配管系の熱疲労評価技術の開発
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カテゴリ: 第10回
1.はじめに
原子力プラントにおける配管系の熱疲労は古くから認識されている課題であるが、近年においても破損例が報告され続けている([1]]など)理由として、熱疲労の発生原因が冷却材の温度変動であることから、現象が熱流動と構造の両分野に亘る複雑なものであり、運転中に生じる様々な熱流動現象と構造形状に応じて多くのモードが存在することが挙げられる。 熱疲労を熱荷重の発生原因に基づき大きく分けると,Fig.1のように「温度揺らぎ」「熱成層化」および「系統全体の熱過渡」とその他に分類される。この中で、「a.不規則温度変動による高サイクル熱疲労」と「b.閉塞分岐管停留部の熱成層化による高サイクル熱疲労」については,その発生頻度と対策の難しさから、「配管の高サイクル熱疲労評価指針 JSME S017 2003年、 日本機械学会[2]」に基づいて規制要求されている。 これに対して、破損事例のない箇所も含めて多くの設備対応を実施してきている事業者側からは、海外に比較して厳しい制限等の合理化と、概念に留まっている規定に対する強度評価法の整備が求められている。 ここで、熱疲労は熱流動と構造の連成現象であり、従来の強度評価を中心とした構造規格の範疇に当てはまらない荷重評価等が結果に大きく影響する。このため、評価に必要な広範な基盤技術を規制側と事業者側で共有可能とする技術情報基盤の整備が必要とされている。 また,福島第一原子力発電所事故後は、システム安全への影響評価が重要視されている[3]。こうした背景に基づき、科学的・合理的な安全規制と保全活動、およびシステム安全評価への適用を行うために、高経年化技術評価高度化事業[3]の一環として以下の(1)~(3)を2008年末から、(4)については2011年末から進めている[4]~[8]。 (1) 荷重および破損メカニズムの解明 (2) 科学的根拠に基づくJSME指針合理化案の提示 (3) シミュレーション技術の知識ベース構築 (4) システム安全評価のための破損予測式の提示 上記事業においては高経年化に関連する多数の破損様式を対象としており、疲労に関連する破損様式では共通の枠組みを検討している[9]。本研究は、主として配管熱疲労に関する2012年度の成果について報告する。
2.荷重および破損メカニズムの解明
「a.不規則温度変動による高サイクル熱疲労」に関して、流体温度変動による熱疲労現象を素過程に分解するとFig.2のようになる.(A)~(D)の過程を構造健全性への影響度の観点から捉えると、温度揺らぎ振幅の減衰要因が重要となり、これらの機構を解明して評価法に取り入れることが重要となる。これまでに周波数に依存した減衰メカニズムについて研究が行われてきている([4[など)。(E)の段階では多軸性や不規則荷重下の材料特性が影響する。溶接部・表面粗さ・経年化等による強度低減要因がこれに重畳する。 「b.閉塞分岐管停留部の熱成層化による高サイクル熱疲労」に関しては、上記より未解明な現象が多い。プラント配管において流れがある主管に端部が閉塞した分岐管が接続している場合、主管から分岐管に流れが侵入するキャビティフロー現象がみられる。主流が高温流体の場合、分岐管には熱成層界面が生じ、界面部の温度揺らぎ現象により高サイクル熱疲労が発生する可能性がある。そのメカニズムについて定性的にはFig.3のように理解が進んできており、現在は成層界面位置に及ぼす支配因子の分析と、界面位置の解析による予測性についての研究を行っている。Fig.4はその例であり、主流の流速を変化させた場合の、主配管分岐管から成層界面までの鉛直方向の距離を示している。低レイノルズ数型SSTモデルを用いたCFD解析は流速増加によって浸入が深くなる傾向を予測できている。しかし,全体的に試験データを深めに評価している。今後は界面温度変動特性の解明と、曲がり部近傍での熱成層界面変動に伴う熱応力発生メカニズム解明を進める計画である。 Hot Fluid THCold Fluid TC(A)(B)(C)(D)Hot FluidCold Fluid(A) Temp.Fluctuation inMain Flow(B) Temp.Fluctuation inBoundary Layer(D) Stress Fluctuation insideStructure(C) Temp.Fluctuation onStructural SurfaceProcessTimeFluidTemperatureTfTimeSurfaceTemperatureTsTimeThermal Stress σThermalFatigue(E) Fatigue crack initiation and propagationInfluenceFactors(1) Turbulent Diffusion in Fluid(2) Heat Transfer from Fluid to Structure(3) Heat conduction and constraint in Structure(4) Multi-axial random loads and material characteristicsFig.2 Thermal load and failure mechanism at mixing zone between cold and hot fluid Water stagnation(cold water) Temp. [K] Time [s] Hot water Cold water Cellular vertex Swirling vertex Driven cavity flow Elbow Horizontal part Temperature fluctuation Vertical part Main flow(hot water) Thermal stratification layer Fig.3 Thermal load and failure mechanism at elbows of stagnant branch pipes due to fluctuation of temperature stratification layer 2.004006008001E+26分岐部からの距離[mm]主流流速[m/s]CFD 最小CFD 最大既往文献深めに予測試験結果Fig.4 Comparison of depth of stratified layer from the main pipe between CFD prediction and experimental results 「破損メカニズム」に関しては、流体温度変動による熱応力の特徴を考慮した試験研究を進めている。一つは、振幅の異なる荷重による高サイクルと低サイクル疲労の重畳である。実機条件を模擬した多段負荷によるき裂発生とき裂進展試験を行っている。その結果、き裂進展下限値に対して負荷履歴が大きく影響するなどの知見が得られている[10]。今後は、安全性に影響するき裂の進展特性を重点的に解明していく予定である。 熱応力のもう一つの特徴は、比例負荷と非比例負荷を含む多軸応力場となることである。このため、以下の(1)~(3)の観点から、多軸応力下における材料の疲労強度特性を明らかにし、得られた結果を基に知識ベース化および安全評価手法への反映を図る。 (1) 多軸応力下における材料の熱疲労破損メカニズムの調査・解析 多軸応力下における材料の熱疲労破損メカニズムについて内外の知見を調査。 熱疲労損傷の実験およびシミュレーション解析結果について、非比例を含む多軸繰返し負荷の視点からの評価を行う。 (2) T字形合流配管の揺らぎを模擬した負荷履歴の非比例多軸疲労試験 T字形合流配管の揺らぎを模擬した負荷履歴の非比例多軸疲労試験を実施し、多軸負荷における疲労試験データを蓄積して、応力多軸下における材料の疲労強度(変形・破壊・寿命)特性を把握する。 (3) 非比例多軸の過大予負荷による高サイクル疲労強度への影響 SUS316鋼を対象として、比例および非比例多軸の非弾性の予負荷(過大負荷)を与えることによる高サイクル疲労強度(変形・破壊・寿命)特性への影響を実験的に調べ、非比例多軸の予負荷による損傷弱化と追硬化強化のメカニズムについて考察する。 これまでに非比例負荷条件では比例負荷に比較して強度が低下するが、T字管の条件では、極端な強度低下が生じる可能性は低いことや、板厚内温度勾配負荷で典型的な等2軸応力場では、通常のMises応力により保守的に評価可能であることを示す試験結果等を得つつある。 Fig.5は空気室に交互に圧縮空気を注入・排気するこ とで円盤状の試験片中心部に等二軸荷重を付加する膜厚式疲労試験装置である。SUS316試験片の膜厚式疲労試験結果と単軸試験、平板曲げ試験の結果を比較した結果がFig.6である。破損寿命はき裂貫通回数、ひずみは修正ポアソン比を用いたミーゼス型の相当ひずみで整理した。膜厚式疲労試験の疲労寿命は単軸疲労や平面曲げ疲労と比較して長寿命の傾向にある。 試験片ひずみゲージ空気チューブ空気チューブ空気室のぞき窓Fig.5 Equi-bi-axial fatigue tests of circular plates under alternating air pressure 膜圧疲労試験単軸疲労試験平面曲げ疲労試験ミーゼス相当ひずみ範囲(%)00.20.40.60.81.01.2103104105106107繰返し数N(cycle)膜圧疲労試験単軸疲労試験平面曲げ疲労試験ミーゼス相当ひずみ範囲(%)00.20.40.60.81.01.2103104105106107繰返し数N(cycle)Fig.6 Comparison of fatigue strength among Equi-bi-axial , uni-axial and bending conditions 3.科学的根拠に基づくJSME指針合理化案の提示 JSME指針の「a.不規則温度変動による高サイクル熱疲労」の評価法は基本的には、流体温度振幅と1次元モデルに基づくものであり、Fig.2で述べた減衰効果については、一定の係数で考慮している。これに対して、周波数に依存した応力の減衰特性を評価するためのパワースペクトル密度関数(PSD)に基づく合理化案を提案している。その一環として、不規則な波形を等価な振幅と一定周波数の波に置き換える手法Fig.7[11]、および「b.閉塞分岐管停留部の熱成層化による高サイクル熱疲労」への適用を可能とする熱成層界面ゆらぎに対する周波数伝達関数の研究[12]を行っている。今後は、き裂進展評価法の開発を行っていく計画である。 等価応力振幅を用いた決定論的評価の妥当性を示すため,FEM時刻歴解析によって得られた疲労損傷係数をリファレンスとして,JSME指針(Step4)の予測結果との比較を行った(Fig.8)。比較には,評価結果の疲労損傷係数DをリファレンスのD_(Ref.)で割った値(裕度)を用いる。青色のJSME指針の結果は,裕度が配管板厚と熱伝達係数に対して一定でないが、赤色の等価応力振幅を用いた評価の結果は裕度が一定である。 Frequency of occurrence0StressTimeFig.7 Proposal of Equivalent stress amplitude with constant frequency JSMEguidelineStep4EvaluationbyequivalentstressamplitudeFig. 8 Comparison of Fatigue strength margins between JSME guideline and the proposed method (impinging jet, ΔT=150deg) 熱成層化現象による温度成層界面ゆらぎの振る舞いを解析するため、2つの流体温度変動モデルを分析した。熱成層固定モデル(Fig.9)は流体温度が上下に分かれ、下方の温度は一定、上方は流体温度が正弦波状に変動する。これまでの周波数応答関数はこのモデルのように温度変動をする想定で開発された。熱成層移動モデル(Fig.6)は界面の空間移動を考慮に入れた流体温度変動モデルである。このモデルでは上部を高温、下部を低温にして2層に分け、この境界層が一定の周波数で正弦波状に移動する。2つのモデルの熱応力のゲインについて有限要素法シミュレーション結果と、低周波領域と高周波領域それぞれの熱応力応答メカニズムに基づき改良した周波数応答関数による予測値をそれぞれ示している。成層界面が移動する場合には、温度振幅と周波数が同じでも熱応力が増加することに注意が必要である。改良した周波数伝達関数はそれを精度良く予測できている。 Fig.9 Temperature oscillation with the fixed layer model Fig.10 Temperature oscillation with the moving layer model Fig.11 Gains of the frequency response function and finite element simulation results 4.シミュレーション技術の知識ベース構築 基本的に試験データと1次元モデルに基づくJSME指針の方法を、将来的には商用コードによる熱流動-構造数値シミュレーションを活用した熱応力評価手法に置き換えていくことを目標に、流体・構造連成解析による評価手法の開発と、熱疲労評価を前提とした場合の精度確認方法(V&V)と根拠データベースの整備(熱疲労破損の支配因子に着目)を行っている。 熱流動-構造数値シミュレーションはFig.12に示すように、構造物の温度をCFDコードで解く場合と、構造解析用のFEMコードで解くケースが考えられ、これまでの検討から、主要誤差要因の一つである熱伝達係数の仮定が不要な前者が有望であると判断している。また、CFD解析に使用する乱流モデルではLES Dynamicを採用すると実験データをよく再現する結果が得られており、LES Dynamicを採用した場合の計算結果のメッシュ依存性や上流境界条件の影響を調べた(Table 1)。また、熱応力への影響が大きいと思われる長周期温度変動や温度境界層のモデル化などについて検討を行った[13]。今後は、これらの検討を継続に加え、熱応力と疲労損傷評価を行っていく計画である。 CFDCFD & FEMFEMFluid temperatureThermal StressStructural temperature Outlet Ub = 1.5 m/s Tb = 33 °C Um = 1.46 m/s Tm = 48 °C x y z Adiabatic wall SUS304 6B sch40 t = 7.1 mm 2B sch40 t = 3.9 mm Fig.12 Fluid-structure numerical simulation for evaluation of thermal fatigue damage Table 1 Recommended CFD approaches 検討機関モデル化目的検討状況INSSLES*+壁関数主流の流体温度変動に影響を及ぼすパラメータを検討メッシュ影響を検討中。ある程度粗いメッシュでも実験結果より温度変動を大きく予測する傾向が見いだされた。上流影響を検討中。CTCLES*壁近傍の流体に詳細なメッシュを配置し、熱伝達を検討壁をモデルに入れた流体・構造熱連成解析を行い、メッシュ影響を検討中。東大壁近傍を詳細なメッシュで扱うか、壁関数を用いるかの差違を検討壁をモデルに入れた流体・構造熱連成解析を行い、壁温度での変動強度を計算済み。壁関数を今後検討。*:Dynamic SGSモデルと呼ばれるモデル化を用いた大規模渦解析(Large Eddy Simulation)4.システム安全評価のための破損予測式の提示 システム安全評価に影響する冷却材圧力バウンダリ機能損失確率評価を可能とするための破損確率評価法の開発を開始している。機能喪失と関連する破損様式として疲労き裂の発生に加え、進展と貫通を取り扱う必要がある。また、荷重と強度の両者にバラツキの要因があることから、これらの因子を考慮した破損確率評価法が必要となる。さらに、バウンダリ機能に関連する他の破損様式(減肉、環境疲労、低サイクル疲労等)との相互作用の有無や、評価法の整合性も考慮する必要がある。これまでに、Fig.13に示すようにモンテカルロ法によるき裂発生進展コードの整備と、破損の支配因子の摘出を行った。Fig.14はき裂貫通確率の影響因子に対する感度を計算した例で、き裂進展下限値が支配因子の一つであることが分かる。 熱疲労は荷重と強度の双方に多くの影響因子があり、これらすべてのバラツキを直接考慮することは現実的でない。このため今後は支配因子の摘出と共に、支配因子と破損確率の関係を限界状態関数Gで表現した上で、従来のモンテカルロ法に加えて、Gの確率変数を正規分布を仮定して破損確率を近似的に計算するAFOSM法や、確率情報を等価な設計係数に変換して現行規格に適用しやすくするLRFD法の適用を検討している(Fig.15)。 Load samplingCrack initiationCrack propagationTimeSampleCrack initiation ProbabilityThrough wall probabilityFig.13 Probabilistic crack initiation and propagation analysis method DT=75.C, R=0, a0=1mmDT=75.C, R=-1, a0=1mm10-310-210-11000510152025303540DKth == 2 MPa-m1/2DKth == 4 MPa-m1/2DKth == 6 MPa-m1/2DKth == 8 MPa-m1/2Conditional probability of failure [crack-1]Operation time [year]a0=1 mmc0=1 mmDT=75 deg.CDKth ≧10 MPa-m1/2ではき裂伝播しない10-1010-810-610-410-21000510152025303540DKth == 2 MPa-m1/2DKth == 4 MPa-m1/2Conditional probability of failure [crack-1]Operation time [year]a0=1 mmc0=1 mmDT=75 deg.CDKth ≧6 MPa-m1/2ではき裂伝播しないFig.14 Examples of probabilistic crack initiation and propagation analysis results 信頼性評価に必要な限界状態関数と様々な評価法モンテカルロ法(MCS法).多数のサンプルを用いて直接に破損確率Pfを計算.G<0となるサンプル数/全体のサンプル数=PfAFOSM 法.Gの確率変数を正規分布に近似し、破損確率Pfを近似的に計算.MCS法よりも計算コストが低いLRFD法.破損確率計算の結果より、荷重と強度の部分安全係数(PSF)を計算.Gに含まれる各確率変数のPSFを得られる.PSFは確率情報を持たない設計係数→現行規格に適用しやすい限界状態関数G :.例えば、荷重S,強度Rの場合G=R-S.Gの表現方法は複数あるG(X) > 0: 安全側G(X) < 0: 破損簡略化Fig.15 Reliability analysis methods for realistic evaluation of failure probabilities considering many influence parameters 5.まとめ 科学的・合理的な安全規制と保全活動、およびシステム安全評価への適用を目的に以下の研究を実施した。 1.荷重および破損メカニズムの解明 ・主管流速が熱成層界面位置に及ぼす影響を調査 ・高低サイクル疲労荷重重畳下のき裂発生進展試験 ・2軸荷重下、平均応力下での疲労強度試験を実施 2.科学的根拠に基づくJSME指針合理化案の提示 ・不規則な波形を等価振幅の波に置き換える手法の提案 ・熱成層界面ゆらぎに対する周波数伝達関数の開発 3.シミュレーション技術の知識ベース構築 ・CFDによる乱流モデル、メッシュの影響を調査 ・流体-構造熱連成解析手法の検討 4.システム安全評価のための劣化破損予測式の提示 ・機能損失確率評価を可能とする破損確率評価法の提案 ・破損確率に影響する主要パラメータの摘出 謝 辞 本研究は原子力規制庁の平成24 年度高経年化技術評価高度化事業の助成を受けて行われた。ここに記して謝意を表する。 参考文献 [1] Faidy,C.,“Thermal fatigue in mixing areas: Status and justification of French assessment method”,3rd International conference on fatigue of reactor components, EPRI-US NRC-OECD NEA, Seville, Spain(2004) [2] 配管の高サイクル熱疲労評価指針 JSME S017 2003年, 日本機械学会(2003). [1] 配管の高サイクル熱疲労評価指針 JSME S017 2003年, 日本機械学会(2003). [3] 滝沢真之、関村直人、青山勝信、宮野廣, 高経年化技術評価の高度化: 安全規制研究の取り組み, 保全学会,第9回学術講演会, C5-1,pp367/373,(2012). [4] 笠原直人、伊藤隆基、岡崎正和、奥田幸彦、釜谷昌幸、中村晶、中村均、町田秀夫, 高経年化技術評価の高度化 -配管系の熱疲労評価 -, 第9回学術講演会, C5-4, pp380/385(2012) [5] 楢原 由樹子、松崎 大地、室伏 正,笠原 直人, 閉塞分岐配管の熱成層界面の変動により生じる応力の推定, 保全学会,第9回学術講演会, B3-2, pp2291/296, (2012). [6] 岡崎正和, 岩崎亮, 笠原直人, , 高温疲労き裂進展下限界値と負荷履歴依存, 保全学会,第9回学術講演会, B3-1, pp285/290, (2012). [7] 鈴木隆史、笠原直人、等価応力振幅を用いた配管熱疲労評価法による評価結果の比較, 保全学会,第9回学術講演会, B3-3, pp297/302, (2012).. [8] 歌野原陽一、中村晶、三好弘二、笠原直人、“T字配管合流部に生じる温度変動の数値解析による評価 ―LES Dynamicによる格子影響評価―, 保全学会,第9回学術講演会, B3-4, pp303/308, (2012).. [9] 中村隆夫, 釜谷昌幸, 疲労評価グランドデザインの新たな構築に向けて,保全学会, 第10回学術講演会, 発表予定 [10] 岡崎正和, 岩崎亮, 笠原直人, 高温疲労き裂進展の下限界値と応力比/き裂面ウエーク/負荷履歴依存性, 保全学会,第10回学術講演会, 発表予定. [11] Takafumi Suzuki and Naoto Kasahara, Thermal Fatigue Evaluation Method of Pipes by Equivalent Stress Amplitude, ASME, PVP2012-78347, (2012) [12] 水谷 崇人、ダビッド フォウントヴィエス, 笠原 直人, 温度成層界面ゆらぎにより発生する熱応力の周波数応答に関する研究,保全学会, 第10回学術講演会, 発表予定 [13] Shaoxiang Qian, Shinichiro Kanamaru and Naoto Kasahara, High-Accuracy Analysis Methods of Fluid and Structure Temperature Fluctuations at T-Junction for Thermal Fatigue Evaluation, ASME, PVP2012-78159, -2012(平成25年6月21日)“ “配管系の熱疲労評価技術の開発 “ “笠原 直人,Naoto KASAHARA,伊藤 隆基,Takamoto ITOH,岡崎 正和,Masakazu OKAZAKI,東芝 奥田,奥田 幸彦,Yukihiko OKUDA,釜谷 昌幸,Masayuki KAMAYA,中村 晶,Akira NAKAMURA,町田 秀夫,Hideo MACHIDA,MRI 松本,松本 昌昭,Masaaki MATSUMOTO“ “配管系の熱疲労評価技術の開発 “ “笠原 直人,Naoto KASAHARA,伊藤 隆基,Takamoto ITOH,岡崎 正和,Masakazu OKAZAKI,東芝 奥田,奥田 幸彦,Yukihiko OKUDA,釜谷 昌幸,Masayuki KAMAYA,中村 晶,Akira NAKAMURA,町田 秀夫,Hideo MACHIDA,MRI 松本,松本 昌昭,Masaaki MATSUMOTO
原子力プラントにおける配管系の熱疲労は古くから認識されている課題であるが、近年においても破損例が報告され続けている([1]]など)理由として、熱疲労の発生原因が冷却材の温度変動であることから、現象が熱流動と構造の両分野に亘る複雑なものであり、運転中に生じる様々な熱流動現象と構造形状に応じて多くのモードが存在することが挙げられる。 熱疲労を熱荷重の発生原因に基づき大きく分けると,Fig.1のように「温度揺らぎ」「熱成層化」および「系統全体の熱過渡」とその他に分類される。この中で、「a.不規則温度変動による高サイクル熱疲労」と「b.閉塞分岐管停留部の熱成層化による高サイクル熱疲労」については,その発生頻度と対策の難しさから、「配管の高サイクル熱疲労評価指針 JSME S017 2003年、 日本機械学会[2]」に基づいて規制要求されている。 これに対して、破損事例のない箇所も含めて多くの設備対応を実施してきている事業者側からは、海外に比較して厳しい制限等の合理化と、概念に留まっている規定に対する強度評価法の整備が求められている。 ここで、熱疲労は熱流動と構造の連成現象であり、従来の強度評価を中心とした構造規格の範疇に当てはまらない荷重評価等が結果に大きく影響する。このため、評価に必要な広範な基盤技術を規制側と事業者側で共有可能とする技術情報基盤の整備が必要とされている。 また,福島第一原子力発電所事故後は、システム安全への影響評価が重要視されている[3]。こうした背景に基づき、科学的・合理的な安全規制と保全活動、およびシステム安全評価への適用を行うために、高経年化技術評価高度化事業[3]の一環として以下の(1)~(3)を2008年末から、(4)については2011年末から進めている[4]~[8]。 (1) 荷重および破損メカニズムの解明 (2) 科学的根拠に基づくJSME指針合理化案の提示 (3) シミュレーション技術の知識ベース構築 (4) システム安全評価のための破損予測式の提示 上記事業においては高経年化に関連する多数の破損様式を対象としており、疲労に関連する破損様式では共通の枠組みを検討している[9]。本研究は、主として配管熱疲労に関する2012年度の成果について報告する。
2.荷重および破損メカニズムの解明
「a.不規則温度変動による高サイクル熱疲労」に関して、流体温度変動による熱疲労現象を素過程に分解するとFig.2のようになる.(A)~(D)の過程を構造健全性への影響度の観点から捉えると、温度揺らぎ振幅の減衰要因が重要となり、これらの機構を解明して評価法に取り入れることが重要となる。これまでに周波数に依存した減衰メカニズムについて研究が行われてきている([4[など)。(E)の段階では多軸性や不規則荷重下の材料特性が影響する。溶接部・表面粗さ・経年化等による強度低減要因がこれに重畳する。 「b.閉塞分岐管停留部の熱成層化による高サイクル熱疲労」に関しては、上記より未解明な現象が多い。プラント配管において流れがある主管に端部が閉塞した分岐管が接続している場合、主管から分岐管に流れが侵入するキャビティフロー現象がみられる。主流が高温流体の場合、分岐管には熱成層界面が生じ、界面部の温度揺らぎ現象により高サイクル熱疲労が発生する可能性がある。そのメカニズムについて定性的にはFig.3のように理解が進んできており、現在は成層界面位置に及ぼす支配因子の分析と、界面位置の解析による予測性についての研究を行っている。Fig.4はその例であり、主流の流速を変化させた場合の、主配管分岐管から成層界面までの鉛直方向の距離を示している。低レイノルズ数型SSTモデルを用いたCFD解析は流速増加によって浸入が深くなる傾向を予測できている。しかし,全体的に試験データを深めに評価している。今後は界面温度変動特性の解明と、曲がり部近傍での熱成層界面変動に伴う熱応力発生メカニズム解明を進める計画である。 Hot Fluid THCold Fluid TC(A)(B)(C)(D)Hot FluidCold Fluid(A) Temp.Fluctuation inMain Flow(B) Temp.Fluctuation inBoundary Layer(D) Stress Fluctuation insideStructure(C) Temp.Fluctuation onStructural SurfaceProcessTimeFluidTemperatureTfTimeSurfaceTemperatureTsTimeThermal Stress σThermalFatigue(E) Fatigue crack initiation and propagationInfluenceFactors(1) Turbulent Diffusion in Fluid(2) Heat Transfer from Fluid to Structure(3) Heat conduction and constraint in Structure(4) Multi-axial random loads and material characteristicsFig.2 Thermal load and failure mechanism at mixing zone between cold and hot fluid Water stagnation(cold water) Temp. [K] Time [s] Hot water Cold water Cellular vertex Swirling vertex Driven cavity flow Elbow Horizontal part Temperature fluctuation Vertical part Main flow(hot water) Thermal stratification layer Fig.3 Thermal load and failure mechanism at elbows of stagnant branch pipes due to fluctuation of temperature stratification layer 2.004006008001E+26分岐部からの距離[mm]主流流速[m/s]CFD 最小CFD 最大既往文献深めに予測試験結果Fig.4 Comparison of depth of stratified layer from the main pipe between CFD prediction and experimental results 「破損メカニズム」に関しては、流体温度変動による熱応力の特徴を考慮した試験研究を進めている。一つは、振幅の異なる荷重による高サイクルと低サイクル疲労の重畳である。実機条件を模擬した多段負荷によるき裂発生とき裂進展試験を行っている。その結果、き裂進展下限値に対して負荷履歴が大きく影響するなどの知見が得られている[10]。今後は、安全性に影響するき裂の進展特性を重点的に解明していく予定である。 熱応力のもう一つの特徴は、比例負荷と非比例負荷を含む多軸応力場となることである。このため、以下の(1)~(3)の観点から、多軸応力下における材料の疲労強度特性を明らかにし、得られた結果を基に知識ベース化および安全評価手法への反映を図る。 (1) 多軸応力下における材料の熱疲労破損メカニズムの調査・解析 多軸応力下における材料の熱疲労破損メカニズムについて内外の知見を調査。 熱疲労損傷の実験およびシミュレーション解析結果について、非比例を含む多軸繰返し負荷の視点からの評価を行う。 (2) T字形合流配管の揺らぎを模擬した負荷履歴の非比例多軸疲労試験 T字形合流配管の揺らぎを模擬した負荷履歴の非比例多軸疲労試験を実施し、多軸負荷における疲労試験データを蓄積して、応力多軸下における材料の疲労強度(変形・破壊・寿命)特性を把握する。 (3) 非比例多軸の過大予負荷による高サイクル疲労強度への影響 SUS316鋼を対象として、比例および非比例多軸の非弾性の予負荷(過大負荷)を与えることによる高サイクル疲労強度(変形・破壊・寿命)特性への影響を実験的に調べ、非比例多軸の予負荷による損傷弱化と追硬化強化のメカニズムについて考察する。 これまでに非比例負荷条件では比例負荷に比較して強度が低下するが、T字管の条件では、極端な強度低下が生じる可能性は低いことや、板厚内温度勾配負荷で典型的な等2軸応力場では、通常のMises応力により保守的に評価可能であることを示す試験結果等を得つつある。 Fig.5は空気室に交互に圧縮空気を注入・排気するこ とで円盤状の試験片中心部に等二軸荷重を付加する膜厚式疲労試験装置である。SUS316試験片の膜厚式疲労試験結果と単軸試験、平板曲げ試験の結果を比較した結果がFig.6である。破損寿命はき裂貫通回数、ひずみは修正ポアソン比を用いたミーゼス型の相当ひずみで整理した。膜厚式疲労試験の疲労寿命は単軸疲労や平面曲げ疲労と比較して長寿命の傾向にある。 試験片ひずみゲージ空気チューブ空気チューブ空気室のぞき窓Fig.5 Equi-bi-axial fatigue tests of circular plates under alternating air pressure 膜圧疲労試験単軸疲労試験平面曲げ疲労試験ミーゼス相当ひずみ範囲(%)00.20.40.60.81.01.2103104105106107繰返し数N(cycle)膜圧疲労試験単軸疲労試験平面曲げ疲労試験ミーゼス相当ひずみ範囲(%)00.20.40.60.81.01.2103104105106107繰返し数N(cycle)Fig.6 Comparison of fatigue strength among Equi-bi-axial , uni-axial and bending conditions 3.科学的根拠に基づくJSME指針合理化案の提示 JSME指針の「a.不規則温度変動による高サイクル熱疲労」の評価法は基本的には、流体温度振幅と1次元モデルに基づくものであり、Fig.2で述べた減衰効果については、一定の係数で考慮している。これに対して、周波数に依存した応力の減衰特性を評価するためのパワースペクトル密度関数(PSD)に基づく合理化案を提案している。その一環として、不規則な波形を等価な振幅と一定周波数の波に置き換える手法Fig.7[11]、および「b.閉塞分岐管停留部の熱成層化による高サイクル熱疲労」への適用を可能とする熱成層界面ゆらぎに対する周波数伝達関数の研究[12]を行っている。今後は、き裂進展評価法の開発を行っていく計画である。 等価応力振幅を用いた決定論的評価の妥当性を示すため,FEM時刻歴解析によって得られた疲労損傷係数をリファレンスとして,JSME指針(Step4)の予測結果との比較を行った(Fig.8)。比較には,評価結果の疲労損傷係数DをリファレンスのD_(Ref.)で割った値(裕度)を用いる。青色のJSME指針の結果は,裕度が配管板厚と熱伝達係数に対して一定でないが、赤色の等価応力振幅を用いた評価の結果は裕度が一定である。 Frequency of occurrence0StressTimeFig.7 Proposal of Equivalent stress amplitude with constant frequency JSMEguidelineStep4EvaluationbyequivalentstressamplitudeFig. 8 Comparison of Fatigue strength margins between JSME guideline and the proposed method (impinging jet, ΔT=150deg) 熱成層化現象による温度成層界面ゆらぎの振る舞いを解析するため、2つの流体温度変動モデルを分析した。熱成層固定モデル(Fig.9)は流体温度が上下に分かれ、下方の温度は一定、上方は流体温度が正弦波状に変動する。これまでの周波数応答関数はこのモデルのように温度変動をする想定で開発された。熱成層移動モデル(Fig.6)は界面の空間移動を考慮に入れた流体温度変動モデルである。このモデルでは上部を高温、下部を低温にして2層に分け、この境界層が一定の周波数で正弦波状に移動する。2つのモデルの熱応力のゲインについて有限要素法シミュレーション結果と、低周波領域と高周波領域それぞれの熱応力応答メカニズムに基づき改良した周波数応答関数による予測値をそれぞれ示している。成層界面が移動する場合には、温度振幅と周波数が同じでも熱応力が増加することに注意が必要である。改良した周波数伝達関数はそれを精度良く予測できている。 Fig.9 Temperature oscillation with the fixed layer model Fig.10 Temperature oscillation with the moving layer model Fig.11 Gains of the frequency response function and finite element simulation results 4.シミュレーション技術の知識ベース構築 基本的に試験データと1次元モデルに基づくJSME指針の方法を、将来的には商用コードによる熱流動-構造数値シミュレーションを活用した熱応力評価手法に置き換えていくことを目標に、流体・構造連成解析による評価手法の開発と、熱疲労評価を前提とした場合の精度確認方法(V&V)と根拠データベースの整備(熱疲労破損の支配因子に着目)を行っている。 熱流動-構造数値シミュレーションはFig.12に示すように、構造物の温度をCFDコードで解く場合と、構造解析用のFEMコードで解くケースが考えられ、これまでの検討から、主要誤差要因の一つである熱伝達係数の仮定が不要な前者が有望であると判断している。また、CFD解析に使用する乱流モデルではLES Dynamicを採用すると実験データをよく再現する結果が得られており、LES Dynamicを採用した場合の計算結果のメッシュ依存性や上流境界条件の影響を調べた(Table 1)。また、熱応力への影響が大きいと思われる長周期温度変動や温度境界層のモデル化などについて検討を行った[13]。今後は、これらの検討を継続に加え、熱応力と疲労損傷評価を行っていく計画である。 CFDCFD & FEMFEMFluid temperatureThermal StressStructural temperature Outlet Ub = 1.5 m/s Tb = 33 °C Um = 1.46 m/s Tm = 48 °C x y z Adiabatic wall SUS304 6B sch40 t = 7.1 mm 2B sch40 t = 3.9 mm Fig.12 Fluid-structure numerical simulation for evaluation of thermal fatigue damage Table 1 Recommended CFD approaches 検討機関モデル化目的検討状況INSSLES*+壁関数主流の流体温度変動に影響を及ぼすパラメータを検討メッシュ影響を検討中。ある程度粗いメッシュでも実験結果より温度変動を大きく予測する傾向が見いだされた。上流影響を検討中。CTCLES*壁近傍の流体に詳細なメッシュを配置し、熱伝達を検討壁をモデルに入れた流体・構造熱連成解析を行い、メッシュ影響を検討中。東大壁近傍を詳細なメッシュで扱うか、壁関数を用いるかの差違を検討壁をモデルに入れた流体・構造熱連成解析を行い、壁温度での変動強度を計算済み。壁関数を今後検討。*:Dynamic SGSモデルと呼ばれるモデル化を用いた大規模渦解析(Large Eddy Simulation)4.システム安全評価のための破損予測式の提示 システム安全評価に影響する冷却材圧力バウンダリ機能損失確率評価を可能とするための破損確率評価法の開発を開始している。機能喪失と関連する破損様式として疲労き裂の発生に加え、進展と貫通を取り扱う必要がある。また、荷重と強度の両者にバラツキの要因があることから、これらの因子を考慮した破損確率評価法が必要となる。さらに、バウンダリ機能に関連する他の破損様式(減肉、環境疲労、低サイクル疲労等)との相互作用の有無や、評価法の整合性も考慮する必要がある。これまでに、Fig.13に示すようにモンテカルロ法によるき裂発生進展コードの整備と、破損の支配因子の摘出を行った。Fig.14はき裂貫通確率の影響因子に対する感度を計算した例で、き裂進展下限値が支配因子の一つであることが分かる。 熱疲労は荷重と強度の双方に多くの影響因子があり、これらすべてのバラツキを直接考慮することは現実的でない。このため今後は支配因子の摘出と共に、支配因子と破損確率の関係を限界状態関数Gで表現した上で、従来のモンテカルロ法に加えて、Gの確率変数を正規分布を仮定して破損確率を近似的に計算するAFOSM法や、確率情報を等価な設計係数に変換して現行規格に適用しやすくするLRFD法の適用を検討している(Fig.15)。 Load samplingCrack initiationCrack propagationTimeSampleCrack initiation ProbabilityThrough wall probabilityFig.13 Probabilistic crack initiation and propagation analysis method DT=75.C, R=0, a0=1mmDT=75.C, R=-1, a0=1mm10-310-210-11000510152025303540DKth == 2 MPa-m1/2DKth == 4 MPa-m1/2DKth == 6 MPa-m1/2DKth == 8 MPa-m1/2Conditional probability of failure [crack-1]Operation time [year]a0=1 mmc0=1 mmDT=75 deg.CDKth ≧10 MPa-m1/2ではき裂伝播しない10-1010-810-610-410-21000510152025303540DKth == 2 MPa-m1/2DKth == 4 MPa-m1/2Conditional probability of failure [crack-1]Operation time [year]a0=1 mmc0=1 mmDT=75 deg.CDKth ≧6 MPa-m1/2ではき裂伝播しないFig.14 Examples of probabilistic crack initiation and propagation analysis results 信頼性評価に必要な限界状態関数と様々な評価法モンテカルロ法(MCS法).多数のサンプルを用いて直接に破損確率Pfを計算.G<0となるサンプル数/全体のサンプル数=PfAFOSM 法.Gの確率変数を正規分布に近似し、破損確率Pfを近似的に計算.MCS法よりも計算コストが低いLRFD法.破損確率計算の結果より、荷重と強度の部分安全係数(PSF)を計算.Gに含まれる各確率変数のPSFを得られる.PSFは確率情報を持たない設計係数→現行規格に適用しやすい限界状態関数G :.例えば、荷重S,強度Rの場合G=R-S.Gの表現方法は複数あるG(X) > 0: 安全側G(X) < 0: 破損簡略化Fig.15 Reliability analysis methods for realistic evaluation of failure probabilities considering many influence parameters 5.まとめ 科学的・合理的な安全規制と保全活動、およびシステム安全評価への適用を目的に以下の研究を実施した。 1.荷重および破損メカニズムの解明 ・主管流速が熱成層界面位置に及ぼす影響を調査 ・高低サイクル疲労荷重重畳下のき裂発生進展試験 ・2軸荷重下、平均応力下での疲労強度試験を実施 2.科学的根拠に基づくJSME指針合理化案の提示 ・不規則な波形を等価振幅の波に置き換える手法の提案 ・熱成層界面ゆらぎに対する周波数伝達関数の開発 3.シミュレーション技術の知識ベース構築 ・CFDによる乱流モデル、メッシュの影響を調査 ・流体-構造熱連成解析手法の検討 4.システム安全評価のための劣化破損予測式の提示 ・機能損失確率評価を可能とする破損確率評価法の提案 ・破損確率に影響する主要パラメータの摘出 謝 辞 本研究は原子力規制庁の平成24 年度高経年化技術評価高度化事業の助成を受けて行われた。ここに記して謝意を表する。 参考文献 [1] Faidy,C.,“Thermal fatigue in mixing areas: Status and justification of French assessment method”,3rd International conference on fatigue of reactor components, EPRI-US NRC-OECD NEA, Seville, Spain(2004) [2] 配管の高サイクル熱疲労評価指針 JSME S017 2003年, 日本機械学会(2003). [1] 配管の高サイクル熱疲労評価指針 JSME S017 2003年, 日本機械学会(2003). [3] 滝沢真之、関村直人、青山勝信、宮野廣, 高経年化技術評価の高度化: 安全規制研究の取り組み, 保全学会,第9回学術講演会, C5-1,pp367/373,(2012). [4] 笠原直人、伊藤隆基、岡崎正和、奥田幸彦、釜谷昌幸、中村晶、中村均、町田秀夫, 高経年化技術評価の高度化 -配管系の熱疲労評価 -, 第9回学術講演会, C5-4, pp380/385(2012) [5] 楢原 由樹子、松崎 大地、室伏 正,笠原 直人, 閉塞分岐配管の熱成層界面の変動により生じる応力の推定, 保全学会,第9回学術講演会, B3-2, pp2291/296, (2012). [6] 岡崎正和, 岩崎亮, 笠原直人, , 高温疲労き裂進展下限界値と負荷履歴依存, 保全学会,第9回学術講演会, B3-1, pp285/290, (2012). [7] 鈴木隆史、笠原直人、等価応力振幅を用いた配管熱疲労評価法による評価結果の比較, 保全学会,第9回学術講演会, B3-3, pp297/302, (2012).. [8] 歌野原陽一、中村晶、三好弘二、笠原直人、“T字配管合流部に生じる温度変動の数値解析による評価 ―LES Dynamicによる格子影響評価―, 保全学会,第9回学術講演会, B3-4, pp303/308, (2012).. [9] 中村隆夫, 釜谷昌幸, 疲労評価グランドデザインの新たな構築に向けて,保全学会, 第10回学術講演会, 発表予定 [10] 岡崎正和, 岩崎亮, 笠原直人, 高温疲労き裂進展の下限界値と応力比/き裂面ウエーク/負荷履歴依存性, 保全学会,第10回学術講演会, 発表予定. [11] Takafumi Suzuki and Naoto Kasahara, Thermal Fatigue Evaluation Method of Pipes by Equivalent Stress Amplitude, ASME, PVP2012-78347, (2012) [12] 水谷 崇人、ダビッド フォウントヴィエス, 笠原 直人, 温度成層界面ゆらぎにより発生する熱応力の周波数応答に関する研究,保全学会, 第10回学術講演会, 発表予定 [13] Shaoxiang Qian, Shinichiro Kanamaru and Naoto Kasahara, High-Accuracy Analysis Methods of Fluid and Structure Temperature Fluctuations at T-Junction for Thermal Fatigue Evaluation, ASME, PVP2012-78159, -2012(平成25年6月21日)“ “配管系の熱疲労評価技術の開発 “ “笠原 直人,Naoto KASAHARA,伊藤 隆基,Takamoto ITOH,岡崎 正和,Masakazu OKAZAKI,東芝 奥田,奥田 幸彦,Yukihiko OKUDA,釜谷 昌幸,Masayuki KAMAYA,中村 晶,Akira NAKAMURA,町田 秀夫,Hideo MACHIDA,MRI 松本,松本 昌昭,Masaaki MATSUMOTO“ “配管系の熱疲労評価技術の開発 “ “笠原 直人,Naoto KASAHARA,伊藤 隆基,Takamoto ITOH,岡崎 正和,Masakazu OKAZAKI,東芝 奥田,奥田 幸彦,Yukihiko OKUDA,釜谷 昌幸,Masayuki KAMAYA,中村 晶,Akira NAKAMURA,町田 秀夫,Hideo MACHIDA,MRI 松本,松本 昌昭,Masaaki MATSUMOTO