事中においても設備として24時間連続運 転が必要なため図7に示す運転パターンで運転へ の影響を与えることなく本工事を実施する必要が ある。 工程FMEAでの抽出結果は、具体的なリスク対策の 検討・実施まで落とし込めないため、図9に示す基本安 全規格(A規格)に該当する JIS B 9700(ISO12100)に関 連した安全規格を踏まえた対策を検討し実施することと した。 なお、運転中の故障を考慮して更新期間は最短に 機械系 国際標準機構(ISO) 電気系 国際電気標準会議(IEC) し、更新後、即運転再開することが必要である。 パターンNo. 常用圧縮機A 常用圧縮機B 常用圧縮機C 運転予備圧縮機 1更新 運転 運転 待機 ・機械の安全性-基本概念,設計の一般原則 (ISO 12100:JIS B 9700) ・リスクアセスメント規格 (ISO 14121:JIS B 9702) ・インターロック規格 (ISO 14119:JIS B 9710) ・制御システム安全関連部 (ISO 13849-1:JIS B 9705-1) ・電気設備安全規格 (IEC 60204:JIS B 9960-1) ・電気・電子・プログラマブル電子安全 関連系の機能安全 (IEC 61508:JIS C 0508) ・スイッチ規格類 基本安全規格(A規格) (IEC 60947:JIS C 8201) 等 2運転 更新 運転 待機 ・安全関連部品規格 (ISO 13849-2:JIS B 9705-2) グループ安全規格(B規格) ・非常停止 3運転 運転 更新 待機 (ISO 13850:JIS B 9703) 等 個別機械安全規格(C規格) 特定の機械に対する詳細な安全要件を規定した、いわゆる製品規格。 4 待機 運転 運転 更新 製品例:工作機械、産業用ロボット、化学プラント 等 図7:更新工事中の運転パターン例 図9:JIS B 9700 (ISO12100)の位置づけ (3)他工事作業期間との干渉するリスク 抽工事期間中において他工事(圧縮機Aの分解点検 出および調節計の更新工事)との干渉がある。(図8) 圧縮機A (分解点検) 評価圧縮機A (調節計更新) 本工事 (PLC更新) 圧縮機A 検討 対策本更新工事で考えられるリスクは何か 図10:工程FMEA(作業フロー) - 153 - 今までの更新工事との差異はあるか 1月 2016年 2月 差異があることで何を心配しているか 他工事 他工事と 工程が干渉 ・作業エリア それは次工程、製品にどう影響を与えるか ・作業期間等 凡例:予定 心配が起こる原因は何か 図8:他工事との関連工程 どのような対策を実施すれば良いか 未然防止 33.2 本工事におけるリスク低減項目の抽出と評価 (1)リスクのある作業項目の抽出 本工事の作業に関し、図11に示す更新工事作業フロ ーを作成し、作業工程となる「準備」「工場製作・試験」 「現地工事・試験」の各段階における作業工程を明確に した。 次にその各作業工程でのリスクのある具体的作業項 目として、表1のとおり抽出した。 顧客要求事項 の把握 設備プロセス の把握 *B *A *C 【凡例】 1.準備 : 1~13・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.工場製作・試験 : 14~17、21 ・・・・・・・・・・・・ 3.現地工事・試験 : 18~20 ・・・・・・・・・・・・・・・ 4.表1:作業工程とリスクのある作業項目・・・・・ 設計図書発行 顧客仕様書 入手 マスタソフト 入手 1 2 1900/02/058 9 4図書/現物 5マスタES 更新時の設備 の作成 状態の確認 11 既設機器の 仕様把握 無 差異12 更新機器の 表1:No.2 有 選定(新/旧比較) 1900/01/096表1:No.1、3~8 13 更新機器の 調達 1418 19 15ソフト変換 表1:No.11、12 16 工場試験 17更新機器の出荷 無 有 20図11:更新工事作業フロー *A ソフト内容確認 既設設計図書 と現場の確認 *B 工場試験方法 の検討 表1:No.13 21図書/現物 差異 *C 現地工事方法 の検討 現地工事・試験 表1:No.9 更新方法の決定 表1:No.14~16 現地試験方法 の検討 表1:No.17~18 設計図書改訂 表1:No.19 表1:No.10 表1:作業工程とリスクのある作業項目 No. 作業工程 作業項目 1 後継機種の選定 2 現場調査作業 3 盤内設置スペースの評価 4 配線方法の検討 5 6 準備 既設配線流用可否の検討 最小開閉電流の評価 7 電源容量増加に伴う消費電力評価 8 配線ケーブルサイズの評価 9 実機ソフトウェアの吸上げ作業 10 派生図書の作成 11 ソフトウェアの変換作業 12 既設図書とソフトウェアの整合性確認 13 試験方法 14 盤内配線変更の管理方法 15 活線作業 16 スケジュールの調整 17 単体試験 18 機能試験 19 その他 所掌外機器等の故障時における対応 (2)リスク評価基準 抽出したリスクのある作業項目に対し、対策が必要な 項目を選定するための評価基準を表2に示す。 評価基準となる項目は「今までの更新工事との差異の 有無」、「発生頻度」、「影響度(次工程・製品)」とし、程 度による評価点を明確化した。 表2:評価基準 評価点 工場製作・試験 現地工事・試験 評価基準 今までの 更新工事 との差異 影響度 発生頻度 次工程 製品 - 154 - 評価基準 評価点 評価基準 評価点 評価基準 評価点 評価基準 - - 5 発生頻度が 非常に高い 5 人身・物損事 故に繋がる 5 人身・物損事 故に繋がる - - 4 発生頻度が 高い 4 設備停止、作 業不可となる 4 性能未達 - - 3 ときどき発生 する 3 作業条件の 変更要となる 3 外観不良、型 式・数量違い 2 有 2 少ないが発 生する 2 わずかな影 響がある 2 わずかな機 能変化 1 無 1 殆ど発生しな い 1 影響無し 1 影響無し 44.1 現地工事のスケジュール調整 本工事においては、工事前に機器の順番や施工工法な どを十分に検討し、作業内容から安全、品質を損ねるこ となく、対応可能な作業日数は、表4に示す7日以内と 判断した。 作業項目「スケジュールの調整」(表3:No.16) では、更新工事期間中は、運転および待機中の圧縮機が 故障した場合、設備としての予備機がなくなり負荷先設 備の運転へのリスクが増加するため、負荷先設備の運転 を考慮したスケジュール管理が必要となる。 また、圧縮機Aに関する他工事(圧縮機Aの分解点検 および調節計の更新工事)が発生しており、他工事への 引渡しや他工事終了後の機能試験を考慮したスケジュー ル管理が必要な状況であった。 このことから、各PLCの更新順序に関する調整、お よび他工事との干渉に関する調整の上、図12のとおり スケジュール調整を実施した。 表4:作業日数と作業内容(計画) 作業日数 作業内容 1日目 作業エリア設定、系統隔離、 既設機器取外し 2日目 既設機器取外し 3日目 既設機器取外し、更新機器取付け 4日目 更新機器取付け 5日目 単体試験 6日目 機能試験 7日目 予備日 常用圧縮機A (分解点検) 常用圧縮機A (調節計更新) 常用圧縮機A (PLC更新) 常用圧縮機B (PLC更新) 常用圧縮機C (PLC更新) 運転予備圧縮機 (PLC更新) (3)工程FMEAの評価結果 抽出した作業項目を評価基準に従い評価点数を算出し、 評価基準項目(表2)で1項目以上わずかでも影響があ る場合は、リスク低減の対策を実施する対象とする必要 があると判断し、評価点数が5点以上の作業項目をリス ク低減対策の対象とした。対象となった作業項目は表3 に示すとおり15項目となった。 表3:工程FMEA(評価) 評価結果 今まで の更新 No. 作業工程 作業項目 工事と の差異 2016年 1月 2月 3月 他工事 影響度 評価点 次工程 製品 (合計) 評価点 評価点 評価点 評価点 1 後継機種の選定 2 1 4 1 8 2 現場調査作業 1 1 1 1 4 3 盤内設置スペース の評価 2 2 2 1 7 4 配線方法の検討 2 3 5 5 15 5 既設配線流用可否 の検討 2 3 5 5 15 6 最小開閉電流の評価 2 4 3 5 14 7 電源容量増加に伴う 消費電力評価 2 3 2 2 9 8 配線ケーブルサイズ の評価 2 2 2 1 7 9 実機ソフトウェアの 吸上げ作業 2 1 4 1 8 10 派生図書の作成 2 4 3 1 10 11 ソフトウェアの変換 作業 1 2 2 1 6 12 既設図書とソフトウェア の整合性確認 1 3 3 1 8 13 試験方法 1 1 1 1 4 14 盤内配線変更の 管理方法 2 2 4 4 12 15 活線作業 2 3 5 5 15 16 スケジュールの調整 2 2 4 1 9 17 単体試験 1 1 1 1 4 18 機能試験 1 1 1 1 4 19 その他 所掌外機器等の 故障時における対応 1 3 5 5 14 4.本工事の実施 工程FMEAにてリスク低減対策の対象とした作業項 目(全15項目)について、リスク低減となる対策を検 討し実施した。 本項では連続運転設備として次工程へ影響のある作業 項目「スケジュールの調整」(表3:No.16)と工程 FMEAによる評価点数の高い作業項目「盤内設置スペ ースの評価」「配線方法の検討」「既設配線流用可否の検 討」「盤内配線変更の管理方法」(表3:No.3,4, 5,14)についてのリスク低減対策活動について報告 する。 発生頻度 準備 工場製作 ・試験 現地工事 ・試験 他工事への引渡し 運転切替 運転切替 運転切替 7日以内 ☆ 本更新工事 ☆ 7日以内 7日以内☆ 凡例:予定 7日以内 ☆ ☆ :機能試験 図12:スケジュール調整 - 155 5 - 4.2 盤内配線変更工事 作業項目「盤内設置スペースの評価」「配線方法の検討」 「既設配線流用可否の検討」(表3:No.3,4,5) では、後継機種のPLCの増設用I/Oユニットは、図 13に示すとおり既設からの外形寸法が変更となり、盤 内に収まらないもので他機器を含めた配置変更が困難で あったため、既設設置スペースに適用したI/Oユニッ トへ機種変更することとした。 このことで、増設用I/Oユニットへの配線は既設配 線を流用できなくなり、配線の引き直しが必要となった。 このため、最新の配線状態を裏面接続図(BWD)等 の設計図面に事前に反映して把握しておくことが不可欠 であり、これが不十分であると作業時に誤配線をするリ スクが非常に高いことを確認した。 (更新後) 図13:PLC更新前後写真 作業項目「盤内配線変更の管理方法」(表3:No.1 4)では、現地作業時における誤配線のリスクを低減(短 時間で安全・品質を損ねることなく配線作業)するため に、事前に以下の対策を実施した。 (1) 既設展開接続図(ECWD)の確認 図14に示す現状のECWDと現地配線の整合性を確 認し、配線の引き直し方を含めた確認結果を図15に示 すとおり既設ECWDへ明記した。 (更新前) 後継機種のPLC の増設用I/Oユ ニットは、既設から の外形寸法が変更 となり、盤内に収ま らない。 破線部分が干渉す る。 既設設置スペースに 適用したI/Oユニ ットへ機種変更した ことで、増設用I/O ユニットへの配線は 既設配線を流用でき なくなり、配線の引き 直し作業を実施した。 - 156 6 - 【現状ECWD(配線図)】 電気盤A V02 W02 端子番号を記載 X1-R T F1L1 F22 NF7LF8 N 【現状ECWD(回路)】電気盤A V02 W02 X1-R T F1F2F7F8 N1 2 1 2 L 1 2 1 2 1 2 配線を朱書き (配線仮番号付番含む)R11T12F3 R23F4 T24PCPS R35T3 678 LN 図15:確認結果ECWD(配線図) 現場制御盤A R1T1F3 R2F4 T2PCPS R3T3 図14:現状ECWD(回路) 現場制御盤A CPU PS1 PS2 CPU PS1 PS2 PLC電源 DC24V 電源 線の行先、既設配線に対する処置(流用、撤去、再配線) (2)PLC更新後のECWDの作成 図16のとおり既設ECWDへ更新内容を明記し、そ が不明で管理が難しいことが判明した。 れを元に更新後の図17に示すECWDを作成した。 表5:ケーブルチェックシート(現状) 【配線変更(更新)内容】電気盤A No. 機器番号 線番号 端子番号 処置内容 実施確認日 /実施者 復旧確認日 /実施者 備考 V02 W02 1 F1 R1 2 リフト '16.1.18/○○ '16.1.20/○○ 2 F2 T1 2 リフト '16.1.18/○○ '16.1.20/○○ 3 F3 R2 2 リフト '16.1.18/○○ - ケーブル撤去 現場制御盤A 4 F4 T2 2 リフト '16.1.18/○○ - ケーブル撤去 X1-R T F1R1F2T1CPU 5 F7 R3 2 リフト '16.1.18/○○ '16.1.20/○○ 更新6 F8 T3 2 リフト '16.1.18/○○ '16.1.20/○○ 7 CPU R1 L リフト '16.1.18/○○ '16.1.20/○○ F3 R28 CPU T1 N リフト '16.1.18/○○ '16.1.20/○○ 9 PCPS R2 L リフト '16.1.18/○○ - ケーブル撤去 F4 T2PCPS 撤去10 PCPS T2 N リフト '16.1.18/○○ - ケーブル撤去 F7R311 PS1 R3 L リフト '16.1.18/○○ '16.1.20/○○ 12 PS1 T3 N リフト '16.1.18/○○ '16.1.20/○○ F8 T3 PS1 13 PS2 R3 L リフト '16.1.18/○○ '16.1.20/○○ 14 PS2 T3 N リフト '16.1.18/○○ '16.1.20/○○ PS2 更新 そこで図15に示す既設ECWDの確認結果として 作成した図面および図17に示す更新後のECWDを 図16:配線変更(更新)内容 元に、ケーブル1本単位に更新前後の解結線箇所、配線 方法が容易に認識できるよう、表6に示すケーブルの解 結線情報をケーブル1本1行で管理する解結線ケーブ 【更新後ECWD(配線図)】ルチェックシートを作成した。 電気盤A なお、現地更新工事前に全ての解結線するケーブルを V02 W02 チェックシートに記載し、対象ケーブルは約1,600 端子番号を記載 現場制御盤A 本となった。 X1-R T 1 F12 R11L表6:解結線ケーブルチェックシート 1 F22 T12N現状 更新後 1 2 ケーブル 処置処置 1 2 機器番号 内容 実施日 /実施者 1 F72 R35L1 F8 2T3 67N 配線を朱書き 8CPU F3 No. ケーブル No. F4PS1 PS2 発点情報 着点情報 処置 端子機器端子実施日 発点情報 着点情報 機器端子機器端子番号 番号 番号 /実施者 番号 番号 番号 番号 1 R1 F1 2 CPU L '16.1.18/○○ 流用 F1 2 CPU L '16.1.20/○○ 2 T1 F2 2 CPU N '16.1.18/○○ 流用 F2 2 CPU N '16.1.20/○○ 3 R2 F3 2 PCPS L '16.1.18/○○ 撤去 - - - - - 4 T2 F4 2 PCPS N '16.1.18/○○ 撤去 - - - - - 5 R3 F7 2 PS1 L '16.1.18/○○ 流用 F7 2 PS1 L '16.1.20/○○ 6 R3 PS1 L PS2 L '16.1.18/○○ 流用 PS1 L PS2 L '16.1.20/○○ 7 T3 F8 2 PS1 N '16.1.18/○○ 流用 F8 2 PS1 N '16.1.20/○○ L8 T3 PS1 N PS2 N '16.1.18/○○ 流用 PS1 N PS2 N '16.1.20/○○ N 現地作業時における誤配線のリスク低減として実施し た内容については、現地工事前のミーティングにより、 図17:更新後ECWD(配線図) 更新工事における施工方法について作業員全員が理解し、 表5に示す解結線ケーブルチェックシートを元に解線ケ (3)解結線ケーブルチェックシートの作成 ーブルへの識別管理(取付札の作成)、マークチューブ、 解線、結線のケーブルチェックシートは、従来は表5 配線の切り出し等の準備を十分に実施した。 に示すとおり配線1本の片端のみの管理が可能なもので 現地工事では、表6に示す解結線ケーブルチェックシ あった。 ートにて、確実な作業をスムーズに実施することが出来、 しかしながら、本更新工事における配線の引き直し作 1台の更新期間が4日間となった。 業においては、従来のケーブルチェックシートでは、配 - 157 7 - 5.本工事の結果 本工事おけるリスク低減対策に取り組んだ結果を以下 に示す。 なお、更新工事完了(運転側への設備引渡し)から1 年半を経過しているが、設備の安定運転を含め更新機器 も健全状態を維持している。 ・安全、品質を損ねることなく本工事をゼロ災害で完了 させた。 ・PLC1台の更新工事を負荷先設備の運転へ影響を与 えることなく、計画期間内(7日以内)に完了させた。 (表7、図18) 表7:作業日数と作業内容(計画・実績) 計画 実績 1日目 6. 結言 大型プラントにおける制御設備の高経年化対策として の更新工事を、そのリスク低減活動の面から総括して紹 介した。 リスク低減対策は、各作業のリスクを視認化すること で、人的過誤によるトラブル発生率の低減化を図り、有 効性を確認出来るとともに、安全作業の確立、品質向上、 作業の効率化および能率向上が図られ、生産稼働率の向 上に繋がるものと考える。 また、最近の産業界における更新工事において、省電 力化に伴う既設現場機器との取合い不備(例:最小開閉 電流値外での動作不良)、高性能化に伴う制御不備(例: プログラム処理速度の高速化に伴う制御処理タイミング ズレによる誤動作)なども報告されており、過去のトラ 作業日数 作業内容 ブル以外でのリスク低減活動は必須となっている。 作業エリア設定、 今回実施したリスク低減活動は、更新工事以外にも適 系統隔離、 既設機器取外し 用し、さらに効率的且つ効果的に推進するために過去の トラブル情報だけではなく、現在発生しているヒヤリハ ット情報も踏まえたリスク低減活動を実施していくこと が必要であると認識している。 また、本活動を継続することで、常にトラブルの未然 防止を考えた業務を行うことが出来、更なる安全と品質 の向上に繋がるものと考える。[3] 参考文献 計画[1] 鈴木順二郎,牧野鉄治,石坂茂樹,『FMEA・FTA 実施法 実績 ―信頼性・安全性解析と評価』日科技連, 1982 本工事 計画・ 実績FMEA(Failure mode and effects analysis) 「故障モード影響度解析」 計画「設計 FMEA」:設計段階で、事故・故障を設計段階 実績 本工事 計画・ 実績で予測・摘出する 「工程 FMEA」:製造工程中での各故障モードの管理 計画実績 信頼性を評価する 本工事 計画・ 実績計画作業エリア設定、 系統隔離、 既設機器取外し 2日目 既設機器取外し 既設機器取外し、 更新機器取付け 3日目 既設機器取外し、 更新機器取付け 単体試験 4日目 更新機器取付け 機能試験 5日目 単体試験 6日目 機能試験 7日目 予備日 2016年 1月 2月 3月 運転・待機 停止 運転・待機 運転 運転・待機 停止 運転・待機 常用圧縮機A 他工事 運転・待機 停止 運転・待機 運転・待機 停止 運転・待機 停止期間 3日短縮 運転・待機 停止 運転・待機 運転・待機 停止 運転・待機 停止期間 3日短縮 [2] JIS B 9700 (ISO12100)機械類の安全性設計のための 待機 停止 待機 一般原則リスクアセスメント及びリスク低減 実績 待機 停止 待機 [3] 尾形 圭司、新岡 将、須田 憲司 日本原燃(株) 本工事 計画・ 実績 記入例7日4日 :本工事予定 :本工事実績 運転 常用圧縮機B 7日4日 運転 常用圧縮機C 7日4日 運転 運転予備圧縮機 7日停止期間 4日 3日短縮 「六ヶ所再処理工場における保守管理改善の取り組 図18:本工事の実績工程 み」 日本保全学会 第13回学術講演会 要旨 運転中の大容量共用施設における計測制御設備の更新工事 橋本 渉,Wataru HASHIMOTO,加賀 康文,Yasufumi KAGA,紺野 准也,Junya KONNO,草野 昌紀,Masanori KUSANO,岸本 裕樹,Hiroki KISHIMOTO
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