高線量配管における配管減肉オンラインモニタリングシステムの検証

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カテゴリ: 第14回
1.緒言
2011 年3 月の福島第一原子力発電所での事故以降、燃料プール冷却設備の設置によりプール水温度は低下し、 現在はおおむね 40°C以下で安定的に推移をしている(図 1)。燃料プール冷却設備の配管の一部については、自主的に肉厚を測定し、著しい減肉傾向ではないことを確認している。一方、当該配管のような高線量配管は作業員が近接できる線量ではあるが、肉厚計測作業では被ばくが伴うことが問題となる。そこで、燃料プール冷却系の配管の一部に、センサを取り付け、オンラインモニタリングによる遠隔箇所からの常時監視を行うこととした。これらにより、肉厚管理の効率化および被ばく低減をめざした減肉管理手法開発や高線量配管での適用性検証を進める。
2.取り付け配管と肉厚計測設備概要 4号機燃料プール冷却系の概要を図2に示す。4号機燃 料プールからは、2014年12月に全使用済燃料が取出され ている。肉厚測定の配管としては、ポンプ出口の流量計 オリフィス下流直管部と、その下流のエルボー部を選定 し、センサを設置した。(図3、図4)。設置したセンサは、 EMAT[1]、薄膜UT[2]および帝通電子研究所と共同開発し たフレックスドライUTMであり、それぞれのセンサ外観 を図5、特長を表1に示す。測定結果は現場近傍に設置さ れた制御用のPCに保存される。EMAT については、ネッ トワーク経由で管理区域外の事務スペースに設置した PCと接続され、遠隔にて現場の制御用PCの操作、セン サ制御、肉厚値の確認が可能である。薄膜UT とフレッ クスドライUTMについても数か月以内に同様のシステ ムを構築する予定である。 図2 4号機燃料プール冷却系概要 図1 燃料プール温度推移 表1 各センサの特長 センサ 肉厚測定手法 形状 耐熱温度 (実績) 接触媒質 EMAT 超音波共振 立方体 164°C 不要 薄膜UT 超音波パルスエコー 膜状 200°C 要 フレックスドライUTM 超音波パルスエコー 膜状 80°C 不要
3.測定結果および評価 EMAT 測定結果を図6に示す。当該配管は、150A、sch40 である。肉厚値は測定箇所ごとに多少異なっているが、 おおむね6.1mm以上の厚さがあり、測定期間においては、 減肉傾向は確認されない。 図3 EMAT 設置状況 図4 薄膜UT(左)、フレックスドライUTM(右) 設置状況 図5センサ外観 EMAT(左), 薄膜UT(中央)フ レックスドライUTM(右) - 484 - エルボー部のフレックスドライ UTM での肉厚測定結 果を従来型の超音波厚さ計と比較したものを図 7 にしめ す。測定位置ごとの肉厚値の変化は、よく似た傾向を示 している。 図6 EMAT 測定結果 図7 フレックスドライUTM と従来型肉厚計の比較 4.まとめ 福島第一原子力発電所燃料プール冷却設備配管に、セ ンサを取り付け、オンラインモニタリングを実施した。 測定された肉厚値は、従来型の超音波厚さ計での計測結 果と概ねよく似た傾向を示した。肉厚測定は、遠隔での 測定を意図しており、今後の配管減肉管理効率化と作業 員の被ばく低減への寄与が期待され、さらなる適用箇所 の拡大を検討していく。 参考文献 [1] 浦山良一、内一哲哉、高木敏行、兼本茂、“電磁超音 波共鳴法による配管減肉のオンラインモニタリン グ”、保全学、 11(4), 83-89, 2013-01. [2] 藤田直樹ほか、“高温用薄膜UT センサを用いた高精 度な厚さ測定・減肉傾向監視技術の開発”、日本保全 学会 第10 回学術講演会要旨集 、2013“ “高線量配管における配管減肉オンラインモニタリングシステムの検証“ “村山 諒太,Ryota MURAYAMA,川見 勇介,Yusuke KAWAMI,鈴木 聡則,Akinori SUZUKI,森田 一郎,Ichiro MORITA,吉田 正志,Masashi YOSHIDA
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