敦賀発電所敷地内破砕帯の評価(D-1 破砕帯の連続性)
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カテゴリ: 第11回
1.2調査の概要
D-1破砕帯を評価するため、主として以下の調査を実施 している。(Fig.2) ・ボーリング調査(断層が通過する位置や地質的性状 を把握。断層の連続性の評価に活用できる。) ・トレンチ調査及びピット調査(断層の活動性の評価 するため地盤を掘削して断層の状態などを調べる 調査) ・地層の堆積年代の分析(テフラ分析、花粉分析等) テフラ分析:火山灰などの火山噴出物は、給源や噴 出時期ごとに固有の特徴を有してい る。これを利用して、地層の堆積年代 を決定することができる。 花 粉分析:花粉の種類を特定することで当時の気 候が判る。これを利用して、地層の堆 積時期を推定できる。 これらの調査などによって、D-1 破砕帯は2号機原子炉
Fig.1 Location map of Urasoko fault and D-1 shatter zone
建屋直下からD-1トレンチまで連続しており、D-1破砕
Fig.2 Location map of surveys for D-1 trench
連絡先:星野 知彦 〒101-0053東京都千代田区神田美土 代町1番地1、日本原子力発電(株) E-mail: tomohiko-hoshino@japc.co.jp - 266 - D-1破砕帯の連続性の評価にあたっては、断層の性状を 表す複数の特徴に着目して検討を行った。 ・ 断層の幾何学的形状(断層の向きと傾斜) ・ 断層の幅 ・ 断層粘土(断層ガウジ)の色調 ・ 断層粘土(断層ガウジ)の硬軟の程度 ・ 断層粘土(断層ガウジ)の巨視的、微視的な内部構 造 ・ 断層の最終活動時のずれの向き(最新活動面の変位 センス) ・ 断層ガウジの構成鉱物 これらの着目点に基づき、連続性評価を行った結果、 D-1 破砕帯は 2 号機原子炉建屋から南方及び北方に延び る破砕帯であると判断した。 D-1 破砕帯の活動性を評価するために実施した D-1 ト レンチでは、G断層及びK断層の2つの断層が確認され、 これらの断層とD-1破砕帯の関係を以下に述べる。 なお、有識者会合では、「G断層及びK断層とも、D-1 破砕帯と一連の可能性がある」としており、現在も議論 が継続しているところである。 2.2 D-1 トレンチ内のG 断層及びK 断層とD-1 破砕 帯の関係 G断層の特徴は、D-1破砕帯の特徴と類似していること から、G 断層は D-1 破砕帯と一連の断層であると判断さ 2.3 まとめ D-1 破砕帯の連続性について複数の地質的性状から総 合的に検討した結果、D-1破砕帯はG断層と一連であり、 K断層とは一連ではないことが明らかとなった。 したがって、D-1破砕帯の活動性については、G断層の 活動性を調査し、評価すれば良い(詳細は、「敦賀発電所 敷地内破砕帯の評価(D-1破砕帯の活動性)」で述べる)。 (平成26年7月3日) れる。 一方、K断層の特徴は、D-1 破砕帯の特徴とは大きく異 なることから、K 断層は D-1 破砕帯とは一連の断層では ないと判断される。(Table 1) (G断層の地質的特徴) K断層は、D-1破砕帯と異なり、大きく蛇行する断層で ある(走向がN-S方向~NW-SE方向~NNE-SSW方 向に変化する中~高角度の西傾斜の断層)。また、第四系 の見かけの鉛直変位量は短区間で急激に減少し、原電道 路ピットでは、ほぼ変位が認められなくなる断層である。 K断層は、幅広の白色熱水変質を伴うカタクレーサイト と灰白色、淡褐色等の色調を呈する断層ガウジからなり、 断層ガウジの構成粒子は円磨されず角礫状を呈している。 最新活動面のずれの向きを詳細に観察した結果、逆断層 成分が卓越した断層であることを確認した。 Table 1 Comparison of each fault characters - 267 - D-1トレンチ北側ピットでは、花崗斑岩質カタクレーサ イトと黄褐色、灰白色、淡赤褐色、暗褐色の縞状構造を 呈する断層ガウジからなり、N-S 方向で高角度西傾斜で ある。断層ガウジは、面構造が発達し、比較的明瞭であ る。断層ガウジ内の構成粒子はよく円磨されている。最 新活動面のずれの向きを詳細に観察した結果、正断層成 分が卓越した断層であることを確認した。 (K断層の地質的特徴)“ “敦賀発電所敷地内破砕帯の評価(D-1 破砕帯の連続性) “ “星野 知彦,Tomohiko HOSHINO,北川 陽一,Yoichi KITAGAWA,入谷 剛,Takeshi IRIYA,牟田 隆司,Ryuji MUTA
D-1破砕帯を評価するため、主として以下の調査を実施 している。(Fig.2) ・ボーリング調査(断層が通過する位置や地質的性状 を把握。断層の連続性の評価に活用できる。) ・トレンチ調査及びピット調査(断層の活動性の評価 するため地盤を掘削して断層の状態などを調べる 調査) ・地層の堆積年代の分析(テフラ分析、花粉分析等) テフラ分析:火山灰などの火山噴出物は、給源や噴 出時期ごとに固有の特徴を有してい る。これを利用して、地層の堆積年代 を決定することができる。 花 粉分析:花粉の種類を特定することで当時の気 候が判る。これを利用して、地層の堆 積時期を推定できる。 これらの調査などによって、D-1 破砕帯は2号機原子炉
Fig.1 Location map of Urasoko fault and D-1 shatter zone
建屋直下からD-1トレンチまで連続しており、D-1破砕
Fig.2 Location map of surveys for D-1 trench
連絡先:星野 知彦 〒101-0053東京都千代田区神田美土 代町1番地1、日本原子力発電(株) E-mail: tomohiko-hoshino@japc.co.jp - 266 - D-1破砕帯の連続性の評価にあたっては、断層の性状を 表す複数の特徴に着目して検討を行った。 ・ 断層の幾何学的形状(断層の向きと傾斜) ・ 断層の幅 ・ 断層粘土(断層ガウジ)の色調 ・ 断層粘土(断層ガウジ)の硬軟の程度 ・ 断層粘土(断層ガウジ)の巨視的、微視的な内部構 造 ・ 断層の最終活動時のずれの向き(最新活動面の変位 センス) ・ 断層ガウジの構成鉱物 これらの着目点に基づき、連続性評価を行った結果、 D-1 破砕帯は 2 号機原子炉建屋から南方及び北方に延び る破砕帯であると判断した。 D-1 破砕帯の活動性を評価するために実施した D-1 ト レンチでは、G断層及びK断層の2つの断層が確認され、 これらの断層とD-1破砕帯の関係を以下に述べる。 なお、有識者会合では、「G断層及びK断層とも、D-1 破砕帯と一連の可能性がある」としており、現在も議論 が継続しているところである。 2.2 D-1 トレンチ内のG 断層及びK 断層とD-1 破砕 帯の関係 G断層の特徴は、D-1破砕帯の特徴と類似していること から、G 断層は D-1 破砕帯と一連の断層であると判断さ 2.3 まとめ D-1 破砕帯の連続性について複数の地質的性状から総 合的に検討した結果、D-1破砕帯はG断層と一連であり、 K断層とは一連ではないことが明らかとなった。 したがって、D-1破砕帯の活動性については、G断層の 活動性を調査し、評価すれば良い(詳細は、「敦賀発電所 敷地内破砕帯の評価(D-1破砕帯の活動性)」で述べる)。 (平成26年7月3日) れる。 一方、K断層の特徴は、D-1 破砕帯の特徴とは大きく異 なることから、K 断層は D-1 破砕帯とは一連の断層では ないと判断される。(Table 1) (G断層の地質的特徴) K断層は、D-1破砕帯と異なり、大きく蛇行する断層で ある(走向がN-S方向~NW-SE方向~NNE-SSW方 向に変化する中~高角度の西傾斜の断層)。また、第四系 の見かけの鉛直変位量は短区間で急激に減少し、原電道 路ピットでは、ほぼ変位が認められなくなる断層である。 K断層は、幅広の白色熱水変質を伴うカタクレーサイト と灰白色、淡褐色等の色調を呈する断層ガウジからなり、 断層ガウジの構成粒子は円磨されず角礫状を呈している。 最新活動面のずれの向きを詳細に観察した結果、逆断層 成分が卓越した断層であることを確認した。 Table 1 Comparison of each fault characters - 267 - D-1トレンチ北側ピットでは、花崗斑岩質カタクレーサ イトと黄褐色、灰白色、淡赤褐色、暗褐色の縞状構造を 呈する断層ガウジからなり、N-S 方向で高角度西傾斜で ある。断層ガウジは、面構造が発達し、比較的明瞭であ る。断層ガウジ内の構成粒子はよく円磨されている。最 新活動面のずれの向きを詳細に観察した結果、正断層成 分が卓越した断層であることを確認した。 (K断層の地質的特徴)“ “敦賀発電所敷地内破砕帯の評価(D-1 破砕帯の連続性) “ “星野 知彦,Tomohiko HOSHINO,北川 陽一,Yoichi KITAGAWA,入谷 剛,Takeshi IRIYA,牟田 隆司,Ryuji MUTA