ガイド波を用いたエルボウ部配管減肉検査の 信頼性評価法

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カテゴリ: 第10回
1.はじめに
現在、配管の高経年化による劣化から引き起こされる事故を未然に防ぐための減肉検査の一つに、ガイド波を用いた非破壊検査法がある。ガイド波は長距離伝播可能な超音波であり、配管の広い範囲を一度に計測できる。しかしエルボウ部においては、背側と腹側の伝播距離差によって、検出位置による検出感度の違いや励起周波数による信号強度の違いが生じるため、検査環境によって検査結果の信頼性が異なる[1]。一方、非破壊検査の信頼性の定量評価の可能なPOD(Probability of Detection:検出確率)法が提案されている。本研究では、POD 法を用いて、減肉検出の基準となるガイド波の応答信号の閾値の変化が検査結果の信頼性に与える影響について確認する。2.Hit/Miss 法によるPOD の推定 POD を用いた信頼性の評価について、本研究ではHit/Miss 法を適用する。これは、検出(Hit)イベントを1、不検出(Miss)イベントを0 としたイベントセットを用いて、2 値確率問題としてPODを推定する手法である[2]。深さ....の減肉のPOD のモデル式として
を用いる[3]。50%の確率で検出される減肉の深さ...... .. と指数パラメータ..を、実験データ(................)とモデルの誤差が最小になるように準ニュートン法を用いて推定し、POD のモデルを決定する。3.検査基準の違いによる POD の比較 エルボウの背側4 ヶ所、側面5 ヶ所、腹側4 ヶ所に検査領域を分割し(Fig.1)、0.25mm ずつ深さが2.00mm になるまで漸増させた減肉を仮定する。30・40・50kHz のガイド波を励起させ、減肉位置・減肉深さの各組み合わせにおける反射波を測定し(データ提供:徳島大学西野研究室)、減肉無しでの反射波の信号値との差分の最大ピークの絶対値を、その位置・周波数における最大値とする。そして、最大値の30・40・50・60%を閾値として、信号値の差分が閾値よりも大きければ検出(1)、小さければ不検出(0)として、各閾値に対応するイベントセットを作成する。閾値が低くなるほど小さな信号も検出できるようになるため、検査基準が厳しくなり、より熟練の検査者の検査データに対応することになる。各イベントセットから推定したPOD は、Fig.2 のようになった。信号値における検出閾値が低くなるほど...... .. の値が小さくなり、実際の減肉検出における閾値と対応しているので、...... .. をみることで信号値の閾値のレベルに対してどれだけの深さの減肉を見ることができるかが分かる。逆に連絡先: 小島史男、〒657-8501 兵庫県神戸市灘区六甲台町1-1、神戸大学大学院システム情報学研究科、E-mail: kojima@koala.kobe-u.ac.jp 検査したい減肉の深さが分かっているときに、信号値の閾値をどのレベルに設定すれば良いかを調べることもできる。また、..が大きいほど立ち上がりが急になり分解能が高いことから、検査の精度も確認できる。4.検査環境を考慮したモデルの推定 閾値を検出信号に応じて任意に設定することでFig.2に示したような確率で減肉の検出が可能となるが、減肉の位置や入力信号の励起周波数の条件によっては、深さ...... .. よりも深い減肉が検出されない場合もある。これらの条件に応じた減肉深さに関する閾値..........を用いることで、厳密な検出が可能となると考えられる。..........を決定するため、まず、...... .. を用いて....と..........を正規化する。.. .. .... ...... . .. , ........ .. .......... ...... .. .. (2) 減肉の位置と入力信号の励起周波数の影響を調整するためのパラメータ......(位置)・......(周波数)を、........に導入する。........ .. 1 .. ...... .. ...... (3) 次に、信号値から得られるイベントセットに最もよく整合する......と......を探すため、最適化問題を定式化する。.... .. .. .. .. .. .. .. min ......,...... .. .. ....,.. .. ...... .. ...... ....,.. .. .. ....,.. .. .. .. ....,.. .... ....,.. .. 0 exp........,.... .. 1 .................. ....,.. .. ..2....,.. .. .. 1......,.. ....,.. .. .. .. ..1 .. .... .. .. .. .......... .. .. .. ....,.. ...... -4準ニュートン法によって推定した....を式(5)に代入して求めた減肉深さの閾値を適用して新たに作成したイベントセットにおけるPOD をFig.3 に示す。ここでは信号値の50%を閾値としたイベントセットを用いた場合の結果と比較する。...... .. が下がったことでより浅い減肉が見えるようになり、..が上がったことで分解能が高くなったことが分かる。5.おわりに 本研究において、配管のエルボウ部における減肉についてガイド波を用いて反射波の信号値を調べたデータからPOD を推定し、信号値の閾値を変えたPOD を調べることで検査の基準をより細かく確認することができた。また、検査環境を考慮したモデルから求めたPODを調べ、検査の精度が上がったことを確認した。Fig.1 Pinning Location on Elbow Fig.2 Comparison of PODs based on Thresholds Fig.3 Comparison of PODs based on Conditions 参考文献 [1] 西野秀郎, “非破壊計測のためのガイド波の基礎と展望”, JSNDI, pp.654-661, 2002 [2] A. Coppe, et al. , “Optimization of Distribution Parameters for Estimating Probability of Crack Detection”, JOURNAL OF AIRCRAFT Vol.46 No.6, 2009 (平成25 年6 月28 日) “ “ガイド波を用いたエルボウ部配管減肉検査の 信頼性評価法 “ “小島 史男,Fumio KOJIMA,日置 純子,Junko HIOKI,西野 秀夫,Hideo NISHINO“ “ガイド波を用いたエルボウ部配管減肉検査の 信頼性評価法 “ “小島 史男,Fumio KOJIMA,日置 純子,Junko HIOKI,西野 秀夫,Hideo NISHINO
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