レーザーガウジング除染工法に関する実用化研究成果

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カテゴリ: 第14回
1.諸言
原子力発電設備において、廃止措置に限らず放射性廃棄物の物量低減は、現時点でも慢性的な課題となっており、その重要性は今後ますます増大すると考えられる。 この課題に対し、放射性廃棄物の除染による放射能レベル区分ダウングレードやクリアランスレベルによる物量低減が効果的である。放射性廃棄物の高効率除染やクリアランスレベルを達成するためには、高い除去能力を有し、高速処理が可能で再汚染(Cross-contamination)を起こさない除染工法が必須であり、除染による二次廃棄物発生量が少ないことも重要である。これらの条件を満足 させるためにレーザガウジング除染工法の開発を進めている。
2.実用化研究
2.1 工法の概要 レーザガウジング除染工法は、レーザ照射により除染 対象表面を溶融させると同時に高圧アシストガスを用い て、放射性(汚染)物質を含む溶融層を吹き飛ばし除去 する工法である。主な設備は図-1に示すように、レー ザ発振器、光学ヘッド、アシストガスノズル、回収設備 で構成される。 本工法は、広範囲を深部まで一度に除去することが可 能であり、他工法と比べ高い除染効果且つ処理速度が得 られる。また、レーザ光を媒体とした非接触物理除染工 法であることから再汚染のリスクを抑えると共に二次廃 棄物量の低減が可能である。 三菱重工業株式会社 パワードメイン 原子力事業部 建設・保全技術部 保全技術課 本田 翔也 〒652-8585 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町1丁目1番1号 神戸造船所 E-mail:shoya_honda@mhi.co.jp - 423 - 図-1 レーザガウジング除染装置 2.2 除去能力評価試験及び模擬汚染除染性能評価 試験(Cold 試験) 本工法の実用化に向け、最適な施工条件(レーザ出力、 照射・噴射角度、ガス流量、施工速度等)の抽出及び除 去効果の推定を目的とし、ステンレス試験片に対する除 去能力評価試験及び模擬汚染を用いたCOLD 試験を実施 した。 除去能力評価試験における施工の一例を図-2に示す。 除去幅約30mm、除去深さ最大650μmで処理速度(能率) にすると1 m2/hr程度であった。 除染効果の推定を目的としたCOLD 試験では、ステン レス試験片表層にコバルト系金属溶材を溶射し、模擬汚 染層を形成した試験片を用いた。また、模擬汚染層の膜 厚については、実機で想定される汚染層より十分に厚い 50μm と100μmの2種とし、各々に対し施工及び評価 を行った。除去効果の評価においては、レーザガウジン グ施工前後の試験片表層のCo 含有量若しくは含有率か ら評価した。また、図-3に示す除去断面のEPMA 分析 で評価した結果、Coのスポット検出は認められたものの、 ほとんどの範囲ではCoが除去されていることが確認で き、非常に高い除去効果を期待できることが確認できた。 図-3 EPMA分析結果例 図-2 施工例 3.廃棄物除染への適用性評価 試験結果を踏まえ、放射性廃棄物のダウングレードや クリアランスによる物量低減を目的とした除染への適用 性を評価した。結果を表-1に示す。 表-1 廃棄物除染への適用性評価 適用性:◎>○>△ 4.結論 レーザガウジング除染工法は、対象廃棄物の汚染レベ ルを十分に低減できる除去性能を有していることが確認 できた。今後、本研究成果を基に実機工事適用を見据え た実用化開発を進める。まずは、実汚染廃棄物を用いた 除染性能評価試験(HOT試験)を実施することで、除染 性能確証を図る。 - 424 - レーザ除染 ドライ 工法 乾式 ブラスト 除染 アイス アブレー ブラスト ション 除染 工法 ガウジング 工法 標準的な除去深さ ~30μm 程度 (付着物 除去) 数十μm 程度 ~700μm 程度 研削媒体の再利用に 伴う再汚染のリスク 有り 無し 無し 無し クリアランス化に必要 となる処理速度 △ 〇 △ 〇 二次廃棄物 (研削媒体)発生量 多 少 少 少 期待できる除染効果 〇 △ ◎ ◎“ “レーザーガウジング除染工法に関する実用化研究成果 “ “本田 翔也,Shoya HONDA,橋川 雄樹,Yuki HASHIKAWA
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