周波数掃引渦電流試験および周波数応答特性解析による金属板厚評
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カテゴリ: 第14回
1.諸言
渦電流検査(ECT)は、導電性金属構造物の損傷検出・ 評価に最も一般的に使われる非破壊検査法の一つである。 ECT信号は、損傷の形態、被検体の電磁気特性、試験条件などの諸要素によって変化する。試験条件であるプローブの寸法、試験周波数、励磁強度などが一般てきに把握可能が、現場にある被検体の材質、あるいはその導電率や透磁率などの電磁気特性の事前把握は困難である。例え材質が把握できて、その電磁気特性がハンドブックから得られるでも、その値はメーカー、製造プロセスなどによって異なることがあり、また、長期的な稼働や経年劣化等によって変化することもあり得る。すなわち、事前に現場にある被検構造物の電気伝導率および透磁率の正確な値を把握することは困難である。被検体の電磁気特性が不明である場合、欠陥の寸法や肉厚の変化等の定量化は不可能である。また、現場に使われているマスターカーブによる欠陥評価法においてすべての検査対象に適用できるマスターカーブの作成はほぼ不可能である。このような状況において、一番望ましい損傷評価法は導電率および透磁率に依存せず、導電率および透磁率を知らなくても損傷定量化可能なものである。次の選択肢は、現場で被検体の電磁気特性を簡単かつ非破壊的に測定できるものである。本研究は周波数掃引渦電流試験(SFECT:Swept-frequency eddy current testing)および周波数応答特性解析を用いて、非磁性導電金属構造材の減肉評価を目的とする導電率に依存しない金属板厚評価法を構築する。 2.周波数掃引渦電流試験および周波数応答特性解析
通常の渦電流試験では、単一あるいは複数の周波数を有する励磁電流用いて測定を行う。渦電流の浸透深さは励磁周波数や材料の電磁気特性に左右されるため、被検体の電磁気特性が不明な場合、最適な試験周波数の設定は不可能である。周波数掃引渦電流試験は、励磁電流がある周波数範囲内に掃引して測定を行うため、最適周波数の設定は不要である。 ここではパンケーキ状の空心コイルを用いて、周波数掃引渦電流試験の信号であるコイルインピーダンスおよびその周波数応答特性を分析する。 図1は試験の概念図である。仮定の被検体は表面が十分大きく、厚さがdの導電性板である。被検体の電磁気特性は均一で、透磁率と導電率はそれぞれである。パンケーキコイルの内外半径はそれぞれれ
れ 、高さ は は である。コイル底面と被検体表面の間隔は は で ある。 [ 1] によって、コイル自身のインピーダンス、すなわれ と 、と検査コイルが試験片上に置かれたときのインピーダンスの変化量 -2式(2) 中の の は試験体の形態(電磁気特性や幾何形状 など)を反映する reflection coefficient である。ここで、 は 比 透 磁 率 で あ る ( ( 。 コイルが試験体上に置かれるときのインピーダン スはコイル自身のインピーダンスとインピーダンス変 化量の和である。 はともに励磁周波数に比例しており、測定信号で あるインピーダンスZは励磁周波数によって変化する。 下記のインピーダンス正規化によって、インピーダン スを同じスケールに変換させ、同じスケールで各周波 数の信号を分析する。 Fig. 1 Schematic of SFECT of a planar plate ち、コイルが空気中に置かれるときのインピーダンス 、 は正規化インピーダンスであり、 量 は以下の式で計算できる。 、 . (4) -3-1相 と板厚の関係をFig. 4 にプロットした。導電率に依存せず正規化インピーダン スの最大位相と板厚に特定の関係があることが示された。 正規化インピーダンスの最大位相は非磁性導電性板の板 - 352 2 - (5) である。 被検体が非磁性である場合、比透磁率 の式および式(4)、(5)は非磁性被検体の正規化イン ピーダンス の関 数であることを示した。 の実数成分や虚数成分、位 相も同様である。同じ厚みの非磁性板において、 が 同じであれば、 やその位相は同じである。以下で は、この‘同等’さを利用して板厚評価を行う。 2.1 理論解析 まず、(1)~(5)の理論式を用いて、パンケーキコイ ルを用いたSFECT 試験を解析する。解析対象は表面が十 分大きい非磁性被検体であり、導電率がそれぞれ 4.1MS/m、 8.2MS/mおよび37MS/mであるとし、厚さは 1~6mmの 1mm間隔で変化させる。パンケーキコイル の内外半径はそれぞれ8mm、10mmとし、コイル高さは 3mm、リフトオフは1mmである。解析用周波数は1、2、 5、10、20、30、40、50、100、200、1k、2k、3k、4k、6k、 8k、10k、20k、40k、60k、80k、100k、200k、400k、600kHz である。 以上の諸パラメータを用いて各導電率、厚みの試験体 のSFECTインピーダンスおよびその正規化インピーダン スを計算した。Fig. 2は導電率が4.1MS/mの各肉厚試験体 の正規化インピーダンスである。また、各正規化インピ ーダンスの位相を計算し、σfによる位相変化をFig. 3に 示す。一定の板厚において、ある σfの値で最大位相が 現れることを示した。 各導電率、板厚の試験体の正規化SFECT インピーダン スの位相を抽出して、最大位相 が導電率と周波数の積である 率 は 1 である。 厚評価に適する物理量であることを示した。 Fig. 2 Normalized impedance of plates whose conductivity is 4.1MS/m. Fig. 3 Change of the phases of normalized impedances 2.2 基礎試験 空心パンケーキコイルとLCRメーターを用いて基礎試 験を行い、以上のSFECT および周波数特性応答解析によ る非磁性導電性板の板厚測定の適用性を確認する。 試験体は150 mm X150 mm Xd (d=0.5mm, 1mm, 2mm)の アルミニウム板、150mmX150 mmXd (d=3mm, 4mm, 5mm, 6mm)のアルミニウム合金板、150 mm X150 mm Xd (d=1,2,3,4,5,6mm)の SUS304 板および 100 mm X100 mmXd (d=3,4,6mm)の SUS304 板である。これらの全 ての試験体の導電率は未知である。パンケーキコイル の内外半径はそれぞれ5mmと8mmであり、コイルの高 さは2mmである。LCRメータ(HIOKI IM3536)を4Hz ~200kHz周波数帯域内対数スケールの100ポイント等間 隔で掃引すると設定した。励磁電流は5mA正弦波定電流 である。 Fig. 6に正規化インピーダンスを示す。各板厚試験片の 正規化インピーダンスはインピーダンスより区別しやす いである。すなわち、正規化インピーダンスは板厚評価 に適する。 with (the conductivity is 4.1MS/m) Fig. 6に正規化インピーダンスを示す。各板厚試験片の 正規化インピーダンスはインピーダンスより区別しやす いである。すなわち、正規化インピーダンスは板厚評価 に適する。 Fig. 6に正規化インピーダンスを示す。各板厚試験片の 正規化インピーダンスはインピーダンスより区別しやす いである。すなわち、正規化インピーダンスは板厚評価 に適する。 Fig. 4 Change of the maximum phase with plate thickness (cd: conductivity). Fig. 5 SFECT impedances of Aluminum or Aluminum alloy plates (air: in the air; T: thickness ; number: thickness in mm). - 353 1 - まず、コイルを空気中に置き、コイル自身のSFECT イ ンピーダンス を測定した。その後、コイルを各試験体 上に置き、SFECT インピーダンスZを測定した。コイル のリフトオフは0.5mmである。Fig. 5にコイルが空気中お よびアルミニウム板やアルミニウム合金板上に置きと きのインピーダンスを示す。実のコイルの抵抗は0 で はない、また、インピーダンスが周波数の変化によっ て大きく変化することを示した。厚さ 2mm以上の板 はSFECT インピーダンス(Fig. 5)によりほぼ識別不 可能である。 Fig. 6 Normalized impedance of SFECT on Aluminum and Aluminum alloy plates. さらに、各正規化インピーダンスの位相を計算し、そ の最小位相を抽出した。アルミニウム板、アルミニウム 合金板の正規化インピーダンスの最小位相と板厚の関係 をFig. 7にプロットした。ここでは、アルミニウムおよび アルミニウム合金は板厚既知の参照試験体とし、それら の最小位相と板厚の関係からマスターカーブを構築した。 最後、SUS304 板を対象に同じ SFECT 測定試験を行っ た。同様の手順で正規化インピーダンス計算し、正規化 インピーダンスの周波数応答解析を行い、最小位相を抽 出した。各板に対応する最小位相もFig. 7 にプロットした。 同じ板厚において、SUS304 板の最小位相がアルミニウム やアルミニウム合金板とほぼ同じであることを示した。 すなわち、導電率の違いにかかわらず、同じ板厚にはほ ぼ同じ最小位相に対応する。厚さ不明の試験体のSFECT 信号の最小位相をマスターカーブ上の最小位相の比較に よって、板厚推定可能である。なお、マスターカーブを 構築する試験体や板厚を求める試験体の導電率は必ず必 要ではない。 Fig. 7 Change of the minimum phase with plate thickness (Al: Aluminum or Aluminum alloy; unit: mm) - 354 2 - 以上の理論分析および基礎試験では、非磁性導電性板 の厚さは、周波数掃引渦電流試験および周波数応答特性 解析によって測定・評価可能であることを示した。 本研究では、理論分析、シミュレーション解析、基礎 試験を用いて、周波数掃引渦電流試験法で得られた正規 化インピーダンスの周波数応答解析によって、試験体の 電磁気特性に依存しない導電性金属板の厚さ評価法を構 築した。 非磁性導電性板の正規化 SFECT インピーダンスは導電 率と周波数の積の関数であり、その位相の極値は板厚と 特有の関係がある。この関係は被検体の導電率に依存し ない。マスターカーブを構築した試験体や被検体の導電 率が知らなくでも、マスターカーブ上の位相との比較に よって非磁性導電板の板厚を評価可能である。 参考文献 [1] T. P. Theodoulidis, E. E. Kriezis, Eddy current canonical problems (with applications to nondestructive evaluation), USA: Tech Science Press, 1st Ed. 1905/06/283. まとめ 周波数掃引渦電流試験および周波数応答特性解析による金属板厚評 程 衛英,Weiying CHENG
渦電流検査(ECT)は、導電性金属構造物の損傷検出・ 評価に最も一般的に使われる非破壊検査法の一つである。 ECT信号は、損傷の形態、被検体の電磁気特性、試験条件などの諸要素によって変化する。試験条件であるプローブの寸法、試験周波数、励磁強度などが一般てきに把握可能が、現場にある被検体の材質、あるいはその導電率や透磁率などの電磁気特性の事前把握は困難である。例え材質が把握できて、その電磁気特性がハンドブックから得られるでも、その値はメーカー、製造プロセスなどによって異なることがあり、また、長期的な稼働や経年劣化等によって変化することもあり得る。すなわち、事前に現場にある被検構造物の電気伝導率および透磁率の正確な値を把握することは困難である。被検体の電磁気特性が不明である場合、欠陥の寸法や肉厚の変化等の定量化は不可能である。また、現場に使われているマスターカーブによる欠陥評価法においてすべての検査対象に適用できるマスターカーブの作成はほぼ不可能である。このような状況において、一番望ましい損傷評価法は導電率および透磁率に依存せず、導電率および透磁率を知らなくても損傷定量化可能なものである。次の選択肢は、現場で被検体の電磁気特性を簡単かつ非破壊的に測定できるものである。本研究は周波数掃引渦電流試験(SFECT:Swept-frequency eddy current testing)および周波数応答特性解析を用いて、非磁性導電金属構造材の減肉評価を目的とする導電率に依存しない金属板厚評価法を構築する。 2.周波数掃引渦電流試験および周波数応答特性解析
通常の渦電流試験では、単一あるいは複数の周波数を有する励磁電流用いて測定を行う。渦電流の浸透深さは励磁周波数や材料の電磁気特性に左右されるため、被検体の電磁気特性が不明な場合、最適な試験周波数の設定は不可能である。周波数掃引渦電流試験は、励磁電流がある周波数範囲内に掃引して測定を行うため、最適周波数の設定は不要である。 ここではパンケーキ状の空心コイルを用いて、周波数掃引渦電流試験の信号であるコイルインピーダンスおよびその周波数応答特性を分析する。 図1は試験の概念図である。仮定の被検体は表面が十分大きく、厚さがdの導電性板である。被検体の電磁気特性は均一で、透磁率と導電率はそれぞれである。パンケーキコイルの内外半径はそれぞれれ
れ 、高さ は は である。コイル底面と被検体表面の間隔は は で ある。 [ 1] によって、コイル自身のインピーダンス、すなわれ と 、と検査コイルが試験片上に置かれたときのインピーダンスの変化量 -2式(2) 中の の は試験体の形態(電磁気特性や幾何形状 など)を反映する reflection coefficient である。ここで、 は 比 透 磁 率 で あ る ( ( 。 コイルが試験体上に置かれるときのインピーダン スはコイル自身のインピーダンスとインピーダンス変 化量の和である。 はともに励磁周波数に比例しており、測定信号で あるインピーダンスZは励磁周波数によって変化する。 下記のインピーダンス正規化によって、インピーダン スを同じスケールに変換させ、同じスケールで各周波 数の信号を分析する。 Fig. 1 Schematic of SFECT of a planar plate ち、コイルが空気中に置かれるときのインピーダンス 、 は正規化インピーダンスであり、 量 は以下の式で計算できる。 、 . (4) -3-1相 と板厚の関係をFig. 4 にプロットした。導電率に依存せず正規化インピーダン スの最大位相と板厚に特定の関係があることが示された。 正規化インピーダンスの最大位相は非磁性導電性板の板 - 352 2 - (5) である。 被検体が非磁性である場合、比透磁率 の式および式(4)、(5)は非磁性被検体の正規化イン ピーダンス の関 数であることを示した。 の実数成分や虚数成分、位 相も同様である。同じ厚みの非磁性板において、 が 同じであれば、 やその位相は同じである。以下で は、この‘同等’さを利用して板厚評価を行う。 2.1 理論解析 まず、(1)~(5)の理論式を用いて、パンケーキコイ ルを用いたSFECT 試験を解析する。解析対象は表面が十 分大きい非磁性被検体であり、導電率がそれぞれ 4.1MS/m、 8.2MS/mおよび37MS/mであるとし、厚さは 1~6mmの 1mm間隔で変化させる。パンケーキコイル の内外半径はそれぞれ8mm、10mmとし、コイル高さは 3mm、リフトオフは1mmである。解析用周波数は1、2、 5、10、20、30、40、50、100、200、1k、2k、3k、4k、6k、 8k、10k、20k、40k、60k、80k、100k、200k、400k、600kHz である。 以上の諸パラメータを用いて各導電率、厚みの試験体 のSFECTインピーダンスおよびその正規化インピーダン スを計算した。Fig. 2は導電率が4.1MS/mの各肉厚試験体 の正規化インピーダンスである。また、各正規化インピ ーダンスの位相を計算し、σfによる位相変化をFig. 3に 示す。一定の板厚において、ある σfの値で最大位相が 現れることを示した。 各導電率、板厚の試験体の正規化SFECT インピーダン スの位相を抽出して、最大位相 が導電率と周波数の積である 率 は 1 である。 厚評価に適する物理量であることを示した。 Fig. 2 Normalized impedance of plates whose conductivity is 4.1MS/m. Fig. 3 Change of the phases of normalized impedances 2.2 基礎試験 空心パンケーキコイルとLCRメーターを用いて基礎試 験を行い、以上のSFECT および周波数特性応答解析によ る非磁性導電性板の板厚測定の適用性を確認する。 試験体は150 mm X150 mm Xd (d=0.5mm, 1mm, 2mm)の アルミニウム板、150mmX150 mmXd (d=3mm, 4mm, 5mm, 6mm)のアルミニウム合金板、150 mm X150 mm Xd (d=1,2,3,4,5,6mm)の SUS304 板および 100 mm X100 mmXd (d=3,4,6mm)の SUS304 板である。これらの全 ての試験体の導電率は未知である。パンケーキコイル の内外半径はそれぞれ5mmと8mmであり、コイルの高 さは2mmである。LCRメータ(HIOKI IM3536)を4Hz ~200kHz周波数帯域内対数スケールの100ポイント等間 隔で掃引すると設定した。励磁電流は5mA正弦波定電流 である。 Fig. 6に正規化インピーダンスを示す。各板厚試験片の 正規化インピーダンスはインピーダンスより区別しやす いである。すなわち、正規化インピーダンスは板厚評価 に適する。 with (the conductivity is 4.1MS/m) Fig. 6に正規化インピーダンスを示す。各板厚試験片の 正規化インピーダンスはインピーダンスより区別しやす いである。すなわち、正規化インピーダンスは板厚評価 に適する。 Fig. 6に正規化インピーダンスを示す。各板厚試験片の 正規化インピーダンスはインピーダンスより区別しやす いである。すなわち、正規化インピーダンスは板厚評価 に適する。 Fig. 4 Change of the maximum phase with plate thickness (cd: conductivity). Fig. 5 SFECT impedances of Aluminum or Aluminum alloy plates (air: in the air; T: thickness ; number: thickness in mm). - 353 1 - まず、コイルを空気中に置き、コイル自身のSFECT イ ンピーダンス を測定した。その後、コイルを各試験体 上に置き、SFECT インピーダンスZを測定した。コイル のリフトオフは0.5mmである。Fig. 5にコイルが空気中お よびアルミニウム板やアルミニウム合金板上に置きと きのインピーダンスを示す。実のコイルの抵抗は0 で はない、また、インピーダンスが周波数の変化によっ て大きく変化することを示した。厚さ 2mm以上の板 はSFECT インピーダンス(Fig. 5)によりほぼ識別不 可能である。 Fig. 6 Normalized impedance of SFECT on Aluminum and Aluminum alloy plates. さらに、各正規化インピーダンスの位相を計算し、そ の最小位相を抽出した。アルミニウム板、アルミニウム 合金板の正規化インピーダンスの最小位相と板厚の関係 をFig. 7にプロットした。ここでは、アルミニウムおよび アルミニウム合金は板厚既知の参照試験体とし、それら の最小位相と板厚の関係からマスターカーブを構築した。 最後、SUS304 板を対象に同じ SFECT 測定試験を行っ た。同様の手順で正規化インピーダンス計算し、正規化 インピーダンスの周波数応答解析を行い、最小位相を抽 出した。各板に対応する最小位相もFig. 7 にプロットした。 同じ板厚において、SUS304 板の最小位相がアルミニウム やアルミニウム合金板とほぼ同じであることを示した。 すなわち、導電率の違いにかかわらず、同じ板厚にはほ ぼ同じ最小位相に対応する。厚さ不明の試験体のSFECT 信号の最小位相をマスターカーブ上の最小位相の比較に よって、板厚推定可能である。なお、マスターカーブを 構築する試験体や板厚を求める試験体の導電率は必ず必 要ではない。 Fig. 7 Change of the minimum phase with plate thickness (Al: Aluminum or Aluminum alloy; unit: mm) - 354 2 - 以上の理論分析および基礎試験では、非磁性導電性板 の厚さは、周波数掃引渦電流試験および周波数応答特性 解析によって測定・評価可能であることを示した。 本研究では、理論分析、シミュレーション解析、基礎 試験を用いて、周波数掃引渦電流試験法で得られた正規 化インピーダンスの周波数応答解析によって、試験体の 電磁気特性に依存しない導電性金属板の厚さ評価法を構 築した。 非磁性導電性板の正規化 SFECT インピーダンスは導電 率と周波数の積の関数であり、その位相の極値は板厚と 特有の関係がある。この関係は被検体の導電率に依存し ない。マスターカーブを構築した試験体や被検体の導電 率が知らなくでも、マスターカーブ上の位相との比較に よって非磁性導電板の板厚を評価可能である。 参考文献 [1] T. P. Theodoulidis, E. E. Kriezis, Eddy current canonical problems (with applications to nondestructive evaluation), USA: Tech Science Press, 1st Ed. 1905/06/283. まとめ 周波数掃引渦電流試験および周波数応答特性解析による金属板厚評 程 衛英,Weiying CHENG