原子力安全、社会と共に考える -公衆との対話-
公開日:
カテゴリ: 第14回
1.はじめに
東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、福島第一 事故)に関する各種報告書では、「安全神話」が我が国の 原子力施設の過酷事故への対策を阻害したとの記載が存 在する。福島第一事故の教訓としてリスクコミュニケー ションの必要性が叫ばれている。しかしながら、日本の 原子力分野においては、1995年の高速増殖炉「もんじゅ」 の事故及び1999年JCO(株)ウラン加工施設臨界事故後にま とめられた、原子力広報評価検討会報告書にて、既にリスクコミュニケーションの必要性が指摘されていた。今後、原子力分野において再び公衆との対話の不全を繰り返さないためにも、実のある公衆との対話(リスクコミュニケーションを含む)について真摯に考えていく必要 がある。
2.対話の必要性 1)トランス・サイエンス問題としての原子力 原子力発電は、事故の発生確率は低くとも、事故が発 生した時の影響が大きい。事故防止に際しどこまでの安 全対策をすればよいか”How safe is enough safe?”は、工学 的知見のみならず、社会情勢、世論、費用等の影響を受 け一意に定まらない。このような問題群をトランス・サ イエンス問題と呼び、問題の解決においては分野の専門 家のみではなく社会として意思決定を行うことが適当で あるとされる。トランス・サイエンス問題の提唱者であ るアルヴィン・ワインバーグは、当問題において科学者 (専門家)は誠実であることが大事であり、科学によっ て解明できている事項と解明できていない事項の境界線 を明確にすることが科学者の第一の使命としている。 日本の原子力分野においては、福島第一事故を代表とするトラブル・事故により、専門家(特に原子力事業者)に対する信頼が低下しており、より強く公衆が意思決定 への参画を求めるようになったと言えよう。
2)何をリスクとするかについての対話 2)市民参加と民主主義 日常において、公衆は様々なリスクと共存しているが、 市民参加が必要とされているのは原子力分野だけでは リスクの存在とリスクの認知は別である。福島第一事故 ない。NIMBY施設の建設、都市計画等も同様である。共 を経て公衆に見えるものとなった原子力リスクを含む社 通するキーワードとして「公益性」が挙げられるだろう。 会リスクの総和の削減こそが目指す方向となる。 電力・エネルギーに関連のある諸問題(エネルギーセキ 「原子力を選ぶリスク」も「原子力を選択しないリス ュリティ、気候変動、福島、安全性、経済・雇用等)の ク」も「社会に存在する数多くのリスク(以下、社会リ うち何を公益性の高い要素と位置付けるかは、個々の価 スク)」の一つであり、トレードオフ関係にある。リスク 値観、社会における立ち位置、利害関係によって異なり、 の中身及びトレードオフ関係まで含めて対話することが そこに議論のかみ合わなさが生じる。日本においては民 望ましい。 主主義が採用されており、何を「公益」とするかは民主 安全の議論も同様である。ISOにおいて、安全は「許 主義に基づき定められるという点に、公衆との対話を必 容できないリスクがないこと」と定義されているが、許 要とする根拠も存在する。リスクの影響を受ける市民の 容可能なリスクの性質及び幅は個人、組織、社会によっ 参加及び熟議は、代表民主主義を補完する役割を有する。 て異なる。ベックの言葉を用いれば「どう生きたいかと 3.公衆との対話と「リスク」 いう観点が入る」のである。対話に臨む際には、何を安 全とするか、どのリスクまでを許容できるかは、個々の 原子力安全に関する公衆との対話に、リスク情報は欠 価値観、利害関係、知識だけでなく生き方によっても異 かせない話題である。しかし、リスクに関する公衆との なることを念頭に置き、尊重しなければならない。 対話においては、リスクに対する認識の違いによって議 また、専門家と公衆では、リスクの削減において検討 論が噛み合わなくなることもある。対話における「リス 対象とする時間・空間的広がりが異なるためにリスクに ク」の取扱いについて、留意したい視点について以下に 対する感覚が異なる。この違いを詳らかにすることが、 述べる。 リスクを題材とする対話の初歩と言えよう。 1)公衆がゼロリスクを追求するという神話 3)原子力リスクと地域社会のリスクマネジメント 原子力発電の必要性に否定的な考えを有する層は、原 公衆にとって、社会リスク低減の一つの手段として原 子力発電の事故リスクに_ゼロ”を求めるとの議論が存 子力を選びうるが、同時に原子力事故リスクを許容する 在する。しかし、「公衆はゼロリスクを求めている」と認 こととなる。公衆が原子力を選択できる状態とは、選択 識するのは早計である。欧州における遺伝子組換作物を によって社会リスクの総和が本当に低減されるのかにつ 対象とした調査においても、専門家は「公衆はゼロリス いて判断できる状態、または公衆自らが社会リスク低減 クを求めている」と想定していたが、実際には情報の不 に関与可能な状態が存在する状態が理想であり、これら 足、リスク選択ができないことに対する不満、規制機関 の状態は、対話を通し構築されることを期待するもので の権限と能力への疑念、責任の所在や不確実性・未知性 ある。 を含有した意思決定方法の不明等を懸念していたとの結 リスクについて議論する際の、材料であり共通の言語 果が得られている。原子力発電においても、公衆がゼロ となる原子力リスクの中身と位置づけは、専門家から確 リスクを求めているように見えたとしても、実際にはそ 実に提供されなければならない。同時に、安全を図るも の他の懸念が存在すると考えられる。または、原子力発 のさしとして「安全目標」に対する議論及び策定、共有 電に対するゼロリスク以上に、リスク管理者への不信の が期待される。ただし、安全目標はあくまでもものさし 表現、リスク管理者を許容しないとの意思表示に_ゼロ の役割を果たし、原子力施設のリスク評価結果が目標を リスク”を述べる公衆も存在すると考えられる。 達成すること以上に、個別の原子力施設及び立地地域に また、リスクについて話をする際に、「原子力の事故リ おいて、地域の状況を踏まえたリスクマネジメントが実 スク」のみの説明を行う姿勢も_ゼロリスク追求”を助 施され、原子力施設の運営にて目指すリスクの大きさを 長する原因として挙げられるのではないだろうか。リス 共に考える仕組みに活かされることが重要となる。 ク削減のための費用が提示されない場合に、より小さな 地域社会のリスクマネジメントにおいては、防災も重 - 306 - 参考文献 要な課題となる。原子力事故時の避難については多くの 課題が存在し、解決にあたっては地域住民及び行政の積 [1] _原子力発電所が二度と過酷事故を起こさないために 極性が必要だろう。同時に、地域社会における災害は原 -国、原子力界は何をすべきか-” 原子力政策への 子力だけでなく、地震・津波、台風等の自然災害も対象 提言(第一分冊)、原子力発電所過酷事故防止検討会 としている。立場に依らない共通の目標に、「すべての災 編集委員会監修、科学技術国際交流センター、2016 害に強い地域社会づくり」を掲げることで、原子力も含 [2] _防災までを共に考える原子力安全-原子力発電所が めた防災計画の実現性向上及び協力体制作りが可能とな 二度と過酷事故を起こさないために-_原子力政策 るのではないだろうか。 への提言(第二分冊)、原子力発電所過酷事故防止検 4.対話にあたって 討会編集委員会監修、科学技術国際交流センター、 2016 原子力広報評価検討会の報告書が十全に活かされず、 [3] _皆で考える原子力発電のリスクと安全-原子力発 公衆との対話不全を繰り返した原因に、原子力施設のリ 電所が二度と過酷事故を起こさないために-_原子 スクや安全性に「ご理解いただく」ことを求めることで 力政策への提言(第三分冊)、原子力発電所過酷事故 社会のリスクマネジメントの中で活躍するアクターとし 防止検討会編集委員会監修、科学技術国際交流セン ての公衆を無意識に締め出していた点が挙げられるので ター、2017 はないだろうか。また、対話においては「何を伝えるか」 [4] 原子力コミュニケーション 新しい原子力広報を目 ではなく「何が伝わったか」が重要である。対話が上手 指して、資源エネルギー庁公益事業部編、エネルギ くいかない時には必ず「伝わらない理由」が存在する。 ーフォーラム、2001 公衆の興味及び理解のフレームワークに沿った話題提供 [5] トランス・サイエンスの時代 科学技術と社会をつな 及び伝え方を選択することが必要である。 ぐ、小林傳司、NTT 出版、2007 原子力のみならずトランス・サイエンス問題に類する [6] 市民参加と合意形成 都市と環境の計画つくり、原科 ものには明確な「正解」は存在しない。目指せるのは決 幸彦編著、学芸出版社、2005 定に携わる者にとっての「納得解」である。科学的な事 [7] リスク・コミュニケーションの思想と技術 共考と信 実及び妥当性を土台として意思決定における手続きの正 頼の技法、木下冨雄、2016 統性の確保が重要視される。日進月歩の科学技術の高度 [8] ゼロリスク評価の心理学、中谷内一也、ナカニシヤ出 化及びリスクの多様化・複雑化に伴い、リスクに関する 版、2004 公衆との対話の重要性は増している。社会全体に対話の [9] 危険社会 新しい近代への道、ウルリヒ・ベック、法 重要性・意義がより強く共有されると同時に、多様な公 政大学出版局、1998 衆の状況・関心・知識度等に合わせた多様な対話への参 [10] Final Report of _Public Perceptions of Agricultural 加のかたちが推進・保障されることが必要である。 Biotechnologies in Europe” research project, 2001 [11] リスクガヴァナンスの社会心理学、広瀬幸雄編著、 ナカニシヤ出版、2014 - 307 - 原子力安全、社会と共に考える -公衆との対話- 宮野 廣,Hiroshi MIYANO,村松 健,Ken MURAMATSU,野口 和彦,Kazuhiko NOGUCHI,成宮 祥介,Yoshiyuki NARUMIYA,高田 孝,Takashi TAKATA,牟田 仁,Hitoshi MUTA,糸井 達哉,Tatsuya ITOI,ITOI MRI,松本 昌昭,Masaaki MATSUMOTO,MATSUMOTO JANUS,松永 陽子,Yoko MATSUNAGA,杉山 憲一郎,Kenichiro SUGIYAMA
東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、福島第一 事故)に関する各種報告書では、「安全神話」が我が国の 原子力施設の過酷事故への対策を阻害したとの記載が存 在する。福島第一事故の教訓としてリスクコミュニケー ションの必要性が叫ばれている。しかしながら、日本の 原子力分野においては、1995年の高速増殖炉「もんじゅ」 の事故及び1999年JCO(株)ウラン加工施設臨界事故後にま とめられた、原子力広報評価検討会報告書にて、既にリスクコミュニケーションの必要性が指摘されていた。今後、原子力分野において再び公衆との対話の不全を繰り返さないためにも、実のある公衆との対話(リスクコミュニケーションを含む)について真摯に考えていく必要 がある。
2.対話の必要性 1)トランス・サイエンス問題としての原子力 原子力発電は、事故の発生確率は低くとも、事故が発 生した時の影響が大きい。事故防止に際しどこまでの安 全対策をすればよいか”How safe is enough safe?”は、工学 的知見のみならず、社会情勢、世論、費用等の影響を受 け一意に定まらない。このような問題群をトランス・サ イエンス問題と呼び、問題の解決においては分野の専門 家のみではなく社会として意思決定を行うことが適当で あるとされる。トランス・サイエンス問題の提唱者であ るアルヴィン・ワインバーグは、当問題において科学者 (専門家)は誠実であることが大事であり、科学によっ て解明できている事項と解明できていない事項の境界線 を明確にすることが科学者の第一の使命としている。 日本の原子力分野においては、福島第一事故を代表とするトラブル・事故により、専門家(特に原子力事業者)に対する信頼が低下しており、より強く公衆が意思決定 への参画を求めるようになったと言えよう。
2)何をリスクとするかについての対話 2)市民参加と民主主義 日常において、公衆は様々なリスクと共存しているが、 市民参加が必要とされているのは原子力分野だけでは リスクの存在とリスクの認知は別である。福島第一事故 ない。NIMBY施設の建設、都市計画等も同様である。共 を経て公衆に見えるものとなった原子力リスクを含む社 通するキーワードとして「公益性」が挙げられるだろう。 会リスクの総和の削減こそが目指す方向となる。 電力・エネルギーに関連のある諸問題(エネルギーセキ 「原子力を選ぶリスク」も「原子力を選択しないリス ュリティ、気候変動、福島、安全性、経済・雇用等)の ク」も「社会に存在する数多くのリスク(以下、社会リ うち何を公益性の高い要素と位置付けるかは、個々の価 スク)」の一つであり、トレードオフ関係にある。リスク 値観、社会における立ち位置、利害関係によって異なり、 の中身及びトレードオフ関係まで含めて対話することが そこに議論のかみ合わなさが生じる。日本においては民 望ましい。 主主義が採用されており、何を「公益」とするかは民主 安全の議論も同様である。ISOにおいて、安全は「許 主義に基づき定められるという点に、公衆との対話を必 容できないリスクがないこと」と定義されているが、許 要とする根拠も存在する。リスクの影響を受ける市民の 容可能なリスクの性質及び幅は個人、組織、社会によっ 参加及び熟議は、代表民主主義を補完する役割を有する。 て異なる。ベックの言葉を用いれば「どう生きたいかと 3.公衆との対話と「リスク」 いう観点が入る」のである。対話に臨む際には、何を安 全とするか、どのリスクまでを許容できるかは、個々の 原子力安全に関する公衆との対話に、リスク情報は欠 価値観、利害関係、知識だけでなく生き方によっても異 かせない話題である。しかし、リスクに関する公衆との なることを念頭に置き、尊重しなければならない。 対話においては、リスクに対する認識の違いによって議 また、専門家と公衆では、リスクの削減において検討 論が噛み合わなくなることもある。対話における「リス 対象とする時間・空間的広がりが異なるためにリスクに ク」の取扱いについて、留意したい視点について以下に 対する感覚が異なる。この違いを詳らかにすることが、 述べる。 リスクを題材とする対話の初歩と言えよう。 1)公衆がゼロリスクを追求するという神話 3)原子力リスクと地域社会のリスクマネジメント 原子力発電の必要性に否定的な考えを有する層は、原 公衆にとって、社会リスク低減の一つの手段として原 子力発電の事故リスクに_ゼロ”を求めるとの議論が存 子力を選びうるが、同時に原子力事故リスクを許容する 在する。しかし、「公衆はゼロリスクを求めている」と認 こととなる。公衆が原子力を選択できる状態とは、選択 識するのは早計である。欧州における遺伝子組換作物を によって社会リスクの総和が本当に低減されるのかにつ 対象とした調査においても、専門家は「公衆はゼロリス いて判断できる状態、または公衆自らが社会リスク低減 クを求めている」と想定していたが、実際には情報の不 に関与可能な状態が存在する状態が理想であり、これら 足、リスク選択ができないことに対する不満、規制機関 の状態は、対話を通し構築されることを期待するもので の権限と能力への疑念、責任の所在や不確実性・未知性 ある。 を含有した意思決定方法の不明等を懸念していたとの結 リスクについて議論する際の、材料であり共通の言語 果が得られている。原子力発電においても、公衆がゼロ となる原子力リスクの中身と位置づけは、専門家から確 リスクを求めているように見えたとしても、実際にはそ 実に提供されなければならない。同時に、安全を図るも の他の懸念が存在すると考えられる。または、原子力発 のさしとして「安全目標」に対する議論及び策定、共有 電に対するゼロリスク以上に、リスク管理者への不信の が期待される。ただし、安全目標はあくまでもものさし 表現、リスク管理者を許容しないとの意思表示に_ゼロ の役割を果たし、原子力施設のリスク評価結果が目標を リスク”を述べる公衆も存在すると考えられる。 達成すること以上に、個別の原子力施設及び立地地域に また、リスクについて話をする際に、「原子力の事故リ おいて、地域の状況を踏まえたリスクマネジメントが実 スク」のみの説明を行う姿勢も_ゼロリスク追求”を助 施され、原子力施設の運営にて目指すリスクの大きさを 長する原因として挙げられるのではないだろうか。リス 共に考える仕組みに活かされることが重要となる。 ク削減のための費用が提示されない場合に、より小さな 地域社会のリスクマネジメントにおいては、防災も重 - 306 - 参考文献 要な課題となる。原子力事故時の避難については多くの 課題が存在し、解決にあたっては地域住民及び行政の積 [1] _原子力発電所が二度と過酷事故を起こさないために 極性が必要だろう。同時に、地域社会における災害は原 -国、原子力界は何をすべきか-” 原子力政策への 子力だけでなく、地震・津波、台風等の自然災害も対象 提言(第一分冊)、原子力発電所過酷事故防止検討会 としている。立場に依らない共通の目標に、「すべての災 編集委員会監修、科学技術国際交流センター、2016 害に強い地域社会づくり」を掲げることで、原子力も含 [2] _防災までを共に考える原子力安全-原子力発電所が めた防災計画の実現性向上及び協力体制作りが可能とな 二度と過酷事故を起こさないために-_原子力政策 るのではないだろうか。 への提言(第二分冊)、原子力発電所過酷事故防止検 4.対話にあたって 討会編集委員会監修、科学技術国際交流センター、 2016 原子力広報評価検討会の報告書が十全に活かされず、 [3] _皆で考える原子力発電のリスクと安全-原子力発 公衆との対話不全を繰り返した原因に、原子力施設のリ 電所が二度と過酷事故を起こさないために-_原子 スクや安全性に「ご理解いただく」ことを求めることで 力政策への提言(第三分冊)、原子力発電所過酷事故 社会のリスクマネジメントの中で活躍するアクターとし 防止検討会編集委員会監修、科学技術国際交流セン ての公衆を無意識に締め出していた点が挙げられるので ター、2017 はないだろうか。また、対話においては「何を伝えるか」 [4] 原子力コミュニケーション 新しい原子力広報を目 ではなく「何が伝わったか」が重要である。対話が上手 指して、資源エネルギー庁公益事業部編、エネルギ くいかない時には必ず「伝わらない理由」が存在する。 ーフォーラム、2001 公衆の興味及び理解のフレームワークに沿った話題提供 [5] トランス・サイエンスの時代 科学技術と社会をつな 及び伝え方を選択することが必要である。 ぐ、小林傳司、NTT 出版、2007 原子力のみならずトランス・サイエンス問題に類する [6] 市民参加と合意形成 都市と環境の計画つくり、原科 ものには明確な「正解」は存在しない。目指せるのは決 幸彦編著、学芸出版社、2005 定に携わる者にとっての「納得解」である。科学的な事 [7] リスク・コミュニケーションの思想と技術 共考と信 実及び妥当性を土台として意思決定における手続きの正 頼の技法、木下冨雄、2016 統性の確保が重要視される。日進月歩の科学技術の高度 [8] ゼロリスク評価の心理学、中谷内一也、ナカニシヤ出 化及びリスクの多様化・複雑化に伴い、リスクに関する 版、2004 公衆との対話の重要性は増している。社会全体に対話の [9] 危険社会 新しい近代への道、ウルリヒ・ベック、法 重要性・意義がより強く共有されると同時に、多様な公 政大学出版局、1998 衆の状況・関心・知識度等に合わせた多様な対話への参 [10] Final Report of _Public Perceptions of Agricultural 加のかたちが推進・保障されることが必要である。 Biotechnologies in Europe” research project, 2001 [11] リスクガヴァナンスの社会心理学、広瀬幸雄編著、 ナカニシヤ出版、2014 - 307 - 原子力安全、社会と共に考える -公衆との対話- 宮野 廣,Hiroshi MIYANO,村松 健,Ken MURAMATSU,野口 和彦,Kazuhiko NOGUCHI,成宮 祥介,Yoshiyuki NARUMIYA,高田 孝,Takashi TAKATA,牟田 仁,Hitoshi MUTA,糸井 達哉,Tatsuya ITOI,ITOI MRI,松本 昌昭,Masaaki MATSUMOTO,MATSUMOTO JANUS,松永 陽子,Yoko MATSUNAGA,杉山 憲一郎,Kenichiro SUGIYAMA