関西電力の安全対策強化の取り組み
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カテゴリ: 第10回
1.緒言
2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災に起因して、東京電力福島第一原子力発電所の1号機から4号機においては、非常用電源および最終ヒートシンクが長期間喪失し、炉心および格納容器の損傷にいたる重大な事故が発生した。関西電力では、当該事故の教訓反映として東日本大震災直後から可搬型の電源車/注水ポンプ/通信機器等を構内に配備し、訓練により実効性を確認するなどの緊急安全対策を講じるとともに、原子力規制委員会における新規制基準制定に向けた議論内容や規制基準も踏まえ、更なる安全性向上対策に取り組んでいる。 ここでは、関西電力の安全対策強化の取り組みについて紹介する。
2.福島第一原子力発電所の事故から得られた知見、及び緊急安全対策
2.1 地震、津波による影響
東京電力福島第一原子力発電所の事故から得られる教訓については、IAEAや政府や国会による事故調査報告書から民間レポートに至るまで、さまざまな報告がなされているが、当社としては、地震/津波の影響としては、次項のように認識している。
2.1.1 地震による影響
運転中プラントの原子炉は全て正常に自動停止しており原子炉保護系への影響は無かった。
非常用ディーゼル発電機は全て正常に自動起動しており所内非常用電源系への影響は無かった。
地すべりにより送電鉄塔が倒壊するなどして外部電源が喪失した。
原子炉の冷却に必要な機器は正常に作動しており影響は無かった。
2.1.2 津波による影響
非常用ディーゼル発電機、配電盤、バッテリー等が被水し、所内非常用電源系が長期間にわたり重大な影響を受けた。
海水ポンプが損傷し、原子冷却機能の喪失、すなわち最終ヒートシンクの喪失に至った。
2.2 緊急安全対策について
地震/津波から全交流電源喪失、最終ヒートシンク喪失、重要機器の被水を防止するために、関西電力では、自主的な取組みを含む緊急安全対策として、代替電源/水源の確保および建屋への浸水対策として代替設備の導入、及び設備改良を実施するとともに、体制の確立、マニュアル整備、訓練といったソフト対策も次項のとおり実施してきた。
Fig.1 緊急安全対策の概要
2.2.1 代替電源の確保
地震/津波等により万一、外部電源および非常用ディーゼル発電機が影響を受けたとしても、中央制御室他の安全上重要な機器へ確実に電力を供給できるように、電源車、及び大容量の空冷式非常用発電装置(1825kVA×2台/ユニット)を高台に配備するともに、夜間を含めた訓練を実施することにより、体制、マニュアル等の実効性を確認している。(Fig.2)
Fig.2 電源ケーブル接続訓練の例
2.2.2 水源の確保
地震/津波等により万一、海水ポンプが影響を受けたとしても、燃料からの熱を除去し、炉心の冷却を確実とするための設備として、消防ポンプ、エンジン駆動ポンプ、及び大容量ポンプを配備するとともに、長距離にわたるホースを確実に敷設し、代替注水の実効性を確認するための訓練等を実施している。(Fig.3)
Fig.3 消防ホース接続訓練の例
2.2.3 浸水対策
津波による被水影響を防止するために、バッテリー室、配電盤室、補助給水ポンプ室等の扉や配管等の貫通部に防水シールを施工した。なお、想定する津波高さについては、十分な余裕を考慮しており、例えば、大飯発電所の場合、基準津波高さは2.85mに対して11.4mを施工範囲としている。
Fig.4 シール施工等による浸水対策
(大飯3/4号機の例)
なお、関西電力は、これらの対策を含めた安全性に関する総合評価として、平成23年10月28日以降、「東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた大飯発電所3号機の安全性に関する総合評価(一次評価)の結果について(報告)」等を順次、プラント毎に旧原子力安全・保安院に提出した。
その後、原子力安全・保安院により、「関西電力(株)大飯発電所3号機及び4号機の安全性に関する総合評価(一次評価)に関する審査書(平成24年2月13日)」において、関西電力の実施した評価の適切性/妥当性が確認されるとともに、緊急安全対策等による裕度向上等が評価された。
3.原子力規制委員会の新規制基準への適合性確認、及び更なる信頼性向上対策
3.1 新規制基準への対応
平成25年4月10日に行われた原子力規制委員会の第2回会合において、新規制基準案として、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に適用される「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則、及びその解釈と運用」の他、「実用発電用原子炉及びその附属設備の位置、構造及び設備の基準を定める規則(仮称)、及びその解釈」、「実用発電用原子炉及びその附属施設に関する技術基準を定める規則、及びその解釈」の他、様々な審査ガイド案等が示された。
その後、関西電力としても、適切な基準となるように、公開の評価会合の場やパブリックコメント、ヒアリング等を通じて事業者の立場から意見具申してきた。その結果、平成25年6月19日に行われた原子力規制委員会の第11回会合において、これらの新規制基準が示された。なお、原子力規制委員会が自負されているとおり、新規制基準は欧米各国との対比においても厳しい要求となっている。
しかしながら、関西電力としては、新規制基準案の段階から、自主的な信頼性向上策とともに、それらの基準に確実に適合できるように、常設の代替設備だけではなく、それとの独立性を有した可搬の代替設備を配備するなど、地震・津波だけでなく、その他の自然現象や航空機衝突等にも十分対処できるように信頼性向上を図っている。
3.2 可搬型の代替設備による対処方法(電源設備の例)
可搬型の代替設備は、何らかの理由で、設計基準事故対処設備である安全上重要な設備、及び常設代替設備の両方が機能しない場合のバックアップとして活用することを基本としており、米国のB.5.bやFLEX戦略に相当するものである。
このため、可搬型の代替設備が設計基準対処設備や常設の代替設備と共通の要因で機能喪失しないように、配備場所の位置的分散等を図っている。例えば、可搬型代替電源や可搬型注水ポンプについては、大型航空機の衝突時にも給電、注水が可能なように、原子炉建屋から100m以上離隔した場所に配備している。(Fig.5)
このように原子炉建屋から離隔して配備する場合、有事の際は、アクセスルートを重機で整備しながら原子炉建屋近傍に設置したケーブル接続盤やホース接続口に電源車等の可搬型設備を移動させて接続することになるので、中央制御室から操作可能な常設代替電源等に比べると、体制、手順、及び訓練といったソフト面(マネジメント面)も重要になる。このため、追加する可搬型の代替設備については、ハードの配備と平行して訓練を行い、実効的な手順となるように改良を重ねた上で制定している。
なお、可搬型の代替設備は航空機衝突等の幅広い事象に対してフレキシブルに対処可能であるが、接続までの時間が必須であり迅速性の面では常設代替設備に劣るという特徴がある。このため、それぞれの特徴であるフレキシブル性と迅速性を踏まえ、適切な設備の選定、改良、及び手順の作成を実施している。例えば、可搬型の代替電源としての電源車については、アクセスルートの移動(機動性)の観点から、大型電源は不向きであり、小型電源車(500~610kVA×6台/2ユニット)を追加手配しており、常設
の代替電源(空冷式非常用発電装置:1825kVA×2台/ユニット)については、迅速性をさらに向上させるため、中央制御室から遠隔機動可能なように改良している。
Fig.5 代替電源の配備場所(大飯3/4号機の例)
3.3 常設の代替設備による対処方法
常設の代替設備は、設計基準事故対処設備である安全上重要な設備が何らかの理由により機能喪失した場合でも、重大事故に対処するための設備であり、発電用原子炉施設と接続されているか、短時間で接続する設備と新規制基準案において定義されている。また、その重大事故クラスは、重大事故クラス2機器と定義され、可搬型の重大事故クラス3機器に比べ、材料や構造強度に関する要求が厳しいものとなっている。
このため、基本的には既設の工学的安全施設に相当する信頼性を有した設計としており、その内容は、原子力規制委員会による大飯3/4号機の適合性評価の中で、耐震性性能や強度計算等を含め、詳細に審査していただいている。
また、常設の代替電源設備として位置づけている空冷式非常用発電装置については、重大事故発生時に迅速、かつヒューマンエラー等を起こすことなく確実に機能できるように、中央制御室の運転員がスイッチ一つで容易に起動できるように、規制要求はないものの自主的に改良工事を実施している。
なお、当該改良工事により全交流電源喪失が発生した場合においても実力的には10分程度で再充電可能となり、欧米各国で一般的な再充電までの時間(1時間)よりも、はるかに早い代替電源の供給が可能であり、運転監視操作の余裕を拡大することができている。
電力ケーブルA号機B号機(中央制御室)A号機切入切入背面道路Aメタクラ室制御建屋Bメタクラ室中継接続盤各負荷へ各負荷へ受電しゃ断器受電しゃ断器屋外ケーブル(余長による実力耐震)B号機制御ケーブルストレステスト時に耐震性を評価遠隔操作盤の設置・中央盤と独立・耐震設計直流分電盤DCケーブル屋内ケーブル(耐震設計)※)赤字は改良工事範囲を示す電力ケーブルA号機B号機(中央制御室)A号機切入切入背面道路Aメタクラ室制御建屋Bメタクラ室中継接続盤各負荷へ各負荷へ受電しゃ断器受電しゃ断器屋外ケーブル(余長による実力耐震)B号機制御ケーブルストレステスト時に耐震性を評価遠隔操作盤の設置・中央盤と独立・耐震設計直流分電盤DCケーブル屋内ケーブル(耐震設計)※)赤字は改良工事範囲を示す
Fig.6 空冷式非常用発電装置の改良
4.おわりに
更なる安全性向上対策として、今後とも継続実施する計画であり、例えば、緊急時制御室を含む特定安全施設についても、検討を進めているところである。
また、当社は、今後とも原子力規制委員会やその検討チームによる要求事項に対しても積極的に対応するとともに、規制要求にとどまることなく世界最高水準の安全性を目指し国内外の最新の技術情報の収集、分析に努め、自主的かつ継続的に原子力発電所のより一層の安全性、信頼性の向上に努めていく所存である。
参考文献
[1] 東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた大飯発電所3号機の安全性に関する総合評価(一次評価)の結果について(報告)(平成23年10月28日 旧原子力安全・保安院に提出)
[2] 関西電力(株)大飯発電所3号機及び4号機の安全性に関する総合的評価(一次評価)に関する審査書
[3] 大飯発電所3,4号機 新規性基準適合性確認結果について
[4] U.S. Nuclear Regulatory Commission Regulatory Guide 1.155 Station Blackout
“ “関西電力の安全対策強化の取り組み “ “上山 逸平,Ippei UEYAMA“ “関西電力の安全対策強化の取り組み “ “上山 逸平,Ippei UEYAMA
2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災に起因して、東京電力福島第一原子力発電所の1号機から4号機においては、非常用電源および最終ヒートシンクが長期間喪失し、炉心および格納容器の損傷にいたる重大な事故が発生した。関西電力では、当該事故の教訓反映として東日本大震災直後から可搬型の電源車/注水ポンプ/通信機器等を構内に配備し、訓練により実効性を確認するなどの緊急安全対策を講じるとともに、原子力規制委員会における新規制基準制定に向けた議論内容や規制基準も踏まえ、更なる安全性向上対策に取り組んでいる。 ここでは、関西電力の安全対策強化の取り組みについて紹介する。
2.福島第一原子力発電所の事故から得られた知見、及び緊急安全対策
2.1 地震、津波による影響
東京電力福島第一原子力発電所の事故から得られる教訓については、IAEAや政府や国会による事故調査報告書から民間レポートに至るまで、さまざまな報告がなされているが、当社としては、地震/津波の影響としては、次項のように認識している。
2.1.1 地震による影響
運転中プラントの原子炉は全て正常に自動停止しており原子炉保護系への影響は無かった。
非常用ディーゼル発電機は全て正常に自動起動しており所内非常用電源系への影響は無かった。
地すべりにより送電鉄塔が倒壊するなどして外部電源が喪失した。
原子炉の冷却に必要な機器は正常に作動しており影響は無かった。
2.1.2 津波による影響
非常用ディーゼル発電機、配電盤、バッテリー等が被水し、所内非常用電源系が長期間にわたり重大な影響を受けた。
海水ポンプが損傷し、原子冷却機能の喪失、すなわち最終ヒートシンクの喪失に至った。
2.2 緊急安全対策について
地震/津波から全交流電源喪失、最終ヒートシンク喪失、重要機器の被水を防止するために、関西電力では、自主的な取組みを含む緊急安全対策として、代替電源/水源の確保および建屋への浸水対策として代替設備の導入、及び設備改良を実施するとともに、体制の確立、マニュアル整備、訓練といったソフト対策も次項のとおり実施してきた。
Fig.1 緊急安全対策の概要
2.2.1 代替電源の確保
地震/津波等により万一、外部電源および非常用ディーゼル発電機が影響を受けたとしても、中央制御室他の安全上重要な機器へ確実に電力を供給できるように、電源車、及び大容量の空冷式非常用発電装置(1825kVA×2台/ユニット)を高台に配備するともに、夜間を含めた訓練を実施することにより、体制、マニュアル等の実効性を確認している。(Fig.2)
Fig.2 電源ケーブル接続訓練の例
2.2.2 水源の確保
地震/津波等により万一、海水ポンプが影響を受けたとしても、燃料からの熱を除去し、炉心の冷却を確実とするための設備として、消防ポンプ、エンジン駆動ポンプ、及び大容量ポンプを配備するとともに、長距離にわたるホースを確実に敷設し、代替注水の実効性を確認するための訓練等を実施している。(Fig.3)
Fig.3 消防ホース接続訓練の例
2.2.3 浸水対策
津波による被水影響を防止するために、バッテリー室、配電盤室、補助給水ポンプ室等の扉や配管等の貫通部に防水シールを施工した。なお、想定する津波高さについては、十分な余裕を考慮しており、例えば、大飯発電所の場合、基準津波高さは2.85mに対して11.4mを施工範囲としている。
Fig.4 シール施工等による浸水対策
(大飯3/4号機の例)
なお、関西電力は、これらの対策を含めた安全性に関する総合評価として、平成23年10月28日以降、「東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた大飯発電所3号機の安全性に関する総合評価(一次評価)の結果について(報告)」等を順次、プラント毎に旧原子力安全・保安院に提出した。
その後、原子力安全・保安院により、「関西電力(株)大飯発電所3号機及び4号機の安全性に関する総合評価(一次評価)に関する審査書(平成24年2月13日)」において、関西電力の実施した評価の適切性/妥当性が確認されるとともに、緊急安全対策等による裕度向上等が評価された。
3.原子力規制委員会の新規制基準への適合性確認、及び更なる信頼性向上対策
3.1 新規制基準への対応
平成25年4月10日に行われた原子力規制委員会の第2回会合において、新規制基準案として、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に適用される「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則、及びその解釈と運用」の他、「実用発電用原子炉及びその附属設備の位置、構造及び設備の基準を定める規則(仮称)、及びその解釈」、「実用発電用原子炉及びその附属施設に関する技術基準を定める規則、及びその解釈」の他、様々な審査ガイド案等が示された。
その後、関西電力としても、適切な基準となるように、公開の評価会合の場やパブリックコメント、ヒアリング等を通じて事業者の立場から意見具申してきた。その結果、平成25年6月19日に行われた原子力規制委員会の第11回会合において、これらの新規制基準が示された。なお、原子力規制委員会が自負されているとおり、新規制基準は欧米各国との対比においても厳しい要求となっている。
しかしながら、関西電力としては、新規制基準案の段階から、自主的な信頼性向上策とともに、それらの基準に確実に適合できるように、常設の代替設備だけではなく、それとの独立性を有した可搬の代替設備を配備するなど、地震・津波だけでなく、その他の自然現象や航空機衝突等にも十分対処できるように信頼性向上を図っている。
3.2 可搬型の代替設備による対処方法(電源設備の例)
可搬型の代替設備は、何らかの理由で、設計基準事故対処設備である安全上重要な設備、及び常設代替設備の両方が機能しない場合のバックアップとして活用することを基本としており、米国のB.5.bやFLEX戦略に相当するものである。
このため、可搬型の代替設備が設計基準対処設備や常設の代替設備と共通の要因で機能喪失しないように、配備場所の位置的分散等を図っている。例えば、可搬型代替電源や可搬型注水ポンプについては、大型航空機の衝突時にも給電、注水が可能なように、原子炉建屋から100m以上離隔した場所に配備している。(Fig.5)
このように原子炉建屋から離隔して配備する場合、有事の際は、アクセスルートを重機で整備しながら原子炉建屋近傍に設置したケーブル接続盤やホース接続口に電源車等の可搬型設備を移動させて接続することになるので、中央制御室から操作可能な常設代替電源等に比べると、体制、手順、及び訓練といったソフト面(マネジメント面)も重要になる。このため、追加する可搬型の代替設備については、ハードの配備と平行して訓練を行い、実効的な手順となるように改良を重ねた上で制定している。
なお、可搬型の代替設備は航空機衝突等の幅広い事象に対してフレキシブルに対処可能であるが、接続までの時間が必須であり迅速性の面では常設代替設備に劣るという特徴がある。このため、それぞれの特徴であるフレキシブル性と迅速性を踏まえ、適切な設備の選定、改良、及び手順の作成を実施している。例えば、可搬型の代替電源としての電源車については、アクセスルートの移動(機動性)の観点から、大型電源は不向きであり、小型電源車(500~610kVA×6台/2ユニット)を追加手配しており、常設
の代替電源(空冷式非常用発電装置:1825kVA×2台/ユニット)については、迅速性をさらに向上させるため、中央制御室から遠隔機動可能なように改良している。
Fig.5 代替電源の配備場所(大飯3/4号機の例)
3.3 常設の代替設備による対処方法
常設の代替設備は、設計基準事故対処設備である安全上重要な設備が何らかの理由により機能喪失した場合でも、重大事故に対処するための設備であり、発電用原子炉施設と接続されているか、短時間で接続する設備と新規制基準案において定義されている。また、その重大事故クラスは、重大事故クラス2機器と定義され、可搬型の重大事故クラス3機器に比べ、材料や構造強度に関する要求が厳しいものとなっている。
このため、基本的には既設の工学的安全施設に相当する信頼性を有した設計としており、その内容は、原子力規制委員会による大飯3/4号機の適合性評価の中で、耐震性性能や強度計算等を含め、詳細に審査していただいている。
また、常設の代替電源設備として位置づけている空冷式非常用発電装置については、重大事故発生時に迅速、かつヒューマンエラー等を起こすことなく確実に機能できるように、中央制御室の運転員がスイッチ一つで容易に起動できるように、規制要求はないものの自主的に改良工事を実施している。
なお、当該改良工事により全交流電源喪失が発生した場合においても実力的には10分程度で再充電可能となり、欧米各国で一般的な再充電までの時間(1時間)よりも、はるかに早い代替電源の供給が可能であり、運転監視操作の余裕を拡大することができている。
電力ケーブルA号機B号機(中央制御室)A号機切入切入背面道路Aメタクラ室制御建屋Bメタクラ室中継接続盤各負荷へ各負荷へ受電しゃ断器受電しゃ断器屋外ケーブル(余長による実力耐震)B号機制御ケーブルストレステスト時に耐震性を評価遠隔操作盤の設置・中央盤と独立・耐震設計直流分電盤DCケーブル屋内ケーブル(耐震設計)※)赤字は改良工事範囲を示す電力ケーブルA号機B号機(中央制御室)A号機切入切入背面道路Aメタクラ室制御建屋Bメタクラ室中継接続盤各負荷へ各負荷へ受電しゃ断器受電しゃ断器屋外ケーブル(余長による実力耐震)B号機制御ケーブルストレステスト時に耐震性を評価遠隔操作盤の設置・中央盤と独立・耐震設計直流分電盤DCケーブル屋内ケーブル(耐震設計)※)赤字は改良工事範囲を示す
Fig.6 空冷式非常用発電装置の改良
4.おわりに
更なる安全性向上対策として、今後とも継続実施する計画であり、例えば、緊急時制御室を含む特定安全施設についても、検討を進めているところである。
また、当社は、今後とも原子力規制委員会やその検討チームによる要求事項に対しても積極的に対応するとともに、規制要求にとどまることなく世界最高水準の安全性を目指し国内外の最新の技術情報の収集、分析に努め、自主的かつ継続的に原子力発電所のより一層の安全性、信頼性の向上に努めていく所存である。
参考文献
[1] 東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた大飯発電所3号機の安全性に関する総合評価(一次評価)の結果について(報告)(平成23年10月28日 旧原子力安全・保安院に提出)
[2] 関西電力(株)大飯発電所3号機及び4号機の安全性に関する総合的評価(一次評価)に関する審査書
[3] 大飯発電所3,4号機 新規性基準適合性確認結果について
[4] U.S. Nuclear Regulatory Commission Regulatory Guide 1.155 Station Blackout
“ “関西電力の安全対策強化の取り組み “ “上山 逸平,Ippei UEYAMA“ “関西電力の安全対策強化の取り組み “ “上山 逸平,Ippei UEYAMA