泊発電所における安全対策強化の取り組みについて 火災防護対策、諸対策
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カテゴリ: 第11回
1. 緒 言
原子力発電所ではこれまで、消防関係法令はもとより、 従来の指針*1「火災発生防止」、「火災の感知及び消火」「火 災の影響軽減」の「3方策を適切に組み合わせた」措置を 講じてきたところである。 平成23 年 3 月 11 日に発生した福島第一原子力発電所 の事故を踏まえた安全対策の取り組みとして、火災防護 対策についても国大で議論がなされ、上記「3方策をそれ ぞれを考慮した」火災防護対策を講ずることが新基準*2で 示された。 これらを受け、原子力安全の向上を図るため、泊発電所 にて新たに実施する火災防護対策を「火災発生防止」、「火 災の感知及び消火」及び「火災の影響軽減」の 3 つの観 点から紹介する。 また、泊発電所においてこれまでに実施した又は現在 実施中の安全対策の具体例を紹介する。
2. 泊発電所の火災防護対策
2.1 火災発生防止 泊発電所では従来より、JEAG4607「原子力発電所の火災 防護指針」を参考に、不燃材・難燃材の使用、発火性、引 火性物質の漏えい防止等の対策、電気設備の過電流によ る過熱防止策、雷・地震等の自然現象による火災防止対策 を講じてきた。 水素を内包する構築物および機器を設置しているエリ アについては、従来より溶接構造による無漏洩対策・換気 により水素の滞留を防止してきたが、新たに水素の漏え いを早期検知するため水素濃度計を新設する。 また、ケーブルについては、従来より耐延焼性(電気学 会報告(II部)第 139 号)を確認した難燃性ケーブルを 使用しているが、今回、垂直燃焼試験を追加実施し、現在 使用している難燃性ケーブルの自己消火性の性能を確認 した。 2.2 火災の感知および消火 2.2.1 火災の感知 消防関連法令に基づき各建屋内に各エリア 1 種類の感 知器で監視してきた。更なる早期感知および誤感知防止 のため、温度又は煙濃度により監視可能な異なる 2 種類 の感知器で監視する(図1)。 連絡先:太細克己 北海道電力株式会社 〒060-8677 札幌市中央区大通東1丁目 E-mail:katsu@epmail.hepco.co.jp - 242 - (a)対策前 (b)対策後 :煙感知器 :熱感知器 :炎感知器 :光ファイバ式温度センサ 青色シンボル:対策前から設置の火災感知器 青色 赤色シンボル:対策後に追加設置した火災感知器 :炎 :煙 炎 図1 火災感知器配置図(対策前後) :熱感 :光 2.2.2 火災の消火 火災の消火については、従来より消防関係法令に基づ き、屋内消火栓・消火器を設置してきた。今回、より迅速 な消火を実現するため、主要建屋の可燃物がある区画に ついては、ハロンガスによる自動消火設備を設置する(図 2)。 (a) 対策前 (b)対策後 図2 消火設備配置図(対策前後) 2.3 火災の影響軽減 火災の影響軽減については従来の指針に準じて、火災 防護対象機器等の系統を分離してきた。今回、より確実な 系統分離を実現するため、3時間以上の耐火能力を有する 障壁による分離、離隔距離6 m 以上の確保、または1 時 間以上の耐火能力を有する障壁による分離をする。(図 3 参照)。消火設備は多重化された異なる原理の感知器によ り検知し自動作動させる (a)対策前 (b)対策後 2.4 消防用設備の保全 消防法関係法令に基づき、消防関連設備の点検を実施 している。最新の消防設備では、機能確認の自動化も進ん でいる。 今後は、泊発電所での各火災対策設備の設置環境に応 じて、より効果的な保全を取り進める。 :屋内消火栓 :自動消火設備設置エリア :煙感知器 :熱感知器 :消火設備 :耐火壁(1時間耐火機能) 図3 系統分離(ほう酸ポンプ室)(対策前後) 3. 安全対策の具体例 3.1 電源供給 重大事故時の電源供給の信頼性向上を図るため、常設 の非常用発電機を設置、可搬型代替電源車を配備した(図 4、図5)。 図4 常設非常用発電機 図5 可搬型代替電源車 3.2 冷却水供給 図6 可搬型大型送水ポンプ車 - 243 - 重大事故時の冷却水供給の信頼性向上を図るため、可 搬型の送水ポンプ車を配備した(図6)。 3.3 水素爆発防止 重大事故時の原子炉格納容器の水素爆発を防止するた め、原子炉格納容器内に静的水素再結合装置及び電気式 水素燃焼装置を設置した(図7、図8)。 図7 静的触媒式水素再結合装置 図8 電気式水素燃焼装置 3.4 防潮堤 浸水高さ海抜 15m の津波が襲来した場合でも敷地への 浸水を防止するため、高さ海抜16.5m、総延長約1.3kmの 防潮堤を設置中である(図9、図10)。 (平成24年8月着工、平成26 年12月完成予定) - 244 - 図9 防潮堤(盛土区間) 図11 貯水設備 図10 防潮堤(擁壁区間) 3.5 貯水設備 炉心及び使用済燃料を冷却するための水源の信頼性向 上対策として、約5,000m3の容量を持つピット型の貯水設 備を3基設置中である(図11)。 (平成25年6月着工、平成27年度末完成予定) 3.6 電路 貯水設備など今後設置する設備と既設プラントを結ぶ 配管及びケーブル路を確保するため、トンネル構造等の 電路を設置中である(図12)。 (平成25年6月着工、平成27 年度末完成予定) 図12 電路(トンネル構造) 4. 結 言 1) 従前から指針及び JEAG4607 に基づく火災防護対策 および保全を実施してきた。 2) 福島第一原子力発電所の事故を踏まえた安全対策の 一貫として火災防護対策に係る議論を踏まえて制定 された新基準に基づき更なる火災防護対策を実施す る。 3) 泊発電所での各火災対策設備の設置環境に応じて、 1)「発電用軽水型原子炉施設の火災防護に関する審査指 針」(昭和55年11月6日)(一部改訂平成19年12月 17日) - 245 - より効果的な保全を取り進める。 4) 現在実施中の安全対策を着実に進めていく。 参考文献 2)「実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に係 る審査基準」(平成25年6月19日)“ “泊発電所における安全対策強化の取り組みについて 火災防護対策、諸対策 “ “柴田 拓,Taku SHIBATA,太細 克己,Katsumi DASAI
原子力発電所ではこれまで、消防関係法令はもとより、 従来の指針*1「火災発生防止」、「火災の感知及び消火」「火 災の影響軽減」の「3方策を適切に組み合わせた」措置を 講じてきたところである。 平成23 年 3 月 11 日に発生した福島第一原子力発電所 の事故を踏まえた安全対策の取り組みとして、火災防護 対策についても国大で議論がなされ、上記「3方策をそれ ぞれを考慮した」火災防護対策を講ずることが新基準*2で 示された。 これらを受け、原子力安全の向上を図るため、泊発電所 にて新たに実施する火災防護対策を「火災発生防止」、「火 災の感知及び消火」及び「火災の影響軽減」の 3 つの観 点から紹介する。 また、泊発電所においてこれまでに実施した又は現在 実施中の安全対策の具体例を紹介する。
2. 泊発電所の火災防護対策
2.1 火災発生防止 泊発電所では従来より、JEAG4607「原子力発電所の火災 防護指針」を参考に、不燃材・難燃材の使用、発火性、引 火性物質の漏えい防止等の対策、電気設備の過電流によ る過熱防止策、雷・地震等の自然現象による火災防止対策 を講じてきた。 水素を内包する構築物および機器を設置しているエリ アについては、従来より溶接構造による無漏洩対策・換気 により水素の滞留を防止してきたが、新たに水素の漏え いを早期検知するため水素濃度計を新設する。 また、ケーブルについては、従来より耐延焼性(電気学 会報告(II部)第 139 号)を確認した難燃性ケーブルを 使用しているが、今回、垂直燃焼試験を追加実施し、現在 使用している難燃性ケーブルの自己消火性の性能を確認 した。 2.2 火災の感知および消火 2.2.1 火災の感知 消防関連法令に基づき各建屋内に各エリア 1 種類の感 知器で監視してきた。更なる早期感知および誤感知防止 のため、温度又は煙濃度により監視可能な異なる 2 種類 の感知器で監視する(図1)。 連絡先:太細克己 北海道電力株式会社 〒060-8677 札幌市中央区大通東1丁目 E-mail:katsu@epmail.hepco.co.jp - 242 - (a)対策前 (b)対策後 :煙感知器 :熱感知器 :炎感知器 :光ファイバ式温度センサ 青色シンボル:対策前から設置の火災感知器 青色 赤色シンボル:対策後に追加設置した火災感知器 :炎 :煙 炎 図1 火災感知器配置図(対策前後) :熱感 :光 2.2.2 火災の消火 火災の消火については、従来より消防関係法令に基づ き、屋内消火栓・消火器を設置してきた。今回、より迅速 な消火を実現するため、主要建屋の可燃物がある区画に ついては、ハロンガスによる自動消火設備を設置する(図 2)。 (a) 対策前 (b)対策後 図2 消火設備配置図(対策前後) 2.3 火災の影響軽減 火災の影響軽減については従来の指針に準じて、火災 防護対象機器等の系統を分離してきた。今回、より確実な 系統分離を実現するため、3時間以上の耐火能力を有する 障壁による分離、離隔距離6 m 以上の確保、または1 時 間以上の耐火能力を有する障壁による分離をする。(図 3 参照)。消火設備は多重化された異なる原理の感知器によ り検知し自動作動させる (a)対策前 (b)対策後 2.4 消防用設備の保全 消防法関係法令に基づき、消防関連設備の点検を実施 している。最新の消防設備では、機能確認の自動化も進ん でいる。 今後は、泊発電所での各火災対策設備の設置環境に応 じて、より効果的な保全を取り進める。 :屋内消火栓 :自動消火設備設置エリア :煙感知器 :熱感知器 :消火設備 :耐火壁(1時間耐火機能) 図3 系統分離(ほう酸ポンプ室)(対策前後) 3. 安全対策の具体例 3.1 電源供給 重大事故時の電源供給の信頼性向上を図るため、常設 の非常用発電機を設置、可搬型代替電源車を配備した(図 4、図5)。 図4 常設非常用発電機 図5 可搬型代替電源車 3.2 冷却水供給 図6 可搬型大型送水ポンプ車 - 243 - 重大事故時の冷却水供給の信頼性向上を図るため、可 搬型の送水ポンプ車を配備した(図6)。 3.3 水素爆発防止 重大事故時の原子炉格納容器の水素爆発を防止するた め、原子炉格納容器内に静的水素再結合装置及び電気式 水素燃焼装置を設置した(図7、図8)。 図7 静的触媒式水素再結合装置 図8 電気式水素燃焼装置 3.4 防潮堤 浸水高さ海抜 15m の津波が襲来した場合でも敷地への 浸水を防止するため、高さ海抜16.5m、総延長約1.3kmの 防潮堤を設置中である(図9、図10)。 (平成24年8月着工、平成26 年12月完成予定) - 244 - 図9 防潮堤(盛土区間) 図11 貯水設備 図10 防潮堤(擁壁区間) 3.5 貯水設備 炉心及び使用済燃料を冷却するための水源の信頼性向 上対策として、約5,000m3の容量を持つピット型の貯水設 備を3基設置中である(図11)。 (平成25年6月着工、平成27年度末完成予定) 3.6 電路 貯水設備など今後設置する設備と既設プラントを結ぶ 配管及びケーブル路を確保するため、トンネル構造等の 電路を設置中である(図12)。 (平成25年6月着工、平成27 年度末完成予定) 図12 電路(トンネル構造) 4. 結 言 1) 従前から指針及び JEAG4607 に基づく火災防護対策 および保全を実施してきた。 2) 福島第一原子力発電所の事故を踏まえた安全対策の 一貫として火災防護対策に係る議論を踏まえて制定 された新基準に基づき更なる火災防護対策を実施す る。 3) 泊発電所での各火災対策設備の設置環境に応じて、 1)「発電用軽水型原子炉施設の火災防護に関する審査指 針」(昭和55年11月6日)(一部改訂平成19年12月 17日) - 245 - より効果的な保全を取り進める。 4) 現在実施中の安全対策を着実に進めていく。 参考文献 2)「実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に係 る審査基準」(平成25年6月19日)“ “泊発電所における安全対策強化の取り組みについて 火災防護対策、諸対策 “ “柴田 拓,Taku SHIBATA,太細 克己,Katsumi DASAI