女川原子力発電所 高台電源センターの設置

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カテゴリ: 第11回
1.緒言
2011年3月11日14時46分,三陸沖約130kmを震源と するマグニチュード9.0の国内観測史上最大の巨大 地震が発生した。地震後には大津波が襲来し,太平 洋沿岸部の広範囲にわたり甚大な被害をもたらし たが,女川原子力発電所は地震により全号機が設計 どおり自動停止した常用ディーゼル発電機,お よび外部電源も確保されていたことから,原子炉は 冷温停止(100°C未満)となり,使用済燃料プール を冷却する機能も健全であった。このことは原子力 発電所の安全確保の大原則である,「止める,冷や す,閉じ込める」について健全に機能したといえる。ここでは,更なる信頼性確保のための電源強化対 策,および女川原子力発電所特有の取り組みとして 設置した「高台電源センター」について紹介する。
2.安全性向上の取り組み(電源強化)
電源設備は地震の揺れ,津波による被害はなかっ たが,更なる安全性向上対策として実施した内容を 紹介する。 2.1 送電線耐震強化 地震の揺れによる鉄塔の損壊等はなく,耐震性は 確保されていたが,安全対策として,支持がいしか ら懸垂がいし(V字型)へ耐震化を実施した。 Fig.1 碍子の耐震化 2.2 大容量電源装置の設置 発電所の電源喪失時に,原子炉冷却に必要な機器 等へ電力を供給することを目的に,大容量電源装置 を設置した。 Fig.2 大容量電源装置 2.3 高圧電源車の配備 津波等による発電所電源喪失の際,原子炉注水に 必要な機器等へ電力を供給する目的で高圧電源車 を配備した。 Fig.3 高圧電源車
2.4 高台電源センターの設置 配備された高圧電源車からの給電を更に迅速・確 実に行うため,女川原子力発電所特有の対策として 高台電源センターを設置した。 設置場所については,万が一の津波襲来時にも電 源供給作業を行えるよう発電所構内の高台(海抜約 60m)に設置した。 Fig.4 高台電源センター (about 60 m above sea level) 3.高台電源センターの特徴 女川原子力発電所特有の対策として設置した高 台電源センターは様々な特徴がある。 3.1 送電ルートの多様化 電源車配備直後は大容量電源装置と同一ルート からの給電であったため,電路の損傷等により,同 時に2つの電源を喪失する恐れがあった。このため, 電源車からの送電を別ルートとすることで,電源供 給ルートの多様化を行った。 Fig.5 送電ルートの多様化 3.2 電源供給の迅速化 従来,電源車を所定の位置に移動後,搭載ケーブ ルの繰り出しを行い,ケーブル布設を行っていたが, 高台電源センターではあらかじめ電源供給箇所に 電源車を整列させた。 また,トラフ内にあらかじめケーブルを布設して おき,取り出すだけで電源車へ接続することができ るようにした。 これにより,電源供給までに要していた時間を 1/3まで短縮することが可能となった。 Fig.6 電源供給迅速化概要 3.3 耐震性の考慮 高台電源センターは地震等によってプラント電 源が喪失した場合に使用することを目的としてい るため,地震力に耐える工夫を施している。特に屋 外に設置した電源盤,ケーブルについては様々な対 策をおこなった。 3.3.1 配電盤の地震耐力強化 1 配電盤の基礎を岩盤上に施工し,不等沈下 を防止している。 2 配電盤の地震耐力の向上を行うため,基礎 ボルトを一般配電盤に比べ,サイズアップ, 本数の追加を行っている。 3.3.2 ケーブルの地震耐力強化 1 ケーブルルートは地這いを基本とした。“ “女川原子力発電所 高台電源センターの設置 “ “堀口 真午,Shingo HORIGUCHI
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