四国電力(株)伊方発電所における統合型保修管理システム (EAM)を活用した保修管理の状況について

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カテゴリ: 第14回
1. はじめに
四国電力(株)原子力本部においては、2007年度よ り、統合型保修管理システム(以下、「EAM」という。) を導入し、2008年度から本格的に活用しているが、 当初の目的に沿って、有効に活用している状況を紹介 する。 2.導入計画時に想定していたEAMの活用 (1)業務効率化 作業情報(計画、実施)のリアルタイムな把握、グ ループ大の情報共有(可視化)、文書、記録を含めた設 備保全情報の一元管理、電子承認などの活用、調達管 理(ERP)との連携。 (2)作業状況の可視化 作業計画、実施、完了までの作業状況をステータス 表示で表すことによって、進捗状況を容易に把握、か つ、計画忘れの防止。 (3)品質管理 不適合情報など社内外情報の管理・活用。 (4)保全技術 状態監視保全点検記録の管理・活用、信頼性重視保 全分析結果の連携、マネジメント機能(KPI分析)。 3.業務プロセス 図1 業務プロセスの概略 4. 現在の活用状況 (1)保修依頼等のプラント管理情報 保修、放射線管理、化学管理、運転、安全・火災防 護、保安活動、保安官指摘、外部指導、不適合管理等 の処置依頼を行う入口として活用しており、その処置 状況を含む、業務完了までの情報を管理している。 (2)機器、計測器等の台帳管理 プラント設置機器、計測器等の機器管理情報を一元 管理しており、機器の役割に応じた機能にて検索でき、 保修計画や実績が確認できる構成としている。 (3)機器構成部品の台帳管理 保全計画から取替指示を出す関係から、機器を構成 する部品を一元管理している。 (4)作業タスク、取替部品、作業日程等の作業管理 時間基準保全又はそれ以外の保全作業を計画する際、 作業タスクの承認や取替部品の調達依頼、作業日程、 作業工数等を管理している。 (5)安全処置、作業許可管理 作業タスクの実施に伴う安全処置(隔離管理)の管 理や隔離完了後に作業許可を発行、印刷する機能等を 有する。 (6)警戒機器管理 状態監視保全の評価結果や履歴、保修依頼等の一連 の業務を管理している。 (7)保全結果の有効性評価記録の表示 登録された保修記録を機器、保全タスク順に一覧表 示することにより、有効性評価に必要な情報を効率的 - 159 - に出力させている。 (8)火災防護等の管理 火気作業,危険物/可燃物の持込等の許可及び火災 荷重の評価、常時保管物品の保管許可、可燃物持込み の評価、推定溢水量の評価、結露発生箇所の監視等の 業務を管理している。 図2 火災荷重評価レポート(例) 図3 物品保管場所の表示(例) (9)計測器校正、貸出管理 決められた期間内に行う計測器の校正計画や定検時 等の貸出管理を行っている。 (10)線源管理 計測器校正用等の線源の台帳管理を行っている。 (11)検査管理 定期事業者検査の実施及び記録等の管理を行ってい る。 (12)予防処置 海外や国内他社等で発生した故障トラブル情報の入 手、自プラントへの反映の必要性についての検討結果 等を管理している。 (13)改善、検討依頼 設備、保全タスク、作業安全、業務プロセス等、改 善検討の必要な事項が発生すれば、検討経緯を残し、 結果の報告及び指示を行っている。 (14)許認可管理 許認可管理が必要な案件を計画通り、手続きを進め るよう管理している。 (15)変更管理 改造工事実施時等、完成図書、設備データ、現場設 備が相違のないよう変更内容を管理している。 ? 取替部品の履歴管理を容易に行う観点から、部品毎 に品目及び価格、納期、仕入れ先等を管理している。 作業に必要な取替部品の調達の他、請負工事、委託 等を一元的に調達管理している。 (20)予実算管理 請負工事の設計工数積み上げ及び費用積算、予算申 請を経て、調達された契約実績の集約及び差異報告の 管理を行っている。 完成図書等の設計図書や保全記録及び作業計画に必 要な資料を電子ファイルで管理している。 (22)業務分析 EAMに登録した保全情報の物量、傾向等を分析す ることにより、改善するものがないか検証している。 (23)業務の指標化(KPI)管理 保修依頼処理効率等、一定の定めた期間内で業務を 終える割合を監視することにより、計画忘れの防止や 進捗管理に役立てている。 (16)業務決定 組織、職位間の業務に関する決定、報告事項を一元 管理している。 (17)取替部品の品目管理 (18)貯蔵品、予備品の在庫管理 在庫の有無を管理し、緊急作業時の対応や部品のロ ーテーションを行う際に作業計画から紐づいた管理を している。 (19)調達管理 (21)文書管理 - 160 - 5. 会議での有効活用 (1)スクリーニング会議、情報共有会議等 保修依頼情報は、全て、EAMに入力され、朝 は発電所スクリーニング会議にて、作業の要否、 不適合事象の該当判断を、夕方は当日に入った保 修依頼情報を原子力本部内で情報共有を行って いるが、プロジェクター等を使って画面投影する ことにより、紙を配布しないスタイルが定着し、 かつ、関連情報が容易に表示できることから、進 行の効率化に役立っている。 図4 情報共有会議 (2)利用人数、回数等 導入当初から操作教育に力を入れたこともあって、 年を重ねるごとに、利用頻度が上がってきており、現 在では、日々、6~700名が利用している。 図5 EAM利用人数の推移 5. 保全情報の活用 (1)保全情報の活用 EAMが保全管理(全般)に活用できるようにな ったことから、今後は、EAMに登録された膨大な情 報を分析・評価することにより、保全活動の適正化, 不具合事象発生の予防活動つなげるための検討を進め る計画としている。 また、設備担当者は、不具合発生時に、過去の類似 事象の原因,活動,是正処置等、経験のある保全情報 を容易に確認することができ、更に、EAMは、当社 社員だけでなく、関係会社もアクセス可能であること から、作業責任者が変わっても過去の点検結果を容易 に確認することができるため、積極的な業務引き継ぎ にも貢献できるのではないかと考えている。 リスク評価結果の管理、機器故障率の算定等、業 務の新たな要求事項を管理すべく、関係する組織と調 整を進めていく計画としている。 (平成29年5月15日) - 161 - 図6 保修依頼処理効率KPI(例) (3)今後の課題 四国電力(株)伊方発電所における統合型保修管理システム (EAM)を活用した保修管理の状況について 田岡 哲也,Tetsuya TAOKA,久武 浩之,Hiroyuki HISATAKE
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