帰還困難区域における路面除染の予測と実証
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カテゴリ: 第10回
1.はじめに
東京電力福島第一原子力発電所による原子力災害によって汚染された地域の除染が進められている。除染を加速させるには、仮置場の選定を早めるなどいくつかの方策が考えられるが、的確で合理的な除染効果を予測することでも加速させられると考える。除染する区域が決定した場合、行政からその発注を受けた業者が除染を行うわけだが、除染結果の予測が困難であることから除染後の空間線量率等を検収条件とすることができない。他方、除染効果を確認するシステムは存在している[1]が、専門知識が必要で、シミュレーションソフトへの入力データを作成するだけで数時間を要するため実質的には利用が進んでいない。的確に除染効果の予測が行えた場合、的確な除染技術を選定し、目標とする空間線量率を担保できる除染を行うことが可能となる。 そこで、原子力機構では、簡便なユーザーインターフェイス(U/I)で目標線量率を予測するシミュレーションソフト「除染活動支援システムRESET(The Restoration Support system for Environment)」を開発した。 また、原子力機構では、平成23年度に内閣府より委託を受けて、警戒区域内の除染モデル実証事業並びに新しい除染技術の実証試験を実施してきた[2]。この中で最大280MPaの超高圧水を用いた路面除染技術は、路面表面を薄く切削することで高い除染効果を発揮し、除染によって発生する除去物量も少ない。 本研究では、このRESETの予測と超高圧水による実際の除染結果を比較評価するものである。 なお、評価場所は、周辺からの放射線の影響を受けやすい空間線量率の高い地域である帰還困難区域内かつ除染効果の得られにくい透水性アスファルト舗装面とした。 帰還困難区域とは、放射線の年間積算線量が50ミリシーベルトを超え、5年間を経過しても年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれのある地域で5年以上の長期にわたって居住が制限される地域と定義されている。
2.超高圧水除染による面的除染
2.1 舗装面の汚染状態 除染試験は大熊町の帰還困難区域内にある県立大野病院で行った。面的除染効果を確認するために大野病院駐車場約1.3haを利用した。図1は大野病院内にある密粒アスファルト(AS)と透水性ASをコア抜きし、その断面の汚染状況をイメージングプレート(IP)により確認した図である。密粒ASは表面の汚染が高いのに対し、透水性ASは骨材内部にまで汚染が存在していることがわかる。これが、透水性ASの除染効果が得られにくい理由である。 透水性ASの場合、高い除染効果を得るには切削深さを深くすることが考えられるが、その場合補修舗装が必要となり、補修舗装を行った場合には必要な透水性が損なわれる可能性があり、コスト高にもなるため、透水性ASの除染は補修が不要な範囲で実施する。 密粒アスファルト 透水性アスファルト 図1 舗装面の断面汚染状態 左は光学写真、右はIPによる放射能汚染状態を示す。上面が路面に相当する。 2.2 舗装面の除染条件 水圧が100MPa未満の高圧水での除染は路面を洗浄することで汚れとともに放射性物質を取り除くのに対し、超高圧水による除染は、路面表面を薄く切削することにより放射性物質を路面材ごと取り除くことができる。本研究で利用した超高圧水除染システムは、水圧を最大280MPa、水量を最大40L/minまで噴射することが可能である。路面とノズルのスタンドオフ距離、除染ヘッドのノズル回転数や平米あたりの除染速度(1m2)を一定として水圧と水量を調整することで路面に与える衝撃力を調整し、最適な除染条件を求める。路面への衝撃力F[N]は式(1)で定義される。Q(L/min)は水量、P(MPa)は水圧である。 /min =PQ0.745××F1899/12/29 衝撃力を変化させた際の路面への除染係数(DF=(除染前の表面汚染密度)/(除染後の表面汚染密度))を図2に示す。透水性ASの場合、DFを10以上得るには、約400N以上の衝撃力が必要であるが、切削された路面状態から300N以上では補修が必要な可能性があったことから、本研究では、透水性ASはDF5程度、密粒ASはDF10程度が得られる条件で試験を実施した。尚、水量が20L/min以下であれば、除染ヘッドを2台同時利用できるため、作業効率は2倍。13.3L/min以下であれば、3台同時に利用できるため、作業効率は3倍にできる。 y = 0.0309x -1.5131y = 0.1461x -12.7550102030405060700100200300400500600700800除染係数(DF)衝撃力[N]透水性AS密粒AS作業効率2倍作業効率3倍図2 大野病院駐車場における密粒ASと透水性ASの衝撃力と除染係数の関係 3.除染活動支援システム(RESET) 3.1 シミュレーション方法 従来の除染効果シミュレーション手法[1]を用いて、除染効果を評価するには、除染対象地点の除染前の空間線量率(地表から1mの高さ)と目標とするDFの入力が必要であった。そのため、空間線量率を予測するには地形データ等の複雑な条件設定を行わなければならなかった。本研究で開発したRESETは除染対象地点に対し、予め周辺からの影響をモンテカルロ(MCNP)コードにより計算した寄与率データベースを用意し、事前に測定した空間線量率データと地理情報システム(GIS)の標高データから、除染対象の汚染密度を逆計算により求め、目標とする空間線量率に必要なDF分布を作成する。これにより、ユーザーは、このDF分布通りに除染を行うことで、目標とする空間線量率を達成できることになる。この時の関係式を式(2)に示す。Dは空間線量率(μSv/h)、Fは寄与率、Sは汚染密度(Bq/cm2)の行列である。 -2SFD.= なお、本システムで計算した結果は、経年変化を予測することも可能である。この計算フローを図3に示す。 RESETのユーザーは、専門家以外を想定しており、U/Iを極力簡素化している。ユーザーはアプリケーションソフトを作業PCにインストールするのではなく、インターネットからクラウドサーバー上のRESETシステムに接続し、クリック操作によって設定を行う。事前の空間線量率評価と目標線量率評価が主な計算パートで、2次元計算の場合、それぞれ約5分の計算時間で予測されるため、30分程度で除染予定箇所の除染後の空間線量率を予測し、必要な除染係数分布を得ることができる。一方で、除染対象エリア全面を除染するのではなく、一部を除染する場合も想定されるため、除染係数を最小10×10mのメッシュごとに指定して必要箇所のみを予測することも可能である。本研究では、大野病院駐車場に対し、超高圧水除染装置の除染係数(透水性AS:5、密粒AS:10)を与え、シミュレーションを実施し、実際の除染結果と比較評価を行った。 3.2 シミュレーション評価 シミュレーションに用いる計算メッシュは最小が10×10mであり、保守的評価のためにこのメッシュ内の測定点の最大値をその場の空間線量率とすることとしている。 本システムは地形を考慮した3次元のシミュレーションができるが、大野病院は比較的平坦な場所に立地するため、2次元シミュレーションを行った。尚、本システムは建物による遮へいまでは考慮していない。図4は左から除染前空間線量率、除染係数分布、シミュレーション結果(空間線量率)、実際の除染結果(空間線量率)である。 寄与率データベース散乱線直接線線源測定点地上1m各線源から各測定点までの寄与をMCNPにより作成各測定点の線量率をメッシュに割り当て標高データF(寄与率メッシュデータ)地形に合致した寄与率の抽出RESET日時データ(測定日、計算日)F、Dおよび日時データより時間減衰を考慮した汚染密度を求め、汚染密度÷除染係数よりD0、D1、D3、D5、D10を算出(添字は年後)D:空間線量率(μSv/h)F:寄与率S:汚染密度(Bq/cm2)基本式最大値最小値D0(計算日の線量率計算結果)D1(1年後の線量率計算結果)D(線量率メッシュデータ)D10(10年後の線量率計算結果)RESET測定点計算範囲予測線量率(計算日、1、3、5、10年後)予測線量率(計算日、1、3、5、10年後)除染係数メッシュデータ図3 RESETの計算フロー 除染係数分布の青い部分はDF1(除染なし)が入力されている。黒四角は、後に示すシミュレーションと除染試験結果を比較評価するエリアである。なお、シミュレーション範囲の真ん中には本来は遮へい体となる病院建物が存在する。図4に示された除染エリアの空間線量率分布は予測と実際の除染結果が概ね良い一致をしている。次に図4黒四角で囲った評価エリア内の各状態での空間線量率を表1で比較する。評価精度は±50%以内で一致しており、±30%を超える箇所は建物近傍など遮へい効果が考慮されていないことによる影響であると考える。 DF10DF5AE19図4 除染シミュレーション結果分布 左から除染前空間線量率、除染係数、シミュレーション結果、実際の除染結果の分布 表1 シミュレーション精度評価 123456789単位除染前201919191818171718μSv/h除染係数555555551-予測線量率109999991016μSv/h除染後10876666810μSv/h予測精度-11324303235372137%除染前201918191818181819μSv/h除染係数555555555-予測線量率9888888910μSv/h除染後9876666712μSv/h予測精度57121825222115-13%除染前191919191818181919μSv/h除染係数555555555-予測線量率9888888910μSv/h除染後8887667812μSv/h予測精度1215161918137-21%除染前181819191818181819μSv/h除染係数555555555-予測線量率101099888910μSv/h除染後1510108877912μSv/h予測精度-48-2-77889-4-20%除染前181818181818181818μSv/h除染係数111155551-予測線量率1616151510991016μSv/h除染後15151416129101112μSv/h予測精度549-5-303-10-1323%EエリアABCD4.まとめ 除染シミュレーションソフトと実際の超高圧水除染技術による除染結果の比較評価を実施した。空間線量率は±20%程度の誤差を有していることから考えても、シミュレーションと試験結果はよい一致を示した。今後精度を高めるには、遮へい効果等を取り入れる必要があるが、厳密解を得ようとすればするほど、U/Iや利便性が失われる。今後は、数多くのケースを実際の除染現場に利用しつつ、実用性とのバランスに配慮して精度向上に努める。 参考文献 [1] 佐藤大樹, 久語輝彦ほか, 除染効果評価システムCDEの開発, JAEA-Research 2012-020, 2012, 97p. [2] 原子力機構, “福島第一原子力発電所事故に係る避難区域等における除染実証業務【除染技術実証試験事業編】報告書”, http://fukushima.jaea.go.jp/initiatives/cat01/pdf/report_3.pdf (平成25年5月30日)“ “帰還困難区域における路面除染の予測と実証 “ “田川 明広,Akihiro TAGAWA,山下 卓哉,Takuya YAMASHITA“ “帰還困難区域における路面除染の予測と実証 “ “田川 明広,Akihiro TAGAWA,山下 卓哉,Takuya YAMASHITA
東京電力福島第一原子力発電所による原子力災害によって汚染された地域の除染が進められている。除染を加速させるには、仮置場の選定を早めるなどいくつかの方策が考えられるが、的確で合理的な除染効果を予測することでも加速させられると考える。除染する区域が決定した場合、行政からその発注を受けた業者が除染を行うわけだが、除染結果の予測が困難であることから除染後の空間線量率等を検収条件とすることができない。他方、除染効果を確認するシステムは存在している[1]が、専門知識が必要で、シミュレーションソフトへの入力データを作成するだけで数時間を要するため実質的には利用が進んでいない。的確に除染効果の予測が行えた場合、的確な除染技術を選定し、目標とする空間線量率を担保できる除染を行うことが可能となる。 そこで、原子力機構では、簡便なユーザーインターフェイス(U/I)で目標線量率を予測するシミュレーションソフト「除染活動支援システムRESET(The Restoration Support system for Environment)」を開発した。 また、原子力機構では、平成23年度に内閣府より委託を受けて、警戒区域内の除染モデル実証事業並びに新しい除染技術の実証試験を実施してきた[2]。この中で最大280MPaの超高圧水を用いた路面除染技術は、路面表面を薄く切削することで高い除染効果を発揮し、除染によって発生する除去物量も少ない。 本研究では、このRESETの予測と超高圧水による実際の除染結果を比較評価するものである。 なお、評価場所は、周辺からの放射線の影響を受けやすい空間線量率の高い地域である帰還困難区域内かつ除染効果の得られにくい透水性アスファルト舗装面とした。 帰還困難区域とは、放射線の年間積算線量が50ミリシーベルトを超え、5年間を経過しても年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれのある地域で5年以上の長期にわたって居住が制限される地域と定義されている。
2.超高圧水除染による面的除染
2.1 舗装面の汚染状態 除染試験は大熊町の帰還困難区域内にある県立大野病院で行った。面的除染効果を確認するために大野病院駐車場約1.3haを利用した。図1は大野病院内にある密粒アスファルト(AS)と透水性ASをコア抜きし、その断面の汚染状況をイメージングプレート(IP)により確認した図である。密粒ASは表面の汚染が高いのに対し、透水性ASは骨材内部にまで汚染が存在していることがわかる。これが、透水性ASの除染効果が得られにくい理由である。 透水性ASの場合、高い除染効果を得るには切削深さを深くすることが考えられるが、その場合補修舗装が必要となり、補修舗装を行った場合には必要な透水性が損なわれる可能性があり、コスト高にもなるため、透水性ASの除染は補修が不要な範囲で実施する。 密粒アスファルト 透水性アスファルト 図1 舗装面の断面汚染状態 左は光学写真、右はIPによる放射能汚染状態を示す。上面が路面に相当する。 2.2 舗装面の除染条件 水圧が100MPa未満の高圧水での除染は路面を洗浄することで汚れとともに放射性物質を取り除くのに対し、超高圧水による除染は、路面表面を薄く切削することにより放射性物質を路面材ごと取り除くことができる。本研究で利用した超高圧水除染システムは、水圧を最大280MPa、水量を最大40L/minまで噴射することが可能である。路面とノズルのスタンドオフ距離、除染ヘッドのノズル回転数や平米あたりの除染速度(1m2)を一定として水圧と水量を調整することで路面に与える衝撃力を調整し、最適な除染条件を求める。路面への衝撃力F[N]は式(1)で定義される。Q(L/min)は水量、P(MPa)は水圧である。 /min =PQ0.745××F1899/12/29 衝撃力を変化させた際の路面への除染係数(DF=(除染前の表面汚染密度)/(除染後の表面汚染密度))を図2に示す。透水性ASの場合、DFを10以上得るには、約400N以上の衝撃力が必要であるが、切削された路面状態から300N以上では補修が必要な可能性があったことから、本研究では、透水性ASはDF5程度、密粒ASはDF10程度が得られる条件で試験を実施した。尚、水量が20L/min以下であれば、除染ヘッドを2台同時利用できるため、作業効率は2倍。13.3L/min以下であれば、3台同時に利用できるため、作業効率は3倍にできる。 y = 0.0309x -1.5131y = 0.1461x -12.7550102030405060700100200300400500600700800除染係数(DF)衝撃力[N]透水性AS密粒AS作業効率2倍作業効率3倍図2 大野病院駐車場における密粒ASと透水性ASの衝撃力と除染係数の関係 3.除染活動支援システム(RESET) 3.1 シミュレーション方法 従来の除染効果シミュレーション手法[1]を用いて、除染効果を評価するには、除染対象地点の除染前の空間線量率(地表から1mの高さ)と目標とするDFの入力が必要であった。そのため、空間線量率を予測するには地形データ等の複雑な条件設定を行わなければならなかった。本研究で開発したRESETは除染対象地点に対し、予め周辺からの影響をモンテカルロ(MCNP)コードにより計算した寄与率データベースを用意し、事前に測定した空間線量率データと地理情報システム(GIS)の標高データから、除染対象の汚染密度を逆計算により求め、目標とする空間線量率に必要なDF分布を作成する。これにより、ユーザーは、このDF分布通りに除染を行うことで、目標とする空間線量率を達成できることになる。この時の関係式を式(2)に示す。Dは空間線量率(μSv/h)、Fは寄与率、Sは汚染密度(Bq/cm2)の行列である。 -2SFD.= なお、本システムで計算した結果は、経年変化を予測することも可能である。この計算フローを図3に示す。 RESETのユーザーは、専門家以外を想定しており、U/Iを極力簡素化している。ユーザーはアプリケーションソフトを作業PCにインストールするのではなく、インターネットからクラウドサーバー上のRESETシステムに接続し、クリック操作によって設定を行う。事前の空間線量率評価と目標線量率評価が主な計算パートで、2次元計算の場合、それぞれ約5分の計算時間で予測されるため、30分程度で除染予定箇所の除染後の空間線量率を予測し、必要な除染係数分布を得ることができる。一方で、除染対象エリア全面を除染するのではなく、一部を除染する場合も想定されるため、除染係数を最小10×10mのメッシュごとに指定して必要箇所のみを予測することも可能である。本研究では、大野病院駐車場に対し、超高圧水除染装置の除染係数(透水性AS:5、密粒AS:10)を与え、シミュレーションを実施し、実際の除染結果と比較評価を行った。 3.2 シミュレーション評価 シミュレーションに用いる計算メッシュは最小が10×10mであり、保守的評価のためにこのメッシュ内の測定点の最大値をその場の空間線量率とすることとしている。 本システムは地形を考慮した3次元のシミュレーションができるが、大野病院は比較的平坦な場所に立地するため、2次元シミュレーションを行った。尚、本システムは建物による遮へいまでは考慮していない。図4は左から除染前空間線量率、除染係数分布、シミュレーション結果(空間線量率)、実際の除染結果(空間線量率)である。 寄与率データベース散乱線直接線線源測定点地上1m各線源から各測定点までの寄与をMCNPにより作成各測定点の線量率をメッシュに割り当て標高データF(寄与率メッシュデータ)地形に合致した寄与率の抽出RESET日時データ(測定日、計算日)F、Dおよび日時データより時間減衰を考慮した汚染密度を求め、汚染密度÷除染係数よりD0、D1、D3、D5、D10を算出(添字は年後)D:空間線量率(μSv/h)F:寄与率S:汚染密度(Bq/cm2)基本式最大値最小値D0(計算日の線量率計算結果)D1(1年後の線量率計算結果)D(線量率メッシュデータ)D10(10年後の線量率計算結果)RESET測定点計算範囲予測線量率(計算日、1、3、5、10年後)予測線量率(計算日、1、3、5、10年後)除染係数メッシュデータ図3 RESETの計算フロー 除染係数分布の青い部分はDF1(除染なし)が入力されている。黒四角は、後に示すシミュレーションと除染試験結果を比較評価するエリアである。なお、シミュレーション範囲の真ん中には本来は遮へい体となる病院建物が存在する。図4に示された除染エリアの空間線量率分布は予測と実際の除染結果が概ね良い一致をしている。次に図4黒四角で囲った評価エリア内の各状態での空間線量率を表1で比較する。評価精度は±50%以内で一致しており、±30%を超える箇所は建物近傍など遮へい効果が考慮されていないことによる影響であると考える。 DF10DF5AE19図4 除染シミュレーション結果分布 左から除染前空間線量率、除染係数、シミュレーション結果、実際の除染結果の分布 表1 シミュレーション精度評価 123456789単位除染前201919191818171718μSv/h除染係数555555551-予測線量率109999991016μSv/h除染後10876666810μSv/h予測精度-11324303235372137%除染前201918191818181819μSv/h除染係数555555555-予測線量率9888888910μSv/h除染後9876666712μSv/h予測精度57121825222115-13%除染前191919191818181919μSv/h除染係数555555555-予測線量率9888888910μSv/h除染後8887667812μSv/h予測精度1215161918137-21%除染前181819191818181819μSv/h除染係数555555555-予測線量率101099888910μSv/h除染後1510108877912μSv/h予測精度-48-2-77889-4-20%除染前181818181818181818μSv/h除染係数111155551-予測線量率1616151510991016μSv/h除染後15151416129101112μSv/h予測精度549-5-303-10-1323%EエリアABCD4.まとめ 除染シミュレーションソフトと実際の超高圧水除染技術による除染結果の比較評価を実施した。空間線量率は±20%程度の誤差を有していることから考えても、シミュレーションと試験結果はよい一致を示した。今後精度を高めるには、遮へい効果等を取り入れる必要があるが、厳密解を得ようとすればするほど、U/Iや利便性が失われる。今後は、数多くのケースを実際の除染現場に利用しつつ、実用性とのバランスに配慮して精度向上に努める。 参考文献 [1] 佐藤大樹, 久語輝彦ほか, 除染効果評価システムCDEの開発, JAEA-Research 2012-020, 2012, 97p. [2] 原子力機構, “福島第一原子力発電所事故に係る避難区域等における除染実証業務【除染技術実証試験事業編】報告書”, http://fukushima.jaea.go.jp/initiatives/cat01/pdf/report_3.pdf (平成25年5月30日)“ “帰還困難区域における路面除染の予測と実証 “ “田川 明広,Akihiro TAGAWA,山下 卓哉,Takuya YAMASHITA“ “帰還困難区域における路面除染の予測と実証 “ “田川 明広,Akihiro TAGAWA,山下 卓哉,Takuya YAMASHITA