断層変位に対するリスク評価と工学的な対応策 (1)原子力学会報告書の概要と裕度評価手法の適用性

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カテゴリ: 第14回
1.はじめに
日本原子力学会「断層の活動性と工学的なリスク評価」調査専門委員会(主査:奈良林直、設置期間:2014年10 月~2017年3月)(以下「委員会」という)は、原子力安全の観点から横断的・多角的な検討を行うために関係する多分野の専門家の参画を得て、断層変位が原子力施設 に与える影響の評価手法やリスク低減策に関して調査・検討を行い、その成果を報告書として発刊した[1]。 委員会の検討スキームを図1に示す。なお、活動期間中に活断層に起因する2014年長野県北部地震(神城断層地震)や2016年熊本地震が発生したことから、これらの地震から得られる知見についても収集し、検討に活用した。既報において、委員会における検討の背景・問題認識、断層変位という自然現象の理解、断層変位に対する原子力安全の基本的考え方等について報告[2]~[4]しているが、本稿では、報告書の発刊を踏まえ、報告書の概要、委員会で策定した全体評価手順等を中心に報告する。 図1 学術分野横断の検討スキーム
2.調査・検討に当たっての基本的考え方 委員会が対象とした断層変位という自然現象は、活断層の活動等に伴って地盤の一部にせん断変位(ずれ、食い違い)が生じる現象である。変位としては、震源断層の地表延長部として認識される主断層及びそこから派生した分岐断層や、それらの周囲に副次的に生じた副断層が知られており、それ以外にも、重力性の地すべり、地盤の膨潤に伴う地層の変位、更には地盤の変状によって生じる相対変位等がある。 委員会における調査・検討に当たっての基本的な考え方を以下に記す。
図2 主な断層変位 (1)評価対象としての断層変位は、主として震源断層の活動に伴って生じるものを中心に論じる(図2)。(2)国内の既設の原子力発電所に対する断層変位の影響 評価を対象にするが、得られた知見やリスク低減策は、諸外国も含む新設の施設にも活用できる。(3)特に重要施設の設置位置では、施設設置に先立って詳細な地形・地質・地盤調査を実施するので、変動地形が認められる典型的な活断層のように、1回当たりに1m 前後メートルオーダーの変位量を考慮する必要がある断層は事前に把握され、そのような痕跡のある地盤を避けて重要施設は設置されていると考えられる。一方、最新知見を反映していく取組みにおいて、新たな情報等によって既設施設に対する追加の影響評価が必要にな る場合があり、断層変位に関しても例外ではない。(4)断層変位が生じる現象は低頻度で局所的な現象のため、地震動に対する評価と比較すると知見の蓄積や経験が不足しており、評価に際しての不確実さが大きい。一方で、関連する分野でこれまでに得られている知見を活用して、対象となる断層変位の性状やその不確実さに応じて、施設に与える影響を評価していくことは現段階でも可能である。 (5)原子力安全の確保において、不確実さに対処するために有効なのが深層防護の概念の適用とリスク評価の活用である。これらにより、多様なシナリオの検討、想定を超える領域まで含めたシームレスな評価、リスク情報を活用した意思決定等が可能となる。その上で、決定論的な裕度評価等も含めた広義の概念でリスクに関する情報を扱うことが重要であるとの立場に立脚し、そのための評価手法を扱う。(6)仮に、断層変位のハザード評価において考慮が必要となる変位量を決め難い状況であっても、施設に対する影響評価のための変位量を段階的に複数設定し、施設側の耐力と事故シーケンス評価により、プラントシステムのトータルなリスク情報を得ていくことは技術的に十
図3 断層変位ハザードのイメージ 3.断層変位ハザードについて 断層変位ハザード(変位量、活動間隔)のイメージを 図 3 に示す。主断層は 1 回の変位量が大きく、過去に繰 り返し動いた痕跡を地形・地質に残している。ただし、1 回当たりの変位量が小さい場合は、地形・地質への痕跡 が残り難い場合があり得る。これまでの地形・地質分野 の知見からは、我が国の主断層の 1 回当たりの変位量は 数十cm~最大10m程度で、その活動間隔は、短いもので 数百年、平均的には数千年、長いもので数万年である。 副断層の変位量は、当該副断層の起因となった主断層の 変位量を超えないと考えることが適当である。 断層変位ハザード(変位量、活動間隔)のイメージを 図 3 に示す。主断層は 1 回の変位量が大きく、過去に繰 り返し動いた痕跡を地形・地質に残している。ただし、1 回当たりの変位量が小さい場合は、地形・地質への痕跡 が残り難い場合があり得る。これまでの地形・地質分野 の知見からは、我が国の主断層の 1 回当たりの変位量は 数十cm~最大10m程度で、その活動間隔は、短いもので 数百年、平均的には数千年、長いもので数万年である。 副断層の変位量は、当該副断層の起因となった主断層の 変位量を超えないと考えることが適当である。 原子力施設を設置する際には、事前に詳細な地形・地 質・地盤調査が実施され、特に重要施設の設置地盤にお ける破砕帯等の弱面の存在、活動性等が精度の高い情報 によって把握される。主断層のような1回当たり数十cm 以上の変位は、数百年~数万年前の変位の痕跡を、施設 設置前の詳細な調査により把握することが十分にできる と考えられる。一方、1 回当たり数十 cm 以下の変位は、 過去の侵食等の影響により痕跡が消失し、詳細な調査に よっても把握することが困難な場合があり得る。変位が 最後に生じた時期(最新活動時期)が古いほど、その痕 跡は把握し難くなる。 これらの知見等も踏まえた上で、個々の敷地条件に応 じて慎重な評価を行うことが必要であるが、委員会とし - 100 - 分可能である。 (7) 断層変位と地震動による影響の重畳を考慮した評価 が必要であるが、断層変位による影響は施設に対して局 所的な作用をもたらすことが考えられることから、まず は断層変位による影響に着目して、変位を静的な外的作 用として扱い、その評価手法を体系的にとりまとめた。 ては、重要施設の設置位置において評価が必要となる断 層変位は、1回当たりの変位量が少なくとも数十cm以下 のものは想定する場合があり得るとして、施設の影響評 価手法の検討に取り込んでいくことが合理的であると考 える。 4.断層変位に対する原子力安全の考え方 断層変位に対する原子力安全の考え方については、既 報において詳述した[2], [3]。 自然現象の一つである断層変位に対しても、深層防護 の概念の適用し、リスク評価を活用して原子力安全を考 えていくアプローチが必要である。特に、断層変位のよ うに不確実さの大きい低頻度事象に対しては、深層防護 の概念の適用は一層重要な戦略となる。このようなアプ ローチにより、原子力安全の取組みが全体として首尾一 貫した対応となる。 既設施設に関して、常に最新知見を反映していく取組 みにおいて、新たな情報等によって断層変位の考慮の必 要性が生じる場合があり得る。その際には、あらためて 地形・地質・地盤調査等から得られる情報に基づき、考 慮が必要な断層変位の性状(発生位置、ずれ量、方向、 発生頻度等)を想定し、それを踏まえて施設に対する影 響の検討を行うことが基本的な評価手順となる。これら 評価においては、それぞれの段階で不確実さが適切に考 慮されねばならない。また、想定を超える場合も考慮し てリスク評価を行うことが必要である。 既設の原子力施設においては、2011年3月11日の東北 地方太平洋沖地震に伴う東京電力福島第一原子力発電所 事故(以下「福島事故」という)の経験を踏まえ、深層 防護の考え方を適用しながら、施設設置当初の設計・評 価の範囲の拡張・強化や追加の影響緩和策(アクシデン トマネジメント)等、様々な対応策が講じられている。 これらは断層変位を想定して講じられてきているもの ではないが、福島第一事故以前よりもロバストな防護策 が講じられていると考えられることから、これらも含め て、断層変位に対する評価をしていくことが技術的に理 に適っている(図4)。 具体的には、すでに地震動等に対してなされていた設 計あるいはその設計裕度の範囲において、想定する断層 変位に対しても安全上重要な施設(SSCs)の要求性能が 維持されるかを評価する。変位量の程度によっては、施 設の有する安全機能に支障を与えない場合が考えられる。 図4 断層変位に対する原子力安全の考え方 また、必要に応じて、福島第一事故後に拡張・強化され た対策の有効性についても検討を行う。さらに、想定を 超える断層変位に対してもリスク評価を行う。 ここで、断層変位に対する評価においては、断層変位 の性状を踏まえた考慮が重要となる。例えば、想定する 断層変位の位置は、調査により施設直下の設置地盤の断 層位置(岩盤中の弱面の位置)に設定することができる。 このことは、断層変位により施設に発生するせん断力、 曲げ等の作用の影響範囲が施設内において空間的に限定 されるので、これを事故シナリオの中に考慮することが できる。つまり、SSCs の分散配置等により、共通要因故 障の回避が可能となる。 さらに、より一層の信頼性向上のために航空機衝突や テロ等への対処がされており、想定を超える断層変位の 評価においては、このような大規模損壊に対する対応策 も有効である。 5.断層変位に対する全体評価手順 委員会で策定した断層変位に対する全体評価手順を図 5 に示す。この全体評価手順が、断層変位に対するリスク 評価の全体像を示すものである。 全体評価手順では、決定論的な評価と確率論的な評価 の両者を並列する形で示しているが、この二つは対立す る概念ではなく、多面的なリスク評価のために相互補完 の関係になっているものであり、いずれの手法によって もリスク情報を得ていくことができる。評価対象となる 原子力施設の個々の状況や各評価プロセスの技術情報の 蓄積状況等に応じて、適切な評価を実施することができ る。 - 101 - 図5 断層変位に対する全体評価手順 - 102 - 5.1 断層変位のハザード評価 5.1.1 断層の活動性評価 詳細な地形・地質調査結果に基づき、施設直下での断 層変位の考慮の必要性を検討する。上載地層法、鉱物脈 法等の手法を用いて施設直下の断層や破砕部(それらの 延長部を含む)に後期更新世以降に変位を生じたことを 示す根拠、あるいは示唆する情報がある場合は、決定論 的な評価に用いる施設直下での「検討用の断層変位」の 設定を行う。 5.1.2 検討用の断層変位の設定 決定論的な評価に用いる検討用の断層変位は、詳細な 地形・地質調査から得られる変位量等の情報を基に、成 因の推定に基づく数値解析による再現性の検討結果や、 当該サイトと類似する他の国内地点で生じた断層変位の 出現事例も活用して、不確実さを考慮して設定する。設 定に当たっては、確率論的断層変位ハザード解析から得 られた断層変位ハザードカーブを参照して、使用してい る情報の信頼度等を踏まえて、設定の妥当性について検 討する。 5.1.3 確率論的な手法に基づく断層変位ハザードカーブ の設定 確率論的な評価に用いるために、確率論的断層変位ハ ザード解析(PFDHA)の手法を用いて、断層変位ハザー ドカーブの設定を行う。この際、得られている地形・地 質調査の結果を最大限活用することになる。 確率論的な評価は、決定論的な評価において施設直下 の断層変位の考慮をする必要がないと判断される場合に おいても、変位が生じる年超過頻度の情報を得ていくも のである。 5.1.4 想定を超える断層変位 決定論的な施設の影響評価において、想定を超える断 層変位に対してリスク情報を得ていくために、想定を超 える断層変位を設定することができる。想定を超えるも のを決定論的に決めることは本来できないが、想定を超 える領域に対してリスク評価を行うためのものとして、 例えば、検討用の断層変位量を係数倍して設定する方法 や、検討用の断層変位を設定する際に参照した年超過頻 度を更に1桁下回るレベルで設定する方法等が挙げられ る。想定を超える断層変位は、必要に応じて複数設定し て、リスク情報を得ていくことができる。 5.2 施設の影響評価 委員会として、日本原子力学会標準「外部ハザードに 対するリスク評価方法の選定に関する実施基準:2014」 にある考え方、評価手法等を参考に、断層変位に対する 施設影響評価手法として、裕度評価と確率論的リスク評 価(PRA)を全体評価手順の中に位置づけることとした。 そして、具体的な評価手法等を、それぞれの専門分野の 知見を集約して、建物・構築物、土木構造物及び機器・ 配管系のそれぞれについて体系的に位置づけて、さらに、 原子力施設のプラントシステムのトータルなリスクを検 討するために重要となる事故シナリオやリスク評価につ いてとりまとめた。 5.2.1 裕度評価手法 ・裕度評価は、一部の施設が機能を維持できていない状 態も含めて評価することができ、SSCs の分散配置の効 果を把握することもできる。 ・評価のための技術情報が不足する場合は、条件を適切 に付し、プラントシステムのトータルの状態を事故シー ケンスとして評価することにより、例えば炉心損傷まで の余裕等のリスク情報を得ることができる。 ・事故シーケンスとして評価できるので、必要に応じて 事故に備えて用意している可搬型設備等の活用による アクシデントマネジメントの有効性も含めて評価する ことができる。 ・炉心損傷までの余裕といった影響の評価に加え、ハザ ードの発生頻度と組み合わせることによって、その事故 シーケンスの頻度も推定できる。 ・評価に用いる変位量を漸増させることによりプラント の弱点を把握することができ、したがって、想定を超え る断層変位に対する評価にも適している。 5.2.2 確率論的リスク評価(PRA) ・PRA は、確率論的なハザード評価を入力情報として炉 心損傷頻度(CDF)等のリスク情報を評価できる手法で ある。 ・断層変位に対するPRAは、断層変位に対する施設のフ ラジリティ評価等に係るデータ拡充の段階にあるが、簡 易なPRA として、条件を適切に付して事故シーケンス を整理することにより、感度解析としてのリスク情報を 得ていくこともできる。これにより、例えば他の内部事 象や外部事象による炉心損傷頻度と比較することによ り、リスクの程度を把握することができる。 ・断層変位に関するPRAの適用の考え方と課題について は、日本原子力学会標準「原子力発電所に対する地震を 起因とした確率論的リスク評価に関する実施基準: 2015」にとりまとめられている。 - 103 - 6.裕度評価手法の適用性 既報[4]において、原子炉建屋直下に断層変位(縦ずれ) を想定した場合の裕度評価手法の適用性を報告し、評価 に用いる断層変位量が増大した場合においても、既設の 設備による機能や、断層変位による影響が局所的である ことを考慮した代替設備の設置やアクシデントマネジメ ントを講じることにより、炉心損傷を回避するための評 価ができることを示した。 本稿では、図6のように、非常用海水取水路直下に断 層変位を想定したケースについて報告する。 原子力発電所内の機器や室内で発生する熱は、原子炉 補機冷却系の冷却水で冷却された後、海水取水路を通じ て取水した海水と原子炉補機冷却水系熱交換器において 熱交換され、最終的に熱は海へ放出される。このため、 非常用の海水取水路が断層変位により影響を受けた場合、 冷却水からの熱除去ができなくなるため、原子炉に影響 を及ぼす事故シナリオが想定される。 非常用海水取水路(海水管ダクト)のような土木構造 物に対する断層変位の影響評価手順を図7に示す。 断層変位量を10cm、20cm、30cm、50cmと想定したと きの海水取水路(海水管ダクト)の評価結果例を表 1 に 示す。海水取水路の評価結果に基づき、原子炉建屋に設置さ れている機器・配管等への影響を評価する。断層変位に よる直接の影響は海水取水路のみであるため、建屋内の 非常用炉心冷却系、非常用ディーゼル発電機、燃料プー ル冷却浄化系及び熱交換器建屋内の原子炉補機冷却水系 /原子炉補機冷却海水系等の機器・配管系には損傷等の 影響はない。一方、海水取水路の損傷に伴い、各機器へ の冷却水供給能力が低下(又は喪失)するため、上記設 備は冷却不足により、機能が劣化又は喪失する可能性が ある。冷却システム系への評価結果例(系統機能の有無) 図7 非常用海水取水路(土木構造物)の影響評価手順 - 104 - 図6 非常用海水取水路直下の断層変位の想定位置 表1 海水取水路(海水管ダクト)の影響評価適用例 海水取水路 断層変位(縦ずれ) 10cm 20cm 30cm 50cm 評価結果 ○ △ △ × 〔凡例〕○:有意な損傷無し △:底版・壁・頂版に局部損傷があるが、機能維持(取水)が可能と判断できる状態 ×:底版・壁・頂版の損傷によって機能維持(取水)が困難な状態 表2 冷却システム系の影響評価適用例 系統 断層変位(縦ずれ) 10cm 20cm 30cm 50cm 原子炉補機冷却水系 原子炉補機冷却海水系 ○ △ △ × 非常用炉心冷却系 ○ △ △ × 非常用ディーゼル発電機 ○ △ △ × 燃料プール冷却浄化系 ○ △ △ × 〔凡例〕○:機能維持、△:機能の劣化、×:機能喪失 最終ヒート シンク喪失 反応度停止 高圧炉心冷却 RCIC 原子炉減圧 可搬型 ポンプ 代替補機 崩壊熱除去 PCV 冷却 RHR ベント 1 OK 4 OK 5 CD 6 OK 10 CD 11 ATWSイベントツリーへ RCIC:原子炉隔離時冷却系、RHR:残留熱除去系、PCV:原子炉格納容器 OK:炉心健全、CD:炉心損傷、ATWS:原子炉停止機能喪失事象 図8 イベントツリーの評価例 - 105 - 2 OK 3 CD 5 OK 6 CD 7 OK 8 CD 9 CD を表2に示す。 が不要な原子炉隔離時冷却系(RCIC)や原子炉減圧後、 事故シーケンス評価モデルは、内的事象PRAや地震 アクシデントマネジメントとして整備している可搬型 PRAの検討結果を利用することができる。炉心損傷を対 ポンプによる原子炉注水により炉心は冷却できる。 象としたイベントツリーの評価例を図8に示す。このイ ・格納容器からの熱除去については、アクシデントマネ ベントツリー評価例から、以下のように考察できる。 ジメントとして整備している代替補機冷却(ハイドロサ ・海水取水路への断層変位による影響により原子炉補機 ブ、可搬型熱交換器車)を用いた RHR 又は PCV ベン 冷却水系/原子炉補機冷却海水系が機能喪失した場合 ト(耐圧強化ベント又はフィルターベント)による原子 は最終ヒートシンク喪失となるため、冷却水が必要な非 炉格納容器の熱除去により、原子炉を安定な状態に移行 常用炉心冷却系、ディーゼル発電機や燃料プール冷却浄 させることができる。 化系等の安全上重要なシステムの機能喪失が発生する。 このような評価を体系的に実施することにより、表 3 その場合、原子炉冷却については、機器の運転に冷却水 に示すような裕度評価結果をとりまとめることができ、 表3 裕度評価適用例 断層変位量 縦ずれ ※1 10cm 20cm 30cm 50cm 代替手段なし 躯体 躯体 躯体 躯体 損傷無 炉心 損傷有 炉心 損傷有 取水機 損傷無 損傷無 能維持 炉心 損傷無 損傷有 取水機 能喪失 炉心損傷 の可能性 有 代替手段あり※2 同上 同上 同上 同上 炉心 損傷無 追加の対応策 可搬型設備の更なる 多様化等 取水機能 取水機 劣化 能劣化 同上 同上 同上 同上 ※1:断層変位量は、裕度評価のイメージを表現するために任意に設定したもの。 ※2:代替の注水ポンプや、可搬ポンプ等のアクシデントマネジメント (注)上表は整理のイメージを示すもので、前出の図表と対応したものではない。 断層変位に対する裕度、重要な事故シーケンス、更なる 現場でのアクシデントマネジメントの改善や教育訓練、 有効な対策の検討等の考察・分析が可能となる。また断 様々な事象の想定や机上訓練に反映し、弛まぬ安全性向 層変位ハザードの定量的な評価結果と組み合わせること 上に繋げていくことが必要である。 により、より定量的な分析も可能となる。 そして、それを促進するための取組みが、国、学協会、 産業界等において、引き続き求められている。 7.まとめ 参考文献 断層変位という自然現象についても、他の自然現象と [1] 日本原子力学会「断層の活動性と工学的なリスク評 同様に外部ハザードの一つと捉えて、自然に残された痕 価」調査専門委員会, “報告書 断層変位に対するリ 跡を詳細な地形・地質調査をすること等によってハザー スク評価と工学的な対応策”, 2017年3月. ドの程度を把握し、想定を超える領域への対処も含めて、 (http://www.aesj.net/sp_committee/com_dansou) 深層防護の概念の適用とリスク評価の活用により、多様 [2] 奈良林直ほか, “断層変位に対する工学的なリスク なシナリオを考慮したリスク評価を行うことが原子力安 評価 (1)事故シナリオと工学的対策”, 日本保全学会 全として価値のあるアプローチである。 第13回学術講演会要旨集, I-1-3-1, pp.299-302, 2016 想定を超える事象も含めて、設備や安全機能の状態(維 年7月. 持あるいは喪失)、炉心損傷に対する裕度等をリスク情報 [3] 神谷昌伸, “断層変位に対する原子力安全の基本的 として得て、得られたリスク情報を活用して、代替手段 考え方” , 日本保全学会第13回学術講演会要旨集, の有効性の検証、リスク低減のための更なる対応策のた I-1-3-2, pp.303-310, 2016年7月. めの意思決定をすることができる。大規模損壊に対して [4] 神谷昌伸, “断層変位に対する重要施設の影響評価 用意される対応策も有効に活用できる。また、断層変位 手法~裕度評価手法の適用概念” , 日本保全学会第 に限らず、評価等によって得られたリスク評価の結果を 13 回学術講演会要旨集, I-1-3-3, pp.311-314, 2016年 7 月. - 106 -“ “断層変位に対するリスク評価と工学的な対応策 (1)原子力学会報告書の概要と裕度評価手法の適用性“ “奈良林 直,Tadashi NARABAYASHI,神谷 昌伸,Masanobu KAMIYA
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