アキシャル溝型蒸気タービンロータの超音波探傷技術の開発
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カテゴリ: 第10回
1.緒言
蒸気タービンを安定運用するために、動翼とロータの植込み部を非解体で検査可能な超音波探傷技術が開発されている[1, 2]。蒸気タービンの植込み構造としては鞍型、フォーク型、アキシャル(Ax)溝型等が採用されており、当社においてはこれまでに鞍型等の動翼フォーク型のフェーズドアレイUT 技術を開発した[3]。現在、Ax 溝型ロータのUT 技術を開発中であり、その欠陥検出技術について報告する。 Fig.1はAx 溝構造で、波型形状を軸方向に押し出した溝を動翼とロータに設け、それらを咬合させている。 Fig.2に示すように本開発においては、運転時に高応力がかかる波型底部の全軸方向において、深さ1mm の欠陥を検出することを目標としている。この部位のUT は径方向のセンサ設置可能位置が制限されているため、軸方向の伝搬距離が長くなると超音波を入射可能な屈折角が小さくなる。検出強度が強い探傷方法は屈折角と伴に変るため、距離に応じ探傷方法変更が必要となる可能性がある。このため、2探触子法と端部エコー法の検出可能距離を評価し、検出可能距離に相補関係があるとの結論を得た。
2.2探触子法の欠陥検出性
2.1 探傷方法 Ax 溝型ロータに深さを制御した疲労き裂を付与することは難しいため、実形状試験体には放電加工スリット(EDM スリット)で欠陥を付与し検出性を評価した。また、平板に深さを制御した疲労き裂を付与し、EDM スリットとの感度差を評価した。 Fig.3はAx溝型ロータの実機形状試験体の斜視図と3 面図で、軸方向長さの1/2 の位置に、検出目標の深さ1mm に対応した半径1mm で、厚さ0.5mm の半円柱形のEDM スリットを付与した。 Fig.4は実機形状試験体の欠陥検出方法の概要で、Ax 溝型ロータの端面に送信センサ、対向面に受信センサを設置し、送受信ともセクタ走査して欠陥を検出した。UT 条件はSV 波5MHz、屈折角走査範囲-5~75°、屈折角走査ピッチ0.5°である。 Blade Rotor Axial Groove Fig.1 The structure of axial groove. direction direction Axicial Sensor Radial installation surface :High stress region Fig.2 NDI area Sensor installation surface Sensor installation surface Axial direction Fig.5 は疲労き裂とEDM スリットの平板試験体の探傷方法の概要で、実形状試験体と同様に端面に送信センサ、対向面に受信センサを設置し、送受信ともセクタ走査した。UT 条件は実機形状試験体と同様である。 Tab.1に検出強度を評価した欠陥形状の概要をまとめる。本実験条件では、面反射が主な反射モードと考えられるため、2.4mm2の疲労き裂の面積を内挿するよう、1.6 ~6mm2の面積のEDM スリットの検出強度を測定した。 Tab.1 Geometry of defects. Fatigue crack EDM slit Depth 1mm 1mm 1mm 2mm Length 3mm 2mm 2mm 3mm Area 2.4mm2 1.6mm2 2mm2 6mm2 Shape Semi ellipse Semi ellipse Square Square 2.2 探傷結果 Fig.6 (a)に健全部、(b)に欠陥部の屈折角35°での探傷例を示す。横軸はAx 溝の軸方向距離、縦軸は径方向距離を表し、出力125%を白、0%を黒として色諧調表示している。この例を含む屈折角35~50°で欠陥が検出された。 Fig.7 にEDM スリットと疲労き裂の検出強度の欠陥面積依存性を示す。図中の○は疲労き裂、△はEDM スリットの検出強度を表す。強度は面積に比例すると近似されることから、2探触子法においては疲労き裂はEDM スリットで代替可能である。また、半径1mm の半円のEDM スリットの検出強度は深さ1mmの疲労き裂よりも弱いため、実形状試験体における評価結果は保守側評価と考えられる。 Fig.3 Axial rotor test piece. Perspective view Pulsor Receiver EDM slit 1mm dia. 0.5mm thick. Top view Front view Side view 1mm rad. EDM slit EDM slit EDM slit 2mm 200180100120140160(a)Sound part 160 180 200 220 Fig.6 An example of detected defect. Axial position [mm] No detection (b)Defect part 110dB Defect 160 180 200 220 Axial position [mm] Radial position [mm] 00 2 4 6 8 246Area [mm2] Fig.7 Dependence of defect signal strength on reflection area. Defect signal strength [a.u.] Fig.4 The outline of double angle probe technique. Refraction angle 0° Axial direction Radial direction Pulsor Receiver :-5~75° EDM slit Side view Defect Length Depth Top view Side view Fig.5 Correlation method of detection strength between fatigue crack with EDM slit. Receiver Pulsor Pulsor Receiver Refraction angle :-5~75° :Fatigue Crack :EDM slit 2.3 探傷可能範囲の検討 Fig.8に欠陥信号強度の屈折角依存性を示す。○は実験値で、実線で示した超音波入射率の理論値と[4]、誤差範囲で一致した。このため、屈折角(入射率)が検出可能範囲の制約因子と考えられる。 Fig.9 (a)に入射可能最大屈折角の軸方向距離依存性の計算条件を示す。送信センサを屈折角が最大となる径方向の下端に置き、軸方向の欠陥位置を変化させたときの屈折角を求めた。Fig.9(b)は計算結果で、軸方向距離35mm 以上で屈折角が35°以上となり検査可能と評価される。 3.端部エコー法の欠陥検出性 3.1 探傷法 平板に付与した深さ1mm の疲労き裂の端部エコー強度を測定するとともに、実形状試験体におけるノイズ強度を測定し、2探触子法の不感帯となる軸方向距離35mm におけるS/N を求め、端部エコー法の検出可能最長距離を検討した。 Fig.10 は探傷方法の概要で、欠陥面とセクタ走査面が平行となるよう欠陥裏面から探傷した。UT 条件は縦波5M Hz、屈折角走査範囲-5~75°、屈折角走査ピッチ0.5°、焦点深さ30mm である。 Fig.11 は実形状のノイズ測定条件で、軸方向距離35mm を含むよう超音波走査範囲を決定した。Fig.11(a)に示すように、センサ設置面に対するAx 溝の角度が90°以下となる鋭角側は焦点距離21~50mm、屈折角-1~16°とした。Fig.11(b)に示すように、センサ設置面に対するAx 溝の角度が90°以上となる鈍角側は焦点距離25~54mm、屈折角22~35°とした。 3.2 探傷結果 Fig.12(a)に健全部、(b)に欠陥部の屈折角40°における探傷例を示す。横軸はセンサ設置面と平行なX 距離、縦軸は垂直なY 距離を表し、出力125%を白、0%を黒として色諧調表示している。屈折角40°ではき裂が検出されたが、35°以下は底面エコー増加、45°以上はノイズ増加と欠陥信号強度低下で検出されなかった。 Fig.8 Dependence of defect signal strength on refracted 0.40.60.8130 40 50 Refracted angle [°] Defect signal strength [a.u.] Sensor Side view Crack Fig.10 Experimental method of fatigue crack detection. 75° 30mm -5° Y direction X direction Crack X direction Top view Sensor (a) Calculation condition Defect Refracted angle Receiver Axial position Pulsor Axial position [mm] Low sensitivity zone. 3040500 50 100 150 35mm Refracted angle [°] (b) Calculated results Fig.9 Dependence of refracted angle on axial position. Side view 20mm 50mm 22° 35° 25mm 54mm 40mm 26° 35mm 16° 21mm 50mm 35mm -1° Axial position 7° (a)Sharp angle side (b)Obtuse angle side Sensor Sensor Refracted angle Refracted angle Axial groove Travelling distance Travelling distance Axial groove Fig.11 Experimental condition of background measurement.Fig.13(a)に鋭角側、(b)に鈍角側のノイズ測定例を示す。横軸は径方向距離、縦軸は軸方向距離を表し、出力1 25%を白、0%を黒として色諧調表示している。いずれも主音軸がセンサ設置面の対向面に反射されるため、軸方向距離35mm におけるノイズは少ない。 Fig.14 (a)に鋭角側、(b)に鈍角側のノイズ強度の軸方向距離依存性を示す。図中の実線は全ノイズ、点線はセンサを取り付けた段階で生じるセンサノイズで、鋭角側、鈍角側いずれも30mm以下はセンサノイズが強く不感帯となる。不感帯での評価を避けるため、センサノイズの少ない軸方向距離30mm 以上におけるノイズの最大値をS/N 評価に用いた。 3.3 探傷可能最長距離の検討 平板においては伝搬距離39mm、屈折角40°で欠陥が検出された。実形状における軸方向距離35mm においては鋭角側、鈍角側いずれも伝搬距離39mm 以下、屈折角40°未満である。屈折角が小さくなると超音波入射強度と欠陥の投影面積が増加するため、検出強度は定性的に増加する[5]。そこで、屈折角40°、増幅ゲイン92dB おける欠陥信号強度100%を用いてS/N を保守側評価した。 Tab.2 に軸方向距離35mm における鋭角側と鈍角側のS/N 評価結果をまとめる。いずれも軸方向距離35mm においてS/N が2以上となるため、欠陥を検出可能である。従って、端部エコー法の最長探傷可能距離は35mm 以上である。 Tab.2 Detectability of the crack at 35mm axial position. Defect Noise S/N Detectability Sharp 100% 29.3% 3.4 ○ Obtuse 100% 41.4% 2.4 ○ 4.まとめ (1)2探触子法は軸方向距離35mm以上を探傷可能である。 (2)端部エコー法の最長探傷可能距離は35mm以上である。 (3)2つのUT 手法の組み合わせで、深さ1mm の欠陥を非解体で検出可能である。 参考文献 [1] Peter Ciorau , et al.: ““Design manufacturing and UT results with Fatigue Cracks from L-0 Blades““, NDT.NET('10) [2] Michael L., et al.: ““Non Destructive Inspection of Blade Roots and Blade Attachment Grooves““, ECNDT-Mo.282('06) [3] Yoshiaki N., et al.: ““Ultrasonic Discontinuity Indication for Testing Turbine Disk Blade Attachment““, Material Evaluation Vol.9, p.895(06) [4] 木村勝美:超音波の斜め入射の往復透過率の計算方法、NDI 資料21252(1989) [5]日本非破壊検査協会:超音波探傷試験Ⅲ、p.45 (1991) (平成25 年6 月21 日) Fig.12 An example of fatigue crack detection. 92dB 10 20 30 X position [mm] 102030 Crack (b)Defect part Bottom echo Y position [mm] (a)Sound part 10 20 30 X position [mm] 1020Bottom echo No detection 3092dB Y position [mm] Fig.13 An example of measured noise. 92dB 0 10 20 30 Noise 92dB 0 10 20 30 602030405010602030405010(a)Sharp angle side (b)Obtuse angle side Radial position [mm] Radial position [mm] Axial position [mm] Axial position [mm] Noise 20 30 40 50 Fig.14 Dependence of noise strength on axial position. 0.29328mm 41.4% 30mm (a)Sharp angle side (b)Obtuse angle side Axial position [mm] Axial position [mm] 20 30 40 50 Noise strength for S/N evaluation. Noise strength [%] Noise strength [%] Noise strength for S/N evaluation. 92dB 92dB 10075500251007550025“ “アキシャル溝型蒸気タービンロータの超音波探傷技術の開発 “ “鈴木 豊,Yutaka SUZUKI,千葉 弘明,Hiroaki CHIBA,工藤 健,Takeshi KUDOU“ “アキシャル溝型蒸気タービンロータの超音波探傷技術の開発 “ “鈴木 豊,Yutaka SUZUKI,千葉 弘明,Hiroaki CHIBA,工藤 健,Takeshi KUDOU
蒸気タービンを安定運用するために、動翼とロータの植込み部を非解体で検査可能な超音波探傷技術が開発されている[1, 2]。蒸気タービンの植込み構造としては鞍型、フォーク型、アキシャル(Ax)溝型等が採用されており、当社においてはこれまでに鞍型等の動翼フォーク型のフェーズドアレイUT 技術を開発した[3]。現在、Ax 溝型ロータのUT 技術を開発中であり、その欠陥検出技術について報告する。 Fig.1はAx 溝構造で、波型形状を軸方向に押し出した溝を動翼とロータに設け、それらを咬合させている。 Fig.2に示すように本開発においては、運転時に高応力がかかる波型底部の全軸方向において、深さ1mm の欠陥を検出することを目標としている。この部位のUT は径方向のセンサ設置可能位置が制限されているため、軸方向の伝搬距離が長くなると超音波を入射可能な屈折角が小さくなる。検出強度が強い探傷方法は屈折角と伴に変るため、距離に応じ探傷方法変更が必要となる可能性がある。このため、2探触子法と端部エコー法の検出可能距離を評価し、検出可能距離に相補関係があるとの結論を得た。
2.2探触子法の欠陥検出性
2.1 探傷方法 Ax 溝型ロータに深さを制御した疲労き裂を付与することは難しいため、実形状試験体には放電加工スリット(EDM スリット)で欠陥を付与し検出性を評価した。また、平板に深さを制御した疲労き裂を付与し、EDM スリットとの感度差を評価した。 Fig.3はAx溝型ロータの実機形状試験体の斜視図と3 面図で、軸方向長さの1/2 の位置に、検出目標の深さ1mm に対応した半径1mm で、厚さ0.5mm の半円柱形のEDM スリットを付与した。 Fig.4は実機形状試験体の欠陥検出方法の概要で、Ax 溝型ロータの端面に送信センサ、対向面に受信センサを設置し、送受信ともセクタ走査して欠陥を検出した。UT 条件はSV 波5MHz、屈折角走査範囲-5~75°、屈折角走査ピッチ0.5°である。 Blade Rotor Axial Groove Fig.1 The structure of axial groove. direction direction Axicial Sensor Radial installation surface :High stress region Fig.2 NDI area Sensor installation surface Sensor installation surface Axial direction Fig.5 は疲労き裂とEDM スリットの平板試験体の探傷方法の概要で、実形状試験体と同様に端面に送信センサ、対向面に受信センサを設置し、送受信ともセクタ走査した。UT 条件は実機形状試験体と同様である。 Tab.1に検出強度を評価した欠陥形状の概要をまとめる。本実験条件では、面反射が主な反射モードと考えられるため、2.4mm2の疲労き裂の面積を内挿するよう、1.6 ~6mm2の面積のEDM スリットの検出強度を測定した。 Tab.1 Geometry of defects. Fatigue crack EDM slit Depth 1mm 1mm 1mm 2mm Length 3mm 2mm 2mm 3mm Area 2.4mm2 1.6mm2 2mm2 6mm2 Shape Semi ellipse Semi ellipse Square Square 2.2 探傷結果 Fig.6 (a)に健全部、(b)に欠陥部の屈折角35°での探傷例を示す。横軸はAx 溝の軸方向距離、縦軸は径方向距離を表し、出力125%を白、0%を黒として色諧調表示している。この例を含む屈折角35~50°で欠陥が検出された。 Fig.7 にEDM スリットと疲労き裂の検出強度の欠陥面積依存性を示す。図中の○は疲労き裂、△はEDM スリットの検出強度を表す。強度は面積に比例すると近似されることから、2探触子法においては疲労き裂はEDM スリットで代替可能である。また、半径1mm の半円のEDM スリットの検出強度は深さ1mmの疲労き裂よりも弱いため、実形状試験体における評価結果は保守側評価と考えられる。 Fig.3 Axial rotor test piece. Perspective view Pulsor Receiver EDM slit 1mm dia. 0.5mm thick. Top view Front view Side view 1mm rad. EDM slit EDM slit EDM slit 2mm 200180100120140160(a)Sound part 160 180 200 220 Fig.6 An example of detected defect. Axial position [mm] No detection (b)Defect part 110dB Defect 160 180 200 220 Axial position [mm] Radial position [mm] 00 2 4 6 8 246Area [mm2] Fig.7 Dependence of defect signal strength on reflection area. Defect signal strength [a.u.] Fig.4 The outline of double angle probe technique. Refraction angle 0° Axial direction Radial direction Pulsor Receiver :-5~75° EDM slit Side view Defect Length Depth Top view Side view Fig.5 Correlation method of detection strength between fatigue crack with EDM slit. Receiver Pulsor Pulsor Receiver Refraction angle :-5~75° :Fatigue Crack :EDM slit 2.3 探傷可能範囲の検討 Fig.8に欠陥信号強度の屈折角依存性を示す。○は実験値で、実線で示した超音波入射率の理論値と[4]、誤差範囲で一致した。このため、屈折角(入射率)が検出可能範囲の制約因子と考えられる。 Fig.9 (a)に入射可能最大屈折角の軸方向距離依存性の計算条件を示す。送信センサを屈折角が最大となる径方向の下端に置き、軸方向の欠陥位置を変化させたときの屈折角を求めた。Fig.9(b)は計算結果で、軸方向距離35mm 以上で屈折角が35°以上となり検査可能と評価される。 3.端部エコー法の欠陥検出性 3.1 探傷法 平板に付与した深さ1mm の疲労き裂の端部エコー強度を測定するとともに、実形状試験体におけるノイズ強度を測定し、2探触子法の不感帯となる軸方向距離35mm におけるS/N を求め、端部エコー法の検出可能最長距離を検討した。 Fig.10 は探傷方法の概要で、欠陥面とセクタ走査面が平行となるよう欠陥裏面から探傷した。UT 条件は縦波5M Hz、屈折角走査範囲-5~75°、屈折角走査ピッチ0.5°、焦点深さ30mm である。 Fig.11 は実形状のノイズ測定条件で、軸方向距離35mm を含むよう超音波走査範囲を決定した。Fig.11(a)に示すように、センサ設置面に対するAx 溝の角度が90°以下となる鋭角側は焦点距離21~50mm、屈折角-1~16°とした。Fig.11(b)に示すように、センサ設置面に対するAx 溝の角度が90°以上となる鈍角側は焦点距離25~54mm、屈折角22~35°とした。 3.2 探傷結果 Fig.12(a)に健全部、(b)に欠陥部の屈折角40°における探傷例を示す。横軸はセンサ設置面と平行なX 距離、縦軸は垂直なY 距離を表し、出力125%を白、0%を黒として色諧調表示している。屈折角40°ではき裂が検出されたが、35°以下は底面エコー増加、45°以上はノイズ増加と欠陥信号強度低下で検出されなかった。 Fig.8 Dependence of defect signal strength on refracted 0.40.60.8130 40 50 Refracted angle [°] Defect signal strength [a.u.] Sensor Side view Crack Fig.10 Experimental method of fatigue crack detection. 75° 30mm -5° Y direction X direction Crack X direction Top view Sensor (a) Calculation condition Defect Refracted angle Receiver Axial position Pulsor Axial position [mm] Low sensitivity zone. 3040500 50 100 150 35mm Refracted angle [°] (b) Calculated results Fig.9 Dependence of refracted angle on axial position. Side view 20mm 50mm 22° 35° 25mm 54mm 40mm 26° 35mm 16° 21mm 50mm 35mm -1° Axial position 7° (a)Sharp angle side (b)Obtuse angle side Sensor Sensor Refracted angle Refracted angle Axial groove Travelling distance Travelling distance Axial groove Fig.11 Experimental condition of background measurement.Fig.13(a)に鋭角側、(b)に鈍角側のノイズ測定例を示す。横軸は径方向距離、縦軸は軸方向距離を表し、出力1 25%を白、0%を黒として色諧調表示している。いずれも主音軸がセンサ設置面の対向面に反射されるため、軸方向距離35mm におけるノイズは少ない。 Fig.14 (a)に鋭角側、(b)に鈍角側のノイズ強度の軸方向距離依存性を示す。図中の実線は全ノイズ、点線はセンサを取り付けた段階で生じるセンサノイズで、鋭角側、鈍角側いずれも30mm以下はセンサノイズが強く不感帯となる。不感帯での評価を避けるため、センサノイズの少ない軸方向距離30mm 以上におけるノイズの最大値をS/N 評価に用いた。 3.3 探傷可能最長距離の検討 平板においては伝搬距離39mm、屈折角40°で欠陥が検出された。実形状における軸方向距離35mm においては鋭角側、鈍角側いずれも伝搬距離39mm 以下、屈折角40°未満である。屈折角が小さくなると超音波入射強度と欠陥の投影面積が増加するため、検出強度は定性的に増加する[5]。そこで、屈折角40°、増幅ゲイン92dB おける欠陥信号強度100%を用いてS/N を保守側評価した。 Tab.2 に軸方向距離35mm における鋭角側と鈍角側のS/N 評価結果をまとめる。いずれも軸方向距離35mm においてS/N が2以上となるため、欠陥を検出可能である。従って、端部エコー法の最長探傷可能距離は35mm 以上である。 Tab.2 Detectability of the crack at 35mm axial position. Defect Noise S/N Detectability Sharp 100% 29.3% 3.4 ○ Obtuse 100% 41.4% 2.4 ○ 4.まとめ (1)2探触子法は軸方向距離35mm以上を探傷可能である。 (2)端部エコー法の最長探傷可能距離は35mm以上である。 (3)2つのUT 手法の組み合わせで、深さ1mm の欠陥を非解体で検出可能である。 参考文献 [1] Peter Ciorau , et al.: ““Design manufacturing and UT results with Fatigue Cracks from L-0 Blades““, NDT.NET('10) [2] Michael L., et al.: ““Non Destructive Inspection of Blade Roots and Blade Attachment Grooves““, ECNDT-Mo.282('06) [3] Yoshiaki N., et al.: ““Ultrasonic Discontinuity Indication for Testing Turbine Disk Blade Attachment““, Material Evaluation Vol.9, p.895(06) [4] 木村勝美:超音波の斜め入射の往復透過率の計算方法、NDI 資料21252(1989) [5]日本非破壊検査協会:超音波探傷試験Ⅲ、p.45 (1991) (平成25 年6 月21 日) Fig.12 An example of fatigue crack detection. 92dB 10 20 30 X position [mm] 102030 Crack (b)Defect part Bottom echo Y position [mm] (a)Sound part 10 20 30 X position [mm] 1020Bottom echo No detection 3092dB Y position [mm] Fig.13 An example of measured noise. 92dB 0 10 20 30 Noise 92dB 0 10 20 30 602030405010602030405010(a)Sharp angle side (b)Obtuse angle side Radial position [mm] Radial position [mm] Axial position [mm] Axial position [mm] Noise 20 30 40 50 Fig.14 Dependence of noise strength on axial position. 0.29328mm 41.4% 30mm (a)Sharp angle side (b)Obtuse angle side Axial position [mm] Axial position [mm] 20 30 40 50 Noise strength for S/N evaluation. Noise strength [%] Noise strength [%] Noise strength for S/N evaluation. 92dB 92dB 10075500251007550025“ “アキシャル溝型蒸気タービンロータの超音波探傷技術の開発 “ “鈴木 豊,Yutaka SUZUKI,千葉 弘明,Hiroaki CHIBA,工藤 健,Takeshi KUDOU“ “アキシャル溝型蒸気タービンロータの超音波探傷技術の開発 “ “鈴木 豊,Yutaka SUZUKI,千葉 弘明,Hiroaki CHIBA,工藤 健,Takeshi KUDOU