プラントシステムコードによる 「もんじゅ」異常時の動特性解析

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カテゴリ: 第10回
1.緒言
本研究においては、スクラムに至らない程度の小さな異常や故障が「もんじゅ」の機器に生じた場合に、プラントの主要パラメータがどのように応答するのかについて解析する事を目的としている。この研究は、「もんじゅ」プロセスデータのハイブリッド高速処理による異常診断エージェントの研究開発の一環として実施しており、解析結果を、異常診断の研究をしている研究者に提供し利用してもらうことである。また、本研究を通じて、どのプラントパラメータを運転員が監視していたら異常徴候を見つけることが出来るかも目的の一つとしている。機器の異常は種々あり、ナトリウム系統に対しては、主循環ポンプの性能劣化に伴うプラント挙動などを解析しているが、本報告では主に故障の多い水系を対象として報告する。水系が故障したことによって、高速炉のナトリウム系にも影響が及ぶため、本解析ではプラント全体をモデル化して計算する必要がある。取り扱っている異常は、Table 1に示すように、流量、圧力、熱伝達、温度などとする。このような異常を生じる具体的な機器とし ては、給水流量調節弁、給水ポンプ、主蒸気制御弁、蒸発器、高圧抽気弁などとした。 解析コードは、軽水炉、重水炉、高速炉のプラントシステムを解析できるNETFLOW++ [1]であり、これまでに高速炉では実炉のデータで検証している。具体的には、常陽のプラントトリップ後の自然循環試験解析[2]、「もんじゅ」のタービントリップ試験解析[3]、IAEAベンチマーク問題となったPhenix炉の自然循環試験解析[4]などである。汎用のPCを用いてプラントの数時間に及ぶ長期の主要パラメータを良い精度で解析できている。 Table 1 Abnormalities assumed in analyses Abnormality
Components Feedwater flow rate 1)Feedwater control valve 2)Feedwater pump Pressure Steam control valve Heat transfer Fouling on heat transfer tube in evaporator Feedwater temperature 1) Extraction valve 2) Fouling on heat transfer tube in Feedwater heater
2.解析モデル
2.1 熱輸送系解析モデル 本研究の対象プラントは高速増殖炉「もんじゅ」である。「もんじゅ」の全熱輸送系の概要をFig. 1に示す。「もんじゅ」の1次系は3系統あり、主循環ポンプ、逆止弁、 炉心、中間熱交換器(IHX)の胴側とそれらを結ぶ配管で構成されている。1次系で発生した熱は、同様に3系統ある2次系に伝熱される。2次系は、ポンプ、IHX2次側(管側)、蒸気発生器としての過熱器、蒸発器などから構成されている。3次系の水系は、蒸気発生器の管側、主蒸気制御弁、高圧タービン、低圧タービン、復水器、給水過熱器、給水ポンプ、給水制御弁等から構成されている。図中の空気冷却器は、原子炉がトリップされた後で炉心の崩壊熱を除去するための機器であり系統に1基ずつ設けられている。 本研究では、これらすべての機器を解析モデルに組み込む必要があり、その解析モデルをFig. 2に示す。解析体系は、主に「もんじゅ」の設置許可申請書[5]を参考にして作成し、不明な部分は、日本原子力研究開発機構の公式ホームページ[6]内に公開されている文献を用いて構築した。また、給水加熱器については、「もんじゅ」と同規模の出力の火力発電所の熱交換器を調査してモデル化した。これまで行われている多くのプラント解析では、水系を忠実にモデル化した解析は、CANDU炉を対象にしたTeyssedow等[7]の研究、「ふげん」のタービン給水系の解析[8]、「もんじゅ」の全電源喪失解析[9]以外ほとんど例がなく、本解析がプラント全体を扱う最も詳細なモデルを使った解析の一つである。 Primary heat transport systemTurbine and feedwatersystemIHXPrimary pumpCoreAir coolerEvaporator(EV)TurbineGeneratorFeedwaterpumpSeawaterpumpCondenserSecondary HTSSecondarypumpSuper-heater(SH)Fig.1 Schematic diagram of heat transport systems of “Monju” reactor 高速炉の1次系と2次系は大気圧で運転されているが、3次系は、蒸気の圧力が13MPaで最も低圧の給水過熱器の胴側圧力が0.004MPaしかなく、また抽気された蒸気の入口部では凝縮が、出口部ではフラッシングが生じているため、解析は余程工夫しないと不安定になりやすい特性を持っている。このため、本報告では多くの解析の例で図中に緑の破線で示した領域に入る低圧タービン、低圧給水加熱器3基を省略したモデルとして、解析の不安 定を小さくしている。本解析の対象である過渡現象は、定常状態から少し変動する事象を対象にしているため、低圧系の変化は小さいため、このようにしても大きな差は出ないはずであるが、いくつかの事象に対してはこの仮定が正しいのかを検証している。 7EvaporatorSuper-heater[13][1]~[7][47]1510-28912156-1[8]IHXAir cooler[28][29][30]High-pressureplenumPumpUpperplenum[31][32][33][15][16][34][35][17][14]to turbine11[10][11][12][9]Pump3Link 1-Link 6: 1st to 6th layer (Inner driver)Link 7: 7th & 8th layer (Outer driver)Link 8: 9th to 11th layer (Blanket)Link 9: Center CRLink 10: CRsLink 11: Bypass[24][18][19][46][23]19[49]1922-4202124[42][43][44][45]23[25][26][27]13[48]1816-31418[37][38][39][40]17[20][21][22][36][41]to B-loopto C-loopA-loopB-loopC-loopFrom B&C loops1416415223020#2#3#4#525#11131-1Low-pressure turbineDeaeratorFeedwaterpumpCondenserHigh-pressure feedwaterheatersLow-pressure feedwaterheatersLow-pressure side 1116161414Low-pressureplenumFig.2 Whole plant calculation model of the “Monju” system 2.2 初期条件の検証 本研究での解析は、ある運転状態で危機に異常が生じた事を考えている。このため、精度の良い解析を行うためには、初期の運転状態が「もんじゅ」を高い精度で模擬している必要がある。このため、プラント諸量が正しく計算できているかについて、「もんじゅ」で実施された45%「熱出力」状態での試験と100%出力設計データを用いて検証した。実測値あるいは設計値と解析結果の比較をTable 2とTable 3に示す。 「もんじゅ」の蒸気発生器の中では、蒸発器の出口近傍でドライアウトしているため、蒸発器出口温度が高温になり、ドライアウト位置が正しく計算されないと、出口温度も精度よく計算出来ない。また、蒸発器出口温度は、給水制御系で利用されているため、正しく計算される必要があるが、2つの表で明らかな様にNETFLOW++は、出口温度を適切に計算している事が分かる。その他の主要プラントパラメータも適正な精度で解析できていると判断できる。なお熱電対の計測誤差は、フルスケールの0.5%である約±3℃であるため、このことからも、解析の精度が高い事が分かる。 Table 2 Comparison of plant parameters between measurement and calculation at 45% thermal power Item Test Calc. Error* (%) Reactor vessel inlet temperature (oC) 364372.22.25Reactor vessel outlet temperature (oC) 486491.31.09IHX primary outlet temperature (oC) 367372.21.42IHX secondary inlet temperature (oC) 282278.8-1.13IHX secondary outlet temperature (oC) 4864911.03B-loop primary flow rate (kg/s) 702.4706.40.569B-loop secondary flow rate (kg/s) 398.6391.5-1.53Feedwater flow rate (kg/s) 43.3342.2-2.58Feedwater temperature (oC) 196.9194.2-1.32Evaporator outlet temperature (oC) 370365.9-1.11Super-heater outlet temperature (oC) 483.1486.90.787*Error=(Measured data .Calculation result)/(Measured data) Table 3 Comparison of plant parameters between design data and calculation at 100% thermal power Item Test Calc. Error* (%) Reactor vessel inlet temperature (oC) 397391.4-1.41Reactor vessel outlet temperature (oC) 529523-1.13IHX primary outlet temperature (oC) 397391.4-1.41IHX secondary inlet temperature (oC) 325328.41.05IHX secondary outlet temperature (oC) 505508.61B-loop primary flow rate (kg/s) 1422.21425.80.25B-loop secondary flow rate (kg/s) 1030.61035.10.44Feedwater flow rate (kg/s) 105.6106.71.04Feedwater temperature (oC) 240238.2-0.75Evaporator outlet temperature (oC) 369368.80.05Super-heater outlet temperature (oC) 487485-0.413.解析結果 3.1 給水調節弁の故障 「もんじゅ」の3ループには、それぞれの蒸気発生器に供給する給水流量を調節するための給水調節弁が設けられている。これらの弁の1つが異常を生じて、流量が継続的に10%程度低下した事を考える。この時は、異常を生じたループの給水制御系が正常に働かないため、Fig. 3の上図に示すように蒸発器(EV)の出口温度が上昇し、45%熱出力では2100秒でスクラム信号を発信する417℃まで上昇する結果になる。異常が生じていない系統は、初期の状態を保ったまま推移する。この過渡が2次系にも伝搬し、下図に示すように2次系の過熱器(SH)出口温度トリップ設定値497℃、EV出口トリップ設定値347℃には達していないことが分かる。このため、2100秒の間に運転員が弁の不調を回避出来ればプラントはスクラムしないことになる。100%出力状態でもトリップに至る時間は違うが、ほぼ同じ結果となっている。 系統圧力は、健全ループがあることでほぼ一定に保たれ、運転員は給水流量が継続的に低下する状態を見逃さないで対応しなければならない。 0100200300400500600050100150050010001500200025003000SH outletEV-A outletEV-B outletEV-C outletFeedwaterA-loop flowrateB-loop flowrateSH outlet pressureWater temperature (oC)Time (sec)Feedwater flow rate (kg/s/loop), Pressure (bar)417oC trip temp. at 2100 sec.Degradation of feedwatercontrol valve A200250300350400450500550600050010001500200025003000SH-A outletSH-B outletSH-C outletEV-A outletEV-B outletEV-C outletSodium temperature (oC)Time (sec)Trip level of evaporatoroutlet sodium temperatureTrip level of super-heateroutlet sodium temperatureFig.3 Evolution of parameters in the tertiary (Upper) and the secondary (lower) heat transport system during an A-loop feedwater control valve degradation at 45% thermal power 3.2 給水ポンプの異常 給水ポンプが異常を生じ、ポンプの吐出圧が10%減少した事象を考える。給水流量は定格流量の20%まで流量が低下するとスクラム信号が出るようになっているがこのように大きな異常ではなく、この時はすべてのループ の流量が低下し、同じ過渡変化を示す。Fig. 4に示すように、ポンプの吐出圧が低下すると、給水流量が低下し、システムの圧力も低下する。この結果、EV出口温度が上昇し、前の事象と同じ経過をたどることになる。100%出力の場合も同じ傾向となり、給水ポンプの性能低下は運転員が待機しているポンプを使えば回避できる可能性がある。この場合、運転員が注意深く観察すべきパラメータは、給水流量と系統の圧力であり、これらの僅かな継続的な低下を見逃さないことである。 0100200300400500600050100150050010001500200025003000SH outletEV outletFeedwaterFeedwater flowrateSH outlet pressureWater temperature (oC)Time (sec)Feedwater flow rate (kg/s/loop), Pressure (bar)Degradation offeedwater pump417oC trip temp. at 1373 sec.Fig.4 Evolution of plant parameters in the tertiary heat transport system during a feedwater pump degradation at 45% thermal power 3.3 主蒸気制御弁の故障 01002003004005006000501001500100020003000400050006000SH outletEV outletFeedwaterFeedwaterSH outlet pressureWatr temperature (oC)Time (sec)Feedwater flow rate (kg/s/loop), Steam pressure (bar)Degradation of fsteam control valveFig.5 Evolution of plant parameters in the tertiary heat transport system during a steam control valve malfunction at 45% thermal power 主蒸気制御弁が少し閉じた状態で故障した場合には、系統の圧力が上昇することが容易に想像される。この状態を解析してみると、Fig. 5に示すような過渡を示す。圧力が上昇することによって、給水ポンプの吐出圧が足りなくなり、一時的に旧水流量が低下する。この結果、これまでの解析でも明らかな様にEV出口温度が上昇する。しかし、このケースでは給水制御系がこの温度を制御することが出来るため、ポンプ吐出圧を上げて流量を増加させ、EV出口温度が元に戻っている。2次系のナトリウム温度は、この事象の間ほぼ一定の温度を保ったまま推移する。このため、運転員に認識できるプラントパラメータ変化は、系統圧力だけであり、この圧力変化に注意していなければならない。 3.4 蒸発器伝熱管への水垢付着による熱伝達劣化 0100200300400500600050100150020004000600080001 104SH outletEV outletFeedwaterFeedwater flowrateSH outlet pressureWater temperature (oC)Time (sec)Feedwater flow rate (kg/s/loop), Pressure (bar)Degradation ofheat transfer 200250300350400450500550600020004000600080001 104SH-A outletSH-B outletSH-C outletEV-A outletEV-B outletEV-C outletSodium temperature (oC)Time (sec)Fig.6 Evolution of plant parameters in the tertiary (upper) and the secondary (lower) heat transport system when the overall heat transfer coefficient decreases to 20 kW/ m2K due to fouling at 45% thermal power 蒸発器(EV)の伝熱管内部には、水が流れている。この水は不純物を含んでいるため、長い間に内面に付着し、熱伝達の低下を招くことが考えられる。この事象は、非常に長期的に変化するが、解析の都合上水垢が瞬時に付 着して熱伝達率の劣化を招いた場合を仮定した解析を行った。また、この時の現象をより分かりやすくするために、給水制御系によるEV出口温度の制御を外して解析した。結果をFig. 6に示す。EV内部での熱伝達が悪くなることによって、EV出口温度が低下する。すると、SHにクォリティーの低い二相流が流入し、SH内で伝熱が増加するため、下の図に示しているように、SH出口のナトリウム温度は低下し、EV出口のナトリウム温度は少し上昇する事になる。 しかし、実際は給水制御系が働くため、これらの温度はほぼ一定に保たれることになる。従って、運転員は蒸発器の伝熱の劣化には気がつくことがなく運転を継続する事になり、本事象の検出は極めて難しいと言わざるを得ない。 3.5 給水温度低下 原子力プラントは、復水器で常温まで冷却された軽水を複数の段数の給水加熱器で高温にして、蒸気発生器あるいは原子炉に戻している。「もんじゅ」の場合には、蒸気発生器を有しているため、高温になった軽水は、蒸発器の下部からヘリカルコイル状の伝熱管内に供給される。給水加熱器には、給水ポンプ上流側の低圧給水加熱器と下流側の高圧給水加熱器があり、給水加熱器の胴側には、タービンから抽気した蒸気を流して給水温度を徐々に上昇させる。高圧給水加熱器の最終段の胴側には高圧タービンから抽気した高温の蒸気が供給されている。この抽気ラインに設けられている弁が故障して、抽気蒸気が止まり、給水加熱の一部が喪失して給水温度が低下する異常を解析する。 抽気弁が何らかの原因で故障して蒸気が最終段の給水過熱器に供給されなくなると、給水温度が低下する。初期に194℃あった給水温度は、Fig. 7に示すように数百秒間に30℃程度低下し、この結果EV出口温度が減少し始める。しかしながら、給水制御系の働きによって、給水流量が絞られ、EV出口温度は揺らぐものの、元の温度まで戻される。系統圧力は、少し低下する傾向を示す。2次系のナトリウム温度に関しては、下図に示すような変動を示し、影響が広範囲に及ぶ事が分かる。本事象に関しては、「もんじゅ」のフルスコープシミュレータを用いても同一事象を解析しており、同様な結果が出ることが分かっている。なお、本解析では、全ての制御系をリンクして解析していないため、プラント全体の挙動を詳細には把握できていないが、抽気蒸気が減少すると、その分の蒸気は低圧タービンに供給され、電気出力が増加する。このため、制御棒が挿入されて熱出力が抑えられ、プラント全体の挙動は更に複雑になる。 給水加熱器に水垢が付着して、熱伝達が低下した場合にも給水温度が低下する事が考えられる。しかしながら、総括熱通過率が5 kW/ m2K程度まで低下しても給水温度の低下は僅かであり、ほとんど影響がないことが解析で明らかになった。これは、通常給水過熱器が大きな余裕を持って設計されていることによるものと考えられる。 01002003004005006000501001500100020003000400050006000Super-heater outletEvaporator-A outletFeedwaterFeedwater flow rateMain steam pressure (bar)Temperature (oC)Time (sec)Feed water flow rate (kg/s/loop), Pressure (bar)Abnormarity of extraction valve for #2 high-pressure feedwater heater2002503003504004505005506000100020003000400050006000Super-heater inletSuper-heater outletEvaporator outletSodium temperature (oC)Time (sec)Fig.7 Evolution of plant parameters in the tertiary (upper) and the secondary (lower) heat transport system when a valve on the extraction line fails at 45% thermal power 4.解析モデルの検討 これまでに示した解析では、低圧タービンや低圧給水加熱器を省略した結果になっている。このようなモデル化が適切なものであったのかを検討する。ほとんど全ての事象に関して解析を行なっているが、本報告では、最も大きな過渡変化を示した事象の一つである給水ポンプの100%出力下での異常事象を、低圧系を削除したモデル と全体を詳細に扱ったモデルで解析した。Fig. 8に示すように、2つのモデルの解析結果はほぼ同じ過渡変化を示していることが分かる。また45%熱出力下での過渡応答結果であるFig. 4と比較すると、挙動はほぼ同じであることが分かる。低圧系を削除すると、低圧系統から高圧系統への給水温度と流量を境界条件として与えなければならなくなるが、計算が非常に安定する上過渡応答結果はほぼ同等なものであるため、低圧系統を省略することのメリットは大きい。境界条件は、定常状態から変化しないとしているが、このような扱いが大きな影響を与えていないことが分かる。この他のより小さなプラントパラメータ変動を示す事象は、更に影響が小さい。 Fig.8 Comparison of evolutions of plant parameters in the tertiary heat transport system during a feedwater pump degradation at 100% thermal power between simplified and detailed turbine and feedwater systems 010020030040050060005010015005001000150020002500SH outlet (Simple)EV outlet (Simple)Feedwater (Simple)SH outlet (Detailed)EV outlet (Detailed)Feedwater (Detailed)Feedwater flowrate (Simple)SH outlet pressure (Simple)Feedwater flowrate (Detailed)SH outlet prssure (Detailed)Water temperature (oC)Time (sec)Feedwater flow rate (kg/s/loop), Pressure (bar)Degradation offeedwater pump417oC trip temp. at 1700 sec.5.結論 本研究によって以下の結論が得られた。 (1)給水制御弁1弁が故障した場合には、そのループの蒸発器出口温度が上昇し、やがてトリップ信号が発信される。給水ポンプの性能低下に関しても、同様な過渡現象を示す。 (2)主蒸気制御弁が少し閉鎖した状態で故障すると、系統圧力が上昇し、運転員はこのパラメータ変化のみを知ることになる。 (3)蒸発器への水垢付着に関しては、伝熱が劣化しても給水制御系がカバーするため現象を容易には把握できない。 (4)抽気弁が故障して小さな加熱喪失が生じると、蒸発器出口温度が多少変動し、給水流量と系統圧力が減少する現象が現れる。 謝辞 本研究は,特別会計に関する法律に基づく文科省からの受託事業として、岡山大学が受託した平成21年度~24年度の「「もんじゅ」プロセスデータのハイブリッド高速処理による異常診断エージェントの研究開発」の成果のうち福井大学が再委託した成果の一部を含んでいる。関係者に感謝する次第である。 参考文献 [1] H. Mochizuki, “Development of the plant dynamics analysis code NETFLOW++”, Nuclear Engineering and Design, 240, 2010, pp. 577-587. [2] H. Mochizuki, “Natural Circulation Characteristics in a Loop-Type LMFBR”, Proceedings of NURETH-13, Kanazawa, Japan, N13P1001, 2009. [3] H. Mochizuki, “Verification of NETFLOW Code using Plant Data of Sodium Cooled Reactor and Facility”, Nuclear Engineering and Design, 237, 2007, pp.87-93. [4] H. Mochizuki, N. Kikuchi, and S. Li, “Computation of natural convection test at Phenix reactor using the NETFLOW++ code”, Nuclear Engineering and Design, 262, 2013, pp.1-11. [5] 動力炉・核燃料開発事業団、”高速増殖炉もんじゅ発電所” 原子炉設置許可申請書、昭和52年12月 [6] http://www.jaea.go.jp/study_results/ [7] A. Teyssedou, et al., Modeling and optimization of a nuclear power plant secondary loop, Nuclear Engineering and Design, 240, 2010, pp.1403-1416. [8] H. Mochizuki and T Tsukamoto, “Network analysis of turbine and feedwater systems of the ‘Fugen’ nuclear power plant”, Journal of Nuclear Science and Technology, 48, 5, 2011, pp.786-796. [9] H. Mochizuki, “Plant Behavior of a Fast Breeder Reactor under Loss of AC Power for Long Period”, Nuclear Engineering and Design, 245, 2012, pp.19-27. (平成25年5月31日)
“ “プラントシステムコードによる 「もんじゅ」異常時の動特性解析 “ “望月 弘保,Hiroyasu MOCHIZUKI“ “プラントシステムコードによる 「もんじゅ」異常時の動特性解析 “ “望月 弘保,Hiroyasu MOCHIZUKI
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