廃止措置中の浜岡 1 号機を活用した研究について(その3)

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カテゴリ: 第14回
1.はじめに
浜岡原子力発電所 1 号機は平成 21 年に運転を終了 し,現在は廃止措置中の第 2 段階(原子炉周辺設備解 体撤去)にある。当社は平成 26 年から材料劣化に関 する研究を開始し[1],その概要を前報で報告してい るが,本報では前報からの進捗について報告する。 2.研究の背景 2.1 研究の目指すところ
新規制基準では,原子力発電所の原子炉圧力容器 やコンクリート構造物の経年劣化に対して特別点検が 規定された。一方,当社の浜岡原子力発電所 1 号機は 廃止措置中であるため,供用中は困難だった材料調査 が可能となった。したがって,本研究は,特別点検へ の対応に資する目的で,現行劣化管理法の確認・高度 化や検査手法開発等を行っている。 2.2 研究の対象 浜岡原子力発電所1号機を対象に,原子炉圧力容 器,および原子炉建屋のコンクリートについて,実機 から試料を採取し,実機環境下で長期間にわたり高速 中性子,熱や放射線照射環境下にあった構造材料を分 析・評価する(図 1)。 図 1 研究成果とその活用イメージ 3.個別研究の現状 3.1 原子炉圧力容器に関する研究 原子炉圧力容器の中性子照射脆化は,特別点検が規 定される以前から発電所の高経年化技術評価における 重要評価項目であった。特別点検では,これまでより 綿密な検査が要求されたが,近年海外炉で報告された 製造欠陥の問題や国内炉で見られた予測を上回る脆化 が要求の背景にあると思われる。 前報では,実機サンプル採取位置の検討とそれに基 づくサンプル採取結果,実機保管材であるUTブロッ ク(未照射材)と実機サンプルの調査予定を報告した。 それ以降,UTブロックの各種調査と実機サンプルの 試験研究機関への輸送が終了し,現在は実機サンプル の破壊靭性試験等を計画中である。 (1)UTブロック調査 UTブロックに関しては,当初計画した金相観察, 硬さ試験および破壊靭性試験を終了した。UTブロッ クの硬さ試験結果を図 2 に示す。図中の写真に示す通 り,クラッドから深さ 9mm の母材領域内で溶接入熱 によると推測される変色が観測された。この領域を詳 細に観察すると,深さ方向に向かって粗粒から細粒へ の結晶粒径の変化が確認された。 現行管理方法の確認 図 2 UTブロックのマクロ組織と硬さ分布 連絡先: 熊野 秀樹, 〒437-1695 静岡県御前崎市佐倉 5561, 中部電力(株)原子力安全技術研究所, 電話: 0537- 85-2353, E-mail:Yuya.Hideki@chuden.co.jp 金 金調査 属属 試試 料 原子炉圧力容器 吊呉??ー調査 ト試料 原子炉圧力容器の 照射脆化 原子炉格納容器 コンクリートの 熱・放射線・経年による劣化 非破壊検査手法の開発等 ???? - 415 - ?? 崗??? ???? ????? ?? ???????? (mm) ? ???? UTブロックの破壊靭性試験は,今後実機サンプル から加工できる試験片サイズが小さいことを踏まえ, 微小試験片で行った。結果は試験規格の有効判定基準 を満足した。試験後の試験片外観写真を図 3 に示す。 図 3 破壊靭性試験後の破断した試験片 (2)実機サンプル調査 平成 28 年末までに,原子炉から採取したサンプル の国内試験研究機関への輸送は完了した。金属組織や 硬さを調査した結果,結晶粒径や硬さの深さ方向への 変化の傾向は上述のUTブロック(未照射材)と似た 傾向が見られた。 3.2 原子炉建屋コンクリートに関する研究 浜岡1号機原子炉建屋の様々な部位からコアを採取 している(図4)。耐震壁(図4の5)から湿式および 乾式工法により採取したコアについて物理試験を実施 し,また,数値解析による検討も実施した。 図 4 コア採取予定部位 (1)コア試験 コア試験結果の代表例として,地下 2 階における圧 縮強度試験,および超音波伝搬速度試験の結果を図 5 に示す。圧縮強度および超音波伝搬速度ともに,部材 中央部は部材端部と比較して高い値を示している。部 415 6 7???? 1900/01/021900/01/01【コア採取予定部位】 1格納容器外側壁 2RPVペデスタル 3MSトンネル 4使用済燃料プール 5建屋内壁(耐震壁) 6建屋外部壁 7基礎マット ??? - 416 - 材端部では,乾燥等により部材内部と異なる環境のた めと考えられることから,他試料の傾向や要因を分析 している。 圧縮強度 超音波伝搬速度 図 5 壁断面内の測定値分布 また,同じ地下 2 階において,湿式・乾式のコア採 取工法の差異を調査した。圧縮強度では,部材中央部 が部材端部に比べ高い値を示す傾向は変わらなかった が,部材中央部において湿式工法に比べ乾式工法では 約 10N/mm2 の強度低下がみられた。乾式工法の圧縮 強度低下は摩擦熱によるものと考えられたため,通常 の方法(乾式A)および一定長毎にコアを折取る方法 (乾式B)を比較した結果,乾式Bは摩擦熱の蓄積が 防止でき湿式工法との試験結果の差異が少なかったこ とから,現在は乾式Bでのコア採取を採用している。 (2)水和解析モデルによる部材内部の強度評価 耐震壁について,水和解析モデルによる部材内部コ ンクリートの強度計算結果を図 6 に示す。長期的に部 材中央部が端部よりも高い強度発現を示しており,こ の傾向はコア試験結果と一致している。 壁断面寸法(mm) 図 6 解析による圧縮強度計算結果 4.おわりに 今後もこれら研究を継続し,成果を適時報告する 予定である。 参考文献 [1]https://www.chuden.co.jp/corporate/publicity/pub_releas e/press/3253013_19386.html“ “廃止措置中の浜岡 1 号機を活用した研究について(その3) “ “熊野 秀樹,Hideki YUYA,横倉 一洋,Kazuhiro YOKOKURA
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