高経年化技術評価の高度化 -原子炉圧力容器の健全性評価

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カテゴリ: 第10回
1はじめに
原子炉圧力容器は炉心を取り囲む原子炉冷却材圧力バウンダリの重要な構成機器の1つであり、通常運転時及び設計基準事故における健全性確保は最重要である。設計基準を超えて発生する過酷事故において、原子炉圧力容器(RPV)の健全性、すなわち耐圧機能の維持がその後の事展に及ぼす影響は非常に大きい。そのため、NISAの報告書「原子炉圧力容器の中性子照射脆化について」[1]において、関連温度の予測法の信頼性向上や、加圧熱衝撃(PTS)の評価に対する国際的な整合性に留意した最新知見の反映が望ましいとされている。 現行の規制基準におけるRPVに対する健全性評価方法は、日本電気協会規程[2]に準拠している(図1)。当該評価方法には、PTSの評価等、約20年前に策定された内容も含まれており、技術的進歩や現実の運転年数の増加を踏まえて、その技術的背景を明確にし、十分に適切な内容であとを確認することは重要である。福島第一原子力発電所の事故を受けた原子力安全に関する国の報告書[3]においては、構造信頼性の観点のみならず、システム概念の進歩を含む新しい知見に対応する観点から、既存施設の高経年化対策のあり方について再評価するとされている。
このような背景から、RPVの健全性評価方法について、国内外の最新知見に基づく従来方法の再確認を行うとともに、システム安全の評価に資する確率論的評価も視野に入れた健全性評価方法の高度化を図る必要がある。また、前述のとおり、原子力発電所のシステム概念に基づく安全性評価の観点から、合理的な評価指標値(炉心損傷頻度など)を適切に設定し、長期供用に対する安全水準の維持と保全最適化の両立を図っていくために、この分野に近年欧米において導入が進みつつある確率論的評価体系を導入することも重要な課題である。これらを実現するためには、福島第一原子力発電所事故からの教訓も含めた最新知見に基づく知見の整理を行い、発電所システムとしての安全性に関する概念の進歩を踏まえて、RPVの健全性評価方法を再構築する必要がある。具体的には、設計基準事象に対する荷重条件の見直しや、より現実的な仮想欠陥寸法の確認も含めた確率論的破壊力学(PFM)解析技術の実用化に向けた技術基盤の整備を進め、高経年化対策に関わる基準の高度化を図ることによ り、原子力安全に関わる理解促進活動に資する必要がある。 本研究は、このように原子炉の安全性の観点から、RPV全体の経年劣化を考慮した健全性評価方法について、国内外の最新知見等の調査を行い、確率論的評価手法の導入も含めて高経年化技術評価の高度化に資するためのものである。本報告では、この研究の24年度成果の概要を述べる。 Fig. 1 Flowchart of RPV integrity assessment for PTS events [2] 2.健全性評価法の高度化に関する調査 2.1想定すべき荷重条件 加圧水型原子炉(PWR)の事故時には、非常用炉心冷却系(ECCS)の作動により、低温の冷却水が高温高圧の一次系内に注入される。この際、高圧条件下で高温の壁面を低温水が流れることによるPTSが、構造健全性の観点から懸念されている。従来の評価手法に用いられる過渡事象は、主蒸気管破断事故(MSLB)、小破断冷却材喪失事故(小破断LOCA)、大破断冷却材喪失事故(大破断LOCA)の3種類である。これらの過渡事象は、過去の国のプロジェクト[4]で選定されたものであり、脆性き裂進展の発生の観点に基づいて、過渡事象時の応力拡大係数の履歴が厳しいものを選定することとなる。 近年、実験や数値流体力学(CFD)コードによる熱流動解析により、低温水の広がりが3次元的であることが示されており、構造側への影響についても流動状況を考慮した詳細な検討が望まれている。そこで、RPVの健全性評価で想定すべき荷重条件の検討として、従来評価に用いていた荷重条件との相違を明らかにすることを目的とし、代表的事象に対する熱水力挙動を含む荷重条件について詳細解析を実施した。 まずは、代表的な事象として小破断LOCA を対象に予備的な熱流動解析を行い、JAEA の大型非定常試験設備(LSTF)を用いた既往試験との比較を通じて解析の精度検証を行った。予備的解析の結果は、図2に示すように、実験結果とおおむね一致している。続いて、予備的な解析で精度を確認した解析手法に基づき、ダウンカマーとコールドレグ接合部を改良したモデルを用いた本解析を行った。本解析により求められたき裂想定位置における周方向応力の時間変化と従来評価に用いられる周方向応力の変化を比較したものを図3に示す。本解析において、ECCS水注入による炉壁温度の低下に伴い周方向応力は増加している。また、その値は従来評価手法で用いられている周方向応力よりも低い値を示しており、従来評価手法での荷重条件が保守的である傾向を確認した。 Fig. 2Comparison about the water temperature between CFD and experiment Fig. 3Comparison about the stress between conventional assessment method and our analysis method 22耐圧機能喪失評価法 国内の健全性評価においては、非延性破壊の発生を対象としてきたが、これは耐圧機能の喪失に直接結び付くき裂の板厚貫通までにはある程度の裕度があると考えられる。このため、健全性評価における裕度の定量化を図るためには、き裂が板厚を貫通する状態に至るまでのき裂進展挙動を破壊力学的に評価することが必要である。 既に過年度において、RPV鋼のき裂伝播停止靱性(KIa) データとして、国内プロジェクト(火原協KIR検討会[5]、日本溶接協会HST小委員会[6-8]、発電技検PTS委員会[4]等)の既往研究成果、及び米国でORNLを中心として取得されたKIaデータ[9, 10]を収集するとともに、試験における材質、試験片(試験片種類、採取位置、採取方向)、試験方法、機械的性質(引張特性、衝撃特性)等の情報について整理を行なっている。この過年度の成果を踏まえて、国内材について収集・整理したKIaデータについて、データスクリーニング等を行ってデータを精査し、国内材に対するKIa曲線とばらつき評価を実施した。 データスクリーニングに関しては、米国のKIaデータベースを対象とした調査ではデータのスクリーニング基準等に関しては具体的、詳細な記載は認められなかった。そこで、各プロジェクト・委員会でKIaデータが取得された時期等を考慮し、KIa試験に関する規格であるASTM E1221-88[11]の基準にしたがって、データを精査した。また、高温側領域も含めた広範囲な温度領域でデータの定式化を行うため、日本溶接協会HST 委員会及びTS 委員会において実施されたESSO 試験のデータを追加することとした。このKIaデータベースに対してKIa曲線の検討及びばらつきの評価を行った。ここでのデータのばらつきは対数正規分布にしたがうと仮定している。国内KIaデータベースとそれに対するKIa曲線を図4に示す。 Fig. 4Investigation result of KIa curve 23その他の高経年化に関わる評価法 2.1と22で述べた項目に加えて、高経年化に関わるその他の評価法についての調査・検討として、照射脆化予測法、破壊靭性評価法、高温予荷重効果評価法等に関する規格の改訂動向や国際会議等における最新知見の調査・検討を実施した。 (a)照射脆化予測法 JEAC4201-2007[12]と同様に、国際的に脆化機構に立脚した予測法が検討・開発されている。国内でも、原子力安全・保安院の意見聴取会で示されたように、電中研が主体となり、従来の国内脆化予測式における多くのパラメータを、従来予測法が開発されてから取得された監視試験データ等を基に最適化し、予測精度を向上させる検討が進められており、2013年中の新たな国内脆化予測法の改訂版の発行が期待されている。 (b)高温予荷重(WPS; Warm Pre-stress)効果 欧米では、複数の国際機関が参加するWPS効果を取り扱うプロジェクトNESC VIIにおいて、大型2軸応力負荷の十字型試験片を用いた実証試験[13]等が行われている。ここでは、WPS効果の軸荷重の影響を調べるために、代表的なRPV鋼を使用し、大規模、中規模、小規模な標本による実験を実施している。どのような実験条件や試験片でも二軸荷重の場合のWPS効果が確認されている。日本機械学会維持規格 [14]では、フェライト鋼容器の欠陥評価におけるEB-3430破壊評価法、許容状態CおよびDにおいて、WPS効果を考慮してよいとの規定がある。 したがって、JEAC4206に対してもWPS効果を踏まえた規定の導入が可能であると考えられる。実際には、WPS効果を考慮しないことで保守性を確保している面もあると考えられる。 (c) 破壊靭性評価法 平成24年8月に、原子力安全・保安院は「原子炉圧力容器の中性子照射脆化について」[1]を発行しており、この文書では、照射脆化予測精度の向上や、破壊靱性に関するばらつき等の評価法の改善、PTSに対する国際的な観点からの整合性を確認することなどが、学協会に対して求められている。一方、破壊靱性評価法及び加圧熱衝撃に対する健全性評価法に関しては、前述のとおりJEAC4206の規定改定が期待されるが、現状では、電気協会における検討中であり、詳細は明らかではない。例えば、破壊靭性のばらつきと温度依存性を統一的に評価できる破壊靭性マスターカーブ法を用いた健全性評価法の規格化が期待される。 3.炉心領域部以外の部位に対する健全性評価法の調査 RPV全体としての健全性を確認するため、過年度の調査を基に、出入口ノズル部や上蓋・下部ヘッド貫通部等において顕在化している経年劣化事象として、一次冷却水中応力腐食割れ(PWSCC)に焦点を当て、き裂発生・進展に関する評価手法やデータ等を調査した。また、国内プラントにおけるPWSCC発生事例について調査し、整理した。 続いて、PWSCCを対象としたPFM 解析コードPASCAL-NP について、その活用方策を検討した。PASCAL-NPは様々な形状のNi基合金溶接部を対象に、PWSCCの発生や進展速度のばらつきを考慮して、漏えい確率及び破断確率を算出可能である。PASCAL-NPにより算出される破損確率に対して、機器の破損が生じた場合の影響度等を考慮することにより、供用期間中検査の計画策定等にも活用できると考えられる。 4.確率論的破壊力学解析技術の調査 国内プラントの高経年化技術評価を高度化する観点から、RPVを対象とした国内の規制基準における健全性評価手法に確率論的手法の導入を検討する目的で、確率論的評価手法の適用性に関する調査、及び確率論的評価手法の標準化に関する調査を実施した。 40.1確率論的評価手法の適用性に関する調査 RPVの健全性評価に対して確率論的手法の適用を進めるため、き裂伝播停止靭性や想定すべき荷重条件等を踏まえて、PFM解析を用いた耐圧機能喪失等に対する健全性評価の詳細手順の検討を行った。また、国産材に対する想定き裂の分布モデル整備に着手した。以下に概要を示す。 (a) 想定すべき荷重条件の選定方法 PTSの種類により、過渡状態におけるRPVにおける応力分布及び温度分布の時刻歴は異なる。この荷重条件の選定はRPVを対象とした健全性評価において最も重要な項目の一つである。国内では決定論的な脆性き裂進展発生の観点から荷重条件が選定されているのに対し、米国においては確率論的リスク評価(PRA)に基づき、荷重条件が選定されている。そこで、国内における確率論的手法の適用を検討するため、すでに確率論的手法が導入されている米国の荷重条件の選定方法の整理を行った。ここでは、米国でのPTS事象におけるRPVの健全性評価に関わる破壊靱性要求規則策定の技術的根拠となった、PTS再評価プロジェクト[15]の荷重条件の選定方法におけるプラント間の相違を含めた考え方に着目し、国内への適用を想定した場合の課題や条件等を整理した。 米国のPTS 再評価プロジェクトにおいては、代表3プラント(Oconee1、Beaver Valley1、Palisades)を対象にPTS評価のためのPRA(PTS-PRA)が実施された。代表3プラントのループ数及びそのベンダーは異なるが、PTS-PRAの内容はほぼ同様であり、結果として過渡事象の発生頻度は同一のものが得られている。また、LOCAの評価において、破断口径、破断位置、事象発生時の運転レベル等がほぼ同一である場合は、異なるプラント間においても類似の冷却特性を示すとされる。 国内の健全性評価においては、供用状態C,Dの過渡事象からPTS事象を選定することとされ、PTS事象として具体的な事象が特定されない場合は、MSLB、小破断LOCA、大破断LOCAが対象とされる。国内では、米国で実施されたようなPTS- PRAは実施されていない。一方で、国内でも多数実施されている炉心損傷に対するレベル1PRAにおけるLOCAの発生頻度の算出方法について、原子力学会レベル1PRA標準[16]の解説では、“原子炉冷却材圧力バウンダリの設計及び運転管理、さらにはLOCAの発生メカニズムについても日米で差がない”と述べられている。そのため、PTS事象の発生頻度及びその冷却特性等について、米国のデータを参考とすることは有効な手段の1つであると考えられる。 (b) 原子炉圧力容器の耐圧機能喪失頻度の評価法 米国PTS再評価プロジェクトでは、き裂進展評価だけではなく進展後の停止も含めた健全性評価を行っている。耐圧機能喪失の判定としては、き裂深さ比、塑性崩壊基準、延性不安定破壊が用いられ、PTS-PRAで得られる過渡事象の発生頻度を考慮した上で耐圧機能喪失頻度(TWCF)が算出される。この米国PTS再評価プロジェクトにおいて用いられたFAVORコード[9]について、き裂伝播停止靭性を活用したTWCFの評価法を整理するとともに、過年度に選定した国内のPFM解析コードPASCAL3[17]の評価法との比較を行った。その結果として、PASCAL3で用いられているき裂進展-停止モデルは、WPS効果の考え方を含めて、原則FAVORのものと同一であると結論づけた。 (c) 想定すべき欠陥分布及び形状 前述した荷重条件とともに、想定すべき欠陥分布及び形状は、RPVの健全性評価に最も影響を与えるパラメータの一つである。国内では決定論的な脆性き裂進展発生の観点から保守性を考慮した表面き裂が想定されているのに対し、米国においては試験データ等に基づく欠陥分布モデルが整備され、PFM解析の入力として与えられている。過年度に収集したデータを含め、米国PTS再評価プロジェクトの欠陥分布におけるプラント間の相違を含めた考え方に着目し、国産材に対する想定き裂分布モデル整備に着手した。 米国において、代表3プラントの欠陥分布を作成する際に、プラント特有の情報が用いられている主な項目は、プラントの幾何形状、及び溶接のビード厚さである。欠陥密度、欠陥深さ、欠陥アスペクト比については、原則としてShoreham及びPVRUFのデータが根拠とされた。これらの根拠に加えて、専門家の判断を踏まえて、FAVORの欠陥分布作成プログラムであるVFLAWにより、最終的にPFM 解析に用いられる欠陥分布が作成された。国産材に対する欠陥分布モデルの検討を行う上で、米国の欠陥分布に係る考え方の詳細を整理して、その適用に関する妥当性を検討することが有効であると考えられる。例えば、クラッドを貫通する表面き裂は、Shoreham及びPVRUFでは検出されていないが、健全性評価上はその存在可能性を残している。1層盛の施工の場合は、保守的にき裂深さはクラッド厚を超えると仮定し、2層以上の施工の場合、き裂は存在しないとする。また、周方向施工の場合、き裂方向は周方向とし、軸方向には存在しないとする。国内RPVのクラッド施工は、周方向の1層盛とされており、米国の考え方を適用できると仮定すると、周方向き裂で板厚がクラッド厚さとなるき裂を想定して健全性評価を行うこととなる。 4.2確率論的評価手法の標準化に関する調査 確率論的評価手法を規格基準へ導入するためには、解析手法の標準手法の整備を行うことが必要であり、そのためPFM解析ツールの信頼性確認のための要領を検討することが必要である。そこで、原子炉圧力容器の健全性に関するPFM解析の標準手法の策定に向けて、前述の確率論的評価手法の適用性に関する調査の調査結果等に基づき感度解析を行い、破壊確率への影響等を評価した。また、確率論的評価手法の適用性に関する調査の調査過程も含めて関連する広範な分野の専門家からの意見を集約し、今後国内の規制基準に確率論的評価手法を導入する際に必要となる標準手法のための指針案の策定に向けて、標準的入力データの整備や解析コードの信頼性確認方法の明確化を図った。 (a) 感度解析 過年度は現行規程であるJEAC4206-2007[2]の条件に着目して、初期き裂寸法、関連温度のマージン、過渡事象種類等に着目するとともに、選定した代表的PFM解析コードPASCAL3を用いて脆性き裂進展の観点から条件付き裂進展確率の評価を実施した。今年度は前述の確率論的評価手法の適用性に関する調査の調査結果より、荷重条件における熱伝達係数の影響、き裂進展後の停止の影響、想定き裂方向の影響の他、過渡事象の発生頻度を考慮した条件付き裂進展頻度(CIF)、TWCFの評価に着目して条件を設定した。感度解析の結果として、クラッド施工の方向を踏まえて周方向き裂を仮定する場合のCIFは、JEAC4206-2007に従って軸方向き裂を仮定した場合のそれに対して1/3となった。また、TWCFに関しては、1/200に低下した。このように、き裂方向を軸方向に想定することで、一定の裕度を含むことができる可能性を示すことができた。 (b) 標準手法に向けた指針案作成に向けた取組 将来的な確率論的評価手法の基準等文書への反映、及びPFM 解析の実用化のため、PFM解析の標準手法に向けた指針案に関する検討を行った。まず、大学や産業界等からPFMのみならず、破壊力学、照射脆化、PRA、高経年化、規格基準等の多岐に渡る分野の専門家を集めた確率論的破壊力学解析ワーキンググループ(確率論WG)を設置し、その意見を集約し、PFMの解析技術調査やPFM解析に関する指針案への反映を図った。また、最終成果目標として、基準等文書への反映を目指すものとし、PFMが実務として活用される対象として、JNES高経年化技術評価審査マニュアルを成果反映の案とした。指針案の本文では適用すべき評価式やデータ等に関する要求事項を規定することとし、その技術的根拠、PFM解析に関する標準的入力データと解析手法を解説に整理する。さらに、解析コードを用いる必要があると考えられるため、使用するコードに関する要求事項を整理したものを附属書として位置づける。確率論WGにおいては、指針案の骨子に関する方向性については大きな課題はなく、今後は指針案作成のためにPFM解析の技術的な項目について合意形成を行うことを目指す。また、議論を通して、指針の定義も今後定めていく。 5.まとめ 現行の健全性評価方法に関わる調査として、荷重条件に対する詳細解析を行い、従来評価手法の結果との比較により、従来評価手法での荷重条件が保守的である傾向を確認した。国内材を対象に収集・整理したKIaデータについて、スクリーニングを実施し、国内材に対するKIa曲線のばらつき評価を行った。また、照射脆化予測法、WPS効果評価法、破壊靭性評価法等に関する規格の改訂動向や手法の最新知見を整理した。 炉心領域部以外の部位に対する健全性評価法の調査として、国内外の文献を調査し、PWSCCを対象に確率論的評価法や発生、進展に関するデータや国内発生事例等を整理した。また、PWSCCを含めた総合的な評価法を確立するために、PWSCCを対象としたPFM解析コードPASCAL-NPについて、その活用方策を整理した。 確率論的破壊力学解析技術の調査として、国内の規格基準にPFMを適応するための条件を検討・整理した。各分野の専門家を集めた確率論WGを設置し、標準手法に向けた指針案、標準的入力データ等について、議論を通して専門家からの意見を抽出・整理した。 謝辞 本報告は、経済産業省原子力安全・保安院からの受託事業「平成24年度高経年化技術評価高度化事業」で得られた成果である。関係各位の協力に謝意を表する。 参考文献 [1] 原子力圧力容器の中性子照射脆化について, 原子力安全・保安院, 2012. [2] 電気技術規程原子力編, 原子炉発電所用機器に対する破壊靭性の確認試験方法, JEAC-4206-2007, 日本電気協会, 2007[3] 原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書-東京電力福島原子力発電所の事故について-, 首相官邸原子力災害対策本部, 2011 [4] 溶接部等熱影響部信頼性実証試験に関する調査報告書[原子炉圧力容器加圧熱衝撃試験][総まとめ版], 財団法人発電設備技術検査協会, 1992. [5] 火力原子力発電技術協会,”構造基準委員会KIR検討会活動報告書(最終年度)[第一種容器の破壊靱性規定策定]”, 平成8年3月. [6] 日本溶接協会 原子力研究委員会 7HST小委員会,“原子力圧力容器用超厚鋼材の安全性に関する試験研究”, 昭和53年10月. [7] 日本溶接協会 原子力研究委員会 8HST小委員会,“原子力圧力容器用超厚鋼材の安全性に関する試験研究”, 昭和54年11月. [8] 日本溶接協会 原子力研究委員会 9HST小委員会,“原子力圧力容器用超厚鋼材の安全性に関する試験研究(Ⅲ)成果報告書”, 昭和56年1月. [9] P. T. Williams et.al.,“Fracture Analysis of Vessels-Oak Ridge FAVOR v04.1, Computer Code : Theory and Implementation of Algorithms, Methods, and Correlations” NUREG /CR-6854 (2007). [10] R. K. Nanstad, et. al., ”Irradiation Effects on Fracture Toughness of Two High-Copper Submerged-Arc Welds, HSSI Series 5,” NUREG/CR-5913[11] ASTM E1221-88, “Standard Test Method for Determining Plane-Strain Crack-Arrest Fracture Toughness, KIa, of Ferritic Steels”. [12] 電気技術規程原子力編, 原子炉構造材の監視試験方法, JEAC-4201-2007, 日本電気協会, 2007[13] Dominique MOINEREAU et. el., “NESC VII : A EUROPEAN PROJECT FOR APPLICATION OF WPS IN RPV ASSESSMENT INCLUDING BIAXIAL LOADING”, ASME PVP2012-78044, (2012). [14] 日本機械学会, 発電所用原子力設備規格 維持規格(2012年版), JSME S NA 1-2012, 2012. [15] Erickson Kirk, M.T., et al., “Technical Basis for Revision of the Pressurized Thermal Shock (PTS) Screening Limits in the PTS Rule (10 CFR 50.61): Summary Report,” NUREG-1806, U.S. NRC, 2006. [16] 日本原子力学会 レベル1PSA分科会,“原子力発電所の出力運転状態を対象とした確率論的安全評価に関する実施基準:2008(レベル1PSA編)(AESJ-SC-P008:2008)”, 2009年3月. [17] 眞崎浩一, 西川弘之, 小坂部和也, 鬼沢邦雄, “原子炉圧力容器用確率論的破壊力学解析コードPASCAL3の使用手引き及び解析手法,” JAEA-Data/Code 2010-033 (2011).
“ “高経年化技術評価の高度化 -原子炉圧力容器の健全性評価“ “勝又 源七郎,Genshichiro KATSUMATA,眞崎 浩一,Koichi MASAKI,小坂部 和也,Kazuya OSAKABE,西川 弘之,Hiroyuki NISHIKAWA,勝山 仁哉,Jinya KATSUYAMA,西山 裕孝,Yutaka NISHIYAMA,鬼沢 邦雄,Kunio ONIZAWA“ “高経年化技術評価の高度化 -原子炉圧力容器の健全性評価“ “勝又 源七郎,Genshichiro KATSUMATA,眞崎 浩一,Koichi MASAKI,小坂部 和也,Kazuya OSAKABE,西川 弘之,Hiroyuki NISHIKAWA,勝山 仁哉,Jinya KATSUYAMA,西山 裕孝,Yutaka NISHIYAMA,鬼沢 邦雄,Kunio ONIZAWA
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