炭素繊維シートの主排気筒ダクトの補修への適用

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カテゴリ: 第11回
1. 緒言
東海再処理工場は、原子炉で使用された使用済み核 燃料をせん断、溶解及び精製する分離精製工場や高放 射性廃液を貯蔵するための施設等からなる核燃料再処 理施設である。東海再処理工場内の各施設は、内包する 放射性物質を施設内に閉じ込めるため、換気設備を利 用して施設内を負圧に維持し、排出される排気は、各施 設でろ過後、ダクトにより分離精製工場へ導かれ、当該 工場からのダクトと接続した主排気筒から大気中に放 出している。このダクトのうち、主排気筒に接続する屋外の高所 に設置した鋼板製ダクト(以下、「主排気筒ダクト」と いう。)の溶接部等に腐食による貫通や割れが確認され た。これら貫通及び割れの補修を行うにあたり、各施設 からの排気を停止することなく、また、既設の鋼板製ダ クトに負担をかけない方法として炭素繊維シートを用 いた工法によりダクトの補修を行った。炭素繊維シートによる補修は、ダクトの強度及び内 圧から炭素繊維シートの繊維方向及び必要な積層数を 設計するとともに、施工に際しては、強風下にあるダク ト内での施工を考慮したモックアップを行うことによ り、施工品質を担保した。これらにより、主排気筒ダクトは必要な強度を保持 するとともに、既設ダクトに負担をかけることなく短 期間に補修を行うことができ、炭素繊維シートによる 補修方法が、効率的かつ効果的であることを確認した。
2. 主排気筒ダクトの概要
貫通及び割れ等を生じた主排気筒ダクトの構造、ダ クト内を流れる排気の状況を以下に示す。2.1ダクトの構造主排気筒ダクトは、全長約 16m、厚さ約 4.5mm の 炭素鋼(SS400) 製であり、ダクト両端にはダクトの 変位を吸収するステンレス製 (SUS304/316) の伸縮ペ ローズを設置している。ダクトの形状は、中央部が円 形(小約3.2m)、両端部は矩形(約3m×約2.5m)を しており、ダクト内外面には樹脂系塗装を施している。 また、ダクト本体は、鋼製トラスにより支持されてお り,鋼製トラスは、地上約 15.8m の高さの鋼製の架構 により、トラス底部から支持する構造となっている。 (Phot.1,Fig.1 参照)2.2 ダクト内排気分離精製工場等から発生する気体廃棄物は、放射性 物質を各施設内のフィルタ等でろ過、除去した後、主 排気筒ダクトを経由し、約 90m の高さの主排気筒の 先端部から排出される。 ダクト内を流れる排気風量は、施設の運転状況により異なり、一部の排風機を停止した制限運転において 約 300,000m2/h であり、ダクト内風速は約 15m/s であ るのに対し、通常の運転状態では排気風量約 400,000 m2h、ダクト内風速は約 21m/s であり、ダクト内の風 速分布に偏りがある。特に主排気筒との接続部となる 矩形ダクト内は、風の流れが複雑な状態にある。この ため、主排気筒ダクトの補修にあたっては、風による 補修作業への影響や作業員の安全に配慮し、換気設備 の運転を制限運転の状態とした。(Fig.2 参照)3. ダクトに生じた貫通、割れ等の状況3.1貫通、割れ等の状況主排気筒ダクトは、設置後約 40年が経過し、この 間 10 年程度毎に再塗装などのメンテナンスを行って きた。平成23年10月、主排気筒ダクトの補修作業を行っていたところ、主排気筒側の異形ダクトの下部に 腐食が見つかり、腐食部位を点検した結果、当該腐食 部位は、貫通していることを確認した。このため、ダ クト全体を全周にわたり腐食や貫通の有無について 調査したところ、主排気筒側の矩形ダクトの溶接部の 一部にも腐食による貫通や割れ等が生じていること を確認した。また、腐食による減肉の状態を確認する ため、ダクト全体に渡り超音波による肉厚測定を行っ た結果、主排気筒側の矩形ダクト以外には顕著な肉厚 の減少は確認されなかった。(Fig.3 参照)13.2 応急措置腐食が確認された箇所については、貫通の有無を調 査・点検し、貫通の確認された箇所は、応急措置とし てアルミテープ等で排気が漏れないように処置した。 また、貫通していない減肉箇所についても腐食の進行 や貫通孔等の発生を考慮してアルミテープ等による 保護を行った。(Fig.4 参照)なお、アルミテープ等による応急措置は、風雨等に より剥離する可能性があることから、養生シートによ り保護するとともに、措置の状況を日々点検すること とした。“ “?炭素繊維シートの主排気筒ダクトの補修への適用“ “綿引 健二,Kenji WATAHIKI,川澄 裕之,Hiroyuki KAWASUM,八戸木 日出夫,Hideo YATOGI,伊波 慎一,Shinichi INAMI
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