軽水炉リーク燃料の取替え保全最適化のためのモデル
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カテゴリ: 第11回
1.はじめに
軽水炉燃料被覆管は、核分裂反応によって発生した放射性物質を燃料ペレット内に閉じ込めておくための重要なコンポーネントである。被覆管のもつ閉じ込め機能により、一次冷却水中の放射物質濃度は十分に低く抑えられ、その結果、万一の配管破断冷却水喪失事故の際にも公衆被ばくを低く抑えることができる(LCO 基準では、1 事故あたりの周辺公衆被ばくが5mSv 以下)。こうした軽水炉燃料被覆管の閉じ込め性能は、高品質な製造プロセスによって維持されてはいるものの、それでもなお、PCI、SCC、クラッド付着、酸化脆化などの損傷モード[1-4] によって、被覆管は破損することがある。ひとたび被覆管が破損すると、その破損部分を通して、内部の放射性物質が一次冷却系に放出される。こうしたリークを検出するために、一次冷却水は定期的に監視され(週に2,3 度)、サンプリングされた冷却水中の放射性物質濃度が調 べられる。このとき、放射性物質濃度がLCO 基準値(運転上の制限値)を超えるようであれば、炉は即座に停止され、破損燃料は取替えられる。 Fig. 1 は、ニューシア(原子力施設情報公開ライブラリー)[5]において公開されている燃料破損トラブルの変遷を表したものである。残念なことに、燃料リークによる炉の計画外停止は今も増加している。しかし、それはLCO 逸脱というよりはむしろ、いわゆる保守的判断と言われる措置に起因することがほとんどであり、LCO 基準よりもずっと低い放射性物質濃度(管理目標値)で炉は停止される。こうした保守的判断では、一見すると安全上好ましいことのように考えられるが、しかし、材料健全性の観点や軽水炉全体の安全を考えると望ましいことではない。なぜなら、こうした計画外炉停止により、炉材料に熱疲労や機械疲労が余分にかかることになるからである。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」である。こうして、燃料リークにおいては、リークの程度に応じた対策をとることが必要になる。ひどいリークなら「炉停止+ 燃料取替え」を即座に実施するのが妥当であるが、さほど大きなリークでないならば、次の定期検査・燃料交換
- 203 -時までリーク燃料をそのままにしておくとの判断も成立する。ただし、ここで問題となるのが、リークの程度をいかに知るかである。リークの程度が適切にわからないと、たとえ燃料リークを検知したとしても、果たして放置してよいのか、あるいは即座に炉停止して取り換えるべきかの判断ができないからである。通常行われる週に数回の一次冷却水サンプリングの時を除いては、リーク燃料の現在の状態を正しく知ることは難しく、また二次破損への進展など、リーク現象の進展予測があまり十分でない現状において、必然的に、対応は保守的にならざるを得ない。 本研究[6, 7]では、リーク燃料の取替え保全を最適化するための方法論を検討した。主に軽水炉安全評価で使用されている確率論的リスク評価法(Probabilistic risk assessment, PRA)[8]を本問題に援用するという極めてユニークな方法論を開発した。また、一次冷却水中の放射性物質濃度(ヨウ素131 濃度)の変化をモデル化し、微分方程式として定式化した。この微分方程式の積分には、通常は材料内の原子モデリングで使われるモンテカルロ法を援用した。 Fig.1 Number of operational response to fuel leak per year conducted at (a) PWRs and (b) BWRs in Japan [5]. 2.方法論 2.1 確率論的リスク評価法 確率論的リスク評価法PRA は、複雑な工学システムの安全に関わる残余のリスクを見つけ出すための簡便かつ総合的な評価ツールである。通常は原子炉の安全評価に応用され、イベントツリーET およびフォールトツリーFT の方法で詳細計算が行われる。本研究では、こうしたPRA の手法を援用し、リーク燃料対策としての炉停止頻度評価を行った。ここでは、まず、PRA 手法をよく理解するために、地震PRA を例に説明する(Fig. 2a)。 Fig.2 Methodology of (a) seismic PRA [8] and (b) the present study. 通常のPRA では、炉心損傷頻度CDF や格納機能喪失頻度CFF を、事故シナリオをもとにET やFT の方法を使いながら、ハザード曲線やフラジリティ曲線を用いて評価する(Fig. 2a)。ハザード曲線は、ハザードである地震の発生の超過確率を地震の表面最大加速度PGAの関数として表したものである。通常、超過確率はPGA の減少関数となるので、影響の大きな地震ほど低い頻度で起こることになる。一方、フラジリティ曲線は、機器の機能喪失確率をPGA の関数として表したものであり、通常は増加関数になる。 ここで、燃料リークの問題に話を戻す。燃料被覆管が破損したことによる放射性物質のリーク現象は、上述したような種々の破損モードに起因するだけでなく、その時々の運転モードに依存する温度、圧力、およびそれらの変化率などにも深く影響すると考えられる[9]。こうした種々の要因が複雑に絡み合うことによって、結果として、リーク現象がどれくらいの量、どれくらいの頻度- 204 -で起こるかが決まる。そこにはたらく物理や機構論は、材料学や流体力学の視点からはとても興味深いが、それは本研究のスコープではない。それよりも、一度のリーク量がどの程度で、どれくらいの頻度で発生するかのデータから、リーク対策の最適化を考えることが本研究の目的である。 リーク現象はこのようにとても複雑である。そこに潜む難しい物理を考慮の対象外においてしまったとしても、一度のリーク量の多いリーク現象ほど低い確率で発生すると仮定することは、物理的にも合理的であると考えられる。そこで本研究では、1 回のリーク量の多いリーク現象(被覆管の破損部位を通って、ペレット部にあった放射性物質が一次冷却系側に放出される現象)ほど発生確率は低いと仮定する。こうしたリーク現象に起因して炉停止というリスクが発現することを考えると、このリークの発生頻度曲線は、先の地震PRA のハザード曲線に相当すると考えても差し支えない。Fig. 2b では、横軸を1 回のリーク現象におけるリーク量L[Bq/event]とし、縦軸をそのようなリーク現象の発生頻度F[event/s]としている。F×L をR[Bq/s]とし、これをリークレートとよぶ。R と一定にすると、F とL の関係は反比例になる。 このような見方をもとに、Fig. 2a とFig. 2b のアナロジーが成立すると考えると、地震によって顕在化するリスクを求めるのと同様、燃料リークによって顕在化する炉停止のリスクを評価することができる。ただしこうした考え方をそのまま押し通すことに、無理な点もある。すなわち、フラジリティ曲線を求めることが難しいのである。 燃料リーク問題を考えるときのフラジリティ曲線は、1 回のリーク現象あたりにリークする放射性物質の量の関数として、炉停止の確率を描くことになる。しかしながら、実際の炉停止の判断は、そうしたリーク現象1 回あたりのリーク量で決められるものではなく、何度かのリークによって一次冷却系に蓄積したリーク量で決められる。要するに、炉停止判断においては、1 回ごとのリーク量(微分値)が問題なのではなく、積分値としてのリーク量が問題なのである。したがって、一次冷却水中の放射性物質濃度(積分値)を横軸としたフラジリティ曲線を描くことは容易であるが、上述のハザード曲線の横軸を微分値の方で表現している以上、フラジリティ曲線の横軸もそれに合わせる必要がある。こうして、本研究においては、フラジリティ曲線を初めから設定することができないので、以下のモンテカルロ計算を使うことにした。要するに、本研究では変形型のPRA を使うことになるが、この変形型の場合、フラジリティ曲線は、地震PRA のときのように評価の入力データとして使うのではなく、評価後の出力データとして出現することになる。 2.3 一次冷却系における放射性物質濃度のモンテカルロ解析評価 一次冷却水中の放射性ヨウ素131 の濃度の時間変化を次式[10]で表すことにする。 C V C Q VR t C . .. . d d -1ここで、C は一次冷却水中の放射性ヨウ素131 の濃度[Bq/m3]、R は上述の被覆管破損によるリークレート[Bq/s]、λは放射性崩壊定数[s-1]、Qは冷却水浄化系の流量[m3/s]、V は一次冷却系の体積[m3]、t は時間である。リークした放射性ヨウ素(右辺第一項)のうち、一部は放射性崩壊で消滅し(右辺第二項)、さらに一部は浄化されて(右辺第三項)、その残りが一次冷却水中の放射性ヨウ素濃度の変化(左辺)を与えることを意味する。 リークレートR を定数と考えて、式(1)を普通に積分すると、C はt に対して単調に増加し、一定値R/(λV+ Q)に漸近するなめらかな曲線になる。しかし燃料リークプロセスにおいては、上述のように、種々の確率過程を内包していることから、なめらかにはなりえない。そこで本研究では、式(1)をモンテカルロ法を使って積分することにした。モンテカルロ法にもいろいろあるが、ここでは、原子シミュレーション[11]で使われているn-fold 法を用いてΔt を求めた[12]。 本モデルにおいては、さらに一次冷却水中のヨウ素131 濃度に臨界値を定義した。すなわち、一次冷却水中の濃度がここで定義した臨界値を超えたとき、リーク燃料を交換するためとして炉を停止する。炉停止したあとは、一次冷却水中のヨウ素濃度を一旦ゼロにリセットし、その後、次のモンテカルロ解析が継続される。炉水濃度のサンプリングは、実際の運用を念頭に、間欠的に行うことにした。例えば、1 日に1 度とか、1 週間に1 度などのように実施する。こうした間欠サンプリングを行うと、一時的には臨界値を超えたことがあったとしても、見過ごされて、炉停止に至らない状況が生まれてくることに注意されたい。臨界値としては、上述のLCO 基準値が適当であるが、実際の事業者の運用では、LCO 値よりもず- 205 -っと低い管理目標値を設定していることがふつうなので、本解析にあたっては、LCO 基準値にとらわれることなく、臨界値を変化させ、システムの応答性を調べた。また、式(1)の通常の積分から得られるなめらかな曲線(漸近値をもつ)を考えた場合、リークレートR に依存する漸近値を念頭に臨界値を設定すると、一度も炉を停止させないことが可能となる。しかし、今回のモンテカルロ解析では、そのような設定の組み合わせであっても、必ずしも炉停止は回避されない。なぜなら、いくら頻度が低くとも1 回のリーク量の多いリーク事象がたまたま続くようなことがあると、炉停止せざるを得ない可能性も発生するからである。いわゆるゆらぎの効果である。なお、本解析にあたっては、日本の原子炉の1 サイクル13 か月 Fig.3 An example of calculations, representing the time evolution of I-131 concentration when the water sampling is conducted once a week. The critical concentration is given as indicated by the horizontal dashed line. In this case, the fuel replacement is observed to be performed at just after 7 weeks, when the concentration is set to be zero, followed by a subsequent calculation trial. Fig.4 A double logarithmic plot of the equivalent hazard curve for fuel leaks を想定し、13 か月の間の炉停止頻度を数え上げた。Fig. 3 にモンテカルロ計算の一例を示す。 3.結果と考察 Fig. 4 は本研究で用いたハザード曲線の対数表示である。1 回のリーク量の多いリーク現象ほど、頻度を低く設定している。ここに示された各点を入力パラメータとして、式(1)をモンテカルロ法で積分する。 Fig.5 Frequency of unscheduled immediate reactor shutdown due to fuel leaks for various leak rates, R Fig. 5 は、計算で求めた炉停止頻度曲線の例を表している。縦軸は1 サイクル中の平均の炉停止頻度を表している。定期的なサンプリングの際、炉水の濃度があらかじめ決めておいた濃度臨界値を超えていた場合は炉を停止し、さらに、濃度を一旦ゼロにして解析を再開、そして13 か月の間の平均炉停止回数をとったものである。横軸はFig. 4 と同じである。1 回のリーク量が低いところでは炉停止頻度は増加関数になるが、1 回のリーク量が比較的高いところでは減少関数となって、全体としてはピークを形成している。左方向のリーク量の低すぎる部分は、頻度が高くとも1 回のリーク量が少ないので炉停止までには至らないことを示し、一方、右方向のリーク量の高すぎる部分は、1 回のリーク量が多くとも、そうした現象の起こる頻度が小さいので、やはり炉停止までには至らない。結局、その中間部分にピークがくることになる。また、リークレートR が高いほど山の全体が上に上昇し、全体として炉停止の頻度が増大している。 Fig. 6 は、本研究のフラジリティ曲線である。1 回のリークの量ごとに、どれくらいの確率で炉停止に至るかを表している。ここで注意すべきは、このフラジリティ曲線は計算結果であって、計算の入力ではないことであり、 - 206 -Fig.6 Equivalent fragility curve for fuel leaks obtained by the Monte Carlo calculations. The fuel leak event is considered to be almost a threshold phenomenon. その点が通常のPRAと異なることはすでに述べた。また、もうひとつ注意しておくべきことは、このフラジリティ曲線の横軸は1 回のリーク量であるが、必ずしもその1 回で炉停止するという意味ではないことである。その1 回のリーク量のリークが何度か重なって初めて臨界値を超える。Fig. 6 にあるとおり増加関数になっている。1 回のリーク現象あたりのリーク量が多いほど(そのような現象の発生頻度はFig. 4 にあるように少ないにも関わらず)、1 サイクル期間中の炉停止頻度は高くなることを意味している。炉停止の判断は、何回かのリーク現象の結果蓄積された一次冷却水中のヨウ素濃度によってなされているのであるが、それでも、1 回あたりのリーク量が多いほど、炉停止の確率は高くなる。要するに、被覆管の小さなひび(発生頻度は高いが、1 回のリーク量は少ない) よりは、大きなひび(発生頻度は低くとも、1 回のリーク量が多い)の方が、炉停止(積算のヨウ素量で判断する) への寄与度は大きいことを意味する。すなわち、大きなひびに対する対策の方が、燃料リークによる計画外停止を抑えるには有効ということになる。また、材料学や破壊力学の見地から、事象の進展・拡大に寄与するのは大きなひびの方であることを考えても、そうした大きなひびへの対応がリーク燃料の管理には合理的であることが示唆される。なお、Fig. 6 を詳細にみると、計画外停止頻度に対して1 回のリーク量にしきい値が存在するように見える。この条件では、しきい値が1×1013Bq/event のあたりである。 Fig. 7 は、炉停止判断の濃度臨界値を変更した場合の炉停止頻度曲線の応答性を表している。臨界値を下げれば下げるほど、一次冷却水中のヨウ素濃度がまだ低い段階で炉を停止することを意味するが、この図は、そうした措置を行った場合の頻度曲線の変化を表している。臨界値を下げると、特に小さなひびへの対策が増加しているように見える。臨界値を下げることは、一次冷却水中のヨウ素濃度の検出精度を高め、わずかなリークであっても敏感に対応することに相当する。こうした方策は、一見、炉の安全性向上に寄与するように見えるものの、実は、この図にも示すように、単に小さなひびに対応しているにすぎないのである。 Fig.7 Shutdown frequency curves when the critical value of I-131 concentration was changed. Fig. 8 Frequency of immediate reactor shutdown for a fixed value of the leak rate, R = 1.3x103 Bq/s, when the time interval of intermittent monitoring is changed from one day to one month. Fig. 8 は、炉停止判断の濃度臨界値を一定にしたまま、モニタリング頻度を変化させた場合の炉停止頻度曲線の応答性を表している。さきほどの場合と異なり、大きなひびに対する対応が増加している。Fig. 9 は、連続モニタリングした場合の炉停止頻度曲線とFig. 8 との差を表したものである。炉停止の判断を下すべき状況であったにも関わらず、サンプリングが間欠的であったがために、- 207 -見過ごされてしまった回数がいったいどれくらいあるかの頻度を表している。サンプリングの時間間隔が広がれば広がるほど、見過ごしてしまう頻度も多くなることを示している。また、こうした見過ごしは、大きなひびの方に多いことも示唆している。こうしたことを考えると、頻繁なモニタリングは燃料取替え保全の信頼性向上にとても有効であると考えられる。 Fig. 9 Frequency of the occurrence of such an event that the fuel replacement is really required but unfortunately missed. 3.結論 軽水炉の燃料リーク対策としての燃料取替え保全およびそれに伴う計画外炉停止に関する保全の最適化について、安全学の確率論的リスク評価手法を援用しながら議論した。燃料リークに関する簡単な数式モデルを提案し、材料学の原子シミュレーション手法としてのモンテカルロ法を流用しつつ、燃料取替えのためのリーク濃度設定やモニタリング頻度の最適化に係る指針を示した。 評価の結果、一次冷却水中の放射性物質濃度の検出精度を上げても、それは些細なきずに対応することにすぎず、炉全体の安全性の向上に寄与することは少ない。一方、モニタリング頻度を上げると、それは大きなきずに対応することに相当し、リーク燃料の取替え保全としてはとても効果的である。 ここで示した方法論は斬新であり、こうしたPRA のフレームワークの中で、材料も、保全も、システムも議論することは、今後の軽水炉安全の高度化に有用であると考えられる。 参考文献 [1] F. Garzarolli, R.V. Jan, H.Stehle, “The main causes of fuel element failure in water-cooled power reactors”, Atomic Energy Rev. 1979; 17 1: 31-128. [2] K. El-Adham, “Fuel failure mechanisms in operating U.S. plants from 1981 to 1986”, J. Nucl. Safety, 1988; 29 4: 487. [3] R.L. Yang, “Meeting the challenge of managing nuclear fuel in a competitive environment”, Light water reactor fuel performance (Prc. Int. Top. Mtg., Portland, Oregon, 1997), American Nuclear Society. 1997: 3. [4] Y. Yamamoto, K. Morishita, H. Iwakiri, Y. Kaneta , “Theoretical investigation of oxidation mechanism of fuel cladding in light-water reactor”, E-journal of advanced maintenance. 2013;5-1:1-6. [5] Japan Nuclear Safety Institute. Nuclear Information Archives, . [6] 山本泰功,「軽水炉保全高度化のためのモデリング研究」,京都大学博士論文,2014年3月 [7] Yasunori Yamamoto, Kazunori Morishita, Development of Methodology to Optimize Management of Failed Fuels in Light Water Reactor”, submitted to Journal of Nuclear Science and Technology, 2014. [8] H. Sugino, Y. Iwabuchi, M. Nishio, H. Tsutsumi, M. Sakagami, K. Ebisawa, “Development of probabilistic methodology for evaluating tsunami risk on nuclear power plants”, The 14th World Conference on Earthquake Engineering. 2008. [9] International Atomic Energy Agency (IAEA), “Fuel failure in water reactors: Causes and mitigation”, Proceedings of a Technical Meeting held in Bratislava, IAEA-TECDOC-1345 (2002). [10] N. Ishiwatari, “Release rate of iodine 131 from defective fuel in a water loop of nuclear reactor”, Journal of The Chemical Society of Japan. 1981; 6: 1021-1026, (in Japanese). [11] Y. Yamamoto, J. Yoshimatsu, K. Morishita, “Damage rate dependence of defect cluster nucleation in tungsten during irradiation”, J. Nucl. Mat. 2013; 442: S773-S775. [12] C.C. Battaile, D.J. Srolovitz, J.E. Butler, “A kinetic Monte Carlo method for the atomistic-scale simulation of chemical vapor deposition: Application to diamond”, J. Appl. Phys. 1997; 82 (12): 6293-6300. - 208 -
“ “軽水炉リーク燃料の取替え保全最適化のためのモデル “ “森下 和功,Kazunori MORISHITA,科 山本,山本 泰功,Yasunori YAMAMOTO,科 中筋,中筋 俊樹,Toshiki NAKASUJI
軽水炉燃料被覆管は、核分裂反応によって発生した放射性物質を燃料ペレット内に閉じ込めておくための重要なコンポーネントである。被覆管のもつ閉じ込め機能により、一次冷却水中の放射物質濃度は十分に低く抑えられ、その結果、万一の配管破断冷却水喪失事故の際にも公衆被ばくを低く抑えることができる(LCO 基準では、1 事故あたりの周辺公衆被ばくが5mSv 以下)。こうした軽水炉燃料被覆管の閉じ込め性能は、高品質な製造プロセスによって維持されてはいるものの、それでもなお、PCI、SCC、クラッド付着、酸化脆化などの損傷モード[1-4] によって、被覆管は破損することがある。ひとたび被覆管が破損すると、その破損部分を通して、内部の放射性物質が一次冷却系に放出される。こうしたリークを検出するために、一次冷却水は定期的に監視され(週に2,3 度)、サンプリングされた冷却水中の放射性物質濃度が調 べられる。このとき、放射性物質濃度がLCO 基準値(運転上の制限値)を超えるようであれば、炉は即座に停止され、破損燃料は取替えられる。 Fig. 1 は、ニューシア(原子力施設情報公開ライブラリー)[5]において公開されている燃料破損トラブルの変遷を表したものである。残念なことに、燃料リークによる炉の計画外停止は今も増加している。しかし、それはLCO 逸脱というよりはむしろ、いわゆる保守的判断と言われる措置に起因することがほとんどであり、LCO 基準よりもずっと低い放射性物質濃度(管理目標値)で炉は停止される。こうした保守的判断では、一見すると安全上好ましいことのように考えられるが、しかし、材料健全性の観点や軽水炉全体の安全を考えると望ましいことではない。なぜなら、こうした計画外炉停止により、炉材料に熱疲労や機械疲労が余分にかかることになるからである。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」である。こうして、燃料リークにおいては、リークの程度に応じた対策をとることが必要になる。ひどいリークなら「炉停止+ 燃料取替え」を即座に実施するのが妥当であるが、さほど大きなリークでないならば、次の定期検査・燃料交換
- 203 -時までリーク燃料をそのままにしておくとの判断も成立する。ただし、ここで問題となるのが、リークの程度をいかに知るかである。リークの程度が適切にわからないと、たとえ燃料リークを検知したとしても、果たして放置してよいのか、あるいは即座に炉停止して取り換えるべきかの判断ができないからである。通常行われる週に数回の一次冷却水サンプリングの時を除いては、リーク燃料の現在の状態を正しく知ることは難しく、また二次破損への進展など、リーク現象の進展予測があまり十分でない現状において、必然的に、対応は保守的にならざるを得ない。 本研究[6, 7]では、リーク燃料の取替え保全を最適化するための方法論を検討した。主に軽水炉安全評価で使用されている確率論的リスク評価法(Probabilistic risk assessment, PRA)[8]を本問題に援用するという極めてユニークな方法論を開発した。また、一次冷却水中の放射性物質濃度(ヨウ素131 濃度)の変化をモデル化し、微分方程式として定式化した。この微分方程式の積分には、通常は材料内の原子モデリングで使われるモンテカルロ法を援用した。 Fig.1 Number of operational response to fuel leak per year conducted at (a) PWRs and (b) BWRs in Japan [5]. 2.方法論 2.1 確率論的リスク評価法 確率論的リスク評価法PRA は、複雑な工学システムの安全に関わる残余のリスクを見つけ出すための簡便かつ総合的な評価ツールである。通常は原子炉の安全評価に応用され、イベントツリーET およびフォールトツリーFT の方法で詳細計算が行われる。本研究では、こうしたPRA の手法を援用し、リーク燃料対策としての炉停止頻度評価を行った。ここでは、まず、PRA 手法をよく理解するために、地震PRA を例に説明する(Fig. 2a)。 Fig.2 Methodology of (a) seismic PRA [8] and (b) the present study. 通常のPRA では、炉心損傷頻度CDF や格納機能喪失頻度CFF を、事故シナリオをもとにET やFT の方法を使いながら、ハザード曲線やフラジリティ曲線を用いて評価する(Fig. 2a)。ハザード曲線は、ハザードである地震の発生の超過確率を地震の表面最大加速度PGAの関数として表したものである。通常、超過確率はPGA の減少関数となるので、影響の大きな地震ほど低い頻度で起こることになる。一方、フラジリティ曲線は、機器の機能喪失確率をPGA の関数として表したものであり、通常は増加関数になる。 ここで、燃料リークの問題に話を戻す。燃料被覆管が破損したことによる放射性物質のリーク現象は、上述したような種々の破損モードに起因するだけでなく、その時々の運転モードに依存する温度、圧力、およびそれらの変化率などにも深く影響すると考えられる[9]。こうした種々の要因が複雑に絡み合うことによって、結果として、リーク現象がどれくらいの量、どれくらいの頻度- 204 -で起こるかが決まる。そこにはたらく物理や機構論は、材料学や流体力学の視点からはとても興味深いが、それは本研究のスコープではない。それよりも、一度のリーク量がどの程度で、どれくらいの頻度で発生するかのデータから、リーク対策の最適化を考えることが本研究の目的である。 リーク現象はこのようにとても複雑である。そこに潜む難しい物理を考慮の対象外においてしまったとしても、一度のリーク量の多いリーク現象ほど低い確率で発生すると仮定することは、物理的にも合理的であると考えられる。そこで本研究では、1 回のリーク量の多いリーク現象(被覆管の破損部位を通って、ペレット部にあった放射性物質が一次冷却系側に放出される現象)ほど発生確率は低いと仮定する。こうしたリーク現象に起因して炉停止というリスクが発現することを考えると、このリークの発生頻度曲線は、先の地震PRA のハザード曲線に相当すると考えても差し支えない。Fig. 2b では、横軸を1 回のリーク現象におけるリーク量L[Bq/event]とし、縦軸をそのようなリーク現象の発生頻度F[event/s]としている。F×L をR[Bq/s]とし、これをリークレートとよぶ。R と一定にすると、F とL の関係は反比例になる。 このような見方をもとに、Fig. 2a とFig. 2b のアナロジーが成立すると考えると、地震によって顕在化するリスクを求めるのと同様、燃料リークによって顕在化する炉停止のリスクを評価することができる。ただしこうした考え方をそのまま押し通すことに、無理な点もある。すなわち、フラジリティ曲線を求めることが難しいのである。 燃料リーク問題を考えるときのフラジリティ曲線は、1 回のリーク現象あたりにリークする放射性物質の量の関数として、炉停止の確率を描くことになる。しかしながら、実際の炉停止の判断は、そうしたリーク現象1 回あたりのリーク量で決められるものではなく、何度かのリークによって一次冷却系に蓄積したリーク量で決められる。要するに、炉停止判断においては、1 回ごとのリーク量(微分値)が問題なのではなく、積分値としてのリーク量が問題なのである。したがって、一次冷却水中の放射性物質濃度(積分値)を横軸としたフラジリティ曲線を描くことは容易であるが、上述のハザード曲線の横軸を微分値の方で表現している以上、フラジリティ曲線の横軸もそれに合わせる必要がある。こうして、本研究においては、フラジリティ曲線を初めから設定することができないので、以下のモンテカルロ計算を使うことにした。要するに、本研究では変形型のPRA を使うことになるが、この変形型の場合、フラジリティ曲線は、地震PRA のときのように評価の入力データとして使うのではなく、評価後の出力データとして出現することになる。 2.3 一次冷却系における放射性物質濃度のモンテカルロ解析評価 一次冷却水中の放射性ヨウ素131 の濃度の時間変化を次式[10]で表すことにする。 C V C Q VR t C . .. . d d -1ここで、C は一次冷却水中の放射性ヨウ素131 の濃度[Bq/m3]、R は上述の被覆管破損によるリークレート[Bq/s]、λは放射性崩壊定数[s-1]、Qは冷却水浄化系の流量[m3/s]、V は一次冷却系の体積[m3]、t は時間である。リークした放射性ヨウ素(右辺第一項)のうち、一部は放射性崩壊で消滅し(右辺第二項)、さらに一部は浄化されて(右辺第三項)、その残りが一次冷却水中の放射性ヨウ素濃度の変化(左辺)を与えることを意味する。 リークレートR を定数と考えて、式(1)を普通に積分すると、C はt に対して単調に増加し、一定値R/(λV+ Q)に漸近するなめらかな曲線になる。しかし燃料リークプロセスにおいては、上述のように、種々の確率過程を内包していることから、なめらかにはなりえない。そこで本研究では、式(1)をモンテカルロ法を使って積分することにした。モンテカルロ法にもいろいろあるが、ここでは、原子シミュレーション[11]で使われているn-fold 法を用いてΔt を求めた[12]。 本モデルにおいては、さらに一次冷却水中のヨウ素131 濃度に臨界値を定義した。すなわち、一次冷却水中の濃度がここで定義した臨界値を超えたとき、リーク燃料を交換するためとして炉を停止する。炉停止したあとは、一次冷却水中のヨウ素濃度を一旦ゼロにリセットし、その後、次のモンテカルロ解析が継続される。炉水濃度のサンプリングは、実際の運用を念頭に、間欠的に行うことにした。例えば、1 日に1 度とか、1 週間に1 度などのように実施する。こうした間欠サンプリングを行うと、一時的には臨界値を超えたことがあったとしても、見過ごされて、炉停止に至らない状況が生まれてくることに注意されたい。臨界値としては、上述のLCO 基準値が適当であるが、実際の事業者の運用では、LCO 値よりもず- 205 -っと低い管理目標値を設定していることがふつうなので、本解析にあたっては、LCO 基準値にとらわれることなく、臨界値を変化させ、システムの応答性を調べた。また、式(1)の通常の積分から得られるなめらかな曲線(漸近値をもつ)を考えた場合、リークレートR に依存する漸近値を念頭に臨界値を設定すると、一度も炉を停止させないことが可能となる。しかし、今回のモンテカルロ解析では、そのような設定の組み合わせであっても、必ずしも炉停止は回避されない。なぜなら、いくら頻度が低くとも1 回のリーク量の多いリーク事象がたまたま続くようなことがあると、炉停止せざるを得ない可能性も発生するからである。いわゆるゆらぎの効果である。なお、本解析にあたっては、日本の原子炉の1 サイクル13 か月 Fig.3 An example of calculations, representing the time evolution of I-131 concentration when the water sampling is conducted once a week. The critical concentration is given as indicated by the horizontal dashed line. In this case, the fuel replacement is observed to be performed at just after 7 weeks, when the concentration is set to be zero, followed by a subsequent calculation trial. Fig.4 A double logarithmic plot of the equivalent hazard curve for fuel leaks を想定し、13 か月の間の炉停止頻度を数え上げた。Fig. 3 にモンテカルロ計算の一例を示す。 3.結果と考察 Fig. 4 は本研究で用いたハザード曲線の対数表示である。1 回のリーク量の多いリーク現象ほど、頻度を低く設定している。ここに示された各点を入力パラメータとして、式(1)をモンテカルロ法で積分する。 Fig.5 Frequency of unscheduled immediate reactor shutdown due to fuel leaks for various leak rates, R Fig. 5 は、計算で求めた炉停止頻度曲線の例を表している。縦軸は1 サイクル中の平均の炉停止頻度を表している。定期的なサンプリングの際、炉水の濃度があらかじめ決めておいた濃度臨界値を超えていた場合は炉を停止し、さらに、濃度を一旦ゼロにして解析を再開、そして13 か月の間の平均炉停止回数をとったものである。横軸はFig. 4 と同じである。1 回のリーク量が低いところでは炉停止頻度は増加関数になるが、1 回のリーク量が比較的高いところでは減少関数となって、全体としてはピークを形成している。左方向のリーク量の低すぎる部分は、頻度が高くとも1 回のリーク量が少ないので炉停止までには至らないことを示し、一方、右方向のリーク量の高すぎる部分は、1 回のリーク量が多くとも、そうした現象の起こる頻度が小さいので、やはり炉停止までには至らない。結局、その中間部分にピークがくることになる。また、リークレートR が高いほど山の全体が上に上昇し、全体として炉停止の頻度が増大している。 Fig. 6 は、本研究のフラジリティ曲線である。1 回のリークの量ごとに、どれくらいの確率で炉停止に至るかを表している。ここで注意すべきは、このフラジリティ曲線は計算結果であって、計算の入力ではないことであり、 - 206 -Fig.6 Equivalent fragility curve for fuel leaks obtained by the Monte Carlo calculations. The fuel leak event is considered to be almost a threshold phenomenon. その点が通常のPRAと異なることはすでに述べた。また、もうひとつ注意しておくべきことは、このフラジリティ曲線の横軸は1 回のリーク量であるが、必ずしもその1 回で炉停止するという意味ではないことである。その1 回のリーク量のリークが何度か重なって初めて臨界値を超える。Fig. 6 にあるとおり増加関数になっている。1 回のリーク現象あたりのリーク量が多いほど(そのような現象の発生頻度はFig. 4 にあるように少ないにも関わらず)、1 サイクル期間中の炉停止頻度は高くなることを意味している。炉停止の判断は、何回かのリーク現象の結果蓄積された一次冷却水中のヨウ素濃度によってなされているのであるが、それでも、1 回あたりのリーク量が多いほど、炉停止の確率は高くなる。要するに、被覆管の小さなひび(発生頻度は高いが、1 回のリーク量は少ない) よりは、大きなひび(発生頻度は低くとも、1 回のリーク量が多い)の方が、炉停止(積算のヨウ素量で判断する) への寄与度は大きいことを意味する。すなわち、大きなひびに対する対策の方が、燃料リークによる計画外停止を抑えるには有効ということになる。また、材料学や破壊力学の見地から、事象の進展・拡大に寄与するのは大きなひびの方であることを考えても、そうした大きなひびへの対応がリーク燃料の管理には合理的であることが示唆される。なお、Fig. 6 を詳細にみると、計画外停止頻度に対して1 回のリーク量にしきい値が存在するように見える。この条件では、しきい値が1×1013Bq/event のあたりである。 Fig. 7 は、炉停止判断の濃度臨界値を変更した場合の炉停止頻度曲線の応答性を表している。臨界値を下げれば下げるほど、一次冷却水中のヨウ素濃度がまだ低い段階で炉を停止することを意味するが、この図は、そうした措置を行った場合の頻度曲線の変化を表している。臨界値を下げると、特に小さなひびへの対策が増加しているように見える。臨界値を下げることは、一次冷却水中のヨウ素濃度の検出精度を高め、わずかなリークであっても敏感に対応することに相当する。こうした方策は、一見、炉の安全性向上に寄与するように見えるものの、実は、この図にも示すように、単に小さなひびに対応しているにすぎないのである。 Fig.7 Shutdown frequency curves when the critical value of I-131 concentration was changed. Fig. 8 Frequency of immediate reactor shutdown for a fixed value of the leak rate, R = 1.3x103 Bq/s, when the time interval of intermittent monitoring is changed from one day to one month. Fig. 8 は、炉停止判断の濃度臨界値を一定にしたまま、モニタリング頻度を変化させた場合の炉停止頻度曲線の応答性を表している。さきほどの場合と異なり、大きなひびに対する対応が増加している。Fig. 9 は、連続モニタリングした場合の炉停止頻度曲線とFig. 8 との差を表したものである。炉停止の判断を下すべき状況であったにも関わらず、サンプリングが間欠的であったがために、- 207 -見過ごされてしまった回数がいったいどれくらいあるかの頻度を表している。サンプリングの時間間隔が広がれば広がるほど、見過ごしてしまう頻度も多くなることを示している。また、こうした見過ごしは、大きなひびの方に多いことも示唆している。こうしたことを考えると、頻繁なモニタリングは燃料取替え保全の信頼性向上にとても有効であると考えられる。 Fig. 9 Frequency of the occurrence of such an event that the fuel replacement is really required but unfortunately missed. 3.結論 軽水炉の燃料リーク対策としての燃料取替え保全およびそれに伴う計画外炉停止に関する保全の最適化について、安全学の確率論的リスク評価手法を援用しながら議論した。燃料リークに関する簡単な数式モデルを提案し、材料学の原子シミュレーション手法としてのモンテカルロ法を流用しつつ、燃料取替えのためのリーク濃度設定やモニタリング頻度の最適化に係る指針を示した。 評価の結果、一次冷却水中の放射性物質濃度の検出精度を上げても、それは些細なきずに対応することにすぎず、炉全体の安全性の向上に寄与することは少ない。一方、モニタリング頻度を上げると、それは大きなきずに対応することに相当し、リーク燃料の取替え保全としてはとても効果的である。 ここで示した方法論は斬新であり、こうしたPRA のフレームワークの中で、材料も、保全も、システムも議論することは、今後の軽水炉安全の高度化に有用であると考えられる。 参考文献 [1] F. Garzarolli, R.V. Jan, H.Stehle, “The main causes of fuel element failure in water-cooled power reactors”, Atomic Energy Rev. 1979; 17 1: 31-128. [2] K. El-Adham, “Fuel failure mechanisms in operating U.S. plants from 1981 to 1986”, J. Nucl. Safety, 1988; 29 4: 487. [3] R.L. Yang, “Meeting the challenge of managing nuclear fuel in a competitive environment”, Light water reactor fuel performance (Prc. Int. Top. Mtg., Portland, Oregon, 1997), American Nuclear Society. 1997: 3. [4] Y. Yamamoto, K. Morishita, H. Iwakiri, Y. Kaneta , “Theoretical investigation of oxidation mechanism of fuel cladding in light-water reactor”, E-journal of advanced maintenance. 2013;5-1:1-6. [5] Japan Nuclear Safety Institute. Nuclear Information Archives,
“ “軽水炉リーク燃料の取替え保全最適化のためのモデル “ “森下 和功,Kazunori MORISHITA,科 山本,山本 泰功,Yasunori YAMAMOTO,科 中筋,中筋 俊樹,Toshiki NAKASUJI