疲労評価グランドデザインの新たな構築に向けて
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カテゴリ: 第10回
1. はじめに
福島第一原子力発電所事故を受けて、運転中プラントの疲労管理には安全性の更なる向上に向けた新たな役割が求められている。これまで進めてきた経年劣化事象に対する保全管理や規格策定の一層の充実に加えて、地震・津波などの災害に強い原子力発電所にするために、疲労評価グランドデザインの再構築が果たすべき役割と今後の活動について述べる。
2. 環境疲労評価手法導入時のグランドデザイン
軽水炉水中環境で疲労寿命が低下するいわゆる環境疲労がわが国で初めて確認され世界に公表されてから約30 年が過ぎた。現在では、高経年化プラントの劣化管理に適用される疲労評価手法が規格化され、日本機械学会から「環境疲労評価手法(JSME S NF1-2009)」」[1]として発行されている。環境疲労評価手法の規格化に際しては、規格を開発するための活動の全体スキームを明らかにしそのロードマップを示す目的で、「環境疲労評価のグランドデザイン」について検討を行い、開発する規格の全体像と取り組むべき技術課題を明らかとしながら規格策定活動に取り組んできた[2]。その結果、次の5 つの技術課題が環境疲労評価手法の開発において技術課題として取り上げられた。このうち、a とb は優先度が高いため既に規格として発行しており、現在cとeについて規格策定に向けた検討を進めている。なお、d については検討した結果、規格の対象外と位置づけられたため、技術知見を整備した上で活動を終了した。a. 実用的な環境疲労評価手法の開発b. 簡易弾塑性割増係数(Ke)の合理化c. 設計疲労曲線の見直しd. 設計過渡条件の最適化e. UFが1 を超えた場合の代替評価手法の検討 3.環境疲労評価における検討課題 前章で述べた環境疲労評価グランドデザインの検討は、原子力発電所のASME Sec.Ⅲ規格に基づく従来の疲労評価に新しい知見である環境効果を導入する活動であった。低サイクル疲労損傷を防止するための設計要求がASME 規格に導入されたのは約50 年前のことであり、その考え方は、設計疲労曲線を基に累積疲労係数CUF を計算し、それが1以下であれば実機の様々な要因を考慮しても疲労損傷発生の可能性はないとするものである。我が国では設計段階の疲労評価に環境効果を導入するためには、評価手法の更なる改良が必要であることから、未だ明らかでない環境疲労メカニズムの解明研究を進め、前章の項目cと合わせて項目aの検討を進めることとしている。 また、CUF が1を超えた場合でも、検査で検出可能な欠陥に余裕をもった仮想欠陥の存在を考慮して、運転中に貫通漏えいに至らないことを評価することによりプラントの運転継続を許容するASME 規格Sec.XI Appendix L の考え方(Flaw Tolerance 法、FT 法)[3]を導入する検討が開始されている。これは、運転段階に疲労評価を導入する、新しいフレームワークの活動である。 これらの課題のうち、設計疲労曲線については日本溶接協会にて、環境疲労評価メカニズムの解明とFT 法については日本機械学会の疲労評価タスクにてそれぞれ検討が行われている。
4. 疲労評価の新しいスキーム 福島第一原子力発電所事故は、これまでの想定事故をベースとした安全設計が不十分なことを明らかとした。従来のCUF に基づいた疲労設計では、想定される運転期間において余裕を持った設計過渡条件に基づき設計を行うことにより圧力バウンダリィの疲労破損を防止しているが、想定外の事象が起きた場合、あるいは種々の劣化事象が重畳して発生した場合に安全は確保されるのか、と言ったいわゆるシステム安全確保に対する要求には十分に応えることが出来ていない。 現在、システム安全評価手法の開発検討が始められているが[4]、疲労評価においても、保全活動の効果も考慮して疲労による材料の劣化を予測し、設計を超えるような事象の発生や他の事象との重畳も含めて評価することで、原子力発電所全体として安全機能の喪失に対する定量的な余裕を明らかとすることが求められている。このためCUF に基づく疲労評価に加えて、プラントの経年劣化に伴う疲労損傷の蓄積を予測する手法を開発する必要がある。この評価では、疲労破損への余裕を現実的に評価することが求められる。従来の疲労評価では、CUF が1に到達しない限り、機器は健全な状態であると考えられてきた。一方疲労試験片における疲労損傷を観察した場合、試験片が破断するまでの疲労寿命は、き裂の発生と進展の2 つの段階からなり、疲労寿命の大部分は約10μm の微小き裂がおおよそ3mm まで進展するまでの繰返し数にほぼ等しいことが示されている。従って、微小なき裂はCUF が1 以下であっても存在する。そして、もし微小き裂の進展を定量化できれば、疲労破損に至る寿命を予測することができる。また、き裂進展の定量評価により保全活動としてのき裂に対する検査の役割を取り入れることも可能となる。ASME Sec.III規格においては、設計段階にき裂進展評価を取り入れることにより、疲労評価の範囲を拡張することが検討されている。我が国においても、微小き裂の発生から破損に至るき裂進展評価を全プラント運転期間に適用していく新しいスキームを検討中である。これにより疲労き裂進展を予測し、更に他の損傷ファクターを重ね合わせることで、原子力発電所の安全機能の喪失に至るシステム安全評価の入力として活用することが可能となる。 5. 疲労評価グランドデザインの再構築 疲労評価グランドデザインの再構築は設計疲労曲線の基づく従来の疲労評価に対し、新しい選択肢を提供するものであり、単に疲労損傷の発生を防止するだけではなく、深層防護の考え方を導入するものである。システム安全評価においては、現実的なき裂進展解析に基づいた確率評価を可能とするスキームが求められており、新しい疲労管理スキームに基づくグランドデザインの再構築の活動を昨年度から開始している(Fig.1 参照)。今後、国外の規格改訂動向や実機の疲労損傷事例の調査・分析(Fig.2 参照)に加えて、環境疲労メカニズム研究や検査技術改良研究の成果を反映しつつ、グランドデザイン見直しの方向性を検討し、システム安全評価に必要とされるき裂進展予測評価手法の開発(Fig.3 参照)と合わせて、疲労評価全体のグランドデザインとして再構築していく予定である。 6. まとめ 我が国は、これまで環境効果を取り入れた疲労評価に関する多くの研究成果を提供してきた。今、システム安全の観点から総合的に経年プラントを管理する仕組みを確立する新たな活動が開始された。疲労評価においては、き裂進展予測解析の新たな手法により安全余裕を評価するスキームを構築する新たな疲労評価グランドデザインを再構築し、これを更に発展させていく予定である。 謝辞 本研究は、原子力規制委員会 原子力規制庁からの受託事業である「高経年化技術評価高度化事業」の一部として実施した成果である。ここに記して謝意を表する。 参考文献 [1] Environmental Fatigue Evaluation Method for Nuclear Power plants (JSME S NF1-2009) [2] T.Nalamura,et.al, Establishment of Voluntary Consensus Codes and the Role of Code Engineers, Journal of NUCLEAR SCIENCE and TECHNOLOGY, VOL 48,N0.7,p.1-14(2011) [3] ASME Sec.XI Rules for In-service Inspection of Nuclear Power Plant Components, App.L-3420(2011) [4] Hiroshi Miyano, Akira Yamaguchi, Kazuyuki Demachi, Masaaki Matsumoto “Study of System Safety Evaluation on LTO of National Project - Basic Concept of Functional Degradation and System Safety Assessment of Nuclear Plants in Operation- Proceedings of ICMST Conference 1905/07/04[5] Masayuki Kamaya, Takao Nakamura, 2013 “A FLAW TOLERANCE CONCEPT FOR PLANT MAINTENACE USING VIRTUAL FATIGUE CRACK GROWTH CURVE”, Proceedings of ASME 2013 Pressure Vessels and Piping Conference, PVP2013-97851 3国外規格改訂動向・研究動向調査実機疲労損傷事例及び疲労評価事例の調査・分析疲労評価体系の課題レビュー・安全機能要求・構造規格体系・国際規格体系・メカニズム等グラントデザインの見直しの方向性を検討・提案環境疲労メカニズム研究や検査技術に対するニーズ、熱疲労グランドデザインの分析規格・基準マネジメント(保全計画) 知見反映(学協会規格活動) (ASME,PVP,IAEA等) 意見想定外事象への対応UF=1に至る材料の微視的損傷挙動の解明き裂成長予測手法に基づくシステム安全評価検討環境疲労メカニズム、検査技術高度化や熱疲労評価などの研究計画に反映判断検討協働反映(技術基盤整備) (グランドデザイン構築) Fig.1 Research Activity of Grand Design for Fatigue Evaluation Fig.3 Flow of System Safety Evaluation for Environment Assisted Fatigue 国内トラブル事例データベース(NUCIA) より疲労損傷事例を抽出疲労損傷部位と損傷要因の分析安全機能重要度(クラス1,2,3) 安全機能上の分類(制御、冷却、バウンダリ) システム構成要素の分類損傷再発 (容器、配管、ポンプ、弁 他) 防止対策の調査設計段階での設計基準の不備運転段階での保全計画の不備(検査、点検、モニタリング) 疲労評価グランドデザインの構築システム安全評価における疲労損傷の取り扱いを検討2012年3月末までのトラブル情報のうち、疲労によるもの機械振動疲労流体振動疲労高サイクル熱疲労フレッティング低サイクル疲労Fig.2 Investigation of Domestic Fatigue Failure database from the viewpoint of System Safety Evaluation 現状の環境疲労評価評価部位の選定過渡条件の設定(温度・圧力変化、過渡回数) それぞれの過渡に対する機器の温度履歴、ひずみ履歴の算出過渡の組み合わせに対するピーク応力強さ算出疲労累積係数UFの算出過渡の組み合わせに対する環境効果Fenの算出環境疲労累積係数UFenの算出想定き裂評価(FT)法仮想欠陥の想定き裂進展及び破壊評価システム安全評価(案) 評価部位の選定過渡条件の設定(温度・圧力変化、過渡回数) それぞれの過渡に対する機器の温度履歴、ひずみ履歴の算出過渡の組み合わせに対するピーク応力強さ算出水環境中微小き裂進展速度評価da/dN=CΔKn 非破壊検査判定UFen<1 Yes No No Yes 運転継続再評価微小き裂成長予測解析保全計画き裂貫通漏えい確率評価他の損傷要因と組み合わせたシステム安全評価へ欠陥無し維持規格欠陥評価へ欠陥あり運転継続検査・モニタリングひずみ履歴・温度履歴UF 過渡の組み合わせ(仮想き裂を想定した評価)“ “疲労評価グランドデザインの新たな構築に向けて “ “中村 隆夫,Takao NAKAMURA,釜谷 昌幸,Masayuki KAMAYA
福島第一原子力発電所事故を受けて、運転中プラントの疲労管理には安全性の更なる向上に向けた新たな役割が求められている。これまで進めてきた経年劣化事象に対する保全管理や規格策定の一層の充実に加えて、地震・津波などの災害に強い原子力発電所にするために、疲労評価グランドデザインの再構築が果たすべき役割と今後の活動について述べる。
2. 環境疲労評価手法導入時のグランドデザイン
軽水炉水中環境で疲労寿命が低下するいわゆる環境疲労がわが国で初めて確認され世界に公表されてから約30 年が過ぎた。現在では、高経年化プラントの劣化管理に適用される疲労評価手法が規格化され、日本機械学会から「環境疲労評価手法(JSME S NF1-2009)」」[1]として発行されている。環境疲労評価手法の規格化に際しては、規格を開発するための活動の全体スキームを明らかにしそのロードマップを示す目的で、「環境疲労評価のグランドデザイン」について検討を行い、開発する規格の全体像と取り組むべき技術課題を明らかとしながら規格策定活動に取り組んできた[2]。その結果、次の5 つの技術課題が環境疲労評価手法の開発において技術課題として取り上げられた。このうち、a とb は優先度が高いため既に規格として発行しており、現在cとeについて規格策定に向けた検討を進めている。なお、d については検討した結果、規格の対象外と位置づけられたため、技術知見を整備した上で活動を終了した。a. 実用的な環境疲労評価手法の開発b. 簡易弾塑性割増係数(Ke)の合理化c. 設計疲労曲線の見直しd. 設計過渡条件の最適化e. UFが1 を超えた場合の代替評価手法の検討 3.環境疲労評価における検討課題 前章で述べた環境疲労評価グランドデザインの検討は、原子力発電所のASME Sec.Ⅲ規格に基づく従来の疲労評価に新しい知見である環境効果を導入する活動であった。低サイクル疲労損傷を防止するための設計要求がASME 規格に導入されたのは約50 年前のことであり、その考え方は、設計疲労曲線を基に累積疲労係数CUF を計算し、それが1以下であれば実機の様々な要因を考慮しても疲労損傷発生の可能性はないとするものである。我が国では設計段階の疲労評価に環境効果を導入するためには、評価手法の更なる改良が必要であることから、未だ明らかでない環境疲労メカニズムの解明研究を進め、前章の項目cと合わせて項目aの検討を進めることとしている。 また、CUF が1を超えた場合でも、検査で検出可能な欠陥に余裕をもった仮想欠陥の存在を考慮して、運転中に貫通漏えいに至らないことを評価することによりプラントの運転継続を許容するASME 規格Sec.XI Appendix L の考え方(Flaw Tolerance 法、FT 法)[3]を導入する検討が開始されている。これは、運転段階に疲労評価を導入する、新しいフレームワークの活動である。 これらの課題のうち、設計疲労曲線については日本溶接協会にて、環境疲労評価メカニズムの解明とFT 法については日本機械学会の疲労評価タスクにてそれぞれ検討が行われている。
4. 疲労評価の新しいスキーム 福島第一原子力発電所事故は、これまでの想定事故をベースとした安全設計が不十分なことを明らかとした。従来のCUF に基づいた疲労設計では、想定される運転期間において余裕を持った設計過渡条件に基づき設計を行うことにより圧力バウンダリィの疲労破損を防止しているが、想定外の事象が起きた場合、あるいは種々の劣化事象が重畳して発生した場合に安全は確保されるのか、と言ったいわゆるシステム安全確保に対する要求には十分に応えることが出来ていない。 現在、システム安全評価手法の開発検討が始められているが[4]、疲労評価においても、保全活動の効果も考慮して疲労による材料の劣化を予測し、設計を超えるような事象の発生や他の事象との重畳も含めて評価することで、原子力発電所全体として安全機能の喪失に対する定量的な余裕を明らかとすることが求められている。このためCUF に基づく疲労評価に加えて、プラントの経年劣化に伴う疲労損傷の蓄積を予測する手法を開発する必要がある。この評価では、疲労破損への余裕を現実的に評価することが求められる。従来の疲労評価では、CUF が1に到達しない限り、機器は健全な状態であると考えられてきた。一方疲労試験片における疲労損傷を観察した場合、試験片が破断するまでの疲労寿命は、き裂の発生と進展の2 つの段階からなり、疲労寿命の大部分は約10μm の微小き裂がおおよそ3mm まで進展するまでの繰返し数にほぼ等しいことが示されている。従って、微小なき裂はCUF が1 以下であっても存在する。そして、もし微小き裂の進展を定量化できれば、疲労破損に至る寿命を予測することができる。また、き裂進展の定量評価により保全活動としてのき裂に対する検査の役割を取り入れることも可能となる。ASME Sec.III規格においては、設計段階にき裂進展評価を取り入れることにより、疲労評価の範囲を拡張することが検討されている。我が国においても、微小き裂の発生から破損に至るき裂進展評価を全プラント運転期間に適用していく新しいスキームを検討中である。これにより疲労き裂進展を予測し、更に他の損傷ファクターを重ね合わせることで、原子力発電所の安全機能の喪失に至るシステム安全評価の入力として活用することが可能となる。 5. 疲労評価グランドデザインの再構築 疲労評価グランドデザインの再構築は設計疲労曲線の基づく従来の疲労評価に対し、新しい選択肢を提供するものであり、単に疲労損傷の発生を防止するだけではなく、深層防護の考え方を導入するものである。システム安全評価においては、現実的なき裂進展解析に基づいた確率評価を可能とするスキームが求められており、新しい疲労管理スキームに基づくグランドデザインの再構築の活動を昨年度から開始している(Fig.1 参照)。今後、国外の規格改訂動向や実機の疲労損傷事例の調査・分析(Fig.2 参照)に加えて、環境疲労メカニズム研究や検査技術改良研究の成果を反映しつつ、グランドデザイン見直しの方向性を検討し、システム安全評価に必要とされるき裂進展予測評価手法の開発(Fig.3 参照)と合わせて、疲労評価全体のグランドデザインとして再構築していく予定である。 6. まとめ 我が国は、これまで環境効果を取り入れた疲労評価に関する多くの研究成果を提供してきた。今、システム安全の観点から総合的に経年プラントを管理する仕組みを確立する新たな活動が開始された。疲労評価においては、き裂進展予測解析の新たな手法により安全余裕を評価するスキームを構築する新たな疲労評価グランドデザインを再構築し、これを更に発展させていく予定である。 謝辞 本研究は、原子力規制委員会 原子力規制庁からの受託事業である「高経年化技術評価高度化事業」の一部として実施した成果である。ここに記して謝意を表する。 参考文献 [1] Environmental Fatigue Evaluation Method for Nuclear Power plants (JSME S NF1-2009) [2] T.Nalamura,et.al, Establishment of Voluntary Consensus Codes and the Role of Code Engineers, Journal of NUCLEAR SCIENCE and TECHNOLOGY, VOL 48,N0.7,p.1-14(2011) [3] ASME Sec.XI Rules for In-service Inspection of Nuclear Power Plant Components, App.L-3420(2011) [4] Hiroshi Miyano, Akira Yamaguchi, Kazuyuki Demachi, Masaaki Matsumoto “Study of System Safety Evaluation on LTO of National Project - Basic Concept of Functional Degradation and System Safety Assessment of Nuclear Plants in Operation- Proceedings of ICMST Conference 1905/07/04[5] Masayuki Kamaya, Takao Nakamura, 2013 “A FLAW TOLERANCE CONCEPT FOR PLANT MAINTENACE USING VIRTUAL FATIGUE CRACK GROWTH CURVE”, Proceedings of ASME 2013 Pressure Vessels and Piping Conference, PVP2013-97851 3国外規格改訂動向・研究動向調査実機疲労損傷事例及び疲労評価事例の調査・分析疲労評価体系の課題レビュー・安全機能要求・構造規格体系・国際規格体系・メカニズム等グラントデザインの見直しの方向性を検討・提案環境疲労メカニズム研究や検査技術に対するニーズ、熱疲労グランドデザインの分析規格・基準マネジメント(保全計画) 知見反映(学協会規格活動) (ASME,PVP,IAEA等) 意見想定外事象への対応UF=1に至る材料の微視的損傷挙動の解明き裂成長予測手法に基づくシステム安全評価検討環境疲労メカニズム、検査技術高度化や熱疲労評価などの研究計画に反映判断検討協働反映(技術基盤整備) (グランドデザイン構築) Fig.1 Research Activity of Grand Design for Fatigue Evaluation Fig.3 Flow of System Safety Evaluation for Environment Assisted Fatigue 国内トラブル事例データベース(NUCIA) より疲労損傷事例を抽出疲労損傷部位と損傷要因の分析安全機能重要度(クラス1,2,3) 安全機能上の分類(制御、冷却、バウンダリ) システム構成要素の分類損傷再発 (容器、配管、ポンプ、弁 他) 防止対策の調査設計段階での設計基準の不備運転段階での保全計画の不備(検査、点検、モニタリング) 疲労評価グランドデザインの構築システム安全評価における疲労損傷の取り扱いを検討2012年3月末までのトラブル情報のうち、疲労によるもの機械振動疲労流体振動疲労高サイクル熱疲労フレッティング低サイクル疲労Fig.2 Investigation of Domestic Fatigue Failure database from the viewpoint of System Safety Evaluation 現状の環境疲労評価評価部位の選定過渡条件の設定(温度・圧力変化、過渡回数) それぞれの過渡に対する機器の温度履歴、ひずみ履歴の算出過渡の組み合わせに対するピーク応力強さ算出疲労累積係数UFの算出過渡の組み合わせに対する環境効果Fenの算出環境疲労累積係数UFenの算出想定き裂評価(FT)法仮想欠陥の想定き裂進展及び破壊評価システム安全評価(案) 評価部位の選定過渡条件の設定(温度・圧力変化、過渡回数) それぞれの過渡に対する機器の温度履歴、ひずみ履歴の算出過渡の組み合わせに対するピーク応力強さ算出水環境中微小き裂進展速度評価da/dN=CΔKn 非破壊検査判定UFen<1 Yes No No Yes 運転継続再評価微小き裂成長予測解析保全計画き裂貫通漏えい確率評価他の損傷要因と組み合わせたシステム安全評価へ欠陥無し維持規格欠陥評価へ欠陥あり運転継続検査・モニタリングひずみ履歴・温度履歴UF 過渡の組み合わせ(仮想き裂を想定した評価)“ “疲労評価グランドデザインの新たな構築に向けて “ “中村 隆夫,Takao NAKAMURA,釜谷 昌幸,Masayuki KAMAYA